会社設立の基礎知識

合同会社とは?特徴やメリット、向いている業種を詳しく解説!

最終更新日:2022/04/08

監修 アトラス総合事務所

【合同会社】合同会社の特徴やメリット、向いている業種とは?

合同会社は株式会社に比べて設立費用が安く、登記までのステップも少ないのではじめて会社を設立する方におすすめの会社形態です。

合同会社から株式会社、株式会社から合同会社へ形態を変更することもでき、近年では大手外資のAppleやGoogleの日本法人でも合同会社の形態をとっています。

この記事では合同会社の概要や設立する際のメリット・デメリットについて、株式会社などとの比較を交えながら解説します。

合同会社の設立方法を知りたい方は別記事「合同会社設立方法のまとめ -必要書類や手順を詳しく紹介します」を参考にしてください。

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目次

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合同会社とは?

合同会社とは、2006年の会社法改正により新しく設けられた会社形態で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとして導入されました。合同会社は「出資者=会社の経営者」の持分会社で、出資したすべての社員に会社の決定権があります。

合同会社と株式会社の違い

出資者が経営に関する権限を持ち業務を執行する合同会社に対して、株式会社では出資者である株主と経営を執り行う取締役の役割が切り離されているのが一般的です。これを「所有と経営の分離」といいます。

【関連記事】
株式会社と合同会社の違いとは?それぞれのメリットとデメリットまとめ

合同会社の役職 | 代表社員と業務執行社員の違い

合同会社では法律上、出資者兼役員のことを「社員」と呼びます。これは一般的な「従業員」とは異なる意味を持ちます。さらに、役職として「代表社員」と「業務執行社員」とがあり、主に代表権の有無によって分けられます。

代表社員

合同会社では出資者である社員全員に業務執行権と代表権があるため、複数の社員がいる場合はそれぞれが会社の代表権を行使できる状態となります。

しかし、代表者が1名に定まっていない状況下では取引先の混乱を招く恐れや社員間での意志疎通が難しくなります。また、個々の社員が勝手に契約を締結することも懸念されます。

そういった事態を避けるために、合同会社では社員の代表として代表権限を行使する代表社員を定款で定めることができます。合同会社の代表社員は、株式会社の代表取締役社長と同様の立場です。

代表社員は1名だけでなく、複数名選出できます。

業務執行社員

出資者の中には、経営に参加したくない人や、能力のある他の社員に経営を任せたいと考える人もいるでしょう。2名以上の社員がいる場合、定款に定めることで経営に参加する人だけに業務執行権限を与えることができます。

定款で定めることで、業務執行権があるのは業務執行社員だけになりますが、それ以外の社員も業務の遂行状態や財産の調査・監視を行う権限は有しています。なお、複数人の業務執行社員を指定することもできます。

合同会社の業務執行社員は株式会社の取締役に相当する立場です。

合同会社の役職・役員まとめ

代表社員 業務執行社員 社員
株式会社で言うと? 代表取締役 取締役 株主
代表権 あり なし なし
業務執行権 なし
(代表権を行使)
あり なし
登記 必要 必要 不要
業務遂行状態や財務状況の監視 可能 可能 可能

合同会社の代表社員と業務執行社員の位置づけや選出する際のポイント、法人が代表社員になったケースについて以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】
合同会社の「代表社員」は複数いてもいい?業務執行社員との違いも詳しく解説

合同会社のメリット

設立費用・ランニングコストが安い

合同会社の設立費用は株式会社に比べて安く、約100,000円から設立することが可能です。合同会社を設立する際に必要となる法定費用の内訳を、株式会社と比較してみましょう。

設立にかかる費用の例

項目 合同会社 株式会社
定款用収入印紙代 40,000円
※電子定款では不要
40,000円
※電子定款では不要
定款の謄本手数料 0円 約2,000円
(250円 / 1ページ)
定款の認証料
(証人に支払う手数料)
なし 50,000円
登録免許税 60,000円
または
資本金額×0.7%
のうち高いほう
150,000円
または
資本金額×0.7%
のうち高いほう
合計 約100,000円〜 約250,000円〜

株式会社の場合、設立時に公証役場で定款の認証を受けなくてはなりませんが、合同会社では認証が不要です。これにより、定款認証の手数料50,000円を削ることができます。この定款を紙ではなく電子定款にすると、収入印紙代40,000円も不要となり、初期費用をさらに抑えることができます。

また、合同会社の場合は決算公告義務がないので官報掲載費(60,000)円もかかりません。

ほかにも、株式会社では役員の任期が2年間と決まっているのに対して、合同会社では任期を設ける必要がありません。そのため、役員の任期が終了する度に発生する重任登記にかかる費用(10,000円)も不要です(資本金1億円以上の会社の場合は30,000円必要となります)。

【関連記事】
会社設立にはいくら必要? 会社形態ごとの費用について解説

法人の節税メリットを受けられる

合同会社は法人なので、経費として認められる範囲が個人事業主よりも広がります。

たとえば自宅を事務所にしている場合、個人事業主は仕事場に使用している範囲でしか家賃を経費として認められませんが、合同会社(法人)の場合は自宅兼事務所の家賃は全額経費として認められます。

また、個人事業主の所得税が累進課税なのに対し、法人税は所得が800万円以下なら22%、800万円以上なら30%と一定税率(資本金が1億円以上の場合は一律30%)となります。また、設立から2年間、消費税納税免除(※)を受けられる点も株式会社と共通しています。

資本金1,000万円以下且つ、特定期間の課税売上高が1,000万円以下、もしくは特定期間の給与等支払額の合計額が1,000万円以下の場合に適用される

出典:国税庁「特定期間の判定

経営の自由度が高い

合同会社は一人でも設立できますが、出資比率に関係なく利益配分が可能で経営の自由度が高いこともメリットの一つです。そのため、優秀な社員の利益配分比率を高く設定することも可能です。

株式会社の場合は、必ず出資比率に応じて利益を配分する必要があります。つまり、出資金が多い人が多く利益を受け取り、出資金が少ない人は取り分が少なくなります。しかし、合同会社では出資比率に関係なく、社員間で自由に利益の配分を行うことができます。

会社に貢献した人に利益配分をしたいと考える場合、株式会社だと出資額といった制約に縛られてしまいますが、合同会社であれば利益の配分が自由にできるため、貢献度に合わせた利益配分ができます。

また、定款による組織の設計も自由に規定できます。

意思決定のスピード感が早い

株式会社では、方針や重要な事項を決定するために株主総会を開催しなければなりませんが、合同会社では所有と経営は一致しており、出資者(社員)=経営者であるため、株主総会を開催する必要がなく、迅速な意思決定が可能になります。

出資者全員が有限責任社員である

合同会社は無限責任が生じる合名会社や合資会社とは異なり、株式会社と同様の「間接有限責任」です。有限責任とは、会社に負債がある場合でも、出資者は出資額以上の責任を負う必要がないことを意味しています。

出資者全員が有限責任社員であり、出資者が連帯して支払義務を負う「無限責任」よりも、有限責任の方がリスクが少ないのです。

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合同会社のデメリット

事業や成長戦略によっては、株式会社のほうがマッチする場合もあります。合同会社を設立する場合は、これらのデメリットも把握しておきましょう。

株式会社に比べて知名度が低いため信頼性はやや劣る

合同会社は決算公告の義務がなく、小規模で閉鎖的な会社形態が中心なので、株式会社に比べて信頼性が低く、認知度も劣っているのが現状です。

取引先によっては株式会社でないと契約してもらえなかったり、採用時に良い人材を確保することが難しいことも考えられます。

ただし、最近だと「アップル」や「グーグル」、「アマゾンジャパン」、「ユー・エス・ジェイ」、「ワーナー ブラザース ジャパン」などの大手有名企業も合同会社という会社形態を選択していることもあるため、日本でも徐々に認知度が上昇していると言えます。

資金調達の方法が限られる

株式会社の場合は株式の増資による資金調達が可能ですが、合同会社には株式という概念がないため、国や自治体の補助金・助成金や借入(融資)が中心となり、資金調達の範囲が大きく限定されます。

また、合同会社は社債を発行することが可能ですが、社債は株式とは異なり、企業にとっては負債の扱いになります。債権者に弁済する必要がある点にも留意しなければいけません。社債を発行する場合には、償還のための積み立ても行う必要があります。

社員同士が対立する可能性がある

合同会社は、出資比率に関係なく一人一票の議決権を持って意思決定を行う「人に重きを置く組織体」であるため、出資者である社員同士で意見の対立が起こると経営や業務に大きな影響を与える可能性があります。

代表社員の継承、事業継承、出資者の権利譲渡については社員全員の同意が必要であり、経営に関する事項では社員の過半数、業務執行社員を選出している場合には業務執行社員の過半数の同意が必要です。

また、利益配分が自由であるために社員同士が対立する可能性もあります。利益配分を巡る社員同士の対立を防ぐためにも、定款に「出資額に準じた利益配分」等の記載をしておくとよいでしょう。

上場できない

株式会社は上場して更なる事業拡大を目指すことができますが、合同会社の場合は上場できません。将来は上場を考えているのであれば株式会社を選んでおくことをおすすめします。

株式会社の特徴やメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
株式会社の特徴や設立するメリット・デメリットは?

合同会社設立に向いている業種

上述のメリット・デメリットを踏まえて、合同会社に向いている代表的な業種・業態を紹介します。

小規模のスタートアップ

合同会社は、迅速な意思決定や利益分配などが自由に行えることからスタートアップに最適でしょう。社員数が数人の小規模な会社なら、合同会社の恩恵は大きくなります。

年商1,000万円以下のスタートアップ

個人事業主から法人化する場合にも、低コストで設立できる合同会社はおすすめです。消費税の納税義務が発生する年商1,000万円以上になるときに法人化することで、2年間の消費税納税免除を活用でき、節税効果を得られます。

カフェやサロン、ITなど一般消費者向けサービス

前項でも説明したように合同会社は株式会社に比べて知名度が低いという欠点があります。そのため、社会的な信頼度という意味では株式会社に劣っているのが現状です。

しかし、BtoCのビジネスでは顧客が会社形態を考慮していないケースが多く、これらのデメリットはほとんど関係ありません。そのため、サービス名を前面に押し出すITサービスはもちろん、カフェやサロン、学習塾やペットショップなどは、合同会社で設立するメリットが大きい業種といえるでしょう。

設立後、合同会社から株式会社に組織変更もできる

合同会社として設立した会社を、資金調達や会社の信用度、組織拡大などの理由で株式会社化するケースも少なくはありません。会社形態を変更する場合の流れについてみていきましょう。

会社形態の変更にかかる手続きと費用、期間

合同会社から株式会社に組織変更をする際は以下の手続きが必要になります。

組織変更に必要な手続き

  1. 組織変更計画書を作成、社員全員の同意を得る
  2. 組織変更の公告を行う
  3. 株式会社の設立登記
  4. 組織変更の登記申請
  5. 税務署、市区町村、年金事務所等に変更の旨の届出書を提出

同時に必要となる費用は以下のとおりです。

  • 官報への広告掲載費:約30,000円(掲載する発行部数や会社概要によって異なります。)
  • 登録免許税:合同会社解散 30,000円、株式会社設立 30,000円または資本金額の1000分の1.5のどちらか大きい金額

合同会社から株式会社に変更する場合、債権者保護の手続きなどが必要になり、最低でも1ヶ月ほどの期間を要します。また、会社形態の変更について、債権者が一人でも異議を申し立てると株式会社へ変更することはできません。

まとめ

合同会社は設立費用やランニングコストが安いので、初めて会社設立される方にもおすすめの会社形態です。一人または少人数での会社設立を検討している場合は、合同会社のメリットを十分活用できるでしょう。

合同会社は上場できませんが、設立後に株式会社へ会社形態を変更をすることができます。会社形態の変更には手続きと費用が必要となりますので、その点についても事前に把握した上で検討しましょう。

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<freee会社設立で出力できる書類の一例>

  • ・定款
  • ・登記申請書
  • ・印鑑届出書 など

ほかにも、会社設立後に役所へ提出が必要な「法人設立届出書」の作成や法人口座の開設、法人用クレジットカードの申請にも対応しています。

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しかし、電子定款を作成するためには専用の機器やソフトが必要になり、ご自身で一から揃えると収入印紙代と同等の費用がかかってしまいます。

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