監修 鶏冠井 悠二
企業に勤めるサラリーマンは、毎月の給与から源泉徴収で税金が差し引かれますが、個人で節税対策を行うことも可能です。
サラリーマンの節税対策は、「課税所得額を減らすこと」や「控除額を増やすこと」が一般的です。
サラリーマンが利用できる制度は複数あるため、正しい知識をもったうえで適切に活用しましょう。
本記事では、サラリーマンができる節税対策や本業とは別に個人事業を行うときの節税方法、法人化するメリット、節税を行うときの注意点を紹介します。
目次
- サラリーマン(会社員)ができる節税対策11選
- 配偶者(特別)控除
- 扶養控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 住宅ローン控除
- ふるさと納税
- 確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)
- 新NISA
- 特定支出控除
- 副業収入があるサラリーマンの節税方法
- 事業に関する経費を申告する
- 青色申告をする
- 個人事業を営むサラリーマンは法人化(会社設立)も検討しよう
- 法人化することによる4つの節税メリット
- 法人化が節税に役立つかどうかは利益がポイント
- どのくらい節税できる?
- サラリーマンが節税を行うときの注意点
- 節税自体を目的にしない
- 申告方法・期限を把握する
- まとめ
- freee会社設立なら、法人化の手続きをかんたん・あんしんに!
- よくある質問
サラリーマン(会社員)ができる節税対策11選
サラリーマンの所得税は、給与収入から給与所得控除や各種所得控除額(基礎控除など)を差し引いた課税所得金額に税率をかけて算出されます。
そのため、一般的にサラリーマンの節税対策は、「課税所得を減らすこと」や「控除額を増やすこと」が有効です。サラリーマンの主な節税対策の方法は以下のとおりです。
サラリーマンの節税対策
- 配偶者(特別)控除
- 扶養控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 住宅ローン控除
- ふるさと納税
- 確定拠出年金(iDeCo・企業型DC )
- 新NISA
- 特定支出控除
それぞれの内容を解説します。
所得税の計算方法について詳しく知りたい方は、別記事「所得税の計算方法は?税率・控除、2025年度税制改正のポイントをわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
配偶者(特別)控除
配偶者控除とは、納税者に生計を一にする配偶者がいる場合、一定の条件を満たすことで課税所得から一定額の控除が受けられる制度です。
2025年時点での控除額は、納税者本人の所得や配偶者の年齢および収入に応じて異なります。
| 所得者の合計所得金額(給与所得だけの場合の所得者の給与等の収入金額(注3) | 【参考】 配偶者の収入が給与所得だけの場合の配偶者の給与等の収入金額 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 900万円以下 (1,095万円以下) | 900万円超 950万円以下 (1,095万円超 1,145万円以下) | 950万円超 1,000万円以下 (1,145万円超 1,195万円以下) | |||
| 配偶者控除 | 配偶者の合計所得金額 58万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 | 123万円以下 |
| 老人控除対象配偶者※の 合計所得金額 58万円以下 | 48万円 | 32万円 | 16万円 | ||
| 配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得金額 58万円超 95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 | 123万円超 160万円以下 |
| 95万円超 100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | 160万円超 165万円以下 | |
| 100万円超 105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | 165万円超 170万円以下 | |
| 105万円超 110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | 170万円超 175万円以下 | |
| 110万円超 115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | 175万円超 180万円以下 | |
| 115万円超 120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | 180万円超 185万円以下 | |
| 120万円超 125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | 185万円超 190万3,999円以下 | |
| 125万円超 130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | 190万3,999円超 197万1,999円以下 | |
| 130万円超 133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 | 197万1,999円超 201万5,999円以下 | |
| 133万円超 | 0円 | 0円 | 0円 | 201万5,999円超 | |
※「老人控除対象配偶者」とは、控除対象となる配偶者のうち、その年の12月31日時点で70歳以上の方指します。
また、配偶者控除を受けられない場合でも、一定の要件を満たせば配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除では、納税者本人や配偶者の所得に応じて1~48万円の控除を受けることが可能です。
配偶者控除や配偶者特別控除にはそれぞれ要件が設定されているため、事前に確認しましょう。
サラリーマンの場合、配偶者控除や配偶者特別控除を受けるためには、年末調整の際に所定の申告書を提出する必要があります。
配偶者控除について詳しく知りたい方は、別記事「配偶者控除とは?配偶者特別控除との違いや確定申告で申告する方法を解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
出典:国税庁「令和7年分 年末調整のしかた」
扶養控除
所得税法上の扶養親族がいる場合は、要件を満たせば扶養控除を受けられます。
扶養親族とは、以下の全ての要件に該当する人のことです。
扶養親族の要件
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額58万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が123万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
扶養控除では、扶養親族の年齢などに応じて38万円~63万円の控除を受けられます。扶養控除を受けるには、年末調整で申告書を提出する必要があります。
扶養控除について詳しく知りたい方は、別記事「年末調整の扶養控除とは?適用条件や差し引かれる金額、年収の壁、外れるデメリットなど詳しく解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
医療費控除
その年の1月1日~12月31日までに自身または生計を一にする家族のために支払った医療費の合計額が10万円(または総所得金額等の5%の少ない方)を超える場合は、医療費控除を受けられます。
控除額は10万円(または総所得金額等の5%の少ない方)を超える医療費のうち、実際に支払った医療費の合計から保険金などで補填される金額を差し引いた金額(最高200万円)です。
医療費控除を受けるには、確定申告を行う必要があります。年末調整のみでは医療費控除の手続きはできません。
医療費控除について詳しく知りたい方は、別記事「医療費控除とは?確定申告のやり方・計算方法についてわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
セルフメディケーション税制は、一定の条件を満たしたうえで一般用医薬品を購入した場合に受けられる医療費控除の特例です。
その年の1月1日~12月31日までに、自身または生計を一にする家族のために特定の一般用医薬品を購入した場合、1万2,000円を超えた金額分(上限8万8,000円)の控除を受けられます。
セルフメディケーション税制を利用するには、予防接種や健康診断など、一定の健康管理を行っていることが条件です。
また、セルフメディケーション税制と医療費控除は併用できないため、どちらか一方を選択し、確定申告を行う必要があります。
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
生命保険料控除
生命保険料控除は、納税者が生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払った場合に、最大12万円の所得控除を受けられる制度です。
控除額は、契約した年によって異なり、2012年1月1日以降に契約した場合は以下のとおりです。
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等 ÷ 2 + 10,000円 |
| 40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等 ÷ 4 + 20,000円 |
| 80,000円超 | 一律40,000円 |
サラリーマンが生命保険料控除を受けるには、年末調整で生命保険料控除証明書の提出が必要です。生命保険料控除証明書は、年末が近づく時期に保険会社から送付されます。
生命保険料控除について詳しく知りたい方は、別記事「生命保険料控除とは?計算方法や確定申告・年末調整での申告のやり方を解説」をあわせてご確認ください。
地震保険料控除
地震保険料控除は、本人または生計を一にする家族が所有する建物・家財に対する地震保険を支払っている場合に、一定額の控除を受けられる制度です。
控除額は以下のとおりです。
地震保険料控除の控除額
- 支払保険料が5万円超:一律5万円
- 支払保険料が5万円以下:支払金額の全額
サラリーマンが地震保険料控除を受けるには、年末調整で地震保険料控除証明書を提出する必要があります。地震保険料控除証明書は、年末調整の時期が近づくと保険会社から送付されます。
出典:国税庁「No.1145 地震保険料控除」
住宅ローン控除
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、一定の要件を満たすことで所得税の控除を受けられる制度です。
控除対象には住宅(新築・中古)の購入のほか、一定の要件を満たす省エネ設備の導入やバリアフリー改修工事なども含まれます。
住宅ローン控除が適用された場合、年末時点のローン残高の0.7%分が所得税(一部は翌年6月から支払う住民税)から控除されます。
控除期間は原則として最大13年間です。ただし、借入限度額や住宅の種類・条件によって控除期間が異なるため、事前に確認しましょう。
サラリーマンが住宅ローン控除を受ける場合、初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きが可能です。
住宅ローン控除について詳しく知りたい方は、別記事「住宅ローン控除を受けるための確定申告のやり方や必要書類を解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
出典:国土交通省「住宅ローン減税」
ふるさと納税
ふるさと納税は、任意の自治体に寄附できる制度です。寄附した金額のうち、自己負担額(通常2,000円)を除いた分が「寄附金控除」として所得税・住民税から差し引かれます。
ただし、所得に応じた上限が定められているため、事前にシミュレーションを使って確認しましょう。
また、ふるさと納税は「納税の使いみちを自分で選べる寄附制度」であることも特徴です。
ふるさと納税について詳しく知りたい方は、別記事「ふるさと納税の確定申告のやり方は?必要書類やワンストップ特例制度についても解説」をあわせてご確認ください。
出典:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」
確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)
確定拠出年金は、支払った掛金と運用益を基に将来の給付額が決定する年金制度です。確定拠出年金には、個人型のiDeCoと企業型DCがあります。
iDeCoと企業型DCの概要
- iDeCo:老後のために加入者自身が掛金を拠出する制度
- 企業型DC:事業主が掛金を拠出する退職金制度のひとつ
企業型DCは勤務先によって加入の可否が異なりますが、iDeCoは任意で加入できます。どちらも小規模企業共済等掛金控除として掛金の全額が所得から控除されるため、節税効果が期待できます。
また、確定拠出年金は、受け取る際にも節税効果がある点が大きな特徴です。受取方法によって異なりますが、退職所得控除または公的年金等控除を受けられます。
たとえば、退職所得控除が適用される場合、控除額は以下のとおりです。
| 勤続年数 | 控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 400,000円 × 加入年数(80万円に満たない場合には80万円) |
| 20年超 | 8,000,000円 + 700,000円 × (加入年数 - 20年) |
iDeCoについて詳しく知りたい方は、別記事「iDeCoとは?仕組みやメリットから注意点、加入方法までわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
出典:厚生労働省「iDeCoの概要」
出典:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
新NISA
NISAとは、少額投資非課税制度のことです。2024年1月1日に見直しが行われ、より利便性が高まった新制度が開始されました。
新制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になり、年間投資枠の拡大や非課税保有限度額の引き上げなどが行われています。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) | |
| 非課税保有期間 | 無制限 | |
所得控除ではありませんが、NISA口座を利用して得た運用益は非課税になるため、資産運用を検討しているサラリーマンに有効な制度です。
NISA口座での運用は、原則として確定申告が不要です。
NISAについて詳しく知りたい方は、別記事「NISAは確定申告が必要ない?NISAの始め方やメリット、デメリットを解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「新NISAのあらまし」
特定支出控除
給与所得者の特定支出控除は、業務に必要な費用を自己負担した際に、一定の要件を満たせば所得控除を受けられる制度です。
特定支出に該当する支出の合計額が、その年の給与所得控除額の2分の1を超える場合、確定申告を行うことで所得控除を受けられます。
特定支出に該当する支出には、通勤費・職務上の旅費・転居費などの7項目があり、いずれも給与支払者による証明が必要です。
特定支出控除について詳しく知りたい方は、別記事「給与所得控除とは?給与所得の計算方法や所得控除との違いをわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」
出典:国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」
副業収入があるサラリーマンの節税方法
サラリーマンの中には、個人事業主として副業収入を得ている人もいるでしょう。以下では、個人事業主として副業収入があるサラリーマンのための節税方法を紹介します。
事業に関する経費を申告する
個人事業主であれば、業務に必要な費用を経費として計上できます。経費として認められる条件は以下のとおりです。
経費として認められる条件
- 総収入金額に対応する売上原価や、収入を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費・一般管理費・その他業務上の費用の額
たとえば、自宅で業務を行っておりインターネットを利用している場合は、プライベート部分と業務部分を按分し、業務部分のインターネット代を経費として計上できます。
どこまで経費にできるかは状況によって異なります。見落としやすい費用も含めて、漏れなく計上できるようにしましょう。
経費の線引きについて詳しく知りたい方は、別記事「個人事業主は経費でどこまで落とせる?できるものとできないものを詳しく解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」
青色申告をする
青色申告とは、取引を正確に帳簿へ記録し(複式簿記など)、その記帳に基づいて正しく申告することで、所得の計算などで有利な取り扱いが受けられる制度です。
不動産所得・事業所得・山林所得がある個人事業主は、青色申告が可能です。青色申告の主なメリットは以下のとおりです。
青色申告のメリット
- 最高65万円の控除を受けられる(青色申告特別控除)
- 配偶者や親族に給与として支払った金額を経費にできる
- 事業の赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越せる
青色申告を選ぶことで節税につながる制度を活用しやすくなります。
青色申告について詳しく知りたい方は、別記事「青色申告とは?個人事業主で向いている人や確定申告のやり方をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」
個人事業を営むサラリーマンは法人化(会社設立)も検討しよう
個人事業を営む場合、法人化によって節税効果が高くなる可能性があります。以下では、法人化のメリットやポイント、節税効果を解説します。
会社設立の方法や流れについて詳しく知りたい方は、別記事「サラリーマンの節税対策に会社設立は有効?メリットや方法、設立までの流れを解説」をあわせてご確認ください。
法人化することによる4つの節税メリット
個人事業の法人化(会社設立)によって得られる主な節税メリットは以下のとおりです。
法人化による節税メリット
- 役員報酬を給与所得として受け取ることができる
- 欠損金(赤字)の繰越控除可能期間が延長される
- 従業員への退職金が損金として認められる
- 消費税の課税事業者になるタイミングを繰り延べできる
個人事業主の場合は所得の全てが課税対象ですが、法人化すれば役員報酬として受け取ることになり、給与所得として扱われます。個人の所得には給与所得控除が適用されるため、その分だけ課税所得が圧縮されます。
さらに、法人の場合、欠損金(赤字)の繰越期間は最長10年です。個人事業主でも赤字は3年間繰り越せますが、法人化することで繰越期間を最長10年まで延長できます。
そのほか、法人化は、家族従業員(青色事業専従者)を雇っている個人事業主や収入が増えて消費税の課税事業者となる個人事業主にもメリットがあります。
個人事業主の場合、家族従業員(青色事業専従者)への退職金は必要経費として計上できません。法人であれば、原則として退職金の損金算入が認められるため、法人所得を減らすことが可能です。
また、年間の売上が1,000万円を超えるとその年の2年後から消費税の課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。
ただし、消費税の課税事業者となるタイミングで法人化すれば、基準期間がリセットされ、課税開始時期を繰り延べることが可能です。
なお、インボイス発行事業者の場合は初年度から課税事業者となり、特定期間の課税売上高および給与支払額が1,000万円を超える場合は翌年から課税事業者になります。
法人化が節税に役立つかどうかは利益がポイント
法人化には節税メリットがありますが、全てのケースで有利になるとは限りません。
法人化を検討する際は、事業の利益に注目して判断することが重要です。個人事業主と法人では、事業で生じた利益にかかる税金の種類が異なります。
個人事業主の場合は所得税が課され、所得に応じて税率が上がる超過累進税率が適用されます。税率は課税所得金額に応じて段階的に増加し、5~45%です。
一方、法人の場合は法人税となり、原則として比例税率が適用されます。中小法人(資本金1億円以下)の場合、税率は所得金額800万円以下で15%、800万円超で23%程度です。
そのため、事業の利益が少ないうちは、個人事業主として所得税の課税を受けるほうが税負担を抑えられる可能性があります。
どのくらい節税できる?
法人化による節税効果は状況によって異なるため、一概にはいえないものの、一般的には事業所得が1,000万円の場合に、約70万円の節税につながる可能性があります。
freeeの「法人化の節税シミュレーション」で試算したところ、以下の結果となりました。
事業所得が1,000万円の場合の節税額
売上高1000万円・経費0円・給料なし・役員報酬0円の場合
節税額:68万12円
なお、年間の利益が600万円程度を超えると、法人化によるメリットがあるとされています。ただし、法人の規模・家族従業員の扱い・役員報酬をどの程度受け取るかなどによって異なるため、事前にシミュレーションを行い、確認しましょう。
freeeの「法人化の節税シミュレーション」で試算したところ、以下の結果となりました。
年間の利益が600万円程度を超える場合のメリット
売上 = 利益となるように、経費0円・給与なし・役員報酬0円で計算した場合
500万円:個人が11万3,163円お得
550万円:個人が2万4,645円お得
600万円:法人が7万722円お得
分岐点となる所得や節税金額を正確に計算したい場合は、税理士などの専門家に相談するのも有効です。
サラリーマンが節税を行うときの注意点
サラリーマンが節税を行う際は、いくつかの注意点があります。
節税自体を目的にしない
節税をしたいからといって無駄な支出が増えると、控除額よりも支出が上回り、手取りが減る可能性があります。
たとえば、控除額を増やすために不要な医療費を支出したり、高額な保険に加入したりすることが挙げられます。
節税の目的は手取りを増やすことです。節税自体を目的としないようにしましょう。
申告方法・期限を把握する
サラリーマンが活用できる節税対策の多くは、年末調整や確定申告が必要であり、それぞれに申告方法・申告期限が定められています。
たとえば、生命保険料控除を受ける場合、控除証明書の提出が必要です。年末調整で申告するなら年末調整時、確定申告で申告するなら確定申告時までに、提出します。
また、医療費控除などで確定申告が必要な場合は、原則として翌年2月16日から3月15日までに申告が必要です(期限日が土日祝の場合は、翌平日が期限となります)。
なお、還付申告(払いすぎた税金の戻し申告)のみの場合は、1月1日から提出可能で、申告期限は対象となる年の翌年1月1日から起算して5年間です。
申告方法を間違えたり、申告期限を過ぎたりすると控除を受けられない場合があります。
まとめ
サラリーマンの節税対策は、課税所得を減らすこと・控除を増やすことが基本です。
主な方法には、配偶者(特別)控除・扶養控除・医療費控除・生命保険料控除・住宅ローン控除・ふるさと納税・iDeCo・新NISAの活用などがあります。
サラリーマンで副業として個人事業を行う場合は、経費計上や青色申告による控除が有効です。さらに、事業規模が拡大すれば法人化によって大きな節税効果を得られる可能性があります。
ただし、節税は目的ではなく手取りを増やす手段です。申告期限や条件を守り、正しい知識をもったうえで活用しましょう。
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サラリーマンの節税方法は?
サラリーマンの主な節税対策には、以下のようなものが挙げられます。
サラリーマンの節税対策
- 配偶者(特別)控除
- 扶養控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 住宅ローン控除
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詳しくは記事内「サラリーマン(会社員)ができる節税対策11選」をご覧ください。
サラリーマンが節税するときの注意点は?
サラリーマンが節税するときは、節税自体を目的としないことや申告方法・期限を把握することが重要です。
詳しくは記事内「サラリーマンが節税を行うときの注意点」をご覧ください。
監修 鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)
コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeCo、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。
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