監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

会社を設立するには、法務局で設立登記を申請し、会社の基本情報(商号・本店所在地・役員など)を登記簿に登録する必要があります。これにより、会社が法的に存在していることを公に示すことができます。
法務局での手続きは、会社設立前に行う「設立登記の申請」や「会社印の登録」と、会社設立後に行う「印鑑カードの取得」や「各種証明書の交付請求」に大別されます。
本記事では、これらの法務局で行うべき手続きについて、必要な書類や手順、注意点を設立前と設立後に分けて詳しく解説していくので、会社設立をスムーズに進めるために、ぜひ参考にしてください。
会社設立の流れに関して、最新情報は以下の記事にまとめています。
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目次
会社設立前に法務局でやるべき手続き
会社の設立前に法務局でやるべき手続きは「設立登記の申請」と「会社印の登録」です。これらの手続きは同時に行うことができます。
設立登記の申請
設立登記の申請を行い、国が管理する「登記簿」に会社の情報を登録します。登記を行うことにより、会社の具体的な情報を公示することが可能です。設立登記に際して必要になる書類は会社の形態によって異なりますが、一般的には以下のものが必要です。
必要書類 | 内容 |
---|---|
登記申請書 | 法務局に申請する書類 |
登録免許税納付用台紙 | 収入印紙を貼り付けた用紙 |
定款 | 会社の根本原則を記載した書類 |
発起人の決定書 | 本店所在地が決定されたことを証明する書類 |
設立時取締役の就任承諾書 | 取締役に就任したことを承諾した書類 ※合同会社は提出なし |
設立時代表取締役の就任承諾書 | 設立時に代表取締役に就任することを承諾した書類 ※合同会社の場合は「代表社員の就任承諾書」 |
設立時取締役の印鑑証明書 | 設立時の取締役全員分の印鑑証明書 ※合同会社の場合は「代表社員の印鑑登録証明書」 |
資本金の払込みがあったことを証する書面 | 資本金を支払ったことが証明できる書類 |
印鑑届出書 | 会社が使用する印鑑を届け出るための書類 |
「登記すべき事項」を記載した書面 もしくは保存したCD-R | 会社設立時に登記簿に登録するために提出する書類 |
書類が提出できる法務局の窓口の対応時間は、平日の午前8時30分から午後5時15分です。管轄の法務局は、法務局ウェブサイト内の「管轄のご案内」のページから確認できます。
なお、登記申請はオンラインでも可能で、こちらは平日の午前8時30分から午後9時まで対応しています。オンラインの場合、法務省の申請用のソフトウェア(申請用総合ソフト)からPDFなどで必要書類を添付のうえ、申請を行います。
出典:法務局「法務局の窓口対応時間について」 出典:法務局「オンライン申請のご案内」 出典:法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」
会社印の登録
設立登記の申請とあわせて、会社印の登録も行います。商業登記規則の定めによると、会社の実印として認められる印鑑の大きさは、「辺の長さが1cm~3cmの正方形に収まるもの」です。規定の印鑑を用意し、「印鑑届書」に押印して提出しましょう。
なお、「設立登記の申請」と「会社印の登録」の申請先となるのは、本社の所在地を管轄する法務局(登記所)です。申請先を間違えると受理してもらえないので、事前に法務局のホームページなどで管轄区域を確認してからお出かけください。
設立登記の申請や印鑑届書が受理された後は、1週間ほどで登記が完了します。会社が設立されたら税務署やハローワーク、地方自治体、年金事務所などに必要な届出を行い、会社の運営をスタートさせましょう。
会社設立後に法務局でやるべき手続き~印鑑カード編~
設立登記が無事完了したら、次に法務局で印鑑カードを取得します。また、今後の会社運営で必要となる印鑑証明書や登記事項証明書も法務局で取得できます。
まずは、印鑑証明書の取得に必要となる印鑑カードの取得方法から見ていきましょう。
印鑑カードを取得する
印鑑カードとは、国に届け出た「会社の実印」の正当な所持者であることを証明するカードです。会社の印鑑証明書の請求に必要になるため、会社を設立したら速やかに法務局に「印鑑カード交付申請書」を提出し、交付を受けましょう。「印鑑カード交付申請書」は、登記を受け付けている各法務局の窓口や、法務局のホームページにて取得できます。
なお、「印鑑カード交付申請書」の提出先は、設立登記を申請した法務局となります。提出方法は窓口での提出と郵送がありますが、窓口で提出した場合は即日の受け取りが可能です。お急ぎの方は窓口の利用をおすすめします。
印鑑カード交付申請書の書き方
印鑑カード交付申請書には、以下の項目などを記入・押印します。
- 商号(会社名)
- 本店(会社の住所)
- 印鑑提出者(代表取締役など、印鑑を届け出た人)の資格・氏名・生年月日
- 会社法人等番号(設立登記完了後に付与される12桁の番号)
- 申請人の住所・氏名
- (該当する場合)代理人の住所・氏名(委任状欄)
押印は、法務局に届け出た会社の実印(会社代表印)が必要です。
代表者本人以外(従業員など)が窓口で申請・受け取りを行う場合は、申請書下部の「委任状」欄への記入も忘れずに行いましょう。
会社設立後に法務局でやるべき手続き~各証明書の交付編~
印鑑カードを作成したら「印鑑証明書」の交付を受けます。あわせて「登記事項証明書」を交付してもらうことで、法務局に出向く手間を省くことができるため、取得をおすすめします。
交付の請求先はどこの法務局でもかまいません。
印鑑証明書の交付の受け方
最寄りの法務局に「印鑑証明書交付申請書」を提出し、印鑑証明書の交付を受けます。証明書1通につき450円の手数料が必要です。
加えて「印鑑カード」の提示が必要になるため、忘れずにもって行くようにします。
登記事項証明書の交付の受け方
最寄りの法務局に「登記事項証明書交付申請書」を提出し、登記事項証明書の交付を受けます。証明書1通につき600円の手数料がかかります。
オンラインや郵送での交付申請も可能
各証明書の交付申請は、郵送やオンラインで行うことも可能です。郵送の場合は必要書類と返信用封筒(切手を貼り付けたもの)を同封のうえ、書留などで最寄りの法務局に郵送します。オンラインの場合は「登記・供託オンライン申請システム」から申請できます。
ちなみにオンラインでの請求では交付手数料が安くなるほか、平日の21時まで申請ができるメリットがあります。「窓口で長く待ちたくない人」「法務局の取扱時間に出かけられない人」におすすめです。
まとめ
法務局でやるべき手続きを会社設立時と会社設立後に分けてご紹介しました。会社の設立に際して、法務局には何度も足を運ぶことになります。あらかじめ必要になる手続きを把握しておき、効率的に申請を行えるようにしてみてください。
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よくある質問
会社設立のときの法務局への提出書類は?
会社設立の法人登記の際には以下の書類が必要です。
法人登記で必要なもの
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の印鑑証明書
- 資本金の払込みがあったことを証する書面
- 印鑑届出書
- 「登記すべき事項」を記載した書面
- もしくは保存したCD-R
会社設立のときの法務局への提出書類を詳しく知りたい方は「設立登記の申請」をご覧ください。
会社設立のときはどこの法務局に申請すればよい?
本社の所在地を管轄する法務局(登記所)で申請が可能です。管轄の法務局は、法務局ウェブサイト内の「管轄のご案内」のページから確認できます。
法務局で会社設立の手続きの相談はできる?
全国の法務局で、登記手続きに関する専門的な知識をお持ちでない方に向けて、登記申請書の作成などに必要な情報の提供(登記手続案内)が行われています。
登記手続案内は1回あたり20分以内の完全予約制で、案内方法は以下のいずれかを選べます。
登記手続きの案内方法
- 電話
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監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。
