会社設立の基礎知識

登記簿謄本(登記事項証明書)とは?会社設立後に必要となるパターンや取り方などを解説

監修 司法書士 大﨑 麻美(おおさき あさみ)

登記簿謄本(登記事項証明書)とは?会社設立後に必要となるパターンや取り方などを解説

登記簿謄本(登記事項証明書)は登記簿の内容を複写した証明書のことを示し、会社の銀行口座を作るときや融資を受けるときなどに求められます(以下、「登記簿謄本」という)。近年では、窓口や郵送での取得のほかに、オンラインでの取得も可能です。

本記事では、登記簿謄本の定義や求められるタイミング、種類、取得方法などについて解説します。

目次

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登記簿謄本とは

登記簿謄本は、法務局によって原本が複写された登記簿のコピーのことです。登記(簿)には以下の種類があり、全国の法務局(出張所や支局も含む)に保管されています。

登記の種類

不動産登記:土地や建物の所在地や面積などを公示
商業登記:会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)等の一定事項(※)を公示
法人登記:会社以外の法人(一般社団法人、一般財団法人等)の一定事項(※)を公示
※一定事項:名称や本店の所在地、代表者氏名、目的など


出典:法務省「不動産登記のABC」
出典:法務省「登記‐商業・法人登記‐」

上記より、一般的な「会社登記」とは商業登記のことを指します。本記事では、株式会社や合同会社の設立後に必要である「商業登記簿謄本(会社謄本)」を中心に解説します。

商業登記をする目的は、主に以下のとおりです。

商業登記の目的

  • 法人格を取得すること
  • 基本的な情報を登記することによって信用の維持を図ること
  • 事業を行うにあたって安全・円滑に取引を行うこと

出典:法務省「登記‐商業・法人登記‐」

実態に即した正しい登記をするために、申請では裏付書類の添付が必要です。虚偽の登記申請を行った場合や登記申請を怠った場合に対しては、罰則も定められています。


出典:法務省「登記‐商業・法人登記‐」
出典:e-Gov法令検索「会社法 第九百七十六条」

商業登記や法人登記については、別記事「商業・法人登記とは?会社設立の登記で必要な書類や流れをわかりやすく解説」でも解説しています。

登記簿謄本と登記事項証明書の違いとは

登記簿謄本と同様に登記内容を証明する書類として、「登記事項証明書」が挙げられます。登記簿謄本と登記事項証明書は、名称が異なるだけで同じ証明書を指します。

コンピュータで登記情報を管理していない登記所では、登記用紙によって保管されています。この場合、登記用紙(登記簿原本)をコピーすることによって、登記情報を取得する必要があります。このコピーされた証明書のことを、「登記簿謄本」といいます。

現在ではコンピュータの普及により、多くの登記所で登記情報を電子管理しています。コンピュータから登記情報を出力し、用紙に印刷された証明書が「登記事項証明書」です。


出典:松山地方法務局「登記簿謄本と登記事項証明書の違いは?」

登記簿謄本(会社謄本)が必要になるとき

登記簿謄本が必要になるケースとしては、主に以下が挙げられます。

登記簿謄本が必要になる主なケース

  • オフィスの賃貸契約を結ぶとき
  • 金融機関への補助金や助成金の申請を行うとき
  • 融資を受けるとき
  • 会社の銀行口座を開設するとき
  • 特定の許認可業務実施の申請を行うとき
  • 登記内容を変更するとき
  • 不動産の売買契約を結ぶとき

資金に関する重要な手続きや申請では、基本的に登記簿謄本が必要になると考えられます。登記簿謄本があることで、会社の状況を正確に把握、審査できるためです。

なお、登記簿謄本の提出が求められる際には、「発行から一定期間内のもの」である必要があります。登記簿謄本は、必要なときに必要な部数だけ取得することが望ましいでしょう。

登記簿謄本(会社謄本)の種類

登記簿謄本(会社謄本)には、以下の種類があります。それぞれ概要を説明します。

登記簿謄本の種類

  • 履歴事項証明書
  • 現在事項証明書
  • 閉鎖事項証明書
  • 代表者事項証明書

出典:e-Gov法令検索「商業登記規則 第30条」

なお、会社謄本以外の登記簿謄本には上記以外の種類もあります。

履歴事項証明書

履歴事項証明書とは、以下の項目を記載した登記証明書のことです。

履歴事項証明書に記載される項目

  • 現在効力がある登記事項
  • 基準日以降に抹消された履歴
  • 基準日から請求日までの間に登記され、現に効力を有しないもの

基準日とは、交付請求日の3年前の日が属する年の1月1日とされています。


出典:e-Gov法令検索「商業登記規則 第30条」

履歴事項証明書には、上記すべてを記載した「履歴事項全部証明書」と、必ず記載される項目と証明書請求時に選択した情報のみ記載されている「履歴事項一部証明書」があります。

現在事項証明書

現在事項証明書とは、交付請求日の時点で有効な情報が掲載された証明書のことです。

現在の会社に関する情報はわかりますが、履歴事項証明書とは異なり、抹消された事項は記載されません。


出典:e-Gov法令検索「商業登記規則 第30条」

具体的な記載事項は、以下のとおりです。

現在事項証明書に記載される事項

  • 交付請求日の時点で有効な登記事項
  • 会社成立の年月日
  • 取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、特別取締役、委員、執行役、代表執行役及び会計監査人の就任の年月日
  • 会社の商号及び本店の登記の変更に関して、請求日の時点で有効なもの

出典:法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」

閉鎖事項証明書

閉鎖事項証明書とは、閉鎖された登記記録の情報が記載された証明書です。

閉鎖された登記記録は本店の移転や合併、退任した役員の記録など、登記簿に掲載されなくなった記録のことを指します。閉鎖事項証明書の保存期間は、閉鎖した日から20年間です。


出典:e-Gov法令検索「商業登記規則 第34条」

代表者事項証明書

代表者事項証明書とは、会社の代表者がもつ代表権に関する登記事項で、効力があるものが記載された証明書です。

主に、会社の代表権をもつ人について証明したい場合に必要です。


出典:e-Gov法令検索「商業登記規則 第30条」

履歴事項証明書や現在事項証明書にも、代表者に関する情報は記載されています。

しかし、これらにはほかの情報も記載されることから、「代表者に関する証明のみをしたいケース」で代表者事項証明書を取得します。

会社の資格証明書としては、代表者事項証明書で十分足りるケースが一般的です。

登記簿謄本(会社謄本)の取り方

登記簿謄本の取り方には、次の3つの方法があります。

登記簿謄本の取得方法

  • 法務局の窓口で請求する
  • 郵送で請求する
  • オンラインで請求する

それぞれの取り方について、流れや注意点を説明します。

法務局の窓口で請求する

法務局の窓口へ行き、備え付けの申請書に必要事項を記入して、手数料として1通あたり600円分の収入印紙を貼り付けて提出することで、請求が可能です。収入印紙は法務局内でも購入できます。

法務局の窓口の業務取扱時間は、月〜金曜日(国民の祝日・休日、12月29日から1月3日までの年末年始を除く)の8時30分から17時15分までです。

申請から10〜15分程度での発行が一般的ですが、窓口の混雑状況によって時間がかかることもあります。


出典:法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」
出典:岐阜地方法務局「登記簿謄本(登記事項証明書)を取りに行く場合に必要なものはありますか?」
出典:新潟地方法務局「登記簿謄本(登記事項証明書)はどのように請求すればよいのですか?」


なお、登記簿謄本を取得請求する法務局は、会社の本店所在地を管轄する法務局でなくても構いません。全国の法務局で取得が可能です。

ただし、登記簿のコンピュータ化以前の閉鎖事項記録を確認する場合は、会社の本店所在地を管轄する法務局で記録を取得しなければなりません。


出典:法務局「最寄りの登記所で他の登記所の登記事項証明書の請求ができますか?」

郵送で請求する

法務局に直接行かなくても、郵送での申請も可能です。管轄法務局宛に、以下の書類を郵送します。

郵送で請求する場合に送付するもの

  • 申請書
  • 収入印紙(通常は600円分)
  • 返信用封筒
  • 切手

申請書は、法務局の「登記事項証明書等の請求書の様式について」からダウンロード可能です。法務局が請求書を受領し次第、登記事項証明書が発行されて返信用封筒で送られてきます。

オンラインで請求する

登記簿謄本は、「登記・供託オンライン申請システム」を利用することでオンラインでも請求できます。オンライン請求を行うことには、以下のようなメリットがあります。

オンラインで請求するメリット

  • PC・スマホとインターネット環境のみで利用可能
  • 月~金曜日(国民の祝日・休日、12月29日から1月3日までの年末年始を除く)の8時30分から21時まで利用可能
    ※17時15分を過ぎてから法務局へ送信・到着したデータの受付は翌開庁日になるため、電子納付できるのも翌開庁日に受付された後になる
  • 手数料が窓口や郵送での申請より安価(詳細は次項にて解説します)
  • システムの利用手数料は無料
  • 郵送料金も不要

出典:法務省「登記ねっと」 出典:法務省「登記・供託に関するオンライン申請について」 出典:東京法務局「業務取扱時間・開庁日のお知らせ」

登記簿謄本の取得にかかる費用

登記簿謄本の取得にかかる費用は、以下のとおりです。

項目費用
窓口手数料600円
郵送手数料+郵送費用
オンライン(郵送で受け取る場合)550円(郵送料は不要)
オンライン(最寄りの登記所で受け取る場合)480円
出典:法務省「登記・供託に関するオンライン申請について」

窓口や郵送での申請の場合、手数料分の収入印紙を用意して納付する必要があります。収入印紙は、法務局のほかにも郵便局で購入可能です。

一方、オンライン申請では収入印紙ではなく、インターネットバンキングによる電子納付もしくはPay-easyに対応したATMで納付します。


出典:登記・供託オンライン申請システム「電子納付による手数料等のお支払い」
出典:法務局「登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です」

まとめ

かつて、登記事項は直接登記用紙に記載されていたことから、資金に関する重要な手続きや申請などで登記情報が必要だった際は、法務局によって登記簿を複写してもらう必要がありました。この複写された登記簿のことを登記簿謄本と呼びます。

現在は、電子化された登記情報を印刷した登記事項証明書が一般的です。

登記簿謄本の取り寄せは窓口や郵送のほかにオンラインでもできることから、都合にあわせて利用してみましょう。

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よくある質問

登記簿謄本はどうやって取得する?

登記簿謄本は全国の法務局窓口や郵送、オンラインでの取得が可能です。

窓口の場合、申請書に必要な収入印紙を添付して提出します。

郵送の場合は、申請書と収入印紙に加えて返信用の封筒と切手の同封も必要です。オンラインの場合は、申請書や収入印紙を用意する必要もありません。

詳しくは記事内「登記簿謄本(会社謄本)の取り方」をご覧ください。

登記簿と登記簿謄本の違いは?

登記簿とは、会社の本社所在地や代表などの情報をまとめた帳簿のことです。一方、登記簿謄本とは、登記簿の内容をそのまま全部複写した証明書のことを指します。

私たちが法務局で取得できるのは登記簿ではなく、コピーである登記事項証明書です。

記事内「登記簿謄本と登記事項証明書の違いとは」で、さらに詳しく登記簿謄本と登記事項証明書の違いについて解説しています。

監修 司法書士 大﨑 麻美(おおさき あさみ)

日系エアラインのCAを経て、33歳で司法書士資格を取得。2012年にあさみ司法書士事務所を設立、不動産登記、商業登記をメインとし司法書士として10年のキャリアを積む。2022年末より海外に移住し、法律・不動産専門のライターとして活動。

監修者 大﨑 麻美

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