監修 橋爪 祐典
薬局開業・独立を検討するにあたり、開業にいくら必要かを正確に把握しておかないと、自己資金の目安や資金調達の検討などができず、開業に向けた準備を進めにくくなります。
本記事では、薬局開業資金の相場や資金調達の方法、初期費用削減の方法について解説します。独立開業を検討している薬剤師の人や、開業資金が集まらずにお悩みの人は、最後までご覧ください。
目次
- 薬局の開業資金相場はいくら?
- 薬局開業資金の内訳
- 1.設備資金
- 2.開業準備費用
- 3.運転資金
- 薬局開業資金を調達する方法
- 金融機関に融資を依頼する
- 日本政策金融公庫を利用する
- 信用保証協会の創業支援制度を利用する
- 補助金や助成金を利用する
- ノンバンク融資を利用する
- 資金調達の方法を探すなら『freee創業融資サポート』
- 薬局開業資金を調達する際に意識すべき7つのポイント
- 1.必要資金を正確に見積もる
- 2.説得力のある事業計画書を作成する
- 3.薬局開業予定地の周辺情報を十分に集める
- 4.薬剤師や薬局事務員を確保する
- 5.税理士に相談する
- 6.家族からの同意を得る
- 7.税金や公共料金を滞納しない
- 薬局開業資金を抑える方法
- リース契約や中古設備を利用する
- 内装工事を簡素化する
- 居抜き物件を利用する
- 最小限の人員で開業する
- まとめ
- よくある質問
- 自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
薬局の開業資金相場はいくら?
薬局の開業資金は、1,500万〜2,000万円ほどが相場です。
テナントを借りて薬局を開業するのであれば、物件取得費や内装工事、薬品の仕入れなどが発生します。物件の立地条件や工事の規模、扱う調剤の数などによっては、開業資金が相場よりも高くなることも考えられます。
ただし、居抜き物件の利用や既存店舗の譲渡など、方法次第では1,000万円以下で開業できる可能性もあります。
あくまで開業資金の相場は目安として考えておきましょう。
薬局開業資金の内訳
薬局の開業資金は、設備資金・開業資金・運転資金の3つに分けられます。
それぞれの内訳を確認して、何にどのくらいの費用が必要なのかわかれば、必要な自己資金・資金調達額が明確になるでしょう。
1.設備資金
設備資金は、物件取得や内装工事、機器導入など、薬局の店舗を構える際に必要な資金です。設備資金の費用相場は、600万〜1,200万円ほどです。
| 項目 | 費用(目安) | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 物件初期費用 (敷金・礼金・仲介手数料) | 120万円~200万円 | |
| 賃貸契約時の保証金 | 30万円~80万円 | |
| 内装工事 | 200万円~600万円 | ・給排水設備工事 ・電気工事 ・ガス工事 ・空調設備工事 ・換気設備工事 ・電話回線工事 |
| 看板設置費用 | 10万円~50万円 | |
| 機器設備購入費 | 200万円~300万円 | ・調剤台 ・分包機 ・薬棚 ・PC ・レセコン ・各種システム導入費 |
| 合計 | 約560万円~1,230万円 |
設備費用は、取得する物件の立地条件や工事の範囲などによって変動します。
たとえば、居抜き物件を利用して既存の設備や内装を活用できるのであれば、大規模な内装工事を行う必要がないため工事費用を抑えられます。
一方、スケルトン物件と呼ばれる内装が全くない建物だと、レイアウトやデザインの自由度は高いものの、内装工事にかかる費用は大きくなるでしょう。
2.開業準備費用
開業準備費用は薬局開業の準備にかかる費用で、600万〜1,500万円ほどが目安です。
| 項目 | 費用(目安) | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 法人登記費用 | ・株式会社:22万円~50万円 ・合同会社:10万円~30万円 | ・定款用収入印紙代 ・定款の謄本手数料 ・定款の認証手数料 ・登録免許税 ・法人登記の代理申請費用 |
| 資本金 | 1円以上 | |
| 初期在庫の購入費 | 200万円~900万円 | |
| 採用費 | 30万円~100万円/1人 | ・薬剤師の紹介手数料 ・求人広告 |
| 広告宣伝費 | 10万円~100万円 | ・ホームページ作成 ・Web広告の掲載 ・チラシ作成 |
| 合計金額 | 550万円~1,450万円 |
法人登記費用は、株式会社と合同会社どちらを選択するかによって、費用が大きく変動します。株式会社は社会的信用度が高く、求人への応募や金融機関からの融資に好影響を与える点が特徴です。
一方、合同会社は設立時に定款の認証手数料が発生しません。登録免許税も株式会社より安く、初期費用を抑えられます。出資比率に関係なく利益配分ができるため、経営の自由度も高いといえます。
また、法律上では資本金は1円からでも法人の設立が可能です。ただし、資本金額は支払い能力や会社の信用度、融資額の上限などに影響するため、一定額以上は準備しておいたほうがよいでしょう。
【関連記事】
会社設立の流れを徹底解説!株式会社を設立するメリットや注意点について
3.運転資金
運転資金は、薬局の事業継続にかかる費用です。薬局の運営に必要な運転資金の相場は、1ヶ月あたり300万〜500万円ほどです。
| 項目 | 1ヶ月にかかる費用 (目安) | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 仕入費 | 200~300万円 | |
| 家賃や共益費 | 15万円~30万円 | ・駐車場の賃料 ・共用灯の保守や交換代 ・エレベーターの電気代や点検費用 |
| 水道光熱費 | 5万円~10万円 | ・電気代 ・水道代 ・ガス代 |
| 人件費 | 60万円~150万円 | |
| 消耗品費 | 5万円~10万円 | ・ゴム手袋 ・文房具 ・計量カップ ・スポイト ・ピンセット |
| 通信費 | 5万円~20万円 | ・通話代 ・インターネット回線 ・各種システムの利用料 |
| 合計 | 290万円~520万円 |
薬局の開業直後は売上も不安定で、調剤報酬が振り込まれるまでに1〜2ヶ月かかります。人件費や家賃、水道光熱費の滞納を避けるため、開業前に最低でも3ヶ月分の運転資金を確保しておきましょう。
宣伝費用は、SNSや店舗の公式サイトで情報発信を行うことで費用を抑えることができます。
薬局開業資金を調達する方法
薬局の開業資金は条件によって変動しますが、少なくとも1,500万円前後は必要です。
主な資金調達方法として、以下の5つが挙げられます。
薬局開業資金を調達する方法
金融機関に融資を依頼する
銀行や信用機関など金融機関へ融資を依頼するプロパー融資は、金利が低く、保証料が発生しない点が魅力です。
融資限度額の上限もなく、融資が認められれば多額の資金を低金利で借りられます。
ただし融資の審査基準が厳しく、薬局開業時に利用できる可能性は低いでしょう。プロパー融資では貸し倒れを防ぐため、事業実績や財務状況、キャッシュフローを重視して融資の判断を下します。
薬局開業前または直後だと、いずれの点も健全性を証明するのが困難です。
そのためプロパー融資は、薬局開業後に事業実績を積み、財務状況やキャッシュフローの健全性を証明できるようになってから、利用するのが無難でしょう。
また、プロパー融資の金利は信用度に応じて変動する仕組みです。信用度の高い企業と認められれば、多額の資金を低金利で調達できます。薬局の事業が軌道に乗ったら、活用できないか検討すべき手段といえます。
日本政策金融公庫を利用する
日本政策金融公庫の支援「新規開業・スタートアップ支援資金」は、自己資金や担保・保証人が不要のため、開業時でも融資してもらいやすいのが特徴です。
日本政策金融公庫とは、中小企業やスタートアップ企業、個人事業主などを対象に、金銭的な支援を行う政府系の金融機関です。
なかでも「新規開業・スタートアップ支援資金」は、業種を問わず開業する人が利用できる制度で、薬局開業時にも活用できます。
開業運転資金であれば最大4,800万円、設備資金であれば最大7,200万円の融資を受けられます。
| 新規開業・スタートアップ支援資金の詳細 | |
|---|---|
| 対象者 | ・新たに事業を始める人 ・事業開始から7年以内の人 |
| 融資限度額 | 7,200万円(運転資金は4,800万円) |
| 返済期間 | ・運転資金:10年以内 ・設備資金:20年以内 |
| 利率 | 0.65%(新たに事業を始める場合) |
| 担保や保証人 | 不要 |
日本政策金融公庫には、ほかにも経営環境変化対応資金や企業活力強化資金など、開業後の状況に応じて利用できる融資制度が数多く揃っています。さらに、ホームページ上で、創業支援やスタートアップ支援などに関する情報を多数発信しています。
創業計画書の作成や事業計画の策定など、資金調達以外の内容にも対応しており、薬局開業を進めるうえで頼れる相談先といえるでしょう。
信用保証協会の創業支援制度を利用する
信用保証協会の創業関連保証制度を利用すると、信用保証を提供してもらえ、金融機関からの資金調達が可能になります。
信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者が金融機関からスムーズに融資を受けられるよう支援する組織です。
一般的に、創業前や創業間もない期間は実績がないため、金融機関からの融資が難しい傾向にありますが、信用保証協会が融資を保証してくれることで資金調達しやすくなります。
以下いずれかの要件を満たし、作成した創業計画書の内容が認められれば、最大3,500万円まで保証してくれます。
- 1ヶ月以内に事業を始める具体的な計画がある人
- 2ヶ月以内に法人化し、事業開始に向けた具体的な計画がある人
- 分社化に伴い別法人を設立して事業を開始する予定の法人
- 事業を開始してから5年未満の個人事業主
- 個人事業主が設立し、設立から5年未満の法人
- 分社化に伴い設立した法人で設立から5年未満
- 個人事業主が開始した事業を法人化し、個人創業時から5年未満
出典:全国信用保証協会連合会「創業をお考えの方」
また、薬局開業後も「借換保証」や「経営安定関連保証」など、さまざまな融資制度を利用できます。
補助金や助成金を利用する
補助金・助成金の多くは、受給金額を返済不要としているため、開業後に金銭的負担がかからない点が特徴です。
補助金は受給金額が大きいものの競争率が高く、要件の確認や提出書類の作成など、早くから準備を進めておく必要があります。加えて、予算に限りがあるため採択件数が決められており、必ず受給できるとは限りません。
一方、助成金の支給額は補助金より少ないものの、支給要件を満たして提出書類に不備がなければ、高確率で受給できます。
薬局開業で利用可能な補助金・助成金の例として、IT導入補助金と地域雇用開発助成金が挙げられます。
| IT導入補助金 (通常枠) | 地域雇用開発助成金 (地域雇用開発コース) | |
|---|---|---|
| 主な補助対象 | ・ソフトウェア購入費 ・クラウドサービスの料金 (最大2年分) | ・内装工事 ・不動産購入費 ・車両購入費 ・機器や設備購入費 |
| 主な支給要件 | 業務プロセスを満たしたソフトの導入 | ・雇用拡大の設備投資 ・計画期間内での投資 ・1点につき20万円以上 ・合計金額が300万以上 |
| 支給額 | 5万円~450万円 | 50万円~800万円 |
| 主に必要な手続き | ・提出書類の作成 ・「GビズIDプライム」アカウントの取得 ・「SECURITY ACTION」宣言の実施 | ・求職者等の雇い入れに関する計画書の作成 ・計画期間内に設備投資と採用を実施 |
| 締切期間 | ・6次:2025年10/31 ・7次:2025年12/2 | 要確認 |
IT導入補助金は、以下いずれかに該当するソフトウェアを最低でもひとつ購入する必要があります。
- 顧客対応または販売支援
- 決済
- 在庫または物流
- 会計
- 総務や給与計算
補助金の支給額は、満たした条件数によって変動し、4つ以上満たすと最大450万円が支給されます。
また、地域雇用開発助成金は、採用した設備投資の額や労働者の人数によって、助成金が変動する仕組みです。設備投資に50万円以上投じ、20人以上新たに雇用した場合は最大で1,600万円が支給されます。
ただし、開業直後に利用した場合は、設備投資と雇用人数の要件を満たしていても、最大で800万円しか支給されません。
今回紹介した制度以外にも、薬局開業時に利用可能な補助金・助成金制度は存在します。利用できる補助金・助成金は地域によって異なるので、開業予定のエリアで、用途や資金額に見合った制度がないか調査しましょう。
ノンバンク融資を利用する
ノンバンクは提出書類が少なく、相談先によっては最短即日で資金を調達できるケースもあるのがメリットです。
ノンバンク融資とは、クレジットカード会社や信販会社、消費者金融など、預金や為替業務を実施しない銀行以外の金融機関から資金を調達することです。
融資審査のスピードが速く、すぐに資金を調達できる可能性があるものの、銀行と比べて金利が高く返済時の負担が大きくなります。
たとえば、銀行のカードローンの上限金利は年13〜15%以下に設定されているのに対し、ノンバンクでは年17〜18%以下です。
仮に銀行から100万円借りると、利子が1年に13万円~15万円発生するのに対し、ノンバンクでは利子が17万円〜18万円発生する計算です。
金利によって最終的な返済額が大きく変わるため、融資先は慎重に選ぶ必要があります。ノンバンクは、どうしてもすぐに資金が必要になったときに利用しましょう。
資金調達の方法を探すなら『freee創業融資サポート』
どのような方法で資金調達をすべきかお悩みなら、フリー株式会社の『freee創業融資サポート』を利用するのがおすすめです。
freee創業融資サポートを利用すると、開業資金の調達に精通したスタッフが事業者の要望や資本金額に応じた資金の調達方法を提示します。
金融機関や融資コンサルティング出身者が多数在籍しており、事業計画書の作成や面接対策などをサポートしてもらえる点も特徴です。豊富な経験やノウハウに基づくアドバイスによって、融資の審査通過率向上が望めるでしょう。
また、法人設立支援や税理士の紹介など、資金調達以外の内容も相談できます。開業資金の調達や事業計画書の作成にお困りの方は、『freee創業融資サポート』の利用をご検討ください。
薬局開業資金を調達する際に意識すべき7つのポイント
金融機関に資金調達を依頼しても資金回収の目途が立たないと判断されると、融資の許可は下りません。
融資が得られる確率を高めるには、以下7点を意識することが重要です。
薬局開業資金を調達する際に意識すべきポイント
1.必要資金を正確に見積もる
設備資金や開業準備費用、運転資金がどのくらい必要か、正確に見積もることが重要です。
薬局開業にかかる費用は、物件の条件や購入が必要な設備の数など、さまざまな要因によって大きく変動します。
また、どのくらいの調剤を仕入れ、何人の薬剤師を採用するかなど、店舗をどのように運営していくか、イメージしておくことも必要です。
店舗の運営方法が固まれば、適切な物件選びや調剤の仕入れ数、必要な人員数などの判断を具体的に下しやすくなり、ミスマッチによる無駄な費用の支払いを避けられます。
2.説得力のある事業計画書を作成する
実現性が高く説得力に満ちた事業計画書があると、どのような融資を受ける際にも、融資審査率に好影響をもたらします。
事業計画書とは、資金調達を行うために金融機関や投資家などへ提出する書類です。事業計画書は法的に作成義務は課せられていないものの、安定した経営が望めるかを判断するうえで、提出が求められます。
事業計画書から早期に薬局の事業運営が軌道に乗り、安定した収益を確保できるイメージが描けなければ、融資を受けるのは難しくなるでしょう。
薬局開業の事業計画書には、主に以下の内容を記載します。
- 取り扱う処方箋調剤や一般医薬品の概要
- 調剤以外で提供する医療サービスの概要
- ターゲットとする顧客層
- 販売またはマーケティング戦略
- 仕入れ先
- 財務計画
- 収益見込み
- 市場調査の結果や競合他社の動向
- 資金調達の計画
また、実現性の高い事業計画書に仕上げるには、薬局の開業予定地域・ターゲット層・自店舗の強みを明確にしましょう。
上記を示したうえで、収支計画やリスク対策などを詳細に記載し、説得力を高めます。
また、事業計画書の作成方法や内容に不安を抱えるのであれば、税理士や中小企業診断士などに相談するのも有効です。
豊富な知識をもつ専門家にサポートしてもらうことで、事業計画書の完成度や客観性を高められます。
【関連記事】
事業計画書の書き方と記入例を項目別に解説! テンプレートや作成時のポイントも紹介
3.薬局開業予定地の周辺情報を十分に集める
薬局開業後の収益と融資審査率に大きく影響するため、競合薬局の動向や地域の医療ニーズなど、事前に開業予定地周辺の情報を十分集めることが大切です。
たとえば、競合薬局の店舗数が多い地域に出店しても、早期の黒字確保は難しいため、別の場所での出店も選択肢に入れなければなりません。また、地域のニーズに合った薬品を提供できないと、リピーターの獲得は難しくなるでしょう。
薬局開業前に、最低でも以下の内容は把握しておく必要があります。
- 開業予定地周辺での医療機関の数
- 医療機関に在籍する医師の数や診察科目
- 医療機関ごとの患者数や評判
- 競合薬局の数や取扱薬品
また、新しい病院やクリニック開設の情報を掴んだら、開業予定時期や医師の経歴、診察科目などを把握できると、開業後に連携しやすくなります。
4.薬剤師や薬局事務員を確保する
患者数に見合った人員数や雇用形態、人件費の見通しなどを事業計画書に盛り込むと、事業の実現性や財務管理能力の高さを融資の際にアピールできます。
薬局開業の際は、通常業務をスムーズに進め高品質なサービスを提供するため、薬剤師や薬局事務員を一定数確保する必要があります。
基本的には、薬剤師が一人でも法的に問題はありません。
ただし調剤や服薬指導、薬歴記入などの業務は、ミスが起きないよう複数の薬剤師で行うのが一般的です。
また、薬剤師1人あたりの処方箋枚数は、1日40枚までと決められています。そのため患者数によっては、薬剤師が少ないと薬局の運営に支障が生じる可能性があります。患者数や経営状況に応じて薬剤師を一定数確保できるように、計画を立てましょう。
出典:厚生労働省「薬剤師の対人業務の強化のための調剤業務の一部外部委託等について」
5.税理士に相談する
資金調達の支援が得意な税理士に相談すると、薬局開業に適切な資金調達の方法を提案してもらえます。
事業者の意向や必要な融資額を踏まえたうえで提案が得られるため、選択ミスに伴う返済負担の増大や事業運営への悪影響を避けられます。
また、創業計画書や事業計画書の作成をサポートしてもらえるため、融資審査の通過率が高まる点もメリットです。金融機関からの資金調達実績が豊富な税理士は、金融機関がどの点をチェックして融資の判断を下すか熟知しています。
収支計画やリスク分析など、金融機関のチェックポイントを踏まえたうえで、書類の作り方をサポートしてもらえるため、実現性の高い創業計画書や事業計画書を作成できるでしょう。
開業資金が必要な理由や収支見込み、返済計画など、融資面接での質問内容やポイントも把握しており、事前にアドバイスが得られます。
税理士との面接対策を入念に実施することで、金融機関での融資面接に自信をもって臨めるようになります。
6.家族からの同意を得る
金融機関での融資審査率を高めるには、薬局開業や資金調達に関して家族からの同意を得ることも重要です。
金融機関では、事業の安定性や支払い能力を判断する際に、家族からのサポートが得られるか確認するのが一般的です。
融資担当者は、事業者の家族が反対している状態で資金調達に踏み切ってしまい、開業後にトラブルが発生して事業継続が困難になる事態をおそれています。
事業者の家族が薬局開業資金の調達に対して同意し、事業への関与や連帯保証人になってくれると、融資担当者に与える説得力が高まります。
家族からの同意を得るために、事業計画の内容やリスク、資金調達の方法などを丁寧に説明しておきましょう。
7.税金や公共料金を滞納しない
税金や公共料金の支払い遅延や滞納が起きると、財務管理能力が低いと判断され、金融機関での審査に大きく影響します。
金融機関は貸し倒れのリスクを避けるため、支払い能力が低い企業や個人事業主への融資は避ける傾向にあります。また、融資の可否を判断する際は、過去の借入や返済履歴などの信用情報も確認するため、信用情報に問題があると融資が見送られる可能性が高まります。
融資の審査率を高めるため、薬局開業前から財務管理を徹底するだけでなく、税金と公共料金の支払いは期日内に済ませましょう。
薬局開業資金を抑える方法
金融機関に資金調達を依頼しても、薬局開業資金の相場である1,500万円〜2,000万円を確保するのは簡単ではありません。
また、開業後は収入が不安定になりやすいため、数ヶ月分の運転資金や生活費の確保も考える必要があります。
開業前後の経済的不安を軽減するため、以下4つの方法を活用して開業費用を抑えましょう。
薬局開業資金を抑える方法
リース契約や中古設備を利用する
リース契約とは、事業運営に必要な機器や設備を借りる仕組みです。事業者が新規に設備や機器を購入しないため、初期費用を大幅に抑えられます。
毎月支払うリース料は一定なのが一般的で、経費に全額計上が可能です。支出管理や帳簿付けの負担もラクになります。
また、中古品は使用年数や劣化具合によっても変動しますが、場合によっては新品価格の50~60%程度で購入が可能です。
ただし、通常業務に悪影響を与えないよう、リースする際は品質や安全性を十分確認しましょう。
内装工事を簡素化する
壁紙や床などの内装仕上げ工事を簡素化すると、開業資金を削減できます。
内装工事は仕上げ工事と設備工事、大きく2種類に分けられます。
設備工事は給排水設備工事や空調設備工事など、専門的な知識と経験が要求されるため、工事業者に依頼しなければなりません。一方、仕上げ工事の壁紙の張替えやフローリングの塗装など、一部の作業はDIYでも対応可能です。
内装工事の費用は作業量が多くなるほど高額になるため、一部作業を自身で対応すれば、費用を抑えられます。
少しでも予算を抑えたいのであれば、DIYで対応できる部分がないか検討しましょう。
居抜き物件を利用する
前の人が使っていた設備や内装が残っている居抜き物件であれば、工事費を抑えられるため、新規物件よりも初期費用を大幅に削減できます。
特に、大規模な内装工事や大量の設備・備品を購入する必要がない物件であれば、大きく費用を削減できるでしょう。テナント賃貸での居抜き物件を購入できれば、最大で数百万円規模のコスト削減が見込めます。
ただし、レイアウトの自由度は低く、設備や内装が必ずしも使える状態で残されているとは限らない点には注意が必要です。
最小限の人員で開業する
薬局の運営が軌道に乗るまでは、最小限の人員で店舗の業務を回しましょう。
事前に入念な情報収集や準備を重ねても、想定通りに収益が得られるとは限りません。
開業直後から多くの従業員を雇用すると人件費が膨らみ、薬局経営に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
従業員の増員は、黒字化を継続して確保できるようになってからでも遅くはありません。開業直後は固定費を抑えるため、最小限の人員で始めましょう。
まとめ
薬局開業には物件取得や工事、設備導入などが必要になるため、多額の開業資金を準備しておかなければなりません。
ただし、開業資金の目安である1,500万〜2,000万円の費用を自力で確保するのはハードルが高く、金融機関に融資を依頼して資金を調達するのが無難な方法です。
資金調達の相談先には、日本政策金融公庫や信用保証協会など、いくつかの選択肢が挙げられます。どの金融機関に相談するべきかわからないのであれば、フリー株式会社の『freee創業融資サポート』を利用するのがおすすめです。
金融機関や融資コンサルティング会社出身のスタッフがヒアリング内容に基づき、実情に見合った融資制度を提案します。事業計画書の作成や融資の手続き、面接対策などを手厚くサポートするため、融資の審査通過率向上が望めます。
薬局開業に必要な資金調達の方法にお悩みの方は、『freee創業融資サポート』にご相談ください。
よくある質問
薬局開業資金はいくらぐらい必要ですか?
工事の規模や設備の購入数などによって変動しますが、薬局の開業資金は1,500万〜2,000万円が相場です。
詳しくは記事内「薬局開業資金の内訳」をご覧ください。
薬局開業資金は、どのような調達方法がありますか?
資金調達の主な方法として、以下の選択肢が挙げられます。
- 金融機関からのプロパー融資
- 日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金
- 信用保証協会の創業関連保証制度
- 補助金や助成金
- ノンバンク融資
詳しくは記事内「薬局開業資金を調達する方法」をご覧ください。
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監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)
2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。
