最終更新日:2022/05/17

2006年の新会社法により、現在新たに設立できる会社の種類は「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類です。
この記事では、それぞれの会社の特徴を解説します。
目次
会社と法人の違いとは
まず、よく混同されがちな「会社」と「法人」の違いについて区別する必要があります。
法人とは「法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織」のことをいい、国家や公共団体の権力の影響を受けない私法人(民間法人)と、公の業務を行うことを目的とした公的法人に分類されます。
具体的に公的法人は以下の法人を指します。
公的法人
- 地方公共団体
- 独立行政法人:国民生活センター・造幣局など
- 特殊法人:日本年金機構・NHK・JTなど
私法人はさらに営利法人と非営利法人に分けられます。
「会社」とはこの営利法人のことであり、ビジネスで得た利益を特定の構成員(社員や株主など)に分配することを目的としています。
そして非営利法人は、NPOをはじめとする「定款などで非営利性(構成員への利益分配を目的としていないこと)が徹底されている法人」あるいは「共益的活動を目的としている法人」を指します。非営利法人であっても 、収益をあげること自体を禁止されているわけではない点に注意しましょう。

なお、2008年の公益法人制度の改正で設けられた一般社団法人は、後述の株式会社や合同会社についで3番目に設立数が多く、新たに法人を設立する際の選択肢として有力な法人形態といえるでしょう。
一般社団法人の特徴や設立要件、その他の法人形態との違いは以下の記事でわかりやすく解説しています。法人設立を検討中の方はあわせてご確認ください。
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新設できる会社の種類
現在新設できる会社は、まず株式会社と持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)に分けられます。
株式会社は、出資者と実際に経営に関わる人が異なります。これを「所有と経営の分離」といいます。出資者は株主と呼ばれ、株主による「株主総会」で経営者を選出します。経営者は取締役、その中でも会社を代表する人を代表取締役と呼びます。
一方、持分会社は「出資者=経営者」であり、出資者自らが経営も行います。出資者を社員と呼び、その中で経営の決定権をもつ人を代表社員と呼びます。
出資者にかかる責任の違いは?
会社が倒産した時などに会社の債務者に対して出資者が負う責任範囲は有限責任か無限責任かで区別されます。
「有限責任」とは、会社の債権者に対して出資額を限度として責任を負うことをいいます。つまり、会社が倒産したときに出資したお金はなくなるが、それ以上の支払義務も発生しないということです。
対して「無限責任」は、会社の債権者に対して負債総額の全額を支払う責任を負うことをいいます。会社で払いきれなかった場合は個人の資産を出してでも返済しなくてはなりません。
出資者としては、リスクの少ない有限責任の方が望ましいといえます。
それぞれの会社の特徴
(1)株式会社
株式会社は、株式を発行して資金を集めて作られる「会社」の代表的な形態です。
株式会社の1番の特徴は出資者と経営者が異なることです。出資者は株主と呼ばれ、会社を所有するオーナーに位置付けられます。その株主たちで「株主総会」を開き、選ばれた人が経営者として実際に事業を運営します。これを「所有と経営の分離」といいます。
出資者の責任範囲は有限責任で、出資した範囲のみでビジネスに対して責任を負うため、外部から投資されやすくなります。
また、株式会社には決算公告が義務づけられています。株主や債権者に対し、会社の経営状況や財務状況を明らかにして、不測の事態の回避や取引の安全を確保することを目的としています。
株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
出典:G-GOV法令検索「会社法 第440条第1項」
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(2)合同会社
合同会社は、2006年の新会社法により、新しく設けられた会社形態です。
出資者=経営者となり、出資した全ての社員に会社の決定権があります。定款による組織の設計や利益配分なども自由に規定でき、株主総会なども行わなくて良いため、意思決定のスピード感や経営の自由度が高いのが特徴的です。
また、設立にかかる初期費用が低く、設立までのハードルがさほど高くありません。決算公告義務もなく、役員の任期も無制限にできるので、ランニングコストも株式会社ほどかからないメリットがあります。
出資者の責任範囲は株式会社と同様の有限責任です。
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(3)合資会社
合資会社は、事業を行う無限責任社員と出資する有限責任社員からなる会社です。事業を行う経営者と資金提供するスポンサーに分かれている会社形態です。基本的に有限責任社員は経営に参加しません。
このような特徴を有することから、会社設立に際して、最低無限責任社員と有限責任社員の2名以上の出資者が必要となります。
合同会社と同様、設立費用やランニングコストが低く、手続きも比較的簡単です。また、決算公告義務もなく、定款も自由に規定できます。
しかし、会社が倒産したときなどは無限責任社員の負担が大きくなる可能性があるため、最近では設立されることは少ないようです。
(4)合名会社
合名会社とは、出資者全員が無限責任社員となり構成される会社形態です。複数の個人事業主によって形成される会社といえます。
合名会社は社員の個性が重視された会社の種類であり、社員一人一人に「業務執行権」「代表権」を有しております。社員の個性が重視されることから定款変更や社員持分の譲渡なども社員全員の同意が必要となります。
全員が無限責任社員となるため、抱えるリスクに上限がないため、合資会社同様に最近では設立数が減少されています。
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種類別の比較まとめ
株式会社 | 合同会社 | 合資会社 | 合名会社 | |
会社の種類 | 株式 | 持分 | 持分 | 持分 |
資本金 | 資本金1円以上〜 | 資本金1円以上〜 | 規定なし | 規定なし |
出資者 (呼称) |
1名以上 (株主) |
1名以上 (社員) |
2名以上 (社員) |
2名以上 (社員) |
責任の範囲 | 有限責任 | 有限責任 | 有限責任 無限責任 |
無限責任 |
設立費用 | 25万円〜 | 10万円〜 | 6万円〜 | 6万円〜 |
最高意思決定期間 | 株主総会 | 社員の過半数 | 社員の過半数 | 社員の過半数 |
決算公告義務 | 有 | 無 | 無 | 無 |
登記書類 | 定款 | 定款 | 定款 | 定款 |
上場 | できる | できない | できない | できない |
役員の任期 | 規定あり | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
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上述したとおり、合名会社・合資会社は無限責任で抱えるリスクが大きいことから、これから会社設立をしようと考えている方は、株式会社か合同会社の設立をおすすめします。
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