会社設立には大きく分けて、事前準備・定款の作成と認証・資本金の払込・登記申請の4つの手順があります。会社設立のために必要な手続きを最短で行った場合、株式会社は3週間、合同会社は2週間で設立可能です。

ただし、会社設立を最短で行うことを重視しすぎてしまうと、決算月の設定で損をしたり、資本金が不足していて事業に影響が出たりするリスクがあります。

本記事では、会社設立の最短スケジュールと各段階での手続き、注意点や法人設立ワンストップサービスの活用方法を解説します。

なお、今回解説する主なスケジュールは、株式会社を設立する場合の想定です。

• 株式会社なら最短3週間・合同会社なら最短2週間で設立可能
• 会社設立を最短で行うスケジュールイメージ
• 【〜5日目】会社設立を思い立ってから行う事前準備
• 事業内容や会社所在地など会社の基本情報を決める
• 発起人の印鑑を作成して印鑑登録証明書を取得する
• 資本金を用意する
• 【6日目〜7日目】最短で会社設立するために行う手続き
• 定款を作成し公証役場の予約を取る
• 認証の前に作成した定款を公証役場へメールまたはFAXで送る
• 会社の実印を作成する
• 【8日目〜14日目】最短で会社設立するために行う手続き
• 定款の認証を受ける
• 資本金の振込（資本金払込）を行う
• 資本金の払込証明書を作成する
• 登記申請書類を用意する
• 【15日目〜21日目】最短で会社設立するために行う手続き
• 法務局にて登記申請手続きを行う
• 会社設立後に必要な届出
• 法人設立ワンストップサービスの活用もおすすめ
• 最短で会社設立の手続きをする際の注意点
• 決算月を会社設立日から短い期間で設定してしまう
• 資本金が不足していて債務超過のリスクが発生してしまう
• まとめ
• 自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
• よくある質問

会社設立のために最短で準備や手続きを行った場合、株式会社なら3週間、合同会社なら2週間ほどで設立可能です。会社設立までの流れは、大きく分けて以下の4つの手順で進みます。

定款の認証は株式会社の設立に必要な手続きで、持分会社である合同会社は不要です。認証が完了するまで約1週間かかるため、株式会社と合同会社ではその分設立完了までの期間に差があります。

今回は、株式会社を最短で設立する流れと各手続きを以下で詳しく紹介していきます。

なお、会社設立の期間については別記事「会社設立にかかる期間はどれくらい？設立までの流れや期間について解説」でも解説しているので、あわせてご確認ください。

上記のように、会社設立を思い立ってから4つの段階を踏んで手続きは完了します。また、会社設立日となるのは登記申請を行った日です。窓口で申請した場合、申請日から登記完了までは約1週間かかりますが、完了日でなく申請日が会社設立日になります。

なお、上記のスケジュールは株式会社設立の場合の想定です。合同会社の場合は定款認証がないため、約14日で完了すると想定しましょう。

会社設立にあたって、設立前に準備を行わなければなりません。会社設立を最短で行うためには、約5日間のうちに以下の準備を済ませましょう。

事前準備はスムーズに進めば1〜2日ほどで済みますが、具体的な事業内容を1から定める場合や資本金を集めるために出資を受ける場合は、1〜2日以上かかる可能性があります。そのため、以下では5日ほど要すると仮定し、事前準備を紹介していきます。

会社設立には、定款や登記申請書に記載する事項として、株式会社なら以下の基本情報が必要です。

これらの基本情報は会社の軸でもあるため、発起人全員で相談し、納得できるものに決めましょう。各事項の詳細を詳しく知りたい方は、別記事「会社設立の流れを徹底解説！株式会社を設立するメリットや注意点について」をご確認ください。

会社設立に必須の手続きである定款の認証や登記申請では、発起人全員の印鑑登録証明書が必要です。そのため、発起人は個人の印鑑を作成または用意し、印鑑登録証明書を取得しましょう。

なお、発起人とは、会社設立の際に資本金の出資や定款の作成など会社設立の手続きを行う人のことを指します。

また、取締役会を設置しない場合は1通ずつで問題ありませんが、取締役会を設置する場合、取締役・代表取締役に就任する人は印鑑登録証明書が2通必要です。印鑑登録証明書の発行は、市区町村役場・行政サービスセンター・コンビニエンスストアで行えます。

ただし、会社設立後も印鑑登録証明書を使用するケースが多いため、各人2通以上発行しておくと不測の事態にも対処できます。

印鑑登録証明書の発行方法を詳しく知りたい方は、別記事「印鑑登録証明書とは？押印廃止の対象でも必要なケースや発行方法について解説」をご覧ください。

なお、印鑑登録証明書の有効期限は3ヶ月なので、必要枚数以上をあらかじめ取得しておく必要はありません。

会社設立を行うには、資本金払込を行った証明書が必要になります。そのため、会社設立を思い立ったらできるだけ早く資本金の用意を始めましょう。発起人の預貯金で資本金が確保できればとくに心配はありませんが、出資者を立てる場合は早めの手配が必要です。

資本金の額は1円から決められますが、会社の体力ともいえる運転資金の基礎なので、事業に応じて十分な額を用意しましょう。詳しくは、別記事「資本金とは？基本情報から会社設立時に必要な金額の設定方法までわかりやすく解説」をご確認ください。

会社設立の事前準備が済んだら、手続きを進めていきます。6日目～7日目までの約2日間で行う手続きは、以下の通りです。

なお、定款の認証が必要なのは株式会社を設立する場合のみで、合同会社の設立では必要ありません。

事前準備で決めた基本情報をもとに、定款の作成を行います。定款には絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の3種類があります。設立する会社にあわせて必要な事項を記載してください。

定款の作成ができたら、認証を受けるために公証役場の予約を取ります。定款の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人しか行えないため、会社所在地の最寄りにある公証役場を選んで予約してください。

予約は、公証役場のホームページに記載されている予約フォームや、メールで行うことが一般的です。

出典：日本公証連合会「公証事務」

定款の記載項目などを詳しく知りたい方は、別記事「会社設立に必須の定款とは？ 認証方法や記載事項について詳しく解説」をあわせてご確認ください。

定款を作成したら、認証のための予約とあわせて事前確認の依頼も行いましょう。公証役場では作成した定款の事前チェックを行っており、記載内容に誤りや不足がないかを確認してくれます。

公証役場に送る際は、メールやFAXを使用することが一般的です。万が一認証の際に不備が発覚すると、修正が必要となり会社設立が遅れてしまうため、最短で完了させるためにも必ず送っておきましょう。

会社の実印とは、一般的に会社の名前と代表者名が記載された印鑑のことで、法人印・代表者印とも呼ばれています。会社の実印は登記申請時に必要（オンラインの場合は任意）になるので、この時点で用意しておくとスムーズです。

なお、会社の実印を作成するにはサイズの規定があり、1辺の長さが1cm以上かつ、3cm以内の正方形に収まるものを使用しなければなりません。専門家に依頼して、正しく作成してもらいましょう。

会社の実印など会社設立に必要な印鑑の種類を詳しく知りたい方は、別記事「会社設立に必要な印鑑は？種類や役割、用意する際のポイントを解説」をご確認ください。

会社設立を思い立って8日目～14日目までに行う手続きは、以下の通りです。

なお、定款認証については1週間かかることを想定しているため、認証がない合同会社の場合、ここでの手続きは最短1〜2日で完了します。

公証役場の予約を取った日時になったら、定款の認証を受けます。定款の認証では、以下の必要書類と費用を用意してください。

なお、上記で紹介した例は、紙定款を使用して公証役場で直接認証を受ける場合ですが、電子定款を使用する場合はデータを送信するだけで認証が受けられます。また、電子定款は収入印紙代の4万円がかからないことが大きなメリットです。

電子定款を詳しく知りたい方は、別記事「電子定款とは？作成方法や認証手続きについてわかりやすく解説」をご確認ください。

定款の認証と並行して、資本金の振込（資本金払込）もこのタイミングで行いましょう。資本金は発起人の代表者の個人口座に払い込むことが一般的です。

資本金が数百万円規模の場合、ATMでの入金に制限がかかる可能性があります。そのため、資本金払込は銀行の窓口で行いましょう。

また、払い込みが完了したら、通帳の以下3ヶ所のコピーを取得してください。

これらのコピーは、後述する払込証明書の添付書類として用いられるため、忘れないようにしましょう。

資本金の払込証明書とは、登記申請時の添付書類として必要な書類です。払込証明書には、以下の7つの項目を記載します。

また、払込証明書には6日目〜7日目に作成した会社の実印を捺印する必要があるため、忘れないようにしましょう。払込証明書の作成は、freee会社設立から簡単に行えます。

資本金払込まで完了したら、いよいよ登記申請書類の準備を行います。登記申請時に必要な書類は、株式会社の場合で以下の10種類です。

これらの書類に誤りや不足があると登記申請は受理されないため、全て不足なく用意しましょう。

各書類の詳しい書き方は、別記事「会社設立に必要な書類は全部で10種類！ 書き方や提出方法についてわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

15日目～21日目にかけて、最後に行う手続きは以下の通りです。

なお、15日目〜21日目と想定しているのは株式会社の場合であり、定款認証がない合同会社の場合は8日目〜14日目で完了します。

10種類の申請書類が準備でき、定款の認証が完了したら、法務局で登記申請手続きを行います。申請を行うのは、会社の本店所在地を管轄している法務局です。手続き自体は書類の提出だけで、あとは完了するまで1週間ほど待つだけです。

なお、会社設立日は登記申請を行った日になるため、設立日にこだわりたい場合は申請する日を調整してください。合同会社の場合は定款の認証がないため、書類の作成・用意が済んだ時点で登記申請が可能です。

詳しくは、別記事「自分一人で合同会社を設立するには？用意する書類から必要手続きまで解説」をご確認ください。

会社設立後に必要な手続きは、以下の6つです。

各手続きには提出期限が設けられており、税務署への法人設立届出書は設立から2ヶ月以内、年金事務所への健康保険・厚生年金保険の新規適用届は、5日以内の提出が求められます。また、従業員を雇用する場合は、労働基準監督署やハローワークへの届出も必要です。

手続きごとに必要な書類は異なり、法人設立時の登記事項証明書や定款の写しなど、基本的な添付書類に加えて、手続き固有の書類が求められるケースもあります。期限内に漏れなく提出できるよう、事前に必要書類を確認し、計画的に準備を進めておくことが重要です。

提出先・必要書類・提出期限などの詳しい情報を知りたい方は、別記事「【会社設立後の手続き】法人登記で終わりじゃない！事業開始までにやるべきこととは？」をご確認ください。

法人設立ワンストップサービスとは、定款の認証や登記申請の手続きをまとめて行えるサービスです。デジタル庁が運営しているサービスで、設立後に税務署やハローワークにて必要な手続きも全て行えます。

法人設立ワンストップサービスを利用した手続きと流れは、株式会社と合同会社、それぞれ以下の通りです。

法人設立ワンストップサービスを利用することで、各種申請の手間を省けるだけでなく、登記申請処理が通常1週間のところ、最短24時間以内に完了するメリットがあります。そのため、通常よりもさらに早く会社を設立することが可能です。

法人設立ワンストップサービスの詳細を詳しく知りたい方は、別記事「法人設立ワンストップサービスとは？可能な手続きの内容や利用時の注意点を解説」をご確認ください。

最短で会社設立したいからといって、事前準備がおろそかのまま手続きを進めてしまうと、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

法人は決算月を自由に決められますが、繁忙期から決算月を遠ざける目的で会社設立日から短い期間に設定してしまうと、消費税免除期間が短くなったり決算申告料の支払いが早めに必要になりします。

たとえば、6月に会社設立を行った法人が決算月を1月にした場合、消費税の免除期間は最長でも1年半です。

設立して半年後には決算申告をしなければならないとなると、設立当初の忙しい時期に大きな手間が生まれてしまいます。そのため、できるだけ会社設立日から遠い月に設定しましょう。

会社設立を思い立ってすぐに手続きを行った場合、十分な資本金を用意しないまま法人化してしまうことがあります。特に仕入れを必要とする業種を営む場合は、設立後の支出がかさんでしまい、債務超過になりかねません。

また、資本金額は融資の審査や会社の信用度にも影響してくるため、できるだけ余裕のある金額を用意するのが好ましいです。最短で会社を設立する気持ちがあっても、会社の運転資金である資本金が不足していては事業が成り立たないので、十分な金額を用意しましょう。

会社設立の手続きを最短で行った場合、株式会社は3週間、合同会社は2週間で設立可能です。ただし、最短で行うためには事前準備から会社の実印作成、書類作成まで不備なくスムーズに行わなければなりません。

もし、不備があったり資本金額が十分でなかったりすると、設立後の事業にも影響が及んでしまうため、ひとつひとつ確実に手続きを進めてください。また、より早く会社設立が進められる方法として、法人設立ワンストップサービスの利用も検討しましょう。

定款の認証と登記申請がまとめて行えるだけでなく、処理が済むまでの時間も最短24時間以内と早いので、ぜひ活用してみてください。

会社設立の準備から事業開始までには、多くの書類や手続きが必要になります。書類の転記をするだけでもかなりの時間がかかってしまいます。

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。設立件数30,000社以上の実績をもつfreee会社設立なら、初めての方もあんしんしてご利用いただけます。

初めての会社設立では、書類の書き方や提出先、設立後の手続きなどさまざまな場面で不安を抱えてしまうこともあるでしょう。

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相談方法はオンライン面談、LINE相談、電話、メールなどから選べます。まずお気軽に問い合わせフォームからおためし相談（最大30分）の予約をして、ご自身のスケジュールや設立手続きに関する疑問や不安を解消しましょう。

freee会社設立では、必要項目を記入していくだけで会社設立に必要な書類を作成することができます。また、登記の際に必要となる会社印も同時に購入が可能です。

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。

会社名や資本金額など必要項目を入力すると、定款（ていかん）をはじめとする会社設立に必要な約10種類の書類を自動で作成します。

＜freee会社設立で出力できる書類の一例＞

• 定款
• 登記申請書
• 印鑑届出書 など

設立費用を削減したい方には電子定款がおすすめです。紙の定款では、収入印紙代40,000円がかかりますが、電子定款ではこれが不要となります。

freee会社設立は電子定款にも対応しており、電子定款作成に必要な機器やソフトの準備なども必要がないため、自分で作成するよりもコストを抑えることができます。

＜設立にかかる費用の比較例＞

（1）freee会計を年間契約すると、無料になります。
（2）紙定款の印紙代（40,000円）

会社設立するためにオフィスの住所が必要になります。
自宅をオフィス代わりにしている場合は、自宅の住所でも問題ありませんが、公開情報となってしまうので注意が必要です。

自宅兼オフィスのように実際の住所を公開したくない場合や、管理者や所有者に物件の法人登記が認められていない場合は、バーチャルオフィスを利用するのがおすすめです。

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会社設立を思い立ってから、株式会社の場合で最短3週間、合同会社の場合で最短2週間の期間で行えます。会社形態によって設立までの期間が異なるのは、定款の認証の有無です。

詳しくは記事内「株式会社なら最短3週間・合同会社なら最短2週間で設立可能」をご覧ください。

会社設立を最短で行うには、事前準備・定款の作成と認証・資本金払込・法人登記申請の4ステップをスムーズに進める必要があります。株式会社の場合は、登記申請が15日目でできるように準備しましょう。

詳しくは記事内「会社設立を最短で行うスケジュールイメージ」をご覧ください。