会社設立の基礎知識

独立後の初仕事。開業届の基本と提出方法まとめ

独立後の初仕事。開業届の基本と提出方法まとめ

法人ではなく個人事業主としてビジネスをはじめる方、開業届の提出は済みましたか?毎月安定した収入が見込めるようであれば、開業届を提出することで大きなメリットを受けられる可能性があります。

今回は開業届を出すメリットとデメリット、作成と提出の仕方をご説明します。

会社設立から事業開始までの流れや、実際に必要な手続きについては以下の記事でまとめています。

【会社設立の流れ】準備から事業開始までに必要な手続きとは?
【会社設立後の手続き】法人登記で終わりじゃない!事業開始までにやるべきこととは?

個人事業主と法人の違いを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【個人事業主と法人】それぞれの違いやメリット・デメリットとは?

目次

開業届とは?

開業届とは?

開業届とは法人もしくは個人が、事業を始めたことを税務署に届けることです。
正式には法人の場合は「法人設立届出書」、個人事業主の場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。ここでは個人事業主に焦点をあて、以下開業届と表記します。

個人事業主は事業を始めることにした日から1カ月以内に開業届を所轄の税務署に提出する必要があります。開業日は任意に決めて構いませんので、切りの良い1日にしたり縁起を担いで大安の日にしたりする人もいます。

開業届を出すメリット

開業届を出すメリットは何といっても、青色申告ができること。青色申告にすると、税金申告において以下のような特典が受けられます。

1.「青色申告特別控除」が受けられる

青色申告特別控除が受けられる

複式簿記で経費を管理することで、課税所得から年間最大65万円の控除が受けられます。
また特別控除を利用すると、住民税の計算の基礎となる金額も少なくなるため住民税も節約することができます。

2. 「青色申告専従者給与」の対象になる

家族を雇い給与を支払った場合、その金額が経費となり課税対象の金額から控除することができます。

3. 赤字額の繰り越しができる

最大3年間、赤字を繰り越せます。

開業届を出すデメリット

開業届を出すと節税面でメリットが大きい一方で、年間所得が20万円以下の場合は確定申告が必要ありませんので、開業届を出すメリットはありません。また次のようなデメリットもあります。

1. 所得税の配偶者控除を受けられない

配偶者を事業の専従者にして給与を支払った場合、給与は経費となりますが所得税の配偶者控除の対象から外れます。ただし政府は就労を後押しすることを目的に、配偶者控除の見直しを行っていますので、将来は制度の変更によりこのデメリットも無くなるかもしれません。

2. 失業保険がもらえないかもしれない

専業であれば問題ありませんが、会社勤めをしながら副業で事業をはじめて開業届を出していた場合、失業保険がもらえない可能性があります。
会社を辞めても開業しているため失業者として認定されないためです。

青色申告特別控除が受けられる

提出方法

開業届を提出することにした場合は開業してから一ヶ月以内に提出の手続きをとります。
万が一、一ヶ月を過ぎてしまっても特に罰則はありませんが、提出を忘れないように早めに提出するようにしましょう。
提出先は自宅もしくは事業所がある地域を所轄する税務署です。

開業届のフォームに関しては税務署の窓口でもらえるほか、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。提出は窓口持参、もしくは郵送になります。

なお開業届を2通作成して提出し、そのうち1通に受付印をもらった上で控えとして保管しておくと、屋号で銀行口座を開く際などに便利です。郵送で提出する場合は、切手を貼った返信用封筒を同封すると、受付印が押された控えが返送されてきます。

青色申告承認申請書も忘れずに

青色申告のメリットを先に述べましたが、青色申告特別控除を受けるためには「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
提出期限は事業開始の日から2カ月以内もしくは、青色申告を開始しようとする年の3月15日までとなっています。提出は窓口持参もしくは郵送で行い、手数料は不要です。開業時から青色申告することに決めている場合は、開業届と同時に提出すると手間が省けます。

提出用紙は税務署窓口で受け取るか、国税庁のホームページにてダウンロードできます。

専業でビジネスをしている人で、ある程度の安定した収入が見込める人であれば開業届を出すメリットは大。ぜひ開業届の提出を検討してみてくださいね。
一方で副業でビジネスをスタートする場合は、失業保険との兼ね合いで提出を保留してもよいでしょう。メリットとデメリットを十分に比較検討し、時間をかけて決めるのも選択肢の一つです。

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