会社設立の基礎知識

マイクロ法人とは?作り方やメリット・デメリットなどわかりやすく解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

マイクロ法人とは?作り方やメリット・デメリットなどわかりやすく解説

マイクロ法人とは、従業員を雇わずに会社の代表者が1人で事業を行う会社です。特に、個人事業主やフリーランスが、所得税・住民税の節税や社会保険料の節約などを目的として設立するケースが増えています。

ただし、マイクロ法人の設立には費用がかかり、個人事業主に比べると経理業務に手間がかかる場合があるなど、デメリットも存在します。フリーランスや個人事業主がマイクロ法人の設立を検討する際は、メリット・デメリットの両方を踏まえて検討することが大切です。

本記事では、マイクロ法人を設立するメリット・デメリットや作り方、設立する際の注意点を詳しく解説します。

目次

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マイクロ法人とは

マイクロ法人とは、従業員を雇わず代表者自身が1人で事業活動を行う会社のことを指します。個人事業主やフリーランスが、節税や社会保険料の節約を目的に設立することが多い会社形態です。

マイクロ法人と一般的な法人との違い

マイクロ法人と一般的な法人との主な違いは以下の通りです。


マイクロ法人一般的な法人
外部株主の有無なし(代表者一人)あり
従業員の有無なし(代表者一人)あり
主な設立目的節税や社会保険料の節約事業拡大や社会的信用度の向上
登記の有無ありあり

マイクロ法人には、外部の株主や従業員はいません。一般的な法人は株主を集めて投資を募り、役員や従業員などを抱えて事業活動を行いますが、マイクロ法人は全てを代表者1人が担います。

また、一般的な法人が通常は事業を拡大することを目的としているのに対して、マイクロ法人は節税を主な目的としている点も異なります。

会社法上の法人である点は、マイクロ法人も一般的な法人も同じです。マイクロ法人を設立するには会社法に則り、会社設立登記を行う必要があります。

マイクロ法人と個人事業主との違い

マイクロ法人と個人事業主との主な違いは「課税される税金の種類」と「事業開始時の手続き」の2点です。


マイクロ法人個人事業主
課税される主な税金 ・法人税
・法人住民税
・法人事業税
・所得税
・住民税
・個人事業税
事業開始時の手続き ・定款の作成
・法務局での登記
・税務署への開業届の提出

課税される税金の種類によって税額の計算方法や税率が異なるため、所得額が同じでも、個人事業主として事業を行う場合と法人の場合では税額に違いが生じます。

また、個人事業主であれば税務署に開業届を提出するのみで事業を始められますが、法人を設立する場合は、定款の作成や法務局での会社設立登記が必要です。

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会社員や個人事業主がマイクロ法人を設立する際の注意点

会社員であっても、個人でマイクロ法人を設立することは可能です。しかし、会社によっては従業員の副業を禁止していることがあり、マイクロ法人を設立すると会社との労働契約に違反する可能性があります。

また、個人事業主が主に行う事業とマイクロ法人で行う事業が同一の場合、個人事業で得た利益を法人へ分散させて租税を回避していると税務署から疑われる可能性があります。

もし、個人事業主とは別にマイクロ法人を設立するなら、個人事業主として行っている事業とマイクロ法人で行う事業内容を明確に分けられるようにしておきましょう。

個人事業主と同じ事業で法人格を所有したい場合は、法人成りを検討するのがおすすめです。通常の法人成りは、主に事業拡大や社会的信用の向上を目的としているため、主に節税を目的としているマイクロ法人と違って事業内容に制限がありません。

なお、個人事業で行っている事業でマイクロ法人を設立する際、既存の個人事業については廃業届を提出して廃業すれば、法人のみでその事業を行う形になります。そのため、個人事業と法人で同一の事業を行って所得分散・租税回避を税務署から疑われる形を避けることができます。

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法人化(法人成り)とは?メリットやデメリット、最適なタイミングについて徹底解説

マイクロ法人を設立するケース

マイクロ法人の設立にあたっては、以下のケースに自身が当てはまるかが判断基準といえます。

マイクロ法人を設立するケース

  • 個人事業や副業が軌道に乗って所得が増えたとき
  • 新規事業を立ち上げるとき(二刀流)

各ケースを詳しく解説します。

個人事業や副業が軌道に乗って所得が増えたとき

たとえば、事業を拡大・多角化するなかで所得額が増えた場合には、一部の事業を切り離すことで、事業を法人成りしてマイクロ法人を設立することもできます。

将来的に主軸となりそうな事業をマイクロ法人で法人化すれば、社会的信用が上がり事業展開がしやすくなり、ほかの事業とは資産を明確に区分できて管理がしやすくなるなどのメリットがあります。

新規事業を立ち上げるとき(二刀流)

個人事業主としてのメインの仕事とは別に新規事業を立ち上げる、いわゆる二刀流を始めるときも、マイクロ法人の設立を検討できるタイミングです。

個人事業主として複数の事業を行う場合すべての所得が合算されて、累進課税の対象になります。しかし、別事業をマイクロ法人として運用すれば、その法人の所得は個人の所得とはわけて計算されるため、高い所得税率の適用を避けられる可能性があります。

マイクロ法人の設立は年収の大きさで決めるべき?

あるひとつの事業を行っている個人事業主が法人成りしてマイクロ法人を設立する場合や、複数の事業を行っている個人事業主が一部の事業を法人化してマイクロ法人を設立する場合、年収だけでなく事業を行う目的や今後の活動シナリオを考慮することが大切です。

たとえば、今後も事業を継続・拡大する予定であれば、個人事業主よりも法人のほうが社会的に信用されるため、マイクロ法人を設立しましょう。

また、法人設立には手間や費用がかかるので、副業でマイクロ法人を設立するようなケースでは、本業に支障が出ないかどうか、本業とのバランスも考慮して無理のない範囲で事業を継続できるかどうかもポイントです。

なお、節税や社会保険料の節約を目的にマイクロ法人を設立したい場合は、現在の所得額をもとにシミュレーションを行い、個人事業主のままで活動するケースと法人化するケースを比較すれば、負担が減るかどうか確認できます。

法人化したほうが税金・社会保険料の負担を抑えられる年収について、詳しくシミュレーションしたい場合は税理士などの専門家に相談しましょう。

マイクロ法人化すると社会保険料を節約できる場合がある

社会保険料のうち、国民健康保険料は所得額や世帯あたりの加入者数によって決まります。自治体によって異なりますが、国民健康保険料は年間で最大100万円を超えることもあるため、所得が多い個人事業主なら負担が大きいと感じるかもしれません。

法人化し、受け取る役員報酬額を可能な限り少額に設定すると、標準報酬月額の等級が低くなり、社会保険料を節約できることがあります。

また、個人事業主は、扶養家族分の国民年金・国民健康保険料を支払う必要がありますが、法人の厚生年金・健康保険では、扶養家族分の保険料支払いが不要です。

マイクロ法人の作り方と手順

マイクロ法人を設立する際は、法人用の印鑑や定款を作成し、必要に応じて公証役場で定款認証を行います。

株式会社としてマイクロ法人を設立するときの手順は以下の通りです。

以下では、手順に沿ってマイクロ法人の作り方を詳しく解説します。

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STEP①会社設立に必要な基礎情報を決める

まず、定款に記載する会社設立に必要な基礎情報を決めましょう。具体的には以下のような事項が挙げられます。

マイクロ法人設立時に決めること

  • 会社形態
  • 商号(会社名)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金
  • 会社設立日
  • 会計年度
  • 役員や株主の構成

出典:日本公証人連合会「Q2. 株式会社の定款の記載事項について、どのようなものがありますか。」

①会社形態

新設する会社をどのような形態にするか決めます。現在は株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類から選択できます。

②商号(会社名)

会社を識別するための商号(会社の名称)を決めます。商号は一定のルールを守ってつけなければいけません。ほかの会社と区別をつけるだけではなく、商標権の侵害をしないような名前を考えましょう。

なお、変更登記を行えば設立してからでも会社名の変更が可能です。

③事業目的

事業目的は、会社の事業範囲を定めたものです。定款にない事業は原則として行えないので、これから始める事業や将来的にやりたいことなども含めて記載しましょう。

事業目的の数に制限はありません。しかし、設立したばかりの会社にもかかわらず多くの事業目的が記載されていると何の会社か分かりにくくなります。設立するときの事業目的は、10項目以下に収まるようにしましょう。

ひとつの事業を行っている個人事業主が法人成りしてマイクロ法人を設立するケースであれば、法人成りに際して廃業する個人事業と同じ事業を法人で行うので、その事業の内容を事業目的として定めます。

複数の個人事業を行っていて一部の事業のみ法人化してマイクロ法人を設立するケースや、個人事業主が新たに別の事業を始める際にマイクロ法人を設立するケースでは、法人で行う事業の内容を事業目的として定めます。

④本店所在地

会社の拠点を定める住所を決めます。貸事務所以外に自宅やマンションの1室、さらにバーチャルオフィスなども本店所在地として設定できます。

本店所在地は法的な拠点でもあるため、事業所を変更する場合は再度登記が必要です。本店所在地は長期的に事業が行える場所を選びましょう。

⑤資本金

創業するときの運転資金となるのが資本金です。資本金は、会社の設立や増資などで出資者から払い込まれたお金を指します。現在の会社法には資本金の下限がないため、法律上は1円から会社を設立できます。

しかし、資本金が少額であると安定した事業活動ができなかったり社会的信用を得られにくかったりするので、初期費用のほかに運転資金3ヶ月分ほどの資本金は用意するべきでしょう。

⑥会社設立日

法務局に会社設立の登記申請をした日が会社設立日です。設立日は事業開始日とは異なります。また、土日・祝日や年末年始などは法務局が営業していないため会社設立日にできません。

特定の日にちを会社設立日にする場合、登記申請する日から逆算して準備を進めましょう。

⑦会計年度

会計年度とは、会社で会計上の業績を評価する期間のことです。通常は1年間で、会社が自由に会計年度を設定できます。多くの会社では、4月1日から翌年3月31日までを会計年度としています。

法人は、事業年度の最終日(決算日)の翌日から原則として2ヶ月以内に法人税の申告をしなければいけません。会計年度が決まると法人税の申告期限も決まるので、決算・法人税申告の対応を行う時期が事業の繁忙期に重ならないように会計年度を決めましょう。

⑧役員や株主の構成

株式会社を設立するときは、役員の人数や株主の構成を決定します。最低1名以上の取締役の選定が必要ですが、マイクロ法人であれば代表者1名が取締役と株主を兼任します。

株式会社設立ではどの程度株を所有しているのかを示す株主名簿を作成する必要があります。

STEP②法人用に使用する印鑑を作る

法人用の実印は市販のものではなく、専門業者に依頼して作成することが一般的です。重要な取引や契約に関する書類などに用いる印鑑のため、適切に管理しましょう。

実印は印鑑届書とともに法務局に持参して登録します。ただし、2021年2月に法改正が行われ、現在はオンラインによる設立登記では印鑑の届出は任意です。


出典:法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」

STEP③定款を作成する

定款とは、会社の事業内容や役員の任期などを規定している書類で、会社設立時に作成しなければいけません。

定款の記載内容は、会社法によって一定の基準が設けられているので、それに則り記載しましょう。事業目的や商号などの絶対的記載事項が記載されていないと定款が無効になります。

定款を作成し3部製本します。1部は公証役場の控え、1部は会社保管用の原始定款、1部は登記申請用の定款です。左側を止めて、それぞれの見開きページに発起人の実印を割り印で押して、最後のページの発起人の欄に実印を押印します。

【関連記事】
定款の作り方とは?起業時に作成する際の記載事項や注意点を解説

STEP④公証役場で定款認証を行う

株式会社を設立する際は、作成した定款を公証役場に提出して認証を受けなければいけません。合同会社・合資会社・合名会社であれば、認証手続きの必要はありません。

認証の手続きは予約制なので、会社の本店所在地を管轄する公証役場で公証人訪問日時を予約します。認証は電子定款を使ってオンラインで行うこともできます。

公証役場で定款認証を行う際は以下の書類が必要です。訪問日より前に郵送やFAXで定款を送っておくと、認証手続きがスムーズに行えます。

定款認証に必要なもの

  • 定款:3部
  • 3ヶ月以内に発行された発起人全員の印鑑登録証明書:各1通
  • 発起人全員の実印
  • 認証手数料:1.5万〜5万円(資本金額等によって異なる)
  • 謄本代:250円×定款の枚数(現金のみ)
  • 収入印紙:4万円(電子定款の場合は不要)
  • 代理人が申請する場合は委任状
  • 実質的支配者となるべき者の申告書

出典:日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」
出典:日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」

STEP⑤資本金の払込を行い払込証明書を取得する

定款の認証が済んだら資本金を払い込みます。この段階では法人の口座を開設できないため、一般的には発起人の個人口座を使って銀行振込するケースがほとんどです。

支払いをした後、資本金が証明できるよう通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込内容が記載されているページをコピーして保管します。振込内容のコピーは、登記申請の際に必要です。

STEP⑥登記書類を作成し登記申請を行う

法務局で登記申請を行います。登記申請には以下の10種類の書類が必要です。

登記申請時に必要な書類

  • 登記申請書
  • 登録免許税分の収入印紙を貼った納付用台紙
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 設立時代表取締役の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑登録証明書
  • 資本金の払込があったことを証する書面
  • 印鑑届出書
  • 登記すべき事項を記載した書面もしくは保存したCD-R

印鑑届書には、法人印だけではなく個人印の押印が必要です。登記申請前に会社の印鑑を作成しておきましょう。登記申請手続き後、不備がなければ10日ほどで登記が完了します。

【関連記事】
会社設立に必要な書類は全部で10種類!書き方や提出方法についてわかりやすく解説

STEP⑦登記簿謄本と印鑑証明書を受け取る

登記が完了したら登記簿謄本と印鑑証明書を受け取ります。登記所または法務局証明サービスセンターの窓口で交付請求をするか、郵送やオンラインでの交付請求をすることも可能です。

STEP⑧各種行政への手続きを行う

税務署や市町村役場へ法人税や健康保険・厚生年金に関する届出を行います。

各種行政に出す届出

  • 税務署へ法人税や源泉所得税に関する届出
  • 各都道府県税務署および市町村役場へ法人住民税・法人事業税に関する届出
  • 年金事務所へ健康保険・厚生年金の加入手続きについて届出

それぞれの機関によって提出する書類や提出期限が定められているので、各機関のホームページを確認して期日内に書類を揃えて提出しましょう。

マイクロ法人のメリット

マイクロ法人を設立するメリットは主に次の3つです。

マイクロ法人のメリット

  • 所得税や住民税の節税ができる
  • 社会保険料の節約が可能になる
  • 要件を満たせば消費税の免税事業者になれる

以下でそれぞれ詳しく解説します。

所得税や住民税の節税ができる

マイクロ法人を設立すると所得税・住民税を節税できる場合があります。所得税・住民税を計算する際、個人事業の所得は事業所得ですが、マイクロ法人を設立して役員報酬として受け取れば給与所得の扱いになり、計算方法が変わるためです。

所得税・住民税は、マイクロ法人から受け取る役員報酬の金額(給与収入額)から給与所得控除額を差し引いて算出します。2025年分以降の給与所得控除額は最低65万円で、給与等の収入金額に応じて控除額が変わります。


出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」

社会保険料の節約が可能になる

個人事業主は、国民健康保険と国民年金に加入し、保険料は所得が増えるほど高くなります。一方、マイクロ法人は、会社の健康保険と厚生年金に加入し、保険料は役員報酬に応じて決まる仕組みです。

マイクロ法人から受け取る役員報酬額は自由に決定できるため、役員報酬額を可能な限り少額に設定すれば、健康保険料や厚生年金保険料の支払額を減額できます。

つまり、個人事業を法人化してマイクロ法人を設立し、国民健康保険・国民年金から会社の健康保険・厚生年金に切り替えれば、社会保険料の支払額を減額できる可能性があります。

なお、前述の通り、個人事業を続けたまま同一の事業で法人を設立すると税務署から所得分散・租税回避を疑われる可能性があるので、同一の事業で法人化する場合、個人事業については廃業届を提出して廃業することが一般的です。

また、社会保険料の節約は、個人事業主として事業を継続しながら、別の事業でマイクロ法人を設立する場合にもメリットがあります。個人事業主とマイクロ法人の二刀流であれば、個人事業主として社会保険に加入する必要はありません。

要件を満たせば消費税の免税事業者になれる

個人事業主の売上高が1,000万円を超えている場合、消費税の課税事業者となります。しかし、マイクロ法人を設立して一部の事業の売上をマイクロ法人で計上すれば、消費税の免税事業者になれる可能性があります。

消費税の免税事業者に該当すれば、消費税の申告・納税が不要になり、取引先から受け取った消費税分が手元に残る点や、申告手続きの手間がかからない点がメリットです。

たとえば、個人事業主として不動産収入700万円、ECサイト収入400万円で合計1,100万円の利益があるケースです。マイクロ法人を設立してEC事業の売上分400万円を計上すれば、個人事業主の事業とマイクロ法人の事業いずれも消費税の免税事業者となる可能性があります。

ただし、2023年10月から始まったインボイス制度によって、消費税免税のメリットが薄れてしまうケースも少なくありません。免税事業者となるか、課税事業者として適格請求書発行事業者に登録するかについては、メリット・デメリットを比較して検討しましょう。


出典:国税庁「No.6501 納税義務の免除」

【関連記事】
2023年10月から始まったインボイス制度とは?図解でわかりやすく解説!

マイクロ法人のデメリット

マイクロ法人を設立する主なデメリットは次の3つです。

マイクロ法人のデメリット

  • 経理業務や事務手続きに手間がかかる
  • 会社の設立費用や維持費用が発生する
  • 経営が赤字でも法人住民税が発生する

以下でそれぞれ詳しく解説します。

経理業務や事務手続きに手間がかかる

マイクロ法人を設立すると、個人事業主のときよりも経理業務や事務手続きに手間がかかります。個人事業主は、年に1回確定申告をすれば終わりですが、マイクロ法人を設立すると個人事業主の確定申告よりも複雑な、法人の決算および確定申告を行わなければいけません。

マイクロ法人を株式会社で設立する場合、貸借対照表や損益計算書・株主資本等変動計算書・勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書などの書類作成・提出も必要です。

自分でこれらの複雑な書類を準備できない場合は税理士に依頼することになり、そのコストも発生します。


出典:e-Gov法令検索「会社法 第四百三十五条」

会社の設立費用や維持費用が発生する

マイクロ法人を設立するときの費用やランニングコストが発生する点もデメリットです。一般的な株式会社は設立に約20万~30万円、合同会社なら約10万円必要です。

また、マイクロ法人を維持するためには、法人住民税が最低7万円、決算申告を税理士などに依頼するなら専門家報酬として最低でも約15万円はかかり、少なくとも年間約22万円は必要です。

会社設立の費用について、詳しくは「会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説」をご覧ください。

経営が赤字でも法人住民税が発生する

マイクロ法人を設立すると、経営が赤字でも法人住民税の均等割は支払わなければいけません。均等割の金額は会社の資本金等の金額に応じて変わり、少なくとも都道府県民税均等割2万円と市町村民税均等割5万円、合計7万円の税金がかかります。

個人事業主の場合も、事業が黒字か赤字かに関わらず個人住民税の均等割がかかりますが、最低金額は都道府県民税1,000円と市町村民税3,000円、さらに森林環境税1,000円も加えられ合計で5,000円です。

そのため、赤字経営の個人事業主がマイクロ法人を設立すると、住民税均等割の納付額が上がって負担が増えます。


出典:総務省「法人住民税」
出典:総務省「個人住民税」

マイクロ法人を設立する際の注意点

マイクロ法人は、節税などのメリットがある一方で、設立の際の注意点も存在します。主な注意点は次の2つです。

マイクロ法人の設立時の注意点

  • 会社員がマイクロ法人を設立しても社会保険料の節約はできない
  • 脱税行為だと判断されないようにする

以下でそれぞれ詳しく解説します。

会社員がマイクロ法人を設立しても社会保険料の節約はできない

会社員がマイクロ法人を設立した場合、一般的に社会保険料に関しては、勤務先の会社と個人で設立したマイクロ法人の両方で支払います。勤務先で社会保険料を支払っていてもマイクロ法人で社会保険料の納付が不要になるわけではないので、社会保険料の節約はできません。

複数の会社から報酬を受け取る人は、報酬の合計額をもとに社会保険料額が決まる仕組みです。算出された社会保険料の総額は、各会社から受け取る報酬額の割合に応じて按分します。そして、それぞれの会社の給与から差し引いて納付します。

脱税行為だと判断されないようにする

個人事業主や会社員がマイクロ法人を設立すること自体に違法性はありませんが、税務署に脱税行為を疑われないように注意しましょう。

特に個人事業主と両立してマイクロ法人を設立するときは、個人事業主とマイクロ法人の事業内容が明確に異なるようにしておくとよいでしょう。同一事業とみなされると、意図的に所得を分散させていると疑われやすくなります。

マイクロ法人に向いている事業内容とは?

さまざまな事業で、マイクロ法人を設立できます。自分がこれまで培ってきたスキル・経験を活かせる領域や、興味・関心を持てる分野を選択するとよいでしょう。

アフィリエイター

アフィリエイトは、成果報酬型広告と呼ばれるインターネット広告手法のひとつです。商品・サービスを販売する会社が提供する広告を自分のサイトやブログに掲載し、その広告経由で商品・サービスの購入があった場合に売上の一部が報酬として支払われます。

アフィリエイターは、この成果報酬型広告による利益を得ている人をいいます。アフィリエイトは副業として人気があり、本業とは別にマイクロ法人で利益を計上すれば節税効果が得られるでしょう。

不動産

不動産を賃貸して得られる所得もマイクロ法人の収入にできます。マイクロ法人で不動産事業を行えば、給与所得控除による節税や社会保険料の節約も可能です。

不動産を所有して賃貸すれば収入が得られるため働く必要がなく、投資目的で大家になるケースも少なくありません。

せどり

せどりとは、安く仕入れた商品を高く売ってその差額を利益にする事業をいいます。海外のECサイト・実店舗などから安く商品を購入して通販サイト・フリマアプリなどで販売し、収入を得ます。

コンサルティング

コンサルティングのビジネスは、一般的にクライアントの企業経営などに関する相談を受けて診断や助言、指導を行う活動をいいます。在庫を抱えたり固定資産を持ったりする必要が少ないため、初期費用を安く抑えられて早い段階で利益を得られやすいビジネスです。

配送業

フードデリバリーサービスの配送業でマイクロ法人を設立する人もいます。事業を始めるにあたって専門的な知識やスキルなしで手軽に始められるビジネスのひとつです。

自分の都合のよい時間帯だけ働くこともできるため、副業で配送業を選ぶ人もいます。また、短期間で収益をあげられるので、挑戦しやすいビジネスといえます。

まとめ

マイクロ法人は、従業員を雇わず代表者が1人で事業を行う会社です。個人事業主がマイクロ法人を設立すれば、所得税・住民税が減って節税になったり、社会保険料を節約できたりします。

ただし、マイクロ法人の設立には費用がかかり手続きも煩雑です。株式会社を設立する場合、定款の作成や認証、登記の手続きをしなければいけません。

マイクロ法人のメリットだけではなく、デメリットも理解してどのような形態でビジネスを行うか検討しましょう。

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よくある質問

マイクロ法人を設立するにはどのような手続きが必要?

マイクロ法人を設立する際は、法人用の印鑑や定款を作成します。

株式会社で設立する場合の手順は、以下の通りです。

詳しくは記事内「マイクロ法人の作り方と手順」をご覧ください。

マイクロ法人を設立する際の費用はいくらから?

設立にかかる費用は会社形態によって異なりますが、一般的に株式会社なら約20万〜30万円、合同会社なら約10万円が必要になります。

また、税理士への業務依頼や、バーチャルオフィスの賃貸、電話受付代行などを利用する場合は、別途費用が発生します。

詳しくは記事内「会社の設立費用や維持費用が発生する」をご覧ください。

マイクロ法人の維持にかかる費用は?

マイクロ法人には維持費がかかります。法人住民税の最低額が7万円、また、決算申告を税理士などに依頼する場合は最低でも約15万円の専門家報酬が必要です。

詳しくは記事内「会社の設立費用や維持費用が発生する」をご覧ください。

マイクロ法人の節税メリットとは?

マイクロ法人を設立すると役員報酬を会社から受け取れるため、給与所得控除が適用されます。そのため、法人を経由した給与収入となり所得税や住民税の節税ができます。

また、個人事業主がマイクロ法人を設立した場合、社会保険料が国民健康保険から会社の健康保険に切り替わり、保険料を抑えられる場合があります。

詳しくは記事内「マイクロ法人のメリット」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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