会社設立の基礎知識

マイナポータルの法人設立ワンストップサービスとは?手続きの種類や流れを解説!

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

法人設立ワンストップサービスとは?可能な手続きの内容や利用時の注意点を解説

法人を設立する際には、さまざまな手続きが必要です。このとき、デジタル庁が提供する「法人設立ワンストップサービス」を活用すれば、法人設立などに関する必要手続きをインターネット上で完結させられます。法人設立ワンストップサービスでは、従来、法務局や税務署、年金事務所など複数の関係機関を個別に訪問する必要があった法人設立手続きを、マイナポータル上でまとめて完了できます。

本記事では、法人設立ワンストップサービスを利用するメリットや、対応している手続きの種類、利用手順などについても解説します。

目次

会社設立の準備・手続きはfreee会社設立でカンタンに!

【設立数5万社以上 / 利用料無料】
freee会社設立では、必要項目を入力するだけで設立前後に必要な書類を無料で一括作成できます。無料相談も受付中!

法人設立ワンストップサービスとは

法人設立ワンストップサービス」とは、デジタル庁が提供する、法人設立に関連した手続きをマイナポータル上でワンストップで行えるサービスです。

※子育てや介護などの行政サービスの検索やオンライン申請、行政からのお知らせの受領などが可能な政府運営のオンラインサービス

2020年1月からサービス提供が開始し、2021年には定款認証や登記手続きも対応可能に。2025年5月現在、法人設立に必要なさまざまな手続きをオンラインで完了することができます。

従来、法人設立にあたっては以下の各種機関へ個別訪問し、各手続きを行う必要がありました。

  • 法務局
  • 税務署
  • 都道府県税事務所
  • 年金事務所
  • 労働基準監督署
  • ハローワーク
  • 各行政機関

法人設立ワンストップサービスが登場以前も、各手続きのオンライン申請は利用可能でした。ただし、複数のシステム(登記ねっと・e-Tax・eLTAX・e-Gov)を使い分ける必要があり、作業負担は大きく手間のかかるものでした。

しかし、法人設立ワンストップサービスであれば、マイナポータル上でワンストップで法人設立手続きを完結できるため、従来のオンライン申請に比べて大きく手間や時間を削減できます。

【関連記事】
法人登記のオンライン申請とは? 申請方法やメリットについて解説

法人設立ワンストップサービスのメリット

法人設立ワンストップサービスを活用するメリットは、大きく分けて2つあります。

いずれも作業負担の低減につながるものであり、法人設立ワンストップサービスによって、従来、平均7日ほどかかっていた法人設立登記の完了までの手続きが、3日以内、最短で24時間以内に完結するようになりました。

24時間365日オンライン申請が可能

法人設立ワンストップサービスは、メンテナンス時間を除き、24時間365日オンライン申請が利用できます。法務局や税務署などの開局・開庁時間や休日を気にすることなく、利用者の都合のよいタイミングで法人設立の手続きをまとめて行えるため、時間や手間の大きな削減につながります。

サービスのメンテナンス時間は、法人設立ワンストップサービスの公式サイトの「お知らせ」欄から確認できます。

印鑑届出の負担が軽減される

窓口や郵送による法人登記申請では、印鑑届出が必須であり、印鑑証明書の原本提出が求められます。

しかし、オンライン申請による法人登記なら、印鑑届出(代表印登録)は任意です。印鑑届出を行う場合でも、法人設立ワンストップサービスから、代表者の印鑑証明書をオンラインで送信できます。

法人設立時に必要な取締役の就任承諾書にかかる個人の印鑑証明書も、オンライン申請であれば電子証明書の利用により、印鑑証明書の提出を省略できます。

ただし、印鑑証明書そのものの受け取りは、法務局の窓口で受け取る必要があります。

法人設立ワンストップサービスで可能な手続きの種類

2020年に提供開始となった法人設立ワンストップサービスは、2021年2月に定款認証・設立登記・GビズID発行にも対応できるようになり、2025年3月現在、以下の法人設立に関する手続きが行えます。

法人設立ワンストップサービスで可能な手続き

  • 国税・地方税に関する届出
  • 社会保険・労働保険に関する届出
  • 定款認証・設立登記
  • GビズIDの発行

国税・地方税に関する届出

法人設立ワンストップサービスで行える、国税や地方税に関する主な手続きは以下の通りです。


税目手続きの名称
法人税法人設立届出
定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請
青色申告の承認申請
事前確定届出給与に関する届出
棚卸資産の評価方法の届出
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出
減価償却資産の償却方法の届出
消費税消費税課税事業者選択届出
消費税の新設法人に該当する旨の届出
消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出
消費税課税期間特例選択・変更届出
消費税簡易課税制度選択届出
消費税申告期限延長届出
適格請求書発行事業者の登録申請
源泉所得税給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
地方税
(法人住民税・事業税など)
事業所等新設・廃止申告
法人設立・設置届(都道府県)
法人設立・設置届(市町村)
申告書の提出期限の延長の処分等の届出・承認申請
その他電子申告・納税等開始届出
出典:国税庁「法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました」
出典:マイナポータル「法人設立ワンストップサービス」

各手続きの詳細および最新の情報は、国税庁法人設立ワンストップサービスの公式サイトで確認してください。

社会保険・労働保険に関する届出

法人設立ワンストップサービスでは、社会保険や労働保険など、雇用に関する届出などの法人設立後に必要な行政手続きも行えます。下表に、対応している主な手続きをまとめました。


届出申請先機関
健康保険・厚生年金保険新規適用届年金事務所
保険関係成立届(継続)(一元適用)労働基準監督署
保険関係成立届(継続)(二元適用労災保険分)労働基準監督署
雇用保険の事業所設置の届出公共職業安定所
雇用保険被保険者資格取得届公共職業安定所
出典:マイナポータル「申請可能な手続一覧」
出典:国税庁「法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました」

詳細に関しては、国税庁公式サイトや法人設立ワンストップサービスの「申請可能な手続一覧」でご確認ください。

定款認証・設立登記

法人設立ワンストップサービスは、法人を設立する際の定款認証・登記などに関する手続きにも対応しています。


手続きの名称申請先機関
電磁的記録の認証の嘱託(定款認証)公証役場
電子署名付委任状の申請公証役場
執務の中止の請求(定款認証の取下げなど)公証役場
設立登記の申請法務局
設立登記申請の取下法務局
商業登記電子証明書の発行申請法務局
商業登記電子証明書の発行申請の取下げ法務局
出典:マイナポータル「法人設立ワンストップサービス」

法人設立ワンストップサービスを活用すれば、公証役場や法務局に出向かずに済むため、スムーズに法人を設立できます。

GビズIDの発行

GビズID(gBizID)とは、ひとつのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできる、法人や個人事業主向けの共通認証システムです。アカウントには大きく2つの種類があり、概要はそれぞれ以下の通りです。


項目GビズIDプライムGビズIDエントリー
取得対象法人代表者、個人事業主事業を行う個人、組織の従業員
取得方法 書類郵送申請:印鑑証明書の提出と審査が必要(約1週間)
オンライン申請:マイナンバーカードが必要(最短即日発行)
審査不要で即日発行
利用可能な行政サービス無制限で行政サービスを利用可能利用可能なサービスが限定的
組織内アカウント発行GビズIDメンバーの発行が可能不可
出典:デジタル庁「GビズID」

法人設立ワンストップサービスでは、上表のGビズIDプライムアカウントの発行にも対応しています。

補助金事業など利用する行政サービスの種類によって、GビズIDプライムアカウント取得が必要なものがあります。郵送で手続きする場合はアカウント発行まで1週間程度の時間がかかりますが、法人設立ワンストップサービスなら最短即日発行が可能です。


出典:デジタル庁「GビズIDで行政サービスへのログインをかんたんに」
出典:デジタル庁「GビズIDで利用できる省庁・自治体のサービス」

法人設立ワンストップサービスの利用の流れ

法人設立ワンストップサービスを活用すれば、さまざまな手続きをスムーズに完了できます。利用にあたっては、以下の手順で手続きを進めます。

①事前に必要なものを用意する

法人設立ワンストップサービスを利用するためには、事前に以下を用意しておきましょう。

法人設立ワンストップサービス利用に必要なもの

  • 法人代表者のマイナンバーカード
  • インターネットアクセス端末(パソコン、NFC対応スマートフォン・タブレット)
  • インターネットアクセス環境
  • ICカードリーダー(パソコン・タブレットから利用する場合)
  • マイナポータルアプリ

マイナンバーが記載されている書類(個人番号通知書など)は、マイナンバーカードの代わりとして利用できません。ICチップがあるマイナンバーカードでの読み取りが必要です。なお、マイナンバーカードの代わりに、「電子証明書を設定済みのスマートフォン」でも手続きできます。

パソコン・タブレットから申請するなら、公的個人認証サービスに対応したICカードリーダーが必要です。


出典:法人設立ワンストップサービス「A. 申請方法の確認 【1.申請に必要なものを確認する】」

②法人設立ワンストップサービス内の「かんたん問診」を行う

事前準備が完了したら、デバイスから法人設立ワンストップサービスページにアクセスします。

ページにアクセス後、画面中央に表示されている「かんたん問診・申請」ボタンをクリックしてください。


法人設立ワンストップサービスページ
出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」

「法人設立関連手続かんたん問診」では、申請にあたって必要な書類の準備ができているかどうかや、利用者が行いたい手続き内容について、複数の質問を通して確認できます。表示されている問いに対して、順番に「はい」「いいえ」「わからない」のいずれかを選択していくと、不足している手続きや行うべき準備作業を教えてくれます。


法人設立関連手続かんたん問診画面
出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」

全ての質問に回答したら、「問診結果へ」をクリックします。


問診結果へ
出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」

問診結果には、回答に応じて行うべき手続き一覧が表示されます。行いたい手続きを選択したうえで、ページ下部の「申請する」ボタンをクリックしてください。


問診結果
出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」

③必要項目を入力して申請する

サービス利用規約を確認・同意し、利用者登録情報の読み取りを行います。選択した手続きの申請情報を指示に従い入力したら、マイナンバーカードで電子署名を行い、申請先機関への提出に進みます。

具体的な操作方法に関しては、法人設立ワンストップサービスのマニュアルで詳しく解説されているので、参考にしてください。

法人設立ワンストップサービス利用時に知っておきたいポイント

法人設立ワンストップサービスでスムーズに手続きを完了させるには、事前に準備を済ませておくことが重要です。そのほか、利用にあたっては以下の点に留意しましょう。

法人を設立する代表者のマイナンバーカードを取得しておく

法人設立ワンストップサービスを利用する際には、法人を設立する代表者本人の「マイナンバーカード」が必須です。家族・友人・従業員など、代表者以外のマイナンバーカードは代用できません。

マイナンバーカードの申請から取得までの期間は自治体により異なりますが、1ヶ月〜2ヶ月かかることが一般的です。余裕を持って取得しておきましょう。

マイナンバーカードの取得方法は、以下の4つから選択できます

マイナンバーカードの取得方法

  • 郵便による申請
  • パソコンによる申請
  • スマートフォンによる申請
  • 証明用写真機からの申請

出典:ぴったりサービス「マイナンバーカード・ガイド」

法人設立ワンストップサービスで完了しない手続きがある

法人設立に伴う全ての手続きを、「法人設立ワンストップサービス」で完了できるわけではありません。「申請可能な手続一覧」に掲載のある手続きのみが対象です。

たとえば、助成金・補助金の申請や法人口座の開設などに関しては、各機関での申請・開設手続きが必要です。

必要書類(添付書類)の用意は自身で行う

手続き自体は法人設立ワンストップサービスで行えますが、必要書類(添付書類)はサービス内で入手できません。自身で関係各所に発行を申請して必要書類を入手したうえで、添付する必要があります。

法人設立ワンストップサービスで申請情報を入力すると、手続きに必要な添付書類が表示されます。「申請可能な手続一覧」の「手続の説明を表示する」および「さらに詳しい手続の説明を表示する」をクリックして確認することも可能です。


申請可能な手続一覧

アップロード可能なファイル形式は添付書類ごとに異なります。詳細は、添付ファイル登録画面を確認してください。


出典:法人設立ワンストップサービス「よくある質問」

まとめ

法人設立ワンストップサービスを利用すれば、定款認証から法人設立登記の申請、法人設立後の手続きまでをワンストップで行えます。公証役場・法務局・税務署などに出向かずにオンラインで手続きを実施できるため、手続きにかかる作業負担が軽減されます。

ただし、法人設立ワンストップサービスは、法人に関連した全ての手続きに対応しているわけではありません。助成金・補助金の申請や法人口座の開設など、別で手続きが必要なものもあるため、事前に対応可能な手続きを公式サイトから確認のうえ、活用しましょう。

自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法

会社設立の準備から事業開始までには、多くの書類や手続きが必要になります。書類の転記をするだけでもかなりの時間がかかってしまいます。

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。設立件数30,000社以上の実績をもつfreee会社設立なら、初めての方もあんしんしてご利用いただけます。

起業ダンドリコーディネーターが完了までサポートしてくれるからあんしん!

初めての会社設立では、書類の書き方や提出先、設立後の手続きなどさまざまな場面で不安を抱えてしまうこともあるでしょう。

freee会社設立では、会社設立に詳しい起業ダンドリコーディネーターが常駐しており、設立準備から登記後に必要な手続きまでを完全無料で並走・サポートします。

相談方法はオンライン面談、LINE相談、電話、メールなどから選べます。まずお気軽に問い合わせフォームからおためし相談(最大30分)の予約をして、ご自身のスケジュールや設立手続きに関する疑問や不安を解消しましょう。

起業ダンドリコーディネーターの詳細はこちら

入力項目・次にやること、すべて画面上で把握できる

freee会社設立では、必要項目を記入していくだけで会社設立に必要な書類を作成することができます。また、登記の際に必要となる会社印も同時に購入が可能です。


freee会社設立 入力画面

freee会社設立は株式会社だけでなく、合同会社の設立にも対応しています。

会社名や資本金額など必要項目を入力すると、定款(ていかん)をはじめとする会社設立に必要な約10種類の書類を自動で作成します。

<freee会社設立で出力できる書類の一例>

  • 定款
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書 など
ほかにも、会社設立後に役所へ提出が必要な「法人設立届出書」の作成や法人口座の開設、法人用クレジットカードの申請にも対応しています。

設立にかかるコストを削減できる

設立費用を削減したい方には電子定款がおすすめです。紙の定款では、収入印紙代40,000円がかかりますが、電子定款ではこれが不要となります。

freee会社設立は電子定款にも対応しており、電子定款作成に必要な機器やソフトの準備なども必要がないため、自分で作成するよりもコストを抑えることができます。

<設立にかかる費用の比較例>


設立にかかる費用の比較例

(1)freee会計を年間契約すると、無料になります。
(2)紙定款の印紙代(40,000円)

会社設立の準備を進めながら、バーチャルオフィスの申し込みが可能!

会社設立するためにオフィスの住所が必要になります。
自宅をオフィス代わりにしている場合は、自宅の住所でも問題ありませんが、公開情報となってしまうので注意が必要です。

自宅兼オフィスのように実際の住所を公開したくない場合や、管理者や所有者に物件の法人登記が認められていない場合は、バーチャルオフィスを利用するのがおすすめです。

freee会社設立では、会社設立に必要な書類を無料で作りながら、バーチャルオフィスの申し込みもできます!
まずはこちらからfreee会社設立に無料で登録してみてください!

自分で手続きする時間のない方には「登記おまかせプラン」がおすすめ!

「初めての会社設立で不安」、「自分で手続きする時間がない」という方には、司法書士が手続きまで代行してくれる登記おまかせプランがおすすめです。

設立代行の費用相場は10万円前後ですが、freeeの登記おまかせプランは一律5万円で利用できます。※海外在留者が出資者・役員の場合等の特殊ケースを除く

登記おまかせプランの利用方法等の詳細は、freee会社設立の無料登録が完了後にメールにてご案内します。

会社設立の準備をお考えの方は、ぜひ登録無料のfreee会社設立をお試しください。

よくある質問

法人設立ワンストップサービスとは?

法人設立ワンストップサービスとは、定款認証や設立登記を含めた法人設立関連の手続きをインターネット上で行える、政府が運営するサービスです。

複数の窓口に足を運ぶ必要がなく、ひとつのシステムで手続きが完結するため、手間と時間の削減につながります。

詳しくは記事内「法人設立ワンストップサービスとは」をご覧ください。

法人設立ワンストップサービスの利用に必要なものは?

法人設立ワンストップサービスの利用に必要なものは以下の通りです。


  • 法人の代表者のマイナンバーカード
  • インターネットアクセス端末(パソコン・NFC対応スマートフォン・タブレット)
  • インターネットアクセス環境
  • IC カードリーダー(パソコン・タブレットから利用する場合)
  • マイナポータルアプリ

マイナンバーカードの代わりに、「電子証明書を設定済みのスマートフォン」でも手続きが可能です。

詳しくは記事内、「法人設立ワンストップサービスの利用の流れ」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

起業の準備はfreee会社設立でカンタン・安心

freee会社設立なら、会社設立に必要な10種類の書類を無料で作成できます!

さらに起業の検討時期から会社設立後の手続きまで、専任コンシェルジュによる無料サポートも利用可能です。
設立社数50,000社以上のfreee会社設立なら初めての方もあんしん!
まずはお気軽にご相談ください!