会社設立の基礎知識

定款の事業目的に違反すると罰則はある?

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

定款の事業目的に違反すると罰則はある?

会社を設立する際には、会社の根本的なルールにあたる「定款」を必ず作成しなければなりません。定款のなかでは事業目的を記載し、具体的に何を事業とするのかを明確に示す必要があります。

定款の事業目的に違反した際に罰則はありませんが、取引や資金調達、許認可への影響など事業に不利益を生じるリスクがいくつか存在します。

本記事では、定款の事業目的に違反すると罰則はあるのか、違反した際のリスクやデメリットなどを解説します。

定款の作成方法や認証方法などの最新情報を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

目次

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定款の事業目的とは

事業目的とは、その会社を設立するにあたり具体的に会社で何を事業とするのかを目的として設定するものです。定款の事業目的は「絶対的記載事項」のひとつで、定款に含まれていなければ定款自体が無効になってしまいます。

原則として、会社は定款に定めた事業目的の範囲内で事業を営むことができます。事業目的は定款だけではなく、登記簿の記載事項にも含まれています。

事業目的の違反による罰則はない

会社は事業目的に記載されていない事業を営めないことになっているものの、会社法などによる罰則規定はありません。

目的の達成に必要な行為は認められる

定款に記載のない事業活動や取引が、直ちに無効になるわけではありません。判例では、会社の権利能力(事業を行える範囲)について、以下のように解釈されています。

  • 定款に明示された事業目的そのもの
  • その目的を達成するために直接または間接に必要な一切の行為

つまり、定款に直接書かれていなくても、主要な事業目的を遂行する上で必要、または有用と考えられる行為であれば、会社の事業範囲内の行為として広く認められる傾向にあります。

これは、取引の安全性を確保し、企業の柔軟な活動を過度に制限しないようにするためです。ただし、どの範囲までが「必要な行為」と認められるかは、具体的な状況によって判断が異なる可能性もあります。

定款の事業目的に違反したときのリスクやデメリット

定款の事業目的に違反したときに罰則はありませんが、取引や資金調達、許認可などに影響が及ぶ可能性はあります。定款の事業目的に違反したときのリスクやデメリットを以下で見ていきましょう。

取引や資金調達の際の信用に影響する

事業目的は取引や融資にてチェックされる可能性のある項目であり、与信調査として定款が確認されることもあります。

事業目的に反した事業や取引が多いと取引先から判断された場合、取引が難しくなったり、融資が受けられなかったりする可能性も考えられます。

許認可に影響することがある

特定の業種(飲食・建設・動産など)では、事業を始める際に許認可の申請が必要です。

許認可の際に事業目的以外の事業をしていたことが発覚すると、事業内容が不明瞭であると判断されて許認可が受けられなくなる可能性があります。

事業目的を作成する際の3つのポイント

定款の事業目的には、「明確性」「営利性」「適法性」の制約があり、これに沿ったものを作成することが必要です。上記の3つのポイントを、詳しく見ていきましょう

明確性

事業目的は、誰が読んでも(一般の人でも)事業内容を具体的に理解できるように、明確な言葉で記載する必要があります。

定款の目的に特殊な専門用語や外来語、新しい業種やサービスを示す語句などを使用する場合、事前に国語辞典や現代用語辞典でその記載があるか調べておきましょう。

また、アルファベットの表記だけでは社会に認知されていないものでも、カッコ書きで意味を付け加えることで認められることもあります。

営利性

会社は利益を追求する組織(法人)であるため、その事業目的も営利性を持っている必要があります。

そのため、ボランティア活動や寄付行為など、利益を上げることを目的としない活動のみを事業目的とすることはできません。ただし、企業活動の一環として行う社会貢献活動(CSR)などを、主たる事業に付随する形で記載することは可能です。

適法性

「適法性」の観点からは、麻薬の売買、オレオレ詐欺の請負といった違法行為は事業目的にできません。また、弁護士業や司法書士業などの資格者に限ってできる事業は、資格者以外の者が目的にすることはできません。

そのほかにも、許認可が必要な労働者派遣業や建設業、宅建業などを営む場合は、定款に該当する事業が記載されていないと許認可を受けられないので、注意が必要です。

また、融資を受ける場合や新規の取引先と取引を始める際などに、登記簿の謄本を提出する際に、該当する事業の記載がないケースも、融資が下りなかったり、信用が低下したりすることが懸念されます。

違反しないために定款を作成するときに気をつけるべきこと

定款に書かれた事業目的以外の事業を行っても罰則はありませんが、ビジネスに支障をきたす可能性はあります。事業目的が違反にならないように、定款を作成するときに気をつけるポイントが2つあります。

「附帯関連する一切の事業」と記載しておく

定款に記載した事業目的以外の事業を行うことでトラブルが起こることを避けるためには、事業目的の記載の最後に「上記各号に附帯関連する一切の事業」と記載します。

これは、定款に明記した個別の事業目的に直接該当しなくても、それらに関連する事業であれば会社の事業範囲に含まれる、という解釈の余地を残すための定型文です。多くの会社の定款で採用されています。

ただし、この一文があるからといって、全く関連性のない事業まで無制限に認められるわけではありません。

あくまで主たる事業目的との関連性が前提となります。また、許認可が必要な事業は、この包括的な記載だけでは不十分であり、具体的な事業内容の記載が別途必要です。

将来予定している事業は事業目的に含めておく

会社設立時に、近い将来に着手する予定がある事業については、あらかじめ事業目的に加えておくことを検討しましょう。

一方、事業目的はいくつまでという制限はありませんが、数が多すぎるのも適切ではありません。あまりにも実態のない事業目的が多いと、何をしている会社なのか、取引先や金融機関から見えにくくなります。

会社設立の際の事業目的は多くても10件程度とし、今後展開する予定のある事業は含めておくことが賢明です。

将来営む予定のある事業も記載しておくことで、定款変更のための株主総会の開催や法務局への登記にかかる手間やコストを省くことができます。また、取締役の改選の際など、登記の変更を行うタイミングで、定款の事業目的の見直しを図るとよいでしょう。

事業目的を変更するには?

定款の事業目的を変更するには、株主総会での決議と変更登記が必要です。株主総会は議決権の3分の2以上の賛成によって決議し、議事録を作成・保存することになります。

定款変更の際の変更登記の申請方法は以下の3つがあります。書面のほか、オンラインでも申請が可能です。

変更登記の申請方法

  • 法務局窓口での書面申請
  • 郵送での書面申請
  • 法務局が提供する専用のソフトウェア(申請用総合ソフト)でのオンライン申請

変更登記に必要な書類は多くの場合、以下の2つです。登記申請書は法務局ウェブサイトよりダウンロードできます。

変更登記に必要な書類

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録

変更登記には、登録免許税3万円が必要です。登記申請書は法務局ウェブサイトからダウンロードできます。

【関連記事】
株式会社の定款を変更するときに必要な手続きとは?
変更登記とは?商業登記・法人登記の違いや手続きを解説

まとめ

定款の事業目的は違反による罰則はないものの、違反をした場合には、取引や資金調達、許認可などへ影響が及ぶリスクがあり、実態に合ったものにしておくことが望まれます。

事業目的を作成するには、明確性、営利性、適法性の3つがポイントです。誰にでも理解しやすい書き方で、利益を上げることを目的として法律にかなう内容で事業目的を作成します。

会社設立の際には、最初に想定している事業だけではなく、将来の事業計画を踏まえて、事業目的の記載内容を検討しましょう。

定款(ていかん)を簡単に作成する方法

定款とは、会社のルールブックであり、会社設立時に必ず必要な書類の一つです。

テンプレートはほぼ決まっていますが、事業目的などの記載内容は会社によって異なるため、自分で作成すると時間がかかってしまいます。また、ほかにも設立時には約10種類の書類を準備しなければなりません。

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よくある質問

定款にない事業をするとどうなる?

定款にない事業をすることで罰則はありませんが、定款に記載のない事業が多い場合、取引や資金調達、許認可などへ影響が及ぶリスクはあります。

定款の事業目的に違反したときのリスクを詳しく知りたい方は「定款の事業目的に違反したときのリスクやデメリット」をご覧ください。

事業目的の違反がないように定款作成で気を付けることは?

事業目的以外の事業を行うことでトラブルが起こることを避けるために「附帯関連する一切の事業」と記載しておきましょう。また、将来予定のある事業も記載しておくことで、定款変更の手間やコストを省くことができます。

事業目的の違反がないように定款作成で気を付けることを詳しく知りたい方は「違反しないために定款を作成するときに気をつけるべきこと」をご覧ください。

以下の記事では、業種別の記載例などを豊富に掲載しております。書き方やポイントを知りたい方は参考にしてください。


定款の事業目的の書き方は?設定のポイントや変更方法について解説

事業目的を適切に設定しておくことは、信用を得るために重要です。定款の目的の書き方や注意点を解説します。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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