最終更新日:2021/12/14
監修 永田 智哉 行政書士

会社を設立する際に考慮すべきテーマのひとつが費用の問題です。個人事業主であれば、開業届を税務署へ提出するだけで事業を開始でき、法的に必要な費用なども特にありませんが、対して会社設立では資本金・法定費用・社会保険料などさまざまな費用がかかります。
この記事では、会社の設立前後で必要となる費用についてまとめました。また、この記事の内容は動画でも解説しています。動画で知りたい方は以下よりご覧ください。
目次
会社設立に必要な法定費用
法定費用とは、会社を設立するために法務局や公証役場をはじめとした各役所に支払う費用をいいます。
法定費用は設立する会社形態によって異なり、株式会社と合同会社で比較すると、以下のようになります。
株式会社 | 合同会社 | |
定款用収入印紙代 | 40,000円 (電子定款では不要) |
40,000円(電子定款では不要) |
定款の認証手数料 | 50,000円(*) | 0円 |
定款の謄本手数料 | 約2,000円 (250円/ページ) |
0円 |
登録免許税 | 150,000円 または 資本金額 × 0.7% どちらか高い方 |
60,000円 または 資本金額 × 0.7% どちらか高い方 |
合計 | 約250,000円〜 | 約100,000円〜 |
(*)2022年1月1日から、定款の認証にかかる手数料が以下に変更されます。
・資本金100万円未満:30,000円
・資本金100万円以上300万円未満:40,000円
・資本金300万円以上:50,000円
それぞれの費用について、詳しく解説していきます。
定款用収入印紙代
定款(ていかん)とは、会社の根幹となる規則のことです。定款を紙で作成した場合、印紙税法により収入印紙代が40,000円かかります。
定款は紙媒体だけではなく、pdfファイルで作成することも可能です。これを電子定款(でんしていかん)といいます。
電子定款の場合はこの収入印紙代が不要になりますが、作成するために必要なソフトや機器を揃えるための費用はかかります。また、専用ソフトを使っての手続きも煩雑なため、司法書士や行政書士等の専門家に依頼するケースも多く、その場合はその依頼費用も必要となります。
以下の記事では、費用を抑えつつ専門家に電子定款の作成を依頼する方法についても紹介しているので、あわせてご参考ください。
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定款の認証費用・謄本手数料
株式会社を設立する場合は、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。定款は、改ざんや紛失・内容の真偽をめぐる紛争などを防ぐ目的で、公証人にその正当性を証明してもらう必要があります。
公証人手数料令35条により、定款の認証にかかる費用は50,000円です。同時に、登記時に必要な定款の謄本を作成してもらう必要があるため、その費用もかかります。謄本は1ページ250円で、平均2,000円程度です。
合同会社をはじめとする持分会社の場合は定款認証が必要ないため、この費用がかかりません。
参考:e-GOV 法令検索「公証人手数料令」
なお、2022年1月1日から定款の認証にかかる手数料が以下に変更されます。
・資本金100万円未満:30,000円
・資本金100万円以上300万円未満:40,000円
・資本金300万円以上:50,000円
定款の作成方法や認証方法を知りたい方はこちら

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登録免許税
会社の設立時にかかる登録免許税とは、登記の際に国に支払わなければならない手数料のようなものです。登録免許税の算出方法は以下のとおりです。
登録免許税の算出方法
- 株式会社:資本金額×0.7% または 150,000円 のどちらか高い方
- 合同会社:資本金額×0.7% または 60,000円 のどちらか高い方
- 合名会社・合資会社:申請件数×60,000円
引用:国税庁「会社の商業登記(主なもの)」
登録免許税は下限額が決まっており、株式会社150,000円、合同会社60,000円が最低でもかかります。資本金額が大きければ大きいほど、登録免許税も高くなっていきます。
簡単に計算をすると、株式会社の場合は約2,140万円未満、合同会社は857万円未満の資本金に設定すると最低金額の登録免許税で済みます。
会社設立時の費用を安く済ませたい方は、登録免許税も考慮して資本金額を決めるとよいでしょう。
会社設立後に必要となる費用
ここまでで説明してきたのは「登記手続き」にかかる費用ですが、会社設立時に必要な費用には、ほかに以下のようなものがあります。
社会保険料
会社を設立したら社会保険の加入は原則必須です。未加入が続くと過去最大2年間までさかのぼって徴収されたり、罰則の対象になる可能性もありますので、会社設立後は加入手続きを忘れずにおこないましょう。
社会保険について詳しく知りたい方はこちら

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オフィスの家賃・備品
オフィスを借りた場合は毎月家賃は発生しますし、PCやインターネット回線、名刺など必要な備品をいちから揃えるとなると一定の費用がかかってきます。
会社設立時から従業員を雇用している場合は、そのぶん設備投資額も増えるでしょう。
税金
会社を設立すると以下の税金を納めなければなりません。
- 法人税
- 法人住民税(都道府県税・市区町村税)
- 法人事業税
- 消費税
- 固定資産税 など
税金は国に納める国税と、都道府県または市区町村に納める地方税に区分されます。
上記の税金は「法人税」「消費税」が国税、「法人住民税」「法人事業税」「固定資産税」が地方税に分類されます。
法人の場合は赤字経営だったとしても一定の税金を納めなければなりません。
税金について詳しく知りたい方はこちら

個人事業主と法人それぞれにかかる税金の種類を詳しく解説します。事業を始めようとしている方は税金の種類や仕組みを理解しておきましょう。...
設立費用ではなく目的に沿って会社の形態を選びましょう
上述したとおり、合同会社であれば最低100,000円程度の費用で会社を設立できる一方、 株式会社は「登録免許税」と「定款認証の手数料」が加算されるため、150,000円ほど高くつきます。
ただし、「費用を低く抑えられるから合同会社を設立しよう」という選択するのではなく、あくまでも会社の目的や組織体制などを踏まえて、最適な企業形態を選ぶことが大切です。
設立時に余分なコストを節約するだけでなく、実際に事業を運営するといくらかかるのか、しっかりと事業計画を立てて検討しましょう。詳細な計画作りは、単純に費用を下げられるというだけでなく、創業融資の審査通過や事業の成功確率を上げていくうえでも重要です。
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会社設立にかかるコストを削減する方法
会社を設立する際には、必ず発生する法定費用や資本金、備品の購入などさまざまな場面で費用がかかります。登録無料のfreee会社設立を利用すれば、設立書類を無料で作成・出力でき、設立にかかるコストだけでなく、手間も削減することができます。
設立件数30,000社以上の実績をもつfreee会社設立なら、初めての方もあんしんしてご利用いただけます。
freee会社設立でどのくらいコスト削減できる?
<会社設立にかかる費用例>

(1)freee会計を年間契約すると、無料になります。
(2)紙定款の印紙代(40,000円)
設立費用を削減したい方には電子定款がおすすめです。紙の定款では収入印紙代に40,000円がかかりますが、電子定款ではこれが不要となります。
しかし、自分で電子定款を作成する場合は専用の機器やソフトを購入しなければいけません。全てを一から揃えるとそれなりの費用がかかってしまいます。また、申請ソフトも初めての方には少し難しいため、申請に手間もかかってしまいます。
freee会社設立では、電子定款を作成するための専用機器などの準備は不要です。そのため約35,000円のコストを削減することができます。
会社設立に必要な書類を無料で作成可能!
定款のほかにも会社設立には約10種類の書類が必要になります。それぞれテンプレートを入手し、内容を記載していくだけでもかなりの時間がかかってしまいます。
freee会社設立では、必要事項を入力するだけで簡単に書類を作成することができます。
<freee会社設立で作成できる書類の一例>
- 定款
- 登記申請書
- 印鑑届出書 など
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初めての会社設立では、書類の書き方や提出先、設立後の手続きなどさまざまな場面で不安を抱えてしまうこともあるでしょう。
freee会社設立では、会社設立に詳しいコンシェルジュが常駐しており、設立準備から登記後に必要な手続きまでを並走・サポートします。
相談方法は電話・チャット・メールの3種類から選べます。事前に問い合わせフォームから予約も可能なので、ご自身のスケジュールに合わせて設立手続きをすすめることができます。
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監修 永田 智哉 行政書士
個人で事務所を開業し、事業者様向けには法人の設立や補助金に関するサービスを、個人のお客様には遺言や相続関連のサービスを提供させて頂いております。また、法人/個人事業者を問わず、『SDGs』の経営への戦略的導入に関するコンサルティング業務も行っております。
