人事労務の基礎知識

【最新版】所得税とは?毎月の給与における源泉所得税の計算方法

最終更新日:2021/06/23

監修 大塚 康裕 税理士

会社員が納めるべき税金を、会社で一括して取りまとめる源泉徴収や年末調整は、経理にとって責任重大な業務です。

特に2020年(令和2年)以降の所得税の計算に必要な数字に変更があったため、注意が必要です。今回は最新情報を含めた、源泉所得税のしくみと計算方法について解説します。

【最新版】所得税とは?毎月の給与における源泉所得税の計算方法

目次

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所得税の源泉徴収とは

所得税とは、収入から所得控除を引いた金額に対して、一定の税率で課される税金です。毎月、給与明細の控除の欄で給与から差し引かれています。


給与明細 所得税

本来、所得税は従業員が支払う税金ですが、給与から差し引く形で、会社が代わりに「源泉徴収」をしています。なお、所得税の源泉徴収は社内の従業員だけではなく、弁護士や税理士への「報酬」に対しても行われます。

所得税は毎月従業員から源泉徴収し、翌月10日までに納付します。
注)小規模の事業者は特例で年2回の納付にまとめることができます(後述)。

ただし毎月の源泉徴収は、給与額にもとづいてざっくりとした金額を控除している形のため、毎年12月に「年末調整」をして帳尻合わせを行います。

年末調整について詳しく知りたい方は、下記のページを参考にしてください。

【関連記事】
年末調整とは?流れと必要な作業

所得税の計算方法

所得税は、課税所得に税率を掛けることで求められます。

所得税 = 課税所得 × 税率 - 税額控除額

所得税の計算は定期的に税率や計算にまつわる数字の見直しが入ります。そのため、最新の数字を国税庁などで確認する必要があります。

最新情報を自動で反映して計算してくれるクラウド型の給与計算ソフト「人事労務freee」などを活用すると手間も省けて計算の間違いも減らせるのでおすすめです。

課税所得とは

課税所得とは、通勤手当や旅費など非課税のものを除く収入の全額から、社会保険料や労働保険料、配偶者控除、寄付金控除などの所得控除を差し引いたあとの所得額で、次のように2段階で計算されます。

(1)給与所得 =「総支給額(基本給+残業代+各種手当)- 非課税の手当」- 給与所得控除

(2)課税所得 =(給与所得+その他の所得)- 所得控除

非課税の手当として代表的なものが、通勤手当です。通勤手当には所得税が発生しません。また、出張手当も非課税扱いになります。

所得控除には、次のようなものもあります。

控除の種類 控除が受けられる場合 控除額
雑損控除 災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される控除 以下のいずれか多い方

・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
医療費控除 一定額以上の医療費を支払った場合。生計を一にする配偶者その他の家族も含まれる。 (支払った医療費-保険金などで補填される金額)ー10万円

※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額×5%
社会保険料控除 健康保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金、厚生年金保険料などを支払った場合に適用される控除。生計を一にする配偶者その他の家族も含まれる。 支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される控除 支払った掛金の合計額
生命保険料控除 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される控除 一定の方法で計算した金額
地震保険料控除 地震保険料を支払った場合に適用される控除 一定の方法で計算した金額
(最高5万円)
寄附金控除 ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄付をした場合に適用される控除 「寄附金支出合計額」と
「所得 ×40%」のいずれか
少ない方-2,000円
障害者控除 納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用される控除 一人につき、
①障害者27万円
②特別障害者40万円
③同居特別障害者75万円
寡婦(寡夫)控除 配偶者と死別または離婚して扶養家族がいる場合に適用される控除
※寡夫控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更
27万円
(一定の要件を満たす場合35万円)
ひとり親控除 納税者がひとり親であるときに適用される控除
※ひとり親控除は令和2年分の所得税から適用
35万円
勤労学生控除 学校に行きながら働いている場合に適用される控除
※ただし、前年分の合計所得金額が75万円以下
27万円
配偶者控除 配偶者の合計所得が48万円以下の場合に適用される控除 ①一般控除対象配偶者:最大38万円
②老人控除対象配偶者:最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上)
配偶者特別控除 納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円以上133万円未満である場合に適用される控除 配偶者の所得金額によって
最大38万円
扶養控除 16歳以上の子供や両親などを扶養している場合に適用される控除 ①一般の控除対象扶養親族:38万円
②特定扶養親族:63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満の方)
③老人扶養親族:最大58万円
基礎控除 すべての人に適用される控除 48万円(所得合計が2,4000万円以下の場合)

参考:国税庁『No.1100 所得控除のあらまし

給与所得控除(従業員のみなし経費)

給与所得者には経費の代わりとして、みなしの経費という意味合いで「給与所得控除」が設けられています。

給与所得控除は、総支給額から非課税の収入を差し引いた課税支給額から、一定額を給与所得控除として控除することができます。

控除額は下記のとおりです。こちらも2020年(令和2年)から金額が変更になっていますので注意してください。

給与などの収入額 給与所得控除額
1,625,000円以下 550,000円
1,625,000円超〜1,800,000円以下 収入金額×40%-100,000円
1,800,000円超〜3,600,000円以下 収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超〜6,600,000円以下 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超〜8,500,000円以下 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超 1,950,000円(上限)

参考:国税庁「No.1410 給与所得控除

給与所得税計算の際のもう一つの選択肢

上の式では、収入の総額から非課税の手当を差し引いたものから「給与所得控除」を引いていましたが、「給与所得控除」といったみなしの経費ではなく、実際にかかった特定の費用を控除できる「特定支出控除」を利用することができます。特定支出控除を利用することで、節税につながるケースがあります。

特定支出控除には、次のようなものが挙げられます。

<特定支出控除の例>

  • 自身で負担している通勤費用や旅費交通費
  • 職務に直接必要な資格の取得費用
  • 職務に直接費用となる研修を受けるための費用
  • 勤務に必要な衣服の購入費
  • 職務上関係のある者に対する接待費 など

所得税の税率とは

所得税は、課税所得額によって課税率が変動する超過累進課税方式が採用されています。

所得税 = 課税所得 × 税率 - 控除額

所得税の税率

課税される所得金額 税率 控除額
1,950,000円未満 5% 0円
1,950,000円以上
3,300,000円未満
10% 97,500円
3,300,000円以上
6,950,000円未満
20% 427,500円
6,950,000円以上
9,000,000円未満
23% 636,000円
9,000,000円以上
18,000,000円未満
33% 1,536,000円
18,000,000円以上
40,000,000円未満
40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

参考:国税庁「所得税の税率

税額控除とは

税額控除とは、所得税を算出する基礎となる給与から差し引く所得控除とは異なり、所得税からダイレクトに差し引くことができ、適用される場合は大幅な節税となります。

税額控除と所得控除を間違えると大幅な計算ミスになりますから、細心の注意を払ってください。

税額控除には、次のようなものがあります。

<税額控除の例>

配当控除 国内企業の株式からの配当が収入に含まれる場合に適用
外国税額控除 外国企業からの収入があって、すでにその国の所得税が課された場合に適用
政党等寄付金特別控除
認定NPO法人等寄付金特別控除
公益社団法人等寄付金特別控除
所得控除である寄付金控除以外で、公的な団体に寄付をしている場合に適用
住宅借入金等特別控除 国内で住宅ローンを組んだ場合に適用
住宅耐震改修特別控除 1981年5月以前に建てられ、現在も使用されている住居に耐震工事をした場合に適用
住宅特定改修特別税額控除 住居にバリアフリー工事や省エネのためのリフォーム工事を施した場合に適用

注:借入金控除等特別控除の2年目以降に関しては年末調整で調整可能ですが、その他の税額控除に関しては確定申告が必要となります。

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給与計算の際の源泉所得税の計算方法

給与から源泉徴収を行う場合には、毎年公表される「給与所得の源泉徴収税額表」を用います。

源泉徴収税額表には3種類あり、給与計算が月払いで行われる場合に用いられる「月額表」と日払いや週払いに対応した「日額表」、賞与を対象とした「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」があります。

源泉徴収税額表には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」提出者が適用される甲欄と、提出のない者が適用される乙欄、及び日雇い等の方に適用される丙欄(日額表のみ)があります。

源泉徴収税額月額表の見方

毎月の給与計算では、社会保険料控除後の給与に応じて「給与所得の源泉徴収税額表」を参照することで、源泉徴収月額がわかります。

扶養控除等申請書の提出がある従業員の場合には「甲」の欄、提出のない従業員の場合には「乙」の欄の税額を参照しましょう。

例:社会保険料控除後の給与が90,000円の従業員の源泉徴収額

・扶養者が0人の甲欄適用者の場合:230円
・扶養者が1人以上の甲欄適用者の場合:0円
・乙欄適用者の場合:3,200円

給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)

引用元:給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)

賞与の源泉所得税の計算方法

賞与の源泉所得税の計算には、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用います。表に記載されている金額及び税率の区分は通常の場合は以下の流れで判定します。

  1. 前月の給与から社会保険料を差し引きます。
  2. 上記の金額と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収額の算定率の表」に当てはめて賞与の金額に乗ずべき金額を求めます。
  3. (賞与から社会保険等を差し引いた金額)× 上記2 の税率
この金額が、賞与から源泉徴収する税額となります。
参考:国税庁「No.2523 賞与に対する源泉徴収

社会保険料等控除後の賞与額が30万円で前月の社会保険控除後の給与が15万円扶養親族が1人いる従業員の場合、「賞与の金額に乗ずべき率」は2.042%であるため、源泉所得税額は次のようになります。

30万円 × 2.042% = 6,126円

また、例外として、前月の給与が発生していない場合や、賞与が前月の社会保険控除後の給与の10倍を超える場合には、月額表を用いた計算式で源泉所得税額を算出しなければなりません。

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和2年分)

引用元:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和2年分)

源泉所得税の計算における注意点

本人が寡婦や寡夫、勤労学生、障害者に該当する場合、及び扶養親族が障害者に該当する場合などには、扶養親族数等の数の算定方法が異なるので注意が必要です。

源泉所得税の納付方法

源泉徴収された所得税と復興特別所得税の納付は、源泉徴収を行った翌月の10日までに行います(10日が土日祝の場合はその翌営業日)。

納付の際は、「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成し、e-Tax、もしくは所轄の税務署や金融機関で納付を行います。

なお、給与等の支払いを受ける者が常時10人未満の事業所は「納期の特例」という制度の申請が可能です。申請が受理されると、本来毎月行わなくてはならない所得税の納付を、7月10日及び1月20日の年に2回にまとめることができます。

給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)の記入方法

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引用元:国税庁

給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)には、上記の記載例に従って従業員全員の支給額、徴収した税額、給与等の支給した人数、支給年月日の記載が必要です。

また、納付書については、一般の源泉徴収義務者は「一般分」を、納期の特例を受けている源泉徴収義務者は「納期特例分」の納付書を使用します。

まとめ

所得税の計算は、給与計算の重要な業務のひとつです。月次の源泉徴収の方法、年末調整での調整項目や対応が必要な内容、確定申告でしか対応ができないものを正しく理解して間違いのない運用ができるような体制の整備が必要です。

システムの活用、顧問税理士や社会保険労務士に相談して正しく源泉徴収を行い、社会保険料の控除、住民税の控除についてもしっかり理解し、給与を間違えず従業員に支給できるようにしましょう。

監修 大塚 康裕 税理士

Bridgeグループではそれぞれ専門性に特化した強みを活かし、お客様に寄り添った様々なサービスを展開・提供し続ける事務所運営を行っております。「何でも相談出来る」をキーワードに一人でも多くの人に頼りにされる法務事務所を目指しております。精一杯の気持ちを込めてサービス提供し、一切妥協はいたしません。プロフェッショナルとしての自覚を持って行動しクライアント様を家族だと思い、共に成長してまいります。

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