会社設立の基礎知識

知識ゼロでも大丈夫。会社設立を決意してから開業までにやること全て

新しいビジネスモデルや起業家に出会って、自分も以前から温めているアイディアを世の中に出したい!と思った経験がある人は多いのではないでしょうか?しかし実際に行動に移すとなると、一番最初に待ち受ける登記や開業の手続きの煩雑さから気が引けてしまうもの。

でも一番最初は誰でも素人。どの起業家も通った道です。
今回は会社設立の知識がゼロの方向けに、株式会社の設立・開業までに必要な手続きをまとめました。

個人事業主でなく法人として開業することのメリット

開業するにあたっては、個人事業主という選択もあります。
しかし株式会社で開業すると、個人事業主では受けられない多くのメリットが。まずは法人化する3つのメリットをご紹介します。

社会的信用が得られる

開業直後から事業を急成長させたいと思っている方にとっては、これはかなり大きな利点です。
営業をする際にも信頼感が違いますし、会社によっては法人としか契約を結ばない場合も。融資や助成金・補助金を受ける際も法人である方が申請が通りやすくなります。

社会保険に加入できる

社会保険料が高くてメリットにはならないのでは?と思いがちですが、その分保証が手厚い制度。
たとえば健康保険は国民健康保険と違い、傷病手当や出産手当制度があります。また扶養制度があるため家族全員が被保険者として加入する必要がないので、世帯での保険料が抑えられます。
さらに厚生年金に加入することになるため、将来受け取れる年金額も多くなります。

節税がしやすい

個人事業主より法人の方が経費として計上できる範囲が広いことが理由のひとつ。
たとえば自分のお給料も経費とできますし、自分に対して日当を出した際も経費として計上してOK。
また個人の所得税より法人の所得税の方が税率の傾斜が緩やかなので、利益が大きく出た際には法人の方が支払う税金が少なくなります。

登記までの手順 4ステップ

1. 会社の基礎部分を決める

商号(会社名)

まずは会社の顔となる社名を決めましょう。
会社名から業務内容がイメージできるものでもいいですし、画数などを考慮しながら決めるという方法もあります。ネーミングに関してはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。

事業目的

次はどんな業務を行うのかを明確にしていきましょう。
事業目的はのちに定款にも記載するので、明確に簡潔にまとめておいた方が◎。
ちなみに定款に記載する事業目的に上限はないので、将来的にやりたいことも含めておいても良いでしょう。ただし事業目的があまりにも多すぎると何をやる会社なのかがぼやけてしまうので、最終的には10件以下にすることをおすすめします。

本社所在地

事業所を置く場所を決めます。
自宅を事務所として登記するケースや、マンションの一室を事務所として借りて登記する方法もあります。事業所を移転する場合は定款も変更しなければいけないため、長期的に業務を行うところに決定しましょう。

資本金

極端にいえば資本金が1円でも会社を設立することができますが、資本金は会社の体力と信用を表すもの。
資本金が極端に少ないと事務所を借りる際の契約料や、備品を購入するための資金が足りなくなってしまい、すぐに運営が立ち行かなくなってしまいます。また資本金が少ないと「取引先としてふさわしくない」と判断されてしまうなど対外的な評価が低くなってしまうリスクもあります。資本金は初期費用と運転資金3ヶ月分位を足した金額は最低限、確保しましょう。
資本金の決め方についてはこちらの記事で詳しく解説をしています。

2. 定款を作成し、認証を受ける

ステップ1で決めたことがらを元に定款を作成していきます
。 このステップのゴールは公証人役場で定款の認証を受けることです。

用意するもの

  1. 1.定款 3部
  2. 2.発起人全員の3ヶ月位内に発行された印鑑証明書 各1通
  3. 3.発起人全員の実印
  4. 4.認証手数料 5万円(現金)
  5. 5.謄本代 250円×定款のページ数(現金)
  6. 6.収入印紙 4万円分
  7. 7.委任状(代理人が申請する場合)

定款の作成・認証方法

定款のテンプレートはインターネット上で無料で入手ができますので、ダウンロードをして記入をしてください。ちなみに法務局のホームページでも例付きのテンプレートが入手可能です。(株式会社設立登記申請書の4ページ目から定款の記載例になっています。)
定款は会社の規模や取締役の人数、取締役会の設置の有無によって記載事項が異なる部分があるのでご注意を。

定款のテンプレートを埋めたら次は製本です。3部作成します。
プリンターで出力しページごとに並べ、左端をホチキスで止めます。その後、ページごとに見開きの部分に発起人の実印を押して割印をしていき、最後のページに書かれている発起人の欄に実印を押したら定款の完成です。

定款を作成したら、いよいよ認証の手続き。
本店所在地がある公証役場に連絡をして、公証人と訪問の日時を決めます。
ちなみに訪問の前にFAXや郵送などで定款を確認してもらい、あらかじめ間違いは修正しておくと当日の認証がスムーズに進みます。

当日の認証にかかる時間は30分程度で終了します。

コラム:定款を電子認証で手続きすることも可能

上記は紙ベースで定款を作った場合の手順ですが、PDF化したデータを電子認証で手続きする方法もあります。
電子認証は紙ベースで認証される際の4万円分の収入印紙代がかからないというメリットがあります。しかし電子認証用の定款を作る際に必要なソフトウェアなどを購入すると、かえって電子認証の方が高くついてしまう場合も。
もし勉強として電子認証をやってみたい、またはすでに電子署名が可能なPDF編集ソフト(Adobe Acrobat DC)を持っているという場合であれば、電子認証でトライしてみても◎。
ただし、定款作成の手順は紙ベースよりも難しくなるので覚悟が必要です。

まず、電子認証用の定款には電子署名をつける必要があります。
電子署名はマイナンバーカードを使います。まだマイナンバーカードを作っていない人は、カードの交付を受けましょう。
マイナンバーが通知された書面についている「マイナンバーカード交付申請書」を使います。
マイナンバーカードの交付の受け方については、総務省のサイトを参考にしてください。

次にマイナンバーカードを入手したら、電子証明書を記録してもらいます。
自分の住民票のある市区町村役場にマイナンバーカードを持っていき、申請をします。

マイナンバーカードのほかにも、用意するものがPCに読み取る機器(ICカードリーダライタ)。こちらからマイナンバーカードに対応しているICカードライタの一覧を確認できます。
そして電子署名をPDFに埋め込むためのソフトをダウンロードして、電子版の定款を作成。PDF署名プラグインソフトは、こちらからダウンロードが可能です。

なおすでに電子証明書が入っている住基カードを持っている方は、発行から10年以内であれば、マイナンバーカードの代替として使えます。

最後に登記・供託オンライン申請システムから認証申請をして、公証役場に認証を受けた定款を受け取りにいきます。

電子認証は意外と事前準備や手続き自体に手間がかかるので、時間がない人は行政書士に代行してもらうことをオススメします。

3. 資本金を振込む

資本金の振込みは、定款の認証が確定した日以降に行います。
振込先は発起人の銀行口座。大金を振り込むので、安全面からみても銀行窓口で手続きをしてくださいね。
振込みが終わったら確実に資本金が振り込まれたことを証明するために、振込先の口座の通帳をコピーします。通帳の表紙と1ページ目、そして資本金の振込み内容が記載されているページをコピーしておきましょう。
資本金の振り込みについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

4. 申請書類を用意し、法務局で登記申請をする

定款認証が終わり、資本金の振込みが終わるとひと安心。
ですがまだもうひと頑張りです。次は法務局でいよいよ登記申請をしていきます。

用意するもの

  1. 1.登記申請書
  2. 2.登録免許税分の収入印紙を貼り付けたA4用紙
  3. 3.定款
  4. 4.発起人の決定書
  5. 5.取締役の就任承諾書
  6. 6.代表取締役の就任承諾書 *1
  7. 7.監査役の就任承諾書 *1
  8. 8.取締役の印鑑証明書
  9. 9.資本金の払込みを証明する書類
  10. 10.印鑑届出書
  11. 11.登記すべきことを保存したCD-R

*1 取締役と監査役の状況によっては不要の場合もあります

書類の作成方法や詳しい内容については、こちらの記事も参考にしてください。

印鑑証明書には法人印と個人印を押印する箇所があるのでご注意を!
定款の作成・認証までは発起人の実印だけでOKでしたが、登記や登記以降の段階になると法人の実印も必要になってきます。
登記に必要な書類を準備する前に、会社の印鑑の準備も進めておきましょう。
すべての書類を揃えたら、発起人全員で法務局に向かいます。もし全員でいけない場合は委任状の作成もお忘れなく。
登記申請をしたら登記官が書類を審査。不備がなければ10日ほどで登記が完了します。登記の申請した日が会社の設立の日になります。

登記後から開業までの手続き 3ステップ

おめでとうございます!無事に登記されたら法人の出来上がりです!
しかし、事業をはじめる前に必要な手続きがまだ残っています。
ここでは全体の流れをご紹介。登記後の手続きについて、より詳しく知りたい場合はこちらの記事を参考にしてください。

1. 税務署に届け出をする

法人になったら企業として国に納めなくてはいけない税金が発生します。
その税金を納めるための手続きを税務署で行います。
提出する書類は会社を設立したと報告をする届出書から、青色申告で会計処理をしますという申請書まで様々です。

2. 地方自治体に届け出をする

税金は国にだけではなく、事業を営んでいる都道府県・市区町村にも納めます。
提出書類は地方自治体によって異なりますので、本店所在地を管轄している地方自治体のホームページをチェックしてください。

3. 年金事務所に届け出をする

最後は社会保険の加入について年金事務所に届け出をする必要があります。
一人社長に給料を支払えない場合など特殊な場合を除き、必ず加入しなければいけませんのでご注意を。

なおすぐに従業員を雇い入れる場合は上記の3ステップに加え、労働基準監督署とハローワークにも労災保険についての届け出をする必要があります。

会社設立で訪れる場所の一覧(東京都渋谷区で登記する場合)

これで会社設立に最低限必要な手続きは以上です。
意外とインターネットで入手できる書類のテンプレートも多く、一つずつ丁寧にステップを踏めば確実に前に進めます。
しかし役所関係の手続きに対して苦手意識を持っている方は、面倒だ……と感じるかもしれませんね。そんなときは思い切って司法書士や税理士、社労士にお任せするのも◎。設立前後だけでなくその後の経営の中で必要になってくる手続きなども相談できる人がいるのは心強いですよ。

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