監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

払込証明書は、会社設立の登記申請を行う際に、資本金が確かに払い込まれたことを証明するために提出する重要な書類です。正式には「払込みがあったことを証する書面」と呼ばれます。
この書類の作成にあたっては、払込金額や払込日といった記載項目を正確に記入し、通帳のコピーなどの適切な添付書類を用意する必要があります。内容に不備があると登記申請が受理されず、会社設立手続きが遅れる原因にもなりかねません。
本記事では、払込証明書の具体的な書き方、法務局が提供するテンプレートの入手先、作成時の注意点、必要な添付書類について詳しく解説します。
目次
- 払込証明書は会社設立登記に必要な書類
- 払込証明書とは「払込みがあったことを証する書面」
- 払込証明書のテンプレート
- 払込証明書の書き方
- 1.設立時発行株式数
- 2.払い込みを受けた金額
- 3.払込日
- 4.会社名(商号)
- 5.印鑑の押印規定の見直し
- 払込証明書に添付する書類
- 銀行通帳のコピー
- 通帳以外に添付が認められている書類
- 払込証明書を作成する際の注意点
- 払込日を正確に記載する
- 定款の内容と一致させる
- 資本金払い込み後に登記申請を行うための手順
- 1.資本金の払込確認
- 2.払込証明書の作成
- 3.登記申請書の作成
- 4.法務局への登記申請
- 5.登記完了後の確認
- まとめ
- 自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
- よくある質問
払込証明書は会社設立登記に必要な書類
払込証明書は、会社設立時に資本金が適切に払い込みされたことを証明する重要な書類です。法務局は、会社の設立手続きの際に、添付された払込証明書で資本金の払込状況を確認します。
払込証明書がないと登記手続きは進められず、会社設立が完了しないため、非常に重要な役割を果たします。
払込証明書とは「払込みがあったことを証する書面」
払込証明書は、正式には「払込みがあったことを証する書面」と呼ばれています。
書面には、資本金の額・振込日・会社名・払い込みが行われた銀行口座情報など、資本金の払い込みに関する詳細が明示されており、法務局で商業登記に使用する書類です。
払込証明書のテンプレート
払込証明書を一から作成するのは大変ですが、法務局のウェブサイトで提供されているテンプレート(様式・記入例)を活用すると便利です。
株式会社や合同会社など、設立する会社形態に応じた登記申請書全体の記入例の中に、払込証明書の様式と具体的な書き方が含まれています。

テンプレートを利用すれば、円滑に会社設立登記を進められます。
払込証明書の書き方
払込証明書は、払込情報の正確な記載が求められる書類です。ここでは、払込証明書の書き方を項目別に解説します。
1.設立時発行株式数
まず、会社設立時に発行された株式の数を記載します。株式数は、定款に記載されている内容と一致させる必要があり、設立時に100株発行したならば「100株」と記入しましょう。
2.払い込みを受けた金額
次に、払い込みがあった資本金の正確な金額を記載します。定款の資本金額と一致している必要があり、資本金が100万円ならば「100万円」と記入してください。
記載内容が一致しないと登記手続きが遅れる可能性があるため、注意が必要です。
3.払込日
資本金が払い込みされた日付の記載が必要です。通常、会社設立の前に指定の銀行口座に資本金が入金されるため、その入金日を記入します。
払込日は、実際の振込日と一致している必要があるため、振込履歴を確認しましょう。
4.会社名(商号)
設立する会社の商号(会社名)を、会社設立者や発起人の氏名も含めて記載します。商号は、定款に記載されている正式な名称の記入が必要です。
5.印鑑の押印規定の見直し
令和3年1月29日付の通達により、法務局に提出する申請書や添付書類への押印規定が見直されました。そのため、払込証明書は会社実印の押印不要な書面のひとつです。
なお、従来通り押印を行っても問題はありませんが、押印する場合は、印鑑登録をしていない印鑑を使用すると申請が却下されるため、注意が必要です。
出典:法務局「法務省民商第10号令和3年1月29日」
払込証明書に添付する書類
会社設立時には、資本金が確実に払い込みされたことを証明するため、銀行口座への振込を確認できる書類の添付が必要です。ここでは、払込証明書を提出する際に、一緒に添付する書類を紹介します。
銀行通帳のコピー
払込証明書の添付書類には、銀行通帳のコピーを添付するのが一般的です。
申請に際しては、銀行通帳に記載されている「銀行名」「口座名義」「払い込みの詳細情報」などの情報が必要です。具体的には、通帳の表紙のコピー1部と、払込金額・日時・振込元・振込先が記載されたページのコピーを1部用意します。
法務局には、払込証明書と銀行通帳の表紙、払込情報(払込金額・日時・振込元・振込先が記載されたページ)をまとめて提出します。
通帳以外に添付が認められている書類
銀行通帳以外にも、振込が行われたことを証明できる書類の添付が許可されています。
いずれの書類も、「払込先金融機関」「口座名義人」「振込日」「振込金額」といった情報が記載されているかを確認してから提出してください。
取引明細書
銀行通帳が手元にない場合や、インターネットバンキングを使用した場合には、取引明細書のコピーでも払い込みの証明が可能です。
また、インターネットバンキングの場合は、振込完了画面のスクリーンショットの提出も可能です。
取引履歴照会票
銀行口座の過去の入出金取引を記録した書類です。特定の期間における振込や引き出しの履歴を一覧で確認でき、資金の入出金記録を確認できます。
払込金受取書
払い込みがあった資本金の金額や払込日が記載されている書類で、資本金が正しく入金されたことを確認できます。
払込証明書を作成する際の注意点
払込証明書を作成する際には、払込日の記載などで重要な注意点があります。
払込日を正確に記載する
払込証明書に記載する「払込日」は、資本金全額の払い込みが完了した日付ですが、この日付は公証役場で定款の認証を受けた日以降である必要があります。
認証日より前に資本金の払い込みを受けていると、法務局から書類の修正や再提出を求められる可能性があります。
さらに、資本金の振込が複数回に分けて行われた場合は、それぞれの日付を記載してください。
定款の内容と一致させる
払込証明書に記載する以下の項目は、定款の記載内容と完全に一致している必要があります。
- 設立時発行株式総数
- 払い込みを受けた金額(資本金の額)
- 会社名(商号)
特に、資本金の金額や会社の名称(商号)に誤りがないかを確認してください。少しでも記載が異なると、法務局で書類の訂正や再提出を求められる可能性があります。作成時には必ず定款の写しを手元に置き、照合しながら正確に記入しましょう。
資本金払い込み後に登記申請を行うための手順
資本金の払い込み後に登記申請を行う際の手順は以下のとおりです。
法人登記申請の手順
- 資本金の払込確認
- 払込証明書の作成
- 登記申請書の作成
- 法務局への登記申請
- 登記完了後の確認
以下では、申請手順を項目別に詳しく解説します。
1.資本金の払込確認
まず、資本金が指定の銀行口座に正しく振り込まれたかを確認します。資本金は、会社設立者(発起人)によって設立前に払い込みがあるため、銀行通帳かインターネットバンキングを利用して振込が完了しているかの確認が必要です。
特に、払込金額が定款に記載されている資本金額と一致しているかを確認することが大切です。この確認をしっかり行うことで、後の登記申請がスムーズに進行できます。
2.払込証明書の作成
資本金の入金が確認できたら、次に払込証明書を作成します。証明書には払込金額や払込日といった情報を正確に記載し、資本金の払い込みを証明するために振込明細書や通帳のコピーなどの添付が必要です。
さらに、会社設立者や代表取締役の署名を忘れずに行い、払込証明書の内容が定款や他の添付書類と一致しているか、最終確認を行いましょう。
3.登記申請書の作成
払込証明書の作成と並行して、登記申請書の作成も進めます。登記申請書には、会社名(商号)・本店所在地・資本金の額・役員の氏名と住所といった記載が必要です。
このとき、定款・払込証明書・役員の就任承諾書・印鑑証明書など、必要な書類を揃えます。作成した登記申請書と添付書類の内容に誤りがないか、特に資本金の額や設立者の情報にミスがないかを確認してください。
4.法務局への登記申請
登記申請書と必要書類を揃えたら、会社の所在地を管轄する法務局に提出します。代表的な提出方法は、法務局窓口への直接持ち込みや郵送があり、郵送の場合は書留や簡易書留を利用して書類が確実に届くようにします。
また、会社側がオンラインで登記申請が可能な環境である場合は、電子申請システムの利用も可能です。この際、電子署名が必要になるため、事前に社内で準備を整えておくことが必要です。
登記申請書を提出した後、法務局での審査が行われ、問題がなければ登記が受理されます。
5.登記完了後の確認
商業登記が完了すると、法務局から「登記完了証」が交付されます。登記完了通知を受け取ったら、商号、資本金、代表者の氏名などが正しく反映されているかを確認するため、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得してください。
登記が完了した後は、会社の銀行口座の開設や事業開始に向けて必要な手続きを進めていきます。
まとめ
払込証明書は、会社設立時に資本金が、適切に払い込みがあったことを証明する必須の書類です。不備があると法務局で受理されないため、資本金の金額や払込日などの正確な記載が求められます。
また、払込証明書に加えて、銀行通帳のコピーや取引明細書といった証拠書類も必要です。テンプレートを活用し、定款と内容が一致しているか確認しながら、丁寧な作成を心がけてください。
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払込証明書の書き方と注意点は?
払込証明書には、払い込みを受けた口座情報、払込金額、払込日などを正確に記載します。
払込証明書の書き方を詳しく知りたい方は、「払込証明書の書き方」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。
