人事労務の基礎知識

社会保険とは?5つの種類や加入条件、国民健康保険との違いをわかりやすく解説

社会保険とは?5つの種類や加入条件、国民健康保険との違いをわかりやすく解説

社会保険とは、会社員や公務員などが加入する、病気・ケガ・老後・失業といった生活のリスクに備えるための公的な保険制度の総称です。一方、国民健康保険は主に自営業者や年金受給者などが加入します。

本記事では、社会保険の基本的な仕組みから国民健康保険との明確な違い、加入条件、そしてライフステージの変化に応じた切り替え手続きまでを網羅的に解説します。

目次

▶︎ 社会保険の計算方法については、まずはこちらの記事!

社会保険料の計算方法まとめ!算出方法や賞与についてもわかりやすく解説

社会保険とは?

社会保険とは、病気やケガをはじめとした生活上のリスクに備えるために、国が運営する公的な保険制度の総称です。会社に勤める正規社員や一定の条件を満たす非正規社員には、原則としてこれらの保険への加入が義務付けられており、保険料は毎月の給与から天引きされます。

社会保険の主な5種類

会社に勤める正規社員などが対象となる社会保険には、主に以下の5種類があります。

社会保険の主な種類

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 労災保険
  • 雇用保険 など

狭義では健康保険と介護保険、厚生年金保険をまとめて社会保険と呼び、雇用保険と労災保険をまとめて労働保険と呼びます。

社会保険の主な5種類

健康保険

健康保険は、業務外での病気やケガ、出産、死亡などに対して医療給付や手当金を支給する制度です。医療機関で保険証を提示すると医療費の自己負担が原則3割になります。

運営主体(保険者)は、主に中小企業が加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と、大企業などが独自に設立する「健康保険組合」、企業に属していない人が主に加入する公的保険の「国民健康保険」があります。

厚生年金保険

厚生年金保険は、会社員や公務員が加入する公的年金制度です。厚生年金は、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給され、老後の生活や障害を負った場合、死亡した場合の遺族の生活を保障します。


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介護保険

介護保険は、要介護・要支援状態になった際に介護サービスを受けるための費用を給付する制度です。40歳以上の人に加入が義務付けられています。

雇用保険

雇用保険は、労働者が失業した場合や継続的な雇用に困難な事由が生じた場合に、暮らしや雇用の安定を図るために必要な給付を行う公的保険です。条件を満たす労働者に対し、再就職までの生活を支えるための給付(基本手当、いわゆる失業保険)や育児・介護休業中の給付、教育訓練の費用補助などが行われます。


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労災保険

労災保険は、業務中や通勤中に起きた事故による病気・ケガ・障害・死亡などに対して、治療費や休業中の賃金などを補償する制度です。一般的に、保険料は全額事業主が負担します。


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「狭義の社会保険」の加入条件

前述のとおり、社会保険は広義でとらえる場合と狭義でとらえる場合で指し示す対象が異なります。ここでは、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つを意味する「狭義の社会保険」における加入条件について解説します。

なお、加入条件は「事業所(企業)」と「従業員」とで異なるので、事前に違いを把握しておきましょう。

事業所(企業)の加入条件

前提として、すべての法人事業所(企業)には、国が定めた社会保険制度への加入義務があります。その際、加入した保険が適用されるのは事業所単位であることに注意が必要ですが、通常は本社が一括して実務を行っています。

社会保険の適用対象となる事業所を「適用事業所」と呼び、適用事業所はさらに以下の2つに分類されます。

適用事業所の分類

  • 社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられた「強制適用事業所」
  • 強制適用事業所に該当しない事業所が厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けて社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入した「任意適用事業所」

「強制適用事業所」とは、以下の条件のいずれかに該当する事業所です。法人か個人事業所かによって、強制適用となる条件が異なります。

法人事業所:業種・従業員数を問わず、すべて強制適用
株式会社や合同会社などすべての法人事業所は、業種や従業員数にかかわらず強制適用事業所となる。従業員がおらず代表者1人だけ(事業主のみ)の場合も対象。また、常時従業員を使用する国・地方公共団体の事業所も含む。

個人事業所:以下のいずれもに該当する場合は強制適用
・常時5人以上の従業員を使用している
・法律で定められた業種(法定17業種)に該当する

法定17業種(個人事業所が対象となる業種)
1.製造業
2.土木建築業
3.鉱業
4.電気ガス事業
5.運送業
6.貨物積卸業
7.清掃業(焼却業を含む)
8.物品販売業
9.金融保険業
10.保管賃貸業
11.媒介周旋業
12.集金・案内・広告業
13.教育・研究・調査業
14.医療保健業
15.通信報道業
16.社会福祉事業
17.士業(弁護士・税理士・社会保険労務士など)


出典:日本年金機構「適用事業所と被保険者」

法定業種のうち士業は、2022年10月から新たに適用業種に追加されました。対象となるのは、弁護士・公認会計士・司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士などです。

一方、個人事業所で常時5人以上の従業員を使用していても、次の業種は強制適用とはなりません。この場合は任意適用事業所として加入できます。

  • 農業、林業、漁業などの第一次産業
  • 飲食店、旅館、理容・美容業、クリーニング業などのサービス業の一部
  • 神社・寺院などの宗教業

なお、2025年6月成立の年金制度改正法により、2029年10月以降は上記の非適用業種も含め、常時5人以上の個人事業所が原則として全業種で強制適用となる予定です。ただし、施行時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外とされています。

上記の「強制適用事業所」に該当しない事業所でも、従業員の半数以上が適用事業所になることに同意し、事業主が事務センターまたは管轄の年金事務所で申請を行うと「任意適用事業所」になれます。

なお「任意適用事業所」の場合は、健康保険と厚生年金保険のどちらかひとつだけ加入することも可能です。


出典:日本年金機構「適用事業所と被保険者」
出典:日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」
出典:日本年金機構「任意適用申請の手続き」

従業員の加入条件

事業所(企業)で働く従業員が、健康保険・厚生年金保険に加入するための条件は以下のとおりです。なお、介護保険は原則として40歳以上の方が加入するため、ここでは割愛します。

従業員が社会保険に加入する条件

  1. 75歳未満の正社員や会社の代表者、役員等
  2. 70歳未満で週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上である人
  3. 以下のすべてに該当する短時間労働者

    ・2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
    ・週の所定労働時間が20時間以上である
    ・学生ではない(夜間学生・通信制は除く)
    ・月額の賃金が8.8万円を超える
    ・従業員数51人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している

出典:厚生労働省「社会保険加入の要件」

これらの条件のうち、3の「従業員数51人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している」については、法改正により2024年10月から「従業員数101人以上→従業員数51人以上」と変更されました。

つまり、従業員数が51人以上の事業所では、上記4つの条件を満たす労働者(パート・アルバイト)についても、健康保険・厚生年金保険に加入することとなっています。

また、2025年6月に年金改正法案が成立し、賃金・人数要件は段階的に縮小される予定です。


出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」

社会保険の加入条件については別記事「社会保険の加入条件とは?法改正後の適用範囲や年収の壁などをわかりやすく解説【2026年最新】」で詳しく解説しているので、参考にしてください。

社会保険の適用拡大(2025年年金制度改正法のポイント)

2025年6月に成立した年金制度改正法により、短時間労働者(パート・アルバイト)が社会保険に加入する範囲が大きく広がります。主な変更点は以下のとおりです。

法改正のポイント

  • 賃金要件(8.8万円/106万の壁)の撤廃
    :最低賃金の動向を踏まえ、2026年10月に撤廃される見込み(週20時間以上という労働時間要件は維持)
  • 企業規模要件(51人以上)の段階的な撤廃
    :2027年10月から段階的に縮小され、最終的に撤廃される方針。将来的には企業規模を問わず、週20時間以上働く短時間労働者が加入対象となる
  • そのほかの改正
    :厚生年金保険の標準報酬月額の上限引き上げ(2027年9月以降、65万円から75万円まで段階的に)、在職老齢年金の基準額の引き上げ(月50万円から62万円へ)など

各項目の施行時期は政令で順次定められるため、実務では最新情報の確認が必要です。従業員・事業所別の詳しい加入条件などについて詳しくは、「社会保険の加入条件とは?法改正後の適用範囲や年収の壁などをわかりやすく解説【2026年最新】」をあわせてご覧ください。


出典:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

国民皆保険制度の概要

国民皆保険制度は、全ての日本国民が公的医療保険である「社会保険(健康保険)」もしくは「国民健康保険」、「後期高齢者医療制度」に加入し、保険料を負担し合うことで個人にかかる医療費を軽減することを目的としています。

なお、生活保護受給者や一部条件に満たない外国人の方はこの対象となりません。

国民健康保険とは

国民健康保険とは、会社に勤めていないフリーランスや自営業、無職、年金受給者など、社会保険(健康保険)やその他の医療保険制度に加入していない人を対象とした保険制度です。

国民健康保険には、都道府県および市町村(特別区を含む)が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合(建設国保・医師国保など)があります。

社会保険(健康保険)とは異なり、国民健康保険には扶養という概念がなく、世帯人数分の加入が必要です。ただし、世帯の中に社会保険加入者がいる場合は、その人を除いた全員が加入します。そのため、加入者数に応じて一世帯あたりの保険料の負担が大きくなります。

保険料については各市町村の公式サイトで案内しており、上限や減免も設定されているため、必要に応じて相談してみてください。

社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い

社会保険(健康保険)と国民健康保険は、加入対象や保険料の計算方法が違います。社会保険と国民健康保険の違いを正しく把握することが重要です。


制度被保険者保険者給付事由
医療保険健康保険給付事由健康保険の適用事業所で働く会社員(民間会社の勤労者)全国健康保険協会
健康保険組合
(業務外の)
・病気、けが
・出産
・死亡
法第3条第2項の規定による被保険者健康保険の適用事業者に臨時に使用される人や季節的事業に従事する人等
(一定期間を超えて使用される人を除く)
全国健康保険協会
船員保険(疫病部門)船員として船舶所有者に使用される人全国健康保険協会
共済組合(短期給付)国家公務員・地方公務員・私学の教職員各種共済組合・病気、けが
・出産
・死亡
国民健康保険健康保険・船員保険・共済組合等に加入している勤労者以外の一般住民市(区)町村
退職者医療国民健康保険厚生年金保険など被用者年金に一定期間加入し、老齢年金給付を受けている65歳未満等の人市(区)町村・病気、けが
高齢者医療後期高齢者医療制度75歳以上の方および65〜74歳で一定の障害の状態にあることにつき後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人後期高齢者医療広域連合・病気、けが
出典:厚生労働省「我が国の医療保険について」

加入対象者が異なる

社会保険(健康保険)と国民健康保険では、まず加入対象者が異なります。

社会保険(健康保険)の加入対象者は、前述のとおり以下のいずれかの条件に該当する方です。一方で国民健康保険は、会社に属していないフリーランスや自営業、無職、年金受給者など、社会保険(健康保険)をはじめとする他の医療保険制度に加入していない人が対象です。

社会保険の加入対象者


  • 75歳未満の正社員や会社の代表者、役員など
  • 70歳未満で週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上である人
  • 以下のすべてに該当する短時間労働者

    ・1週間の所定労働時間が20時間以上
    ・2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
    ・学生ではない(夜間学生・通信制は除く)
    ・月額の賃金が8.8万円を超える
    ・従業員数51人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している

国民健康保険の加入対象者
社会保険など他の医療保険制度、もしくは医療費補助制度を利用していない国民

保険料の計算方法が異なる

社会保険(健康保険)と国民健康保険では、保険料の計算方法や算出の基準が異なります。

社会保険(健康保険)の保険料は、被保険者の年齢や、4月から6月に支払われた各種手当などの報酬の平均額から「標準報酬月額」を決定して算出します。


出典:全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」

社会保険(健康保険)では、加入する保険組合や都道府県によって保険料率は異なります。健康保険料は被保険者が全額支払うのではなく、事業者(勤務先の会社)と折半をするのが特徴です。

一方で国民健康保険料は、被保険者の人数や収入、年齢をもとに支払う保険料を計算し、世帯主が世帯の被保険者全員分の保険料を納めます。国民健康保険は被保険者の住む市区町村が運営しているため、居住地によっても保険料が異なります。自分の保険料率は、居住する市区町村のホームページから確認してください。

また、一定期間の所得金額が基準を下回る世帯の場合、保険料が減額される制度があります。減額の基準も、被保険者が住む市区町村によって異なります。何かしらの要因で所得が少なくなった人は、市区町村のホームページや役所の担当者に問い合わせて減額制度について確認しましょう。


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社会保険料の計算方法とは?シミュレーションや内訳、注意点を解説

扶養に対する考え方と対応の違い

社会保険(健康保険)と国民健康保険では、扶養に関する考え方や対応も異なります。

社会保険(健康保険)では、被保険者である自分以外の配偶者や両親、親族を扶養に入れることができます。被扶養者の有無や人数に応じて、被保険者の健康保険料が変わることはありません。

一方、国民健康保険には扶養の概念はありません。生計を同一にする同居家族の配偶者や子どもであっても、各自が被保険者となります。保険料もそれぞれの所得や人数に応じて計算し、支払います。

なお、社会保険(健康保険)における被扶養者の範囲は以下のとおりです。

被扶養者に該当する範囲

  1. 被保険者の直系尊属・配偶者(事実婚を含む)・子・孫・兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
  2. 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人

    (1)被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
    (2)被保険者の配偶者で戸籍上婚姻の届出はしていないが、事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
    (3)上記(2)の配偶者が亡くなった後における父母および子

被扶養者となるには収入による基準もあります。必要に応じて会社の担当者から、年金事務所に問い合わせて確認してもらうとよいでしょう。

被扶養者の収入の基準

年間収入が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)かつ


  • 同居の場合:被保険者の年間収入の2分の1未満である場合
  • 別居の場合:被保険者からの援助による収入額より少ない場合

出典:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」

社会保険(健康保険)と国民健康保険の切り替え方法

社会保険(健康保険)と、国民健康保険は加入する条件が違います。そのため、「会社員からフリーランスなどの個人事業主になる」「個人事業主から正規雇用になる」「個人事業主から法人設立する」など雇用環境に変化があった場合、加入している保険の切り替え手続きが必要になります。

国民健康保険と社会保険(健康保険)の切り替え方法を解説します。

国民健康保険から社会保険(健康保険)に切り替える場合

国民健康保険から健康保険に切り替えるケースは、たとえばフリーランスなどの個人事業主や無職だった人が、社会保険(健康保険)の適用事業所に就職した場合などが挙げられます。

対象者の手続き

社会保険(健康保険)の対象者は、それまで加入していた国民健康保険から脱退するために手続きを自身で行う必要があります。居住する市区町村の役所・役場窓口にて手続きを行えるほか、郵送による申請・マイナポータルを通じた電子申請(マイナンバーカードを持っている場合)も可能です。

会社側の手続き

加入該当者全員に対して、社会保険の手続きが必要です。

会社は、健康保険および厚生年金保険の加入基準を満たした従業員を雇用した場合、対象者が加入資格を得た日(入社日)から5日以内に「被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所に提出します。

配偶者や子どもなどの扶養家族がいる従業員を雇用した場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」もあわせて提出する必要があります。


出典:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」

社会保険(健康保険)から国民健康保険に切り替える場合

健康保険の適用事業所に勤めていた会社員が個人事業主に転身したり、何かしらの事情で失業したりする場合には、社会保険(健康保険)から脱退することになります。

会社は、社会保険の資格喪失届を日本年金機構の年金事務所または事務センターへ提出します。国民健康保険や国民年金の加入手続きは、被保険者が自身で行わなければなりません。

対象者の手続き

対象者は、今まで加入していた社会保険(健康保険)の資格を喪失してしまうため、国民健康保険への加入手続きが必要です。居住する市区町村の役所・役場窓口や郵送での届出か、マイナポータルを通じた電子申請(マイナンバーカードを持っている場合)を行います。

社会保険(健康保険)の資格喪失日は、退職日の翌日です。日本は国民皆保険制度によって、社会保険の資格喪失日から国民健康保険への加入となり、自動的に保険料も発生します。

資格喪失日以降14日以内に役所へ届け出る必要があるため、忘れないように注意しましょう。加入手続きをしてから国民健康保険証が手元に届くまでには一定の時間がかかります。なるべく早めに手続きすることをおすすめします。

会社側の手続き

従業員が退職したなどの理由から社会保険の資格を喪失した人がいる場合、会社側は「被保険者資格喪失届」を資格喪失日(退職の場合は、退職日の翌日)から5日以内に、日本年金機構へ提出します。

なお、被保険者資格喪失届の提出の際には、資格を喪失した従業員とその扶養家族の資格確認書(マイナ保険証を保有していない人に交付される)の返却も必要となります。ただし、有効期限の切れた資格確認書と「資格情報のお知らせ」の返却は不要です。

また、以下が交付されている場合は添付が求められます。

  • 高齢受給者証
  • 健康保険特定疾病療養受給者証
  • 健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証

国民健康保険への加入手続きは、前述のとおり本人が市区町村の役所で行います。


出典:協会けんぽ「健康保険証等の返却について(令和7年12月2日より)」

退職時に選択できる社会保険の任意継続制度とは

社会保険(健康保険)に加入していた会社を退職したとしても、必ず国民健康保険に加入しなくてはならないということではありません。社会保険(健康保険)に継続して2ヶ月以上加入していた場合、退職後もその保険を「任意継続」することができます。そのため、必ずしも国民健康保険に切り替える必要はありません。

全国健康保険協会における任意継続の説明

任意継続被保険者になった場合は、原則として、在職中と同様の保険給付が受けられます。ただし、退職日まで継続して1年以上被保険者であった方が、退職日時点で傷病手当金や出産手当金を受けているか、受ける条件を満たしている場合を除き、傷病手当金や出産手当金を受けることはできません。


出典:全国健康保険協会 「会社を退職するとき」

ただし、社会保険(健康保険)を継続させるには、退職日の翌日から20日以内に任意継続の申請をしなければなりません。また、加入期間は退職日の翌日から2年間と定められています。

社会保険(健康保険)の保険料は、会社員時代は被保険者と事業者が折半して支払っていました。しかし、任意継続では被保険者が全額負担しなければなりません。保険料の額は、退職した際の標準報酬月額(2026年度上限32万円)によって決まります。

なお、社会保険(健康保険)を任意継続した場合、配偶者や子どもなどの被扶養者も任意継続されることになります。

以前は、任意継続を選択すると、2年間は以下の事由がない限り資格の喪失ができませんでした。たとえばフリーランスになって1年目で所得が激減し、国民健康保険料の方が安くなった場合でも、任意継続から国民健康保険へ切り替えることができなかったのです。

しかし、2022年1月に健康保険法の一部改正が行われ、任意継続の資格喪失を自己都合で行うことができるようになりました。

2022年1月からの任意継続の資格喪失条件

  • 任意継続の被保険者となった日から起算して2年を経過
  • 被保険者が死亡
  • 被保険者が保険料を未納
  • 再就職などにより社会保険(健康保険)の被保険者となった
  • 後期高齢者医療の被保険者となった
  • 自己都合で資格喪失をしたい(国民健康保険への切り替え希望)

出典:全国健康保険協会 「会社を退職するとき」

任意継続の資格を喪失したい場合は、加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部で「資格喪失申出書」の提出をしましょう。

注意点として、任意継続の加入および途中での資格喪失は、全国健康保険協会(協会けんぽ)および健康保険組合のみで、国民健康保険組合の場合、任意継続については原則加入できません。

会社を退職してフリーランスなどになる場合は、勤めている会社がどこに加盟しているかを確認することが大切です。また、組合によって任意継続や途中での資格喪失の要件が異なるため、必ず事前に調べておきましょう。

その上で、任意継続するか、国民健康保険に切り替えるかを判断します。お住まいの市区町村の国民健康保険窓口か、協会けんぽ、各種健康保険組合などの窓口で相談しましょう。


出典:協会けんぽ「健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について」
出典:協会けんぽ「【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」

まとめ

社会保険は、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険からなる、生活上のリスクに備えるための公的な保険制度です(狭義では健康保険・厚生年金保険・介護保険の3つを指します)。 会社員は原則として加入が義務付けられ、パート・アルバイトも一定の条件を満たせば加入の対象となります。

事業所側から見ると、すべての法人事業所と、常時5人以上の従業員を使用する一定業種の個人事業所が、加入を義務付けられています。さらに、2025年6月の年金制度改正により、短時間労働者の加入要件である「106万円の壁(賃金要件)」の撤廃や企業規模要件の段階的な撤廃が予定されており、社会保険の対象範囲は今後さらに広がっていく見込みです。

また、社会保険を構成する「健康保険」と自営業者などが加入する「国民健康保険」とでは、運営主体・保険料の負担・扶養の扱いなどが異なります。自身や家族がどの制度の対象になるのかを正しく理解し、加入や切り替えの手続きに漏れがないようにしましょう。

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よくある質問

社会保険(健康保険)とは?

社会保険(健康保険)とは、会社に勤める正規社員や、一定の条件を満たした非正規社員は加入が義務付けられている公的な強制保険制度で、病気やケガなどに備えられる制度です。

詳しくは、記事内「社会保険とは?会社員に加入が義務付けられる公的保険制度」をご覧ください。

社会保険(健康保険)と国民健康保険はどう違う?

社会保険と国民健康保険は「加入対象者」「保険料の計算方法」「扶養者等への対応」の3つが異なります。

それぞれの概要については、記事内「社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い」で詳しく解説しています。

収入が月8万8,000円を一度でも超えたら社会保険に加入しないといけない?

アルバイトやパートタイマーといった短時間労働者が、社会保険に加入する条件のひとつに「月額の賃金が8.8万円を超える」があります。しかし、月額賃金が一度8万8,000円を超えただけでは、社会保険の加入条件を満たしたことにはなりません。

詳しくは、記事内「従業員の加入条件」をご参照ください。

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