会社設立の基礎知識

助成金とは?補助金との違い、申請方法から注意点までわかりやすく解説【2025年最新版】

監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

事業の成長や労働環境の改善を目指す中で、「助成金」という言葉を耳にしたことがある事業主の方は多いかもしれません。しかし、「補助金とはどう違うのか」「手続きが複雑で難しそう」といった理由から、具体的な活用をためらっているケースも少なくありません。

この記事では、助成金の基本的な定義から、混同されがちな補助金・給付金との明確な違い、そして制度の目的や財源について解説します。

目次

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助成金とは

助成金とは、国や地方自治体が企業や個人事業主に対して支給する、返済不要の資金です。主に、雇用の促進や労働環境の改善といった国の政策目標を達成することを目的としており、厚生労働省が管轄する制度が多くを占めます。

助成金は、定められた支給要件を満たしていれば、原則として受給できる可能性が高いという特徴があります。

補助金・給付金との違い

助成金と混同されやすい制度に「補助金」と「給付金」があります。これらはすべて返済不要の資金ですが、その目的や性質は明確に異なります。自社にとってどの制度が適しているかを見極めるために、それぞれの違いを正確に理解することが重要です。

比較軸助成金補助金給付金
目的雇用の安定、労働環境の改善など新規事業の創出、研究開発、地域活性化など個人の生活支援、災害時の緊急支援など
管轄主に厚生労働省主に経済産業省、地方自治体など国、地方自治体
財源主に事業主が納める雇用保険料国や地方自治体の税金(予算)税金など
受給難易度要件を満たせば原則受給できる審査があり、採択件数に限りがあるため必ず受給できるとは限らない要件を満たせば受給できるものが多い
金額規模数十万円〜数百万円数百万円〜数億円規模のものもある制度により異なる
公募期間通年で募集されているものが多い短期間(数週間〜1ヶ月程度)のものが多く、予算消化で終了する場合がある制度により異なる

助成金の目的と財源

助成金制度は、国の政策目標である雇用の安定や促進、労働環境の整備などを企業に促すために設けられています。たとえば、非正規雇用の労働者のキャリアアップを支援したり、生産性を向上させつつ従業員の賃金を引き上げる取り組みを後押ししたりします。

これらの助成金の主な財源は、事業主が国に納めている「雇用保険料」です。つまり、助成金は単なる給付ではなく、雇用保険に加入し保険料を納めている事業主が、雇用の安定や職場環境の改善といった特定の取り組みを行った場合に活用できる制度という位置づけになります。

助成金を活用するメリット・デメリット

助成金は返済不要の資金として非常に魅力的ですが、活用にあたってはメリットだけでなく、注意すべき点も存在します。双方を正しく理解し、計画的に活用することが重要です。

助成金を活用する3つのメリット

助成金の活用は、単に資金的な支援を受けられるだけでなく、企業の体質強化や従業員の満足度向上といった副次的な効果も期待できます。

助成金を活用する3つのメリット

  • 返済不要の資金を事業に活用できる
  • 社内体制や労働環境の整備が進む
  • 従業員満足度の向上につながる

助成金の最大のメリットは、金融機関からの融資とは異なり、返済が不要である点です。

受け取った資金は事業の運転資金として幅広く活用できます。また、申請準備の過程で就業規則や賃金台帳などの整備が求められるため、自然と労務管理体制が見直され、職場環境の改善が進みます。労働条件が整備されることは従業員の満足度向上に寄与し、人材の定着にもつながる可能性があります。

活用前に知っておくべき3つのデメリット

助成金を円滑に活用するためには、事前に以下の点を理解しておく必要があります。

活用前に知っておくべき3つのデメリット

  • 原則として「後払い」である
  • 申請手続きに手間と時間がかかる
  • 会計上は「雑収入」として課税対象となる

助成金を円滑に活用するためには、事前に注意点を理解しておく必要があります。多くの助成金は、事業主が先に関連費用を支払い、事業完了後に支給される「後払い(精算払い)」が原則です。

そのため、一時的に費用を全額立て替える必要があります。また、事業計画の作成から実績報告まで多くの工程があり、申請手続きが負担になる可能性も考慮すべきです。さらに、助成金は会計上「雑収入」として扱われ、法人税などの課税対象となる点にも注意が必要です。

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【目的別】主要な助成金の種類一覧

厚生労働省が管轄する助成金は多岐にわたります。ここでは、スモールビジネス事業者が特に関心の高い4つの目的に分類し、代表的な助成金を紹介します。

※各助成金の詳細な要件や申請期間は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

雇用の維持・促進に関する助成金

●雇用調整助成金
景気の変動など経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を解雇せず休業などで雇用を維持した場合に、休業手当の一部を助成する制度です。

厚生労働省:雇用調整助成金

●特定求職者雇用開発助成金
高齢者や障害者、母子家庭の母など、就職が特に困難な方をハローワークなどの紹介により継続して雇用する事業主に対して、賃金の一部を助成する制度です。

厚生労働省:特定求職者雇用開発助成金

人材育成・能力開発に関する助成金

●人材開発支援助成金
事業主が従業員に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

厚生労働省:人材開発支援助成金

●キャリアアップ助成金
パートタイマーや有期雇用労働者など、非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主を支援する制度です。

厚生労働省:キャリアアップ助成金

働き方改革・職場環境の改善に関する助成金

●働き方改革推進支援助成金
生産性を向上させつつ、時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進など、労働時間の縮減に取り組む中小企業事業主を支援する制度です。

厚生労働省:働き方改革推進支援助成金

●業務改善助成金
中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。

厚生労働省:業務改善助成金

両立支援・定着促進に関する助成金

●両立支援等助成金
従業員の仕事と育児や介護との両立を支援するため、育児休業の取得促進や職場復帰支援、介護離職防止のための職場環境整備に取り組む事業主を支援する制度です。

厚生労働省:両立支援等助成金

●人材確保等支援助成金
魅力ある職場づくりのために、雇用管理制度の導入や研修制度の充実、テレワークの導入など、労働環境の向上を図る事業主を支援し、人材の確保・定着を目的としています。

厚生労働省:人材確保等支援助成金

助成金申請の基本プロセスと重要要件

助成金の申請は複雑に思えるかもしれませんが、基本的な流れと守るべき要件を正しく理解すれば、決して難しいものではありません。

ここでは、申請から受給までの具体的なステップと、すべての助成金に共通するルール、そして注意すべき点について解説します。

1. 助成金申請から受給までの5ステップ

助成金の申請から受給までの流れは、制度によって詳細は異なりますが、一般的に以下の5つのステップで進行します。

助成金申請から受給までの5ステップ

  1. STEP1:実施計画の作成・提出
    ・誰が:事業主
    ・何を:申請したい助成金の要件に沿った「実施計画」を作成します。
    ・どこへ:管轄の労働局やハローワークなど、制度ごとに定められた機関へ提出します。
  2. STEP2:計画の実施
    ・誰が:事業主
    ・何を:提出し、認定された計画に沿って、従業員の処遇改善や設備の導入などの取り組みを実際に実施します。多くの助成金は後払いのため、この時点での費用は事業主が一時的に立て替えます。
    ・どこで:自社の事業所内など
  3. STEP3:支給申請
    ・誰が:事業主
    ・何を:計画期間が終了した後、取り組みの実績をまとめた報告書や経費の支払いを証明する書類などを揃えて「支給申請」を行います。
    ・どこへ:実施計画を提出した機関と同じ窓口へ提出します。
  4. STEP4:審査
    ・誰が:労働局などの審査機関
    ・何を:提出された書類の内容が計画と一致しているか、要件を満たしているかなどを審査します。必要に応じて、書類の追加提出や事業所への実地調査が行われることもあります。
    ・どこで:審査機関内
  5. STEP5:受給
    ・誰が:事業主
    ・何を:審査で支給が決定されると、指定した金融機関の口座へ助成金が振り込まれます。申請から受給までには数ヶ月から1年近くかかる場合もあります。
    ・どこで:指定の金融機関口座

2. 全ての助成金に共通する支給要件

個別の助成金の内容に関わらず、申請する事業主は以下の共通要件を満たしている必要があります。

全ての助成金に共通する支給要件

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること。
  • 支給のための審査に協力すること(書類の整備・保管、実地調査への対応など)。
  • 申請期間内に申請を行うこと。
  • 適切な労務管理を行っていること(賃金台帳や出勤簿の整備、未払い賃金がないことなど)。

3. 助成金が支給されない主なケース

以下のいずれかに該当する場合、助成金は支給されません。申請前のセルフチェックが重要です。

助成金が支給されない主なケース

  • 支給申請日の属する年度より前のいずれかの年度において、労働保険料を納めていない。
  • 過去5年以内に、助成金の不正受給を行った、または関与した役員等がいる。
  • 過去1年以内に、労働関係法令の違反があった。
  • 性風俗関連営業や、接待を伴う飲食等営業を行っている。
  • 事業主や役員等が、暴力団と関係がある。
  • 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している。

助成金申請をスムーズに進めるために

助成金申請のプロセスや要件を理解した上で、次に重要となるのが、申請をいかに円滑に進めるかという点です。ここでは、日頃からの備えとして特に重要な2つのポイントを解説します。これらを意識することが、結果的に助成金活用の成功率を高めることにつながります。

普段からの労務管理を徹底する

助成金の申請において、就業規則や出勤簿、賃金台帳といった書類の提出は必須です。これらは、助成金申請のためだけに急いで準備するものではなく、本来、企業として日頃から適切に整備しておくべきものです。

付け焼き刃の対策では、書類の不備や整合性の欠如が生じ、審査の過程で問題となる可能性があります。普段から労働関係法令を遵守し、従業員の労働時間を正確に管理し、適正な賃金を支払うといった健全な事業運営を徹底することが、結果的にスムーズな助成金活用への一番の近道となります。

専門家(社会保険労務士など)への相談も検討する

助成金の種類は多岐にわたり、それぞれ要件や申請手続きが複雑です。自社だけで全ての情報を収集し、正確に手続きを進めることが大きな負担となる場合も少なくありません。

そのような場合は、助成金申請の専門家である社会保険労務士などに相談することも有効な選択肢です。

専門家に依頼することで、自社に最適な助成金の選定から、煩雑な書類作成、行政機関とのやり取りまでを代行してもらうことが可能です。手数料は発生しますが、申請にかかる時間と労力を大幅に削減し、より確実な受給につなげることができます。

まとめ

助成金は、雇用の安定や労働環境の改善など、国の政策に沿った取り組みを行う事業主を支援する返済不要の資金です。制度ごとに支給要件や申請プロセスが異なるため複雑ですが、事業主は各助成金の制度を正しく理解し、計画的に活用することが重要です。

助成金の申請をスムーズに進めるためには、普段からの適切な労務管理が不可欠です。また、自社での申請が難しい場合は、社会保険労務士などの専門家といった外部リソースを活用することも有効な選択肢となります。

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よくある質問

助成金とはどういうものですか?

助成金とは、国や地方自治体が企業や個人事業主に対して支給する、返済不要の資金のことです。

主な目的は、雇用の促進や労働環境の改善を支援することであり、厚生労働省が管轄する制度が多くを占めます。詳しくは「助成金とは」で解説しています。

助成金は誰でももらえるものですか?

誰でももらえるわけではありません。助成金は、定められた支給要件を満たしていれば、原則として受給できる可能性が高い制度です。

しかし、雇用保険に加入していなかったり、労働保険料を滞納していたり、過去に労働関係法令に違反していたりする場合は支給されません。詳しくは「助成金申請の基本プロセスと重要要件」で解説しています。

参考文献

監修 好川寛(よしかわひろし)

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

監修者 好川寛

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