会社設立の基礎知識

【社会保険】会社設立後は社会保険の加入が必須?

最終更新日:2021/09/14

監修 弁護士法人DREAM

「社会保険」は複数の保険の総称であり、負担する料率はそれぞれ異なります。

会社を設立したら、仮に社長一人しかいない会社であっても社会保険への加入が原則として必須です。従業員を雇用する際は、1人あたりにかかる保険料を事前に把握しておいた方が良いでしょう。

この記事では、社会保険の基礎知識や社会保険ごとの算出方法など詳しく解説します。

社会保険加入の手続き方法や、必要書類について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

会社設立時の社会保険について動画で知りたい方はこちら

目次

社会保険とは?

社会保険とは、国や地方公共団体が主体となって運営・管理する社会保障制度のひとつで健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険・介護保険などの公的保険の総称をいいます。

法人及び従業員を常時5名以上雇っている個人事業主は法律によって社会保険への加入が義務づけられています。

社長一人の会社でも、一定以上の報酬(給与)がある場合は必ず加入しなければなりません。

保険 概要
健康保険 病気やケガなどをしたときなどに必要な給付を受けることができる医療保険
厚生年金 企業に勤める労働者を対象とした公的年金制度
労災保険 労働者災害補償保険法に基づき、民間企業の従業員とその遺族に適用される公的保険制度
雇用保険 従業員が失業した場合などに金銭面をサポートする制度
介護保険 要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができる

健康保険の対象と加入条件

健康保険とは国の医療保険のひとつです。医療給付や手当金などを支給して、生活を安定させることを目的とした社会保険制度です。

対象は会社で働く人とその家族で、怪我や病気などで仕事を休んだり、亡くなってしまったりしたときの金銭的なサポートをしてくれます。

適用されるケースは以下のとおりです。

会社で働いている人

  • 病気や怪我をしたとき
  • 病気や怪我で会社を休み、給与が出ないとき
  • 亡くなったとき
  • 出産のため会社を休み、給与が出ないとき
  • 出産をしたとき

その家族

  • 病気や怪我をしたとき
  • 亡くなったとき
  • 出産をしたとき

健康保険には、個人事業主や学生など、年齢問わず加入が義務づけられている国民健康保険もあります。違いとしては、健康保険では会社と従業員(加入者)で保険料を折半する点です。

参考:全国健康保険協会

健康保険の加入条件

正社員や法人の代表者、役員が被保険者となります。また、アルバイト・パートの方であっても「労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上」であれば加入対象です。

労働時間や労働日数が正社員の4分の3に満たない場合でも、以下の要件をすべて満たしている場合は被保険者となります。

健康保険の加入条件

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 勤務期間が1年以上を見込まれる
  • 月額賃金が88,000円以上
  • 学生以外
  • 従業員501人以上の企業に勤めている

厚生年金の対象と加入条件

厚生年金とは、厚生年金法に基づくもので、企業に勤める労働者を対象とした公的年金制度です。

日本の年金制度は3階層に区別されており、1階部分が国民全員に加入義務のある「国民年金」。2階部分には職業に応じた上乗せ給付を行う「厚生年金」があります。この1階・2階部分は国が社会保障の一環として運営しており、「公的年金」と呼ばれます。


年金制度

厚生年金は、ベースとなる国民年金にプラスして納入・支給される年金で、図の2階部分にあたります。この国民年金と厚生年金をあわせて公的年金と呼びます。

厚生年金に加入すると、65歳以上になったときに受け取れる年金額や心身に障害が残ったときに受け取れる障害手当金、亡くなってしまった場合に遺族が受け取れる手当金の金額がアップします。

ちなみに3階部分は、企業や団体が福利厚生の一環として任意に運営する「企業年金」で、「確定給付企業年金」や「厚生年金基金」が含まれます。1~2階部分の公的年金に保険料を上乗せして納めると受け取る年金額がさらに上がります。

厚生年金の加入条件

厚生年金保険の適用事業所に常時雇用されている70歳未満の人は、国籍や性別にかかわらず被保険者となります。

また、アルバイト・パートなど非正規雇用の従業員でも以下の要件を満たしている場合は被保険者になります。

厚生年金の加入条件

  • 1週間の所定労働時間、1カ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上であること
  • 以下5つの条件を満たす労働者
    ・週20時間以上勤務
    ・年収106万以上(賃金月額が月8.8万円以上)
    ・1年以上の使用が見込まれる
    ・従業員501人以上の勤務先で働いている
    ・学生でないこと

労災保険の対象と加入条件

労災保険とは、労働者災害補償保険法に基づき、民間企業の従業員とその遺族に適用される公的保険制度です。

従業員が業務上の理由あるいは通勤時における負傷、疾病、障害、死亡などに備えるための保険で、治療費や働けない間の給与の負担をします。また保険料は会社が全額を支払います。

労災保険の加入条件

雇用形態にかかわらず、労働者を一人でも雇用している事業所は加入が必須です。また、個人事業主の場合でも5名以上の従業員を雇っている場合は加入対象となります。

雇用保険の対象と加入条件

雇用保険とは、雇用保険法に基づくもので、従業員が失業した場合などに適用される制度です。

退職から次の就労までの間、労働者の生活費を保証するために金銭的なサポートを行う保険で、条件を満たせば退職以前の給与の一部の金額を失業手当として最高1年間に渡って受け取ることができます。

雇用保険の加入条件

労災保険と同様に、雇用形態にかかわらず一人でも労働者を雇用している場合は加入が必須です。

以下に該当する従業員は原則として雇用保険の被保険者となります。

雇用保険の加入条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがあること。具体的には以下のいずれかに該当する場合をいいます

    ・期間の定めがなく雇用される場合
    ・雇用期間が31日以上である場合
    ・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
    ・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合*

*当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であっても、その後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。

介護保険の対象と加入条件

高齢化や介護の長期化、核家族化などに対応するため、2000年に創設された保険制度です。

介護保険の被保険者は、65歳以上の方(第1号被保険者)と、40歳から64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分けられます。

第1号被保険者は、原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。また、第2号被保険者は、加齢に伴う疾病が原因で要介護認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。

介護保険の加入条件

40歳以上の人が加入対象となります。

会社が負担する社会保険料の割合

社会保険料の負担割合は保険の種類によって異なり、会社と従業員の双方に負担が発生します。従業員は月々の給与から従業員負担分を控除され、会社は会社負担分を加えて社会保険料として納付するという仕組みになっています。

また、賞与からも健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料は控除されます。

負担割合と計算式は以下のとおりです。

保険 負担割合 計算式 参考
健康保険 会社と従業員で折半
(都道府県によって料率が異なる)
標準報酬月額(標準賞与額)
×
健康保険料率
全国健康保険協会
令和3年度保険料額表
厚生年金保険 会社と従業員で折半 標準報酬月額(標準賞与額)
×
厚生年金保険料率(18.30%)
日本年金機構
厚生年金保険料額表
労災保険 会社側の全額負担
(料率は業種によって異なる)
従業員の賃金総額(給支給額)
×
労働保険料率
厚生労働省
令和2年度保険料率
※令和3年度は2年度と同様
雇用保険 会社と従業員双方の負担
(料率によって負担額は異なります)
従業員の賃金総額(給支給額)
×
雇用保険料率
厚生労働省
雇用保険料率
介護保険 会社と従業員で折半 標準報酬月額(標準賞与額)
×
介護保険料率(1.80%)
全国健康保険協会
協会けんぽの介護保険料について

社会保険料の計算例

実際に会社にかかる社会保険料を計算してみましょう。ここでは、東京都に事業所があり、協会けんぽに加入していた場合の料率で算出します。

令和3年度 東京都に事業所のある会社にかかる社会保険料率

保険 料率
健康保険 9.84%
厚生年金保険 18.30%
介護保険 1.80%
労災保険 0.3%
(その他の各種事業の場合)
雇用保険 0.9%
(うち0.3%は従業員負担)

例1:40歳の社長一人の会社の場合

・給与(役員報酬):月350,000円


会社負担 個人負担 合計
健康保険 17,220円 17,220円 34,440円
厚生年金 32,025円 32,025円 64,050円
介護保険 3,150円 3,150円 6,300円
合計 52,395円 52,395円 104,790円

社会保険料の合計額を社長の報酬から半額天引きし、残り半額を会社で支払います。

この場合、会社が支払う合計額は以下になります。

給与(350,000円)+社会保険料(52,395円)= 402,395円

例2:25歳の従業員を1名雇用した場合

例1の会社で、25歳の営業社員を月給25万円で雇った場合の月額保険料を計算します。

会社負担 個人負担 合計
健康保険 12,300円 12,300円 24,600円
厚生年金 22,875円 22,875円 45,750円
雇用保険 1,500円 750円 2,250円
労災保険 750円 なし 750円
合計 37,425円 35,925円 73,350円

健康保険・厚生年金は例1と同様に会社と従業員で折半します。

雇用保険は雇用保険料率に従って会社と従業員で負担します。労災保険は会社の全額負担となります。

この場合の会社が支払う合計額は以下となります。

従業員給与(250,000円)+社会保険料(37,425円)= 287,425円

例3:25歳の従業員に賞与を支払った場合

例2の従業員に。賞与30万円(額面)を支払った場合にかかる社会保険料を計算します。

会社負担 個人負担 合計
健康保険 14,760円 14,760円 29,520円
厚生年金 27,450円 27,450円 54,900円
雇用保険 1,800円 900円 2,700円
労災保険 900円 なし 900円
合計 44,910円 43,110円 88,020円

会社が支払う合計は以下のとおりです。また、賞与を支払った場合は毎月支払う保険料と合算して翌月通知されるのが一般的です。

賞与(300,000円)+社会保険料(44,910円)= 344,910円

会社が負担する社会保険料は、従業員の給与の約15%と言われています。例2のように、給与が250,000円の従業員がいる場合、毎月約37,000円(14.8%)が会社負担の社会保険料となります。

例1〜例3をまとめると、この会社が支払う合計額は以下になります。

  • 毎月発生する支払合計額:689,820円
  • 従業員に賞与を支払った月の合計額:1,034,730円

設立したての会社にとっては大きな負担となるので、将来的な収益見込みや支払いなどを十分に考慮して事業計画や採用計画を立てる必要があるといえるでしょう。

加入義務には例外もあります

加入義務があるといっても例外もあります。たとえば役員報酬がない場合、つまり社長の給与がゼロの場合は社会保険に加入しなくても問題ありません。

また報酬が低い場合にも注意が必要です。

協会けんぽの保険料表によると、令和3年3月分の東京都の月額最低健康保険料は、40歳未満で2,853円、40歳以上64歳までは3,375円、厚生年金は8,052円となっています(金額はいずれも会社と折半した金額です)。

そのため、最低でも役員報酬が月額12,000円程度ないと給与からの天引きができず、社会保険に加入することは困難です。

社長の役員報酬がゼロ、あるいは報酬が保険料を下回る場合は年金事務所から社会保険への加入を断られる場合があり、その場合は国民健康保険と国民年金に加入することになります。

社会保険未加入のまま放置した場合

上述のとおり、法人の場合は社会保険の加入が義務づけられています。未加入の企業には年金事務所が徹底調査を行い、そのまま放置していると過去の保険料まで遡って徴収されるだけでなく、罰則も適用されます。経営上も受けるダメージは大きいので、きちんと加入の手続きをしましょう。

社会保険未加入を放置しているとどうなるのか、流れや罰則を説明します。

年金事務所から加入要請が届く

まず、管轄の年金事務所から電話や文書で加入要請があります。この段階すぐ加入すれば、その日以降に発生する保険料を納めるだけで済みます。

立入検査の警告文書が届く

加入要請に応じないと、立入検査前の警告として、年金事務所で加入手続きをするよう文書で通知がきます。この段階もすぐに加入すれば、その日以降に発生する保険料を納めるだけで済みます。

最終的に立入検査・過去2年分の保険料を納付

警告文書が届いても放置し続けていると、最終的には立入検査が実施され、強制加入となります。この立入検査まで実施されると、最大2年間までさかのぼって保険料の納付を求められます(2年より前の保険料は時効で消滅するため徴収されません)。

罰則の適用もある

下記のいずれかに該当した場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金があります。

・被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を保険者に届出せず、又は虚偽の届出をしたとき

・任意適用事業所取消の認可、被保険者資格の得喪の確認、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。)の決定若しくは改定について被保険者又は被保険者であった者に通知しないとき

・保険料納付義務に違反して督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき

・保険料納付義務に違反して保険料を納付せず、健康保険印紙の受払及び現金納付に関する帳簿を備え付けず、その受払等の状況を保険者に報告せず、若しくは虚偽の報告をしたとき

・厚生労働大臣又は社会保険庁長官による被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する立入検査等に対して文書その他の物件の提出若しくは提示をせず、又は当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは立入検査等を拒み、妨げ、忌避したとき

引用:健康保険法 第208条

会社設立後、社会保険の加入は忘れずに!

社会保険は、経営者か従業員かにかかわらず、働く人のためのセーフティーネットであり、会社としてきちんと対処すべき社会的責任のひとつです。また、優秀な人材を獲得する上でも、おろそかにできない要素といえるでしょう。社会保険の仕組みと保険料をしっかり理解して、信頼される会社を設立・運営しましょう。

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