会社設立の基礎知識

法人設立後に出すべき届出一覧!必要書類をかんたんに作成する方法

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

法人設立後に出すべき届出一覧!必要書類をかんたんに作成する方法

法人を設立して事業を始める場合、「法人設立届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。

さらに、法人設立届出書以外にも、源泉徴収に関する「給与支払事務所等の開設届出書」や、消費税に関する「消費税課税事業者届出書」などの提出が必要です。また、青色申告を行う場合は「青色申告の承認申請書」など、状況に応じて各所に提出すべき書類があります。

本記事では、法人設立時に必要な届出について、概要や提出先・提出期限などを解説します。

目次

法人設立届出書もfreee会社設立でかんたんに作成

会社設立後に税務署へ提出する「法人設立届出書」も、freee会社設立でかんたんに作成できます!

会社設立の前後で必要な書類は、まとめて作成すれば、もれなく安心です。

累計会社設立社数50,000社以上のfreee会社設立なら初めての方もあんしん!

法人設立時に届出が必要な書類

法人を設立する際には、以下の書類の作成と提出が必要です。

法人設立時に必要な書類

  • 法人設立届出書
  • 源泉所得税関係の書類(源泉徴収義務者となる場合)
  • 消費税関係の書類

出典:国税庁「新設法人の届出書類」

以下でそれぞれの書類に関して、詳しく解説します。

法人設立届出書

法人設立届出書とは、会社を設立して事業を始める旨を申告するための書類です。会社を設立した事実や会社の概要を記載します。法人設立から2ヶ月以内に、所轄の税務署へ提出しなければなりません。

法人設立届出書には「定款・寄附行為・規則または規約等の写し」を添付します。定款とは、会社の基盤となるルールなどを記載した書類です。

【関連記事】
法人設立届出書の書き方を項目ごとにわかりやすく解説【記入例付き】
定款の作り方とは?起業時に作成する際の記載事項や注意点を解説


出典:国税庁「C1-4 内国普通法人等の設立の届出」

源泉所得税関係の届出書

源泉徴収義務者は、源泉所得税関係の届出書を提出する必要があります。

源泉徴収とは、会社が給与・報酬から、あらかじめ所得税および復興特別所得税を差し引いて、代わりに国に納める仕組みです。源泉徴収の義務がある者を「源泉徴収義務者」といい、法人は給与・報酬を支払う場合、例外なく源泉徴収義務者に該当します。

源泉所得税関係の提出書類は、以下です。

源泉所得税関係の届出

  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

「給与支払事務所等の開設届出書」は、給与の支払事務を行う事務所の開設日から1ヶ月以内に提出します。給与・報酬の支払いを予定している法人が提出対象です。徴収した所得税・復興特別所得税は、原則として支払った翌月の10日までに納めなければなりません。

ただし、給与の支給対象者が常時10人未満の場合、半年分をまとめて納める特例の適用が受けられます。この特例の適用を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出が必要です。


出典:国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」
出典:国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」

消費税関係の届出書

法人の設立にあたって消費税法に定められている要件に該当すれば、以下の各種届出をしなければなりません。設立時の消費税関係の届出の提出先は、所轄の税務署です。


消費税に関する主な届出届出が必要なケース提出期限
消費税の新設法人に該当する旨の届出書消費税の新設法人に該当する場合事由が生じた場合速やかに
消費税簡易課税制度選択届出書簡易課税制度を選択する場合適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで
(事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)
消費税申告期限延長届出書消費税の確定申告書を提出すべき法人(法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人)が、消費税の確定申告の期限を1ヶ月延長する場合特例の適用を受けようとする事業年度または連結事業年度終了の日の属する課税期間の末日まで
出典:国税庁「No.6629 消費税の各種届出書」
出典:J-Net21 「消費税の特例と届出」

たとえば、簡易課税制度を選ぶと、消費税の計算方法がシンプルになるため、経理などの事務負担を減らせます。簡易課税制度を選択するためには、以下の要件をいずれも満たす必要があります。

簡易課税制度を受けるための要件

  • 基準期間における課税売上高が5,000万円以下である
  • 課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している

出典:国税庁「No.6505 簡易課税制度」

基準期間とは、個人事業主の場合は「前々年」、法人の場合は「前々事業年度」を指します。新規開業した事業者は、開業した課税期間の末日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。


出典:国税庁「No.6629 消費税の各種届出書」
出典:国税庁「No.6505 簡易課税制度」
出典:J-Net21 「消費税の特例と届出」

法人を設立する際に必要に応じて提出する書類

法人を設立する際、ほかにも必要に応じて提出すべき書類があります。税務・労働保険・社会保険の届出の内容ごとに、条件によって提出すべき書類について解説します。

税務に関する書類

税務に関する書類は、以下の通りです。

税務に関する書類

  • 法人税の青色申告の承認申請書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書
  • 減価償却資産の償却方法の届出書

上記書類の提出先は、所轄の税務署です。それぞれ期限があるため、提出の際は早めに準備しましょう。


出典:厚生労働省「新規に事業を開始された事業主の皆様へ」

法人税の青色申告の承認申請書

法人は、事業によって得た所得に応じて法人税を納める必要があります。確定申告は青色申告または白色申告で行いますが、青色申告は白色申告に比べて、税制面での優遇措置が多くあります。

法人税の申告を青色申告で行うためには、事前に青色申告の承認申請書を期限内に提出して、承認を受けなければなりません。

提出は、法人設立から3ヶ月以内(設立から3ヶ月以内に事業年度が変わる場合は事業年度内)に所轄の税務署に行います。

青色申告によるメリットなど詳しく知りたい方は、別記事「会社設立したら法人青色申告を!受けられるメリットや期限、手続きなどを徹底解説」をご覧ください。


出典:国税庁「C1-19 青色申告書の承認の申請」

棚卸資産の評価方法の届出書

会社で保有する商品や原材料などを指す棚卸資産は、決算時に金額を評価しなければなりません。原則の「最終仕入原価法」以外の評価方法を採用したいのであれば、「棚卸資産の評価方法の届出書」を所轄の税務署に提出しましょう。

提出期限は、最初の確定申告期限まで(最初の決算日から2ヶ月後、法人税の申告期限を延長している場合は3ヶ月後)です。

棚卸資産の評価方法や目的について知りたい方は、別記事「棚卸しとは?目的・実施タイミングや評価方法までわかりやすく解説」をご覧ください。


出典:国税庁「C1-25 棚卸資産の評価方法の届出」

減価償却資産の償却方法の届出書

減価償却資産の償却方法には、大きく分けて定額法と定率法の2種類があります。使用できる償却方法は、法律で資産の種類ごとに定められています。法律で定められた償却方法以外で減価償却を行う場合、「減価償却資産の償却方法」の届出書の提出が必要です。

提出期限は、最初の確定申告期限まで(最初の決算日から2ヶ月後、申告期限の延長をしている場合は3ヶ月後)です。

減価償却について詳しく知りたい方は、別記事「減価償却とは?確定申告前に知っておくべき減価償却資産の計算方法について解説」をご覧ください。

労働保険に関する書類

従業員を雇用して条件に該当する場合、労働保険に加入する必要があります。労働保険とは、労災保険と雇用保険の総称です。

労災保険は、業務中や通勤中の負傷・疾病・障害・死亡に対し、労働者やその遺族に保険給付をおこなう保険制度です。雇用保険は、会社を辞めた場合などに失業手当や給付金によって労働者の生活を支える保険制度です。

それぞれ、加入が必要となる条件が異なります。

労災保険

労災保険は、原則としてパートやアルバイトを含めた労働者を1日・1人でも雇う場合、必ず加入しなければなりません。

労災保険の加入手続きで必要な書類は、以下の通りです。

労災保険に関する書類

  • 保険関係成立届
  • 概算保険料申告書

保険関係成立届は、保険関係の成立日の翌日から10日以内に所轄の労働基準監督署に提出します。概算保険料申告書は、保険関係の成立日の翌日から50日以内に所轄の労働基準監督署・所轄の都道府県労働局・日本銀行のいずれかに提出します。

労働保険は事業の種類によって「一元適用事業」と「二元適用事業」に区別されます。

【一元適用事業・二元適用事業の対象事業区分】

区分該当する事業
一元適用事業二元適用事業以外の全ての事業
二元適用事業 農林水産の事業
建設の事業
港湾労働法の適用される港湾において行う事業
都道府県・市町村ならびにこれに準ずるものを行う事業
出典:労働基準監督署・ハローワーク(公共職業安定所)「労働保険適用促進パンフレット」

一元適用事業は、労災保険と雇用保険をあわせてひとつの労動保険として扱います。二元適用事業では、労災保険と雇用保険を別々に取り扱います。

加入手続きについて不明点がある場合は、管轄の監督署または安定所に相談しましょう。


出典:労働基準監督署・ハローワーク(公共職業安定所)「労働保険適用促進パンフレット」

雇用保険

雇用保険は、労災保険加入者のうち、以下の条件に該当する場合に加入します。

雇用保険の加入条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

雇用保険へ加入するうえで必要な書類は以下の通りです。

雇用保険に関する書類

  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険適用事業所設置届は、適用事業となった日の翌日から10日以内に管轄のハローワーク(公共職業安定所)に提出します。雇用保険被保険者資格取得届も、雇用した日の翌月の10日までに管轄のハローワーク(公共職業安定所)に提出してください。


出典:労働基準監督署・ハローワーク(公共職業安定所)「労働保険適用促進パンフレット」
出典:厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」

社会保険に関する書類

ここでの社会保険とは、健康保険および厚生年金保険を指します。

法人の場合、事業経営者を含む従業員が1人以上であれば、原則として加入が義務づけられています。つまり、従業員を雇っていない「一人社長」であっても、会社を設立すると強制適用事業所となり、被保険者として社会保険への加入が必要です。

社会保険へ加入するには、以下の書類を年金事務所または日本年金機構の事務センターへ提出する必要があります。

社会保険に関する書類

  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  • (従業員が加入する場合)健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
  • (被扶養者がいる場合)健康保険 被扶養者(異動)届

まとめ

法人を設立する際には、所轄の税務署へ、法人設立届出書を必ず提出しなければなりません。

また、法人設立届出書以外にも、状況に応じて各所に提出すべき届出があります。従業員を雇う場合、労働保険や社会保険に関する書類の提出が求められます。青色申告をしたいなら、青色申告の承認申請書を提出しましょう。

法人設立に関する届出には、提出期限や提出先があらかじめ決められているものがあります。なかには、法人設立後すぐの提出が必要なものもあるため、余裕をもって準備を進めましょう。

自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法

会社設立の準備から事業開始までには、多くの書類や手続きが必要になります。書類の転記をするだけでもかなりの時間がかかってしまいます。

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。設立件数50,000社以上の実績をもつfreee会社設立なら、初めての方もあんしんしてご利用いただけます。

起業ダンドリコーディネーターが完了までサポートしてくれるからあんしん!

なんとなく会社設立の流れはわかったけど、自分の場合いつまでに何をすればよい?

そんな時は設立サポートのプロ、「起業ダンドリコーディネーター」の活用がおすすめです。専任担当が、あなたのご状況をヒアリングしたうえで、今後のスケジュールをご提案。設立準備から登記後に必要な手続きまでを伴走支援します。

設立手続きに疑問や不安がある方とにかく早く手続きを進めたい方はもちろん、起業を考え始めた方もご相談可能です。

まずはお気軽に全国対応の無料オンライン面談(初回最大60分)をご予約ください。

起業ダンドリコーディネーターの詳細はこちら

入力項目・次にやること、すべて画面上で把握できる

freee会社設立では、必要項目を記入していくだけで会社設立に必要な書類を作成することができます。また、登記の際に必要となる会社印も同時に購入が可能です。


freee会社設立 入力画面

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。

会社名や資本金額など必要項目を入力すると、定款(ていかん)をはじめとする会社設立に必要な約10種類の書類を自動で作成します。

<freee会社設立で出力できる書類の一例>

  • 定款
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書 など
ほかにも、会社設立後に役所へ提出が必要な「法人設立届出書」の作成や法人口座の開設、法人用クレジットカードの申請にも対応しています。

設立にかかるコストを削減できる

設立費用を削減したい方には電子定款がおすすめです。紙の定款では、収入印紙代40,000円がかかりますが、電子定款ではこれが不要となります。

freee会社設立は電子定款にも対応しており、電子定款作成に必要な機器やソフトの準備なども必要がないため、自分で作成するよりもコストを抑えることができます。

<設立にかかる費用の比較例>


設立にかかる費用の比較例

(1)freee会計を年間契約すると、無料になります。
(2)紙定款の印紙代(40,000円)

会社設立の準備を進めながら、バーチャルオフィスの申し込みが可能!

会社設立するためにオフィスの住所が必要になります。
自宅をオフィス代わりにしている場合は、自宅の住所でも問題ありませんが、公開情報となってしまうので注意が必要です。

自宅兼オフィスのように実際の住所を公開したくない場合や、管理者や所有者に物件の法人登記が認められていない場合は、バーチャルオフィスを利用するのがおすすめです。

freee会社設立では、会社設立に必要な書類を無料で作りながら、バーチャルオフィスの申し込みもできます!
まずはこちらからfreee会社設立に無料で登録してみてください!

自分で手続きする時間のない方には「登記おまかせプラン」がおすすめ!

「初めての会社設立で不安」、「自分で手続きする時間がない」という方には、司法書士が手続きまで代行してくれる登記おまかせプランがおすすめです。

設立代行の費用相場は10万円前後ですが、freeeの登記おまかせプランは一律5万円で利用できます。※海外在留者が出資者・役員の場合等の特殊ケースを除く

登記おまかせプランの利用方法等の詳細は、freee会社設立の無料登録が完了後にメールにてご案内します。

会社設立の準備をお考えの方は、ぜひ登録無料のfreee会社設立をお試しください。

よくある質問

法人を設立する際に提出する必要がある届出とは?

法人設立時には、必ず提出しなければならない届出は、法人設立届出書です。法人設立から2ヶ月以内に、所轄の税務署へ提出します。ほかにも、事業の状況や内容に応じて提出した方がよい書類があります。

詳しくは記事内「法人設立時に届出が必要な書類」をご覧ください。

法人税の青色申告に必要な届出は?

法人が青色申告を行うには、「青色申告の承認申請書」を所轄の税務署へ提出し、承認を受ける必要があります。青色申告を行うことで、節税や経理面のメリットが得られます。

詳しくは記事内「法人税の青色申告の承認申請書」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

起業の準備はfreee会社設立でカンタン・安心

freee会社設立なら、会社設立に必要な10種類の書類を無料で作成できます!

さらに起業の検討時期から会社設立後の手続きまで、専任コンシェルジュによる無料サポートも利用可能です。
設立社数50,000社以上のfreee会社設立なら初めての方もあんしん!
まずはお気軽にご相談ください!

はじめての会社設立でもオンライン申請で完結!会社設立の準備はこちら