会社設立の基礎知識

定款に記載した目的に違反した場合、罰則はあるのか

会社設立の際には定款の作成が必要ですが、定款には事業目的を記載する必要があります。会社設立のときから、事業内容は変遷していく可能性もありますが、事業目的に違反した際に罰則はあるのでしょうか。事業目的とは何か、定款作成時に気をつけることを含めて解説していきます。

定款に書かれた会社の事業目的の意味

会社の定款には事業目的を記載することが義務付けられています。事業目的は会社が営む事業を明確にするものです。

会社の定款の事業目的とは

事業目的は定款の絶対的記載事項のひとつで、定款に含まれていなければ、定款自体が無効になってしまいます。

原則として会社は定款に定めた事業目的の範囲内で、事業を営むことができます。事業目的は定款だけではなく、登記簿の記載事項にも含まれています。事業目的は、会社はどのような事業をして収益を得るのかを明確にするものです。

定款の制約とは

事業目的とは、金融業や不動産業といった会社がビジネスとして生業にする内容を指すものです。定款の事業目的には、「明確性」「営利性」「合法性」に沿ったものという制約があります。

「明確性」は一般の人にもどんな事業を営むの理解できることが求められるということです。特に、許認可が必要な労働者派遣業や建設業、宅建業などを営む場合は、定款に該当する事業が記載されていない場合、許認可を受ける上で不利になるケースがあるため、注意が必要です。また、融資を受ける場合や新規の取引先と取引を始める際などに、登記簿の謄本を提出する際に、該当する事業の記載がないケースも、信用が低下することが懸念されます。

「営利性」の面では、たとえば、ボランティア活動のように利益を上げることが目的でない場合は事業目的にはできません。「合法性」の観点からは、麻薬の売買、オレオレ詐欺の請負といった違法行為は事業目的にできません。

事業目的に違反した場合、罰則はある?

定款の事業目的に記載のない事業を行った場合、罰則を受けることはあるのでしょうか。まず、事業目的は記載した内容よりも拡大して解釈されることを、頭に置いておいてください。

事業目的の違反による罰則はない

会社は事業目的に記載されていない事業を営めないことになっているものの、会社法等による罰則規定はありません。罰則規定がない以上、事業目的外の事業を行ったことで、刑罰に処せられた前例などはほぼないといえるでしょう。

目的の達成に必要な行為は認められる

事業目的以外の取引を行った場合に、目的外の行為を理由に取引を無効にすることが認められると、取引相手が不利益をこうむります。一方、事業目的に記載のない取引を理由に、取引の相手方が無効にすることもできません。また、取引が硬直化してしまい、企業の発展の妨げになることも想定されます。

専門家によって判断が分かれますが、定款に書かれた事業目的ではなくても「目的の達成に必要な行為」、あるいは「目的の達成に有用な行為」を含むとして、拡大解釈することができるとされています。

たとえば、英会話教室を営む企業の事業所の敷地内に自販機を設置して清涼飲料水を販売しているケースでは「飲料の販売」を事業目的に記載していなくても問題にはなりません。「目的の達成に必要な行為」や「目的の達成に有用な行為」に、清涼飲料水を販売している行為が含まれると考えられます。ただし、自販機による飲料の販売が利益の大半を占めている場合には、定款に事業目的のひとつとして記載する必要性も出てきます。

違反しないために、定款を作成するときに気をつけるべきこと

定款に書かれた事業目的以外の事業を行っても罰則はありませんが、ビジネスに支障をきたす可能性はあります。事業目的が違反にならないように、定款を作成するときに気をつけるポイントが2つあります。

「附帯関連する一切の事業」と記載しておく

定款に記載した事業目的以外の事業を行うことでトラブルが起こることを避けるためには、事業目的を記載した後に「上記各号に附帯関連する一切の事業」と記載します。「附帯関連する一切の事業」と入れておくことで、広く営利目的の取引活動を含めていると解釈されます。

将来予定している事業は事業目的に含めておく

融資を受けたり、新たな取引先を開拓したりすることを考えると、前述のように該当する事業目的の記載がないことは、相手方に不信感を与えます。一方、事業目的はいくつまでという制限はありませんが、数が多すぎるのも適切ではありません。あまりにも実態のない事業目的が多いと、何をしている会社なのか、取引先や金融機関から見えにくくなります。

会社設立の際の事業目的は多くても10件程度とし、今後、展開する予定のある事業は含めておくことが賢明です。将来営む予定のある事業も記載しておくことで、定款変更のための株主総会の開催や法務局への登記に掛かる、手間やコストを省くことができます。また、取締役の改選の際など、登記の変更を行うタイミングで、定款の事業目的の見直しを図るとよいでしょう。

まとめ

定款の事業目的は違反による罰則はないものの、実態に合ったものにしておくことが望まれます。会社設立の際には、最初に想定している事業だけではなく、将来の事業計画を踏まえて、事業目的の記載内容を検討しましょう。

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