監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

競馬は応援したい騎手を選んだり、レースに勝てそうな馬を予想したりして、馬券を購入し、予想が的中すると、払戻金が支払われます。
競馬で得た払戻金が一定額を超えると税金が発生し、確定申告が必要になるケースがあるので注意が必要です。
本記事では、競馬による払戻金がどの所得区分として扱われるのか、また確定申告が必要となる金額や計算方法を解説します。
目次
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競馬で勝ったら税金がかかる?
一般的に、競馬で得た払戻金は一定以上の利益が出た場合に税金がかかります。
競馬の利益は通常「一時所得」として分類されますが、馬券購入の期間や頻度などによっては「雑所得」として扱われるケースもあります。
競馬で得た利益がどちらの所得に区分されるかで、課税対象が異なるので注意が必要です。
競馬の利益が一時所得になるケースと計算式
基本的に競馬で得た利益は一時所得に区分されます。
一時所得とは、営利を目的とする継続的な行為から生じたものではなく、役務や資産譲渡などの対価としての性質をもたない所得を指します。
競馬の払戻金以外にも、懸賞や福引の賞金・賞品、生命保険の一時金、損害保険の満期払戻金などが一時所得に区分されます。
一時所得金額の計算式
一時所得金額は以下の計算式で算出します。
- 一時所得の金額 = 総収入金額 − 必要経費 − 特別控除額(最高50万円)
必要経費とは、収入を得るために支出した費用を指します。一時所得の場合、競馬の払戻金で必要経費と認められるのは、当たり馬券の購入費です。
1月1日から12月31日までの1年間で合計50万円を超える一時所得がある場合には、確定申告が必要になる可能性があります。
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税額の計算式
一時所得にかかる税額は、「一時所得の金額 × 1/2」で算出した額を、給与所得などほかの所得と合算して総所得金額を求め、税額を計算します。
納税額を求める計算手順は以下のとおりです。
- 総所得額 =(一時所得額 ×1/2)+ ほかの所得額
- 課税所得 = 総所得額 ー 所得控除
- 所得税額 = 課税所得 × 税率 ー 控除額
- 納税額 = 所得税額 ー 税額控除
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競馬の利益が雑所得になるケースと計算式
雑所得とは、ほかの所得のいずれにも該当しない所得を指します。たとえば、公的年金や、原稿料・講演料といった副業にまつわる所得などがこれに該当します。
上述したように、競馬で得た利益は一時所得に区分されるのが一般的です。しかし、過去には競馬を継続的かつ営利を目的にしていたとされ、一時所得ではなく雑所得だと認められた判例があります。
雑所得として認められた場合には、外れ馬券の購入費も必要経費に含むことができます。
出典:国税庁「競馬の馬券の払戻金の課税について」
雑所得金額の計算式
雑所得の金額は下記のように算出します。
- 雑所得の金額 = 総収入金額 ― 必要経費
上述したように、雑所得として認められた場合には、外れ馬券も必要経費として処理ができます。
税額の計算式
雑所得に係る納税額の計算手順は以下のとおりです。雑所得も総合課税に分類されるため、ほかの所得と合算して納税額を算出します。
- 総所得額 = 雑所得 + ほかの所得額
- 課税所得 = 総所得額 ー 所得控除
- 所得税額 = 課税所得 × 税率 ー 控除額
- 納税額 = 所得税額 ー 税額控除
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競馬で勝った!確定申告が必要になるのはどんな場合?
競馬で得た払戻金は課税対象ですが、必ずしも確定申告が必要なわけではありません。
一般的な会社員である場合と個人事業主やフリーランスである場合に分けて、確定申告が必要なケースを解説します。
会社員は毎月の給与から源泉徴収され、勤務先で年末調整をしてもらえるため、基本的には自分で確定申告は行いません。
会社員が確定申告しなければならないのは、給与以外の所得が20万円を超える場合です。
したがって、給与以外の所得がない会社員が得た払戻金が「一時所得」の場合、ほかの一時所得(特別控除前)との合計額が90万円を超えない限り申告不要です。
また、払戻金が「雑所得」に該当する場合は、必要経費を差し引いた額が20万円以下であれば申告は必要ありません。
ただし、住民税には「20万円以下の申告が不要」というルールはありません。よって20万円以下の所得があり所得税の確定申告をしなかった場合はお住まいの役所・役場で住民税の申告手続きが必要です。
一方で、年間の所得が48万円以上の個人事業主やフリーランスなどは、所得税の確定申告が必要です。確定申告を行う場合は、払戻金の額に関わらず、あわせて申告を行います。
なお、2025年度税制改正により、2025年分以後の所得税の計算から基礎控除額が引き上げられる予定です。基礎控除額の引き上げ後は、確定申告が必要な金額が48万円以上から58万円以上に変わります。
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競馬で購入した馬券は経費にできる?
購入した馬券を、経費にできるかどうかは所得区分や事業性の有無によって決まります。
先述の通り、一時所得の場合は当たり馬券の費用は経費にできますが、外れ馬券は経費にできません。一方、雑所得の場合、外れ馬券も含めて、馬券の購入費を必要経費として計上できます。
一般的な馬券購入者であれば、受け取った払戻金は一時所得として扱われます。懸賞や福引の賞金品のような、労働以外で得た偶発的な収入であるためです。
しかし、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を考慮した結果、「雑所得」として認められた期間、継続的に利益を発生しているかなどを考慮した結果、「雑所得」として認められたるケースもあります。
出典:国税庁「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」
競馬で得た利益を申告しないとばれる?
オンライン購入などは履歴が残るため、税務署は容易に購入者の情報を捕捉できます。過去に、インターネットの自動購入ソフトで馬券を購入して多額の利益を得た人が、「脱税した」として告発された事例があります。
納税は国民義務とされています。申告の必要がある所得を得た場合は、ばれるばれないに関わらず、しっかり申告し納税する必要があります。
申告漏れがばれるとペナルティがある?
確定申告漏れが発覚した場合、下記のようなペナルティを課せられる可能性があります。
無申告加算税
無申告加算税は、原則、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分には20%を乗じて計算した金額を納めなければなりません。ただし、自主的に期限後申告を行なった場合、無申告加算額は5%まで軽減されます。
延滞税
支払うべき税金が期限までに納付されない場合、原則として、法定納付期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が課されます。
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まとめ
競馬で得た払戻金には、税金がかかる場合があります。
競馬の払戻金の一般的な所得区分は「一時所得」ですが、営利を目的とした継続的行為から得た所得と判断された場合は「雑所得」として認められる可能性もあります。所得区分に応じて、必要経費にできる項目が変わります。
また、会社員で競馬の払戻金を受け取っている人は、給与以外の所得が20万円を超える場合には確定申告を行わなければなりません。
申告漏れがあると、ペナルティを課せられるケースもあるため、注意が必要です。
なお、2025年度の税制改正について議論が進められているため、最新情報については、国税庁や税務署の公式発表をご確認ください。
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よくある質問
競馬の利益に税金はかかる?
一般的に、競馬で得た払戻金は「一時所得」に区分され、税金がかかる場合があります。所得の区分や金額により対応が異なるため、確認が必要です。
詳しくは記事内「競馬で勝った!確定申告が必要になるのはどんな場合?」をご覧ください。
監修 好川寛(よしかわひろし)
プロゴ税理士事務所代表。20年以上のキャリアをもつ国税OB税理士。税務調査や複雑な税務判断に精通し、幅広い税務相談に対応。クライアントの事業を深く理解し、長期的な視点で最適な税務戦略を支援しています。
