会社設立の基礎知識

合同会社の定款変更とは?登記の手続きや必要書類をわかりやすく紹介

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

合同会社の定款変更とは?登記の手続きや必要書類をわかりやすく紹介

法人を設立する際には、定款の作成を行います。定款とは、会社の基本情報や運営のルールなどが記載された書類です。

事業を続ける中で、事業の目的や会社名、本店所在地、役員の人数・任期などが変更となった際には、定款変更の手続きが必要です。

合同会社で定款変更をする際は、社員の同意を得た後に同意書を作成保管し、登記事項に関わる場合には法務局へ変更登記の申請を行います。

本記事では、合同会社で定款変更が必要なケースや変更登記の手続きを解説します。

目次

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合同会社の定款とは

定款とは、会社の基本情報や運営のルールなどが記載された書類です。株式会社だけでなく合同会社も、会社を設立するときに必ず定款を作成する必要があります。

ただし、合同会社の場合は株式会社とは異なり、公証役場の認証手続きは不要です。

また、合同会社では株式が存在しないため、株主構成・株式の譲渡・発行できる株式総数などの記載が必要なく、シンプルな記載内容で作成できます。

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会社設立に必須の定款とは? 認証方法や記載事項について詳しく解説

定款に記載される事項

定款に記載する事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類があります。

記載事項絶対的記載事項相対的記載事項任意的記載事項
記載の要否必須任意
(ただし記載しないと効力がない)
任意
記載がない場合の影響定款自体が無効となる定款は有効だが、その事項に関する効力が認められない定款の有効性や事項の効力に影響しない
記載内容の例
(代表的なもの)
目的・商号・本店の所在地・社員の氏名又は名称及び住所・社員が有限責任社員であること・社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準持分の譲渡の要件・業務執行社員の指名又は選任方法・合同会社を代表する社員の指名又は互選・存続期間又は解散の事由など業務執行社員の員数・業務執行社員の報酬・事業年度など

絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない項目のことです。会社法第576条第1項によると、具体的な記載内容は次の通りです。

絶対的記載事項

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 社員の氏名又は名称及び住所
  • 社員が有限責任社員であること
  • 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

一方、相対的記載事項とは、定款に定めがなければ効力が生じない事項を指し、記載例は以下が挙げられます。相対的記載事項は、法的に必ず記載しなければならない事項ではありません。

相対的記載事項

  • 持分の譲渡の要件
  • 業務執行社員の指名又は選任方法
  • 業務執行社員が2人以上の場合における業務の決定方法
  • 合同会社を代表する社員(代表社員)の指名又は互選
  • 存続期間又は解散の事由

任意的記載事項は、絶対的記載事項と相対的記載事項以外の事項で、会社法の規定に違反しないものをいいます。任意的記載事項の記載例は、以下の通りです。

任意的記載事項

  • 業務執行社員の員数
  • 業務執行社員の報酬
  • 事業年度

合同会社の定款は変更できる

合同会社を運営していく中で、事業や会社名、本店所在地、役員の人数・任期などが変更となった場合には、定款を変更する必要があります。

定款変更の手続きは、社員(原則として全員)の同意を得たうえで、同意書を作成保管し、登記事項に関わる場合には法務局へ変更登記を申請する流れです。

定款の変更が必要なケース

定款変更が必要となる代表的なケースは、以下が挙げられます。

定款変更が必要なケース

  • 本店所在地の移転
  • 役員の人数や任期の変更
  • 事業の目的や商号(会社名)の変更

本店所在地・事業の目的・商号(会社名)などは絶対的記載事項にあたり、変更がある場合には、定款変更や変更登記の手続きが必要です。

また、役員数が増減した際にも定款変更や変更登記をする必要があります。ただし、就任や退任などによる役員の交代は、原則として定款内に記載された事項に基づいて行われるため、定款変更の必要はありません。

合同会社が定款変更するときの手続きの流れ

合同会社の定款を変更し、変更登記をする際は、以下の流れで行います。

合同会社の定款変更をするまでの流れ

  1. 社員(原則として全員)の同意を得る
  2. 定款変更に関する総社員の同意書を作成保管する
  3. 登記変更

それぞれの内容について詳しく説明します。

社員(原則として全員)の同意を得る

定款変更を行うためには、総社員の同意が必要です。合同会社における社員とは、従業員のことではなく出資をした人のことを指します。

株式会社の場合、定款変更のような重要な議題は、株主総会の中でもほかの決議より厳しい定足数や賛成数を設定した「特別決議」を行って決めます。しかし、合同会社では決議の場を設ける必要はありません。

定款変更に関する総社員の同意書を作成保管する

社員の同意が得られたら、次は総社員の同意書の作成を行います。

同意書には定款変更について総社員が同意した旨を記載し、全ての社員が署名をします。なお、定款に「社員の半数以上」など条件を設けている場合は、内容に沿った人数の同意で問題ありません。

総社員の同意書に決まったフォーマットはありませんが、法務局のホームページに書類例があるので、参考にしてみるとよいでしょう。

また、外部から提出を求められる場合に備え、定款自体を変更する際は会社設立の際に作った「原始定款」を書き換えないように注意しましょう。原始定款はそのまま残しておき、変更を反映させた「現行定款」を作成・変更します。

変更した現行定款は、総社員の同意書とあわせて保管しましょう。

変更登記

登記事項に関わる定款の変更事由が生じてから、2週間以内に法務局で変更登記の申請をする必要があります。変更登記とは、登記簿謄本の内容を変更する手続きです。

変更登記の申請で必要になる書類は以下の通りです。

必要な書類・合同会社変更登記申請書・総社員の同意書
提出先本店所在地の法務局
提出方法・窓口で提出
・郵送
・オンライン
提出期限定款を変更事由が生じてから2週間以内
費用登録免許税変更登記事項により1万~6万円
収入印紙、もしくは領収証書を使用
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

なお、「代表社員が法人であるとき」「業務執行社員が法人であるとき」「司法書士など、代理人に依頼をしたとき」など、特殊な条件がある際は、申請書と同意書のほかに別途書類の追加が必要になる場合もあります。

書式や別途書類が必要かどうかについての詳細は法務局のホームページをご確認ください。

登記申請の必要書類のひな形は?

変更登記の申請書や総社員の同意書のひな形は、法務局のホームページにあります。法務局のホームページではひな形がダウンロードできるだけでなく、記載例も掲載されているので、参考にしながら記入を進めましょう。

登記申請の必要書類のひな形
出典:法務局「合同会社変更登記申請書(商号の変更及び目的の変更)記載例」をもとに作成

変更事由が生じたのに変更登記をしなかったらどうなる?

変更登記の申請は、変更事由が生じてから2週間以内に行わなければなりません。

期日に間に合わなかったり、変更登記の申請自体をしなかったりすると、裁判所から最大100万円の過料を科せられるおそれがあります。登記事項に関わる定款変更事由が生じた際は必ず2週間以内に変更登記を行いましょう。

合同会社の変更登記で失敗しないために

合同会社の定款変更の登記申請をひとりでやろうとすると、書類の作成から手続きまで手間がかかります。期日内に正確な内容で登記申請するために活用できるサービスやツールを紹介します。

法務局に相談する

変更登記の手続きには、法律に関する専門知識が必要不可欠です。法務局の窓口で、登記申請に必要な書類や手順について相談が可能です。

管轄の法務局まで出向く必要はありますが、無料で相談ができるのでコストをかけずに済みます。

司法書士に依頼する

司法書士に依頼すると、書類作成から登記申請までを全て代行してくれます。時間が取れない人や、初めての変更登記で不安な人は、司法書士に依頼することも検討してみましょう。

依頼料の相場は2万~3万円程度です。

Webサービスを活用する

ステップにしたがって入力すれば、変更登記に必要な書類が簡単に作成できるWebサービスもあります。

freee登記なら、最短7分の入力で登記申請に必要な書類が完成します。また、司法書士に依頼するのに比べてコストも約4分の1に抑えられるので経済的です。

難しい専門知識を調べる手間や書類作成にかかる時間を削減できます。

まとめ

合同会社が定款変更をするときは、社内で手続きし、登記事項に関わる場合、法務局で変更登記の申請を行う必要があります。

登記申請は、定款変更事由が生じてから2週間以内に法務局で届出をしなければなりません。変更事由が発生したにもかかわらず登記申請をしなかった場合には、過料を科せられるおそれもあるため、期日内に手続きを行いましょう。

時間がない人や初めての変更登記で不安な人は、法務局への相談、司法書士への依頼、freee登記をはじめとするWebサービスの利用などもご検討ください。

変更登記の書類をかんたんに作成する方法

変更登記は内容によって必要な書類が異なるため、どの申請に何の書類が必要なのか情報を検索するだけでも時間がかかってしまいます。必要書類に迷わず、作成の手間も軽減したい方にはfreee登記がおすすめです。

freee登記は10種類の変更登記に対応しているので、変更したい内容に合った書類を作成できます。

freee登記はこんな人におすすめ

<freee登記で対応できる変更登記の種類>

  • ・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
  • ・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
  • ・役員の住所変更
  • ・募集株式の発行
  • ・商号変更
  • ・目的変更
  • ・株式分割
  • ・剰余金等の資本組入れ
  • ・ストックオプション

また、オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、押印・郵送するだけで申請が可能です。法務局へ行く手間も削減できるため、多忙で時間が取れない人でもスムーズに手続きできます。

ステップに沿って項目を埋めていけば申請用の書類が完成

変更登記は変更内容に合わせて必要な書類を内容の抜け漏れなく作成しなければなりません。

freee登記では、項目に沿って変更内容を入力するだけで、申請に必要な書類が自動で作成できます。内容に不備のない書類が最短7分で作成でき、書類準備の時間が大幅に削減されます。


freee登記 入力画面イメージ

\ステップに沿って入力するだけで申請書類が完成!/


<freee登記で作成できる変更登記書類の例>※本店移転 管轄外の場合

  • ・取締役決定書(株主総会の招集等に関するもの)
  • ・取締役決定書(本店所在地の決定に関するもの)
  • ・株主総会議事録
  • ・株主総会省略の提案書
  • ・株主総会省略の同意書
  • ・株主リスト
  • ・登記申請書(旧管轄宛)
  • ・登記申請書(新管轄宛)
  • ・印鑑届書
  • ・印鑑カード交付申請書

さらにfreee登記では、変更登記の書類を購入した方に「登記申請手続きマニュアル」をプレゼントしています。登記申請の手続きがまとめているので、これひとつで手続きまで完了できます。

コストを抑えて書類の作成が可能

専門家に変更登記の書類作成を依頼すると、相場5万円前後の手数料がかかりますが、freee登記を利用すればほとんどの申請書類が1万円で作成可能です。
※ 役員住所変更・氏名変更は¥5,000(税別)、ストックオプションは¥30,000(税別)
※上記費用のほか、別途登録免許税の納付が必要です。


コストを抑えつつ手間のかからない方法で変更登記をご検討の方は、ぜひfreee登記をご利用ください。

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よくある質問

合同会社の定款とは?

定款とは、会社の基本情報や運営のルールなどが記載された書類です。合同会社でも、株式会社と同様に必ず定款を作成する必要があります。

ただし、合同会社の場合は株式会社と異なり、公証役場の認証手続きは不要です。また、株式が存在しないため、株式会社と比較するとシンプルな記載内容で作成できます。

合同会社の定款について詳しくは「合同会社の定款とは」をご覧ください。

必要な変更登記をしなかったらどうなる?

登記事項を変更したにもかかわらず、決められた期限内に変更登記の申請書類を提出しないと法律違反になり、裁判所から最大100万円までの範囲で過料が科せられます。変更事由が生じた際には、変更登記をしないまま放置しないようにしましょう。

変更登記をしなかった場合について詳しくは「変更事由が生じたのに変更登記をしなかったらどうなる?」をご覧ください。

定款変更の必要書類や費用は?

合同会社の定款変更の登記申請には以下の書類が必要です。変更登記の申請書や総社員の同意書のひな形は法務局のホームページにあります。

定款変更の登記申請に必要な書類

  • 合同会社変更登記申請書
  • 総社員の同意書
  • そのほか条件に応じて必要な書類

費用は、登録免許税として変更登記事項により1万~6万円程度かかります。

定款変更の手続きの流れや必要書類・費用について詳しくは「合同会社の定款を変更するときの手続きの流れ」をご覧ください。

監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高

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