会社設立の基礎知識

執行役員とは?取締役や執行役との違いから導入方法や設置のメリットまで解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

執行役員とは?取締役や執行役との違いから導入方法や設置のメリットまで解説

執行役員とは、取締役によって決められた事業方針にしたがって業務を遂行する事業運営の責任者です。従業員のなかでは最上位の役職とされ、役員と従業員をつなぐ役割も果たします。

本記事では、執行役員と取締役・執行役の違いや、執行役員がもつ権限を解説します。執行役員制度を導入する方法やメリット、注意点も紹介するので、参考にしてください。

目次

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執行役員とは事業運営責任者のこと

執行役員とは、事業運営責任者のことです。取締役が決定した運営方針にしたがって、業務を遂行する役割を担います。執行役員は従業員のなかではもっとも上位にあり、従業員と役員をつなぐ立ち位置です。

なお、執行役員は会社法上で設置を義務付けられている役職ではないため、執行役員のいない企業も多数存在します。

取締役・常務・専務・社長との違い

企業によって役職の名称や立場は異なりますが、以下の順番で定められていることが一般的です。

一般的な役職の順位

  1. 会長
  2. 社長(代表取締役、代表取締役社長、CEO)
  3. 専務(専務取締役)
  4. 常務(常務取締役)
  5. 取締役
  6. 会計参与
  7. 執行役員
  8. 部長

会長は社長引退後の名誉職を指すこともあれば、実際に企業のトップとして権限をもつ役職を指すこともあります。その次に社長や専務、常務などの取締役が続きます。

取締役と会計参与および、取締役と会計参与の職務執行を監査する役割の監査役は、会社法上の役員です。執行役員以下はいずれも従業員となります。

執行役との違い

執行役とは、指名委員会等設置会社(指名委員会・監査委員会・報酬委員会を置く株式会社)に設置される役職です。会社法上の役員ではありませんが、取締役からの委任を受けて業務執行の決定などを行う役割を果たします。

執行役員は業務執行を担う役割ですが、執行役は業務執行を決定する役割であるため、指示系統では執行役が上、執行役員が下です。

なお、執行役は、取締役会が行うべき権限を担います。しかし、経営方針や株主総会の議案などの決定権は、執行役に委任されることはありません。

役員との違い

会社法では、役員とは取締役・監査役・会計参与を指します。執行役員は「役員」という名称がつきますが、会社法上の役員ではなく従業員です。

執行役員制度とは?

執行役員制度とは、執行役員を配置し、経営と実務を分ける制度です。会社の規模にもよりますが、執行役員を配置することで効率的な経営を実現できることがあります。

執行役員の人数

執行役員は会社法に定められた役職ではないため、配置する人数に明確な基準はありません。会社規模や事業数・部署数により、企業にとって必要と思われる人数を自由に決められます。

執行役員の任期・定年

執行役員の任期も、特に決まりはありません。ただし、執行役員ごとに任期が異なると不公平感を生む可能性があるため、企業内で任期を制定するほうがよいでしょう。

執行役員の定年は従業員の定年と同じですが、長期にわたって執行役員を務めるほうがよいと思われる場合は、あらかじめ執行役員の定年をほかの従業員の定年より長く定めることも可能です。

執行役員の年収

労務行政研究所の調査によれば、従業員身分の執行役員の平均年間報酬は1,593万円です。企業規模によっても年間報酬の平均値は異なり、規模が大きくなるほど高額になる傾向があります。

また、執行役員のなかには経営に携わるケースもあります。同調査によれば、常務と執行役員を兼ねる常務執行役員の平均年間報酬は2,246万円、専務執行役員の平均年間報酬は3,058万円でした。

出典:労務行政研究所「2023年役員報酬・賞与等の最新実態」

執行役員制度を導入するメリット

執行役員制度を導入すると、業務効率や育成などさまざまな面でメリットがあります。主なメリットは次の通りです。

執行役員制度を導入するメリット

  • 経営と実務を分業できる
  • 後継者を育成できる
  • 給与を経費にできる

経営と実務を分業できる

執行役員を配置すると、本来、取締役が担当する実務を執行役員に任せられます。取締役の負担軽減を図れるだけではなく、実務の迅速化にもつながるでしょう。

また、経営と実務を分業することで、取締役会が経営の意思決定をする専門機関として独立します。役員が実務に追われることがなくなり、経営に専念できるのもメリットです。

後継者を育成できる

一般従業員として働くだけでは、経営に関する実務経験を積むことは困難です。将来の役員や後継者としてふさわしい人材を執行役員に任命して経験を積ませることで、将来の後継者育成ができます。

実際に、人材育成の一環として執行役員制度を導入する企業も少なくありません。従業員の立場でありながら経営者の目線も理解できるようになるため、より多面的な視点をもった人材に育成できます。

給与を経費にできる

従業員身分の執行役員ならば、執行役員の給与や賞与は経費算入が可能です。

また、常務執行役員や専務執行役員のように執行役員が従業員ではない場合も、事前に税務署に届出をしているなど要件を満たしていれば、報酬を経費算入できます。

執行役員制度を導入するデメリット

執行役員制度にはデメリットもあります。主なデメリットには、次の点が挙げられます。

執行役員制度を導入するデメリット

  • 社内の序列や指示系統が不明瞭になる可能性がある
  • 意思決定のスピードが落ちる可能性がある

いずれも、執行役員制度を導入する前に対策を検討することが大切です。

社内の序列や指示系統が不明瞭になる可能性がある

従業員身分の執行役員は会社法上の役員ではありませんが、企業にとって重要な役割を担っています。

また、常務執行役員や専務執行役員などの取締役兼執行役員の場合もあり、社内における執行役員の立ち位置がわかりにくいと感じる従業員もいるかもしれません。

意思決定のスピードが落ちる可能性がある

現場の状況が共有できていない場合、本来は取締役の業務である業務執行を執行役員に任せることで、取締役の意思決定のスピードが落ちる可能性があります。

また、取締役が現場を把握せずに意思決定をすることにもつながり、意思決定の精度が落ち、業績が低下する可能性もあります。

執行役員制度を導入する手順

執行役員制度は、必ず導入しなくてはいけない制度ではありません。導入の手順も会社法で定められてはいないため、各企業が独自に導入できます。

一般的な手順を解説します。

1 取締役会を開催する

執行役員は取締役をサポートする立場のため、通常は取締役会がある会社で導入されます。その場合は、取締役会を開催し、執行役員制度の導入を議題とすることから始めます。

2 執行役員規定を作成する

次に執行役員の任期や契約形態、報酬などを決めます。契約形態は主に次の2つがあります。

執行役員の契約形態

  • 雇用型:従業員として雇用される
  • 委任型:執行役員として委任される

雇用型の場合、執行役員は企業と雇用契約を結びます。

委任型の場合は委任契約を結び、執行役員と委任者は対等な立場となることが一般的です。従業員のなかから執行役員を任命せず、外部の人材を執行役員として招聘するときに委任型が選択されることがあります。

3 執行役員選任辞令を交付する

執行役員候補が条件を受諾した場合は、執行役員選任辞令を交付します。

なお、雇用型の場合は、雇用保険や労災保険の加入が必要です。外部人材を執行役員として雇用する場合は、雇用保険・労災保険の加入手続きを行いましょう。

執行役員の選び方

執行役員は従業員や取締役のなかから選ぶこともできますが、リファラル採用やダイレクトリクルーティングなどで外部人材から選ぶ方法もあります。

執行役員には、次の経験・能力があることが望ましいとされています。

執行役員に求められる経験・能力

  • 経営経験
  • コミュニケーション能力
  • 業務遂行能力

後継者候補として執行役員を任命したい場合は、経営者としての資質を備えていることも求められます。執行役員に求める資質や任期終了後の選択肢によって、適切な人材を選びましょう。

まとめ

執行役員を配置することで、経営陣の負担を軽減できるだけではなく、経営と実務を明確に分けられるようになります。よりスピーディーに業務を執行できることもあるため、取締役の負担が大きい企業や業務スピードに課題を抱える企業は、執行役員の配置を検討してもよいかもしれません。

ただし、取締役が実務に関与しにくくなることで、意思決定のスピードが低下したり、現場を反映した指示ができなくなったりすることもあります。また、執行役員の立ち位置が不明瞭になり、指示系統が混乱する可能性も想定されます。予想されるデメリットへの対策を講じたうえで、執行役員制度を導入しましょう。

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よくある質問

執行役員と役員は何が違う?

執行役員は会社法に定められた役職ではありませんが、役員は会社法に定められた役職です。また、役員と名前がつきますが、実際は役員とは限らず、従業員の立場で執行役員を務めることもあります。

詳しくは、記事内「役員との違い」をご覧ください。

執行役員には誰を任命すべき?

執行役員は会社法に定められた役職ではないため、どのような人材が適任かという点でも特に決まりはありません。

しかし、従業員と役員をつなぐ立場であることから、コミュニケーション能力が高く、業務遂行能力も高い人が望ましいといえます。また、将来的に後継者候補にする予定なら、後継者としてふさわしいことも重要なポイントです。

詳しくは、記事内「執行役員の選び方」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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