会社設立の基礎知識

株主総会議事録とは?記載事項・ひな形・書き方などを紹介

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

株主総会議事録とは?記載事項・ひな形・書き方などを紹介

株主総会議事録とは、株主総会の決議事項などを記載した書類です。会社法で作成・保存義務が定められており、株主総会が開催された日時・場所・決議内容・取締役氏名などの事項を記載しなければなりません。

株主総会議事録は、税務調査や登記の際に必要であるため、ルールに則り、取締役が適切に作成・保存してください。作成・保存義務に違反すると、100万円以下の過料が科される可能性があります。

本記事では、株主総会議事録の記載事項・ひな形・書き方・電子化の要件などに関して詳しく解説します。

目次

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株主総会議事録とは

株主総会議事録とは、株主総会で決定された事項などを記載した書類で、会社法により作成・保存が義務とされています。

記載内容の責任や管理は取締役が担い、作成も取締役が実施することが一般的です。

株主総会議事録は、株主や会社の債権者からの求めに応じて提示しなければなりません。また、登記・税務調査時に提出しなければならないこともあります。

株主総会議事録は、本店で10年間、支店では写しを5年間保存しなければなりません。作成・保存義務に違反すると、100万円以下の過料が科される可能性があります。


出典:e-Gov法令検索「会社法(平成十七年法律第八十六号) 第三百十八条」

株主総会とは

株主総会とは、「取締役の選任」「定款の変更」「解散・合併」などの事項に関して、株主が議決を行う最高意思決定機関です。

毎事業年度の終了後に1回開く「定時株主総会」と、必要に応じて開く「臨時株主総会」があります。


出典:e-Gov法令検索「会社法(平成十七年法律第八十六号)第二百九十五条・第二百九十六条」

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株主総会議事録の記載事項

株主総会議事録に記載する事項は、会社法施行規則第72条によって定められています。記載事項は、以下のとおりです。

株主総会議事録の記載事項

  • 株主総会が開催された日時・場所
  • 株主総会議事録の経過要領・決議内容
  • 会社法規定に定められた特定の意見・発言内容
  • 株主総会に出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名・名称
  • 株主総会に議長を立てた場合の氏名
  • 株主総会議事録を作成した取締役の氏名

出典:e-Gov法令検索「会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)第七十二条」

会社法の条文には詳細が記載されていないため、株主総会議事録を作成する際には、会社法施行規則を必ずチェックしましょう。

株主総会が開催された日時・場所

株主総会が開催された日時および場所の記載が必要です。

会社法では、オンラインなどの手段により、現地以外からの参加も認められています。取締役などの経営層や株主が現地以外から参加した場合は、参加方法も記載してください。

株主総会議事録の経過の要領・決議内容

株主総会議事録の経過の要領・決議内容とは、株主総会での報告事項・質疑応答・議案・審議・採決などの事項を指します。

これらの記載事項を満たすために、要点や結果が明確にわかるように作成してください。要点がまとまっていれば議事録として認められるため、株主総会での全発言や内容の詳細を明記する必要はありません。

会社法に規定された特定の意見・発言内容

会社法に規定された特定の意見や発言内容とは、会社法施行規則の第72条第3項で列挙された事項です。

下表に、条項および内容をまとめました。


法令内容
会社法第342条の2第1項監査等委員である取締役による、監査等委員である取締役の選任・解任・辞任に関する意見
会社法第342条の2第2項監査等委員である取締役を辞任した人が、辞任後最初の株主総会で述べる辞任理由
会社法第342条の2第4項監査等委員会が選定した監査等委員による、監査等委員である取締役以外の選任・解任・辞任に関する意見
会社法第345条第1項会計参与による、会計参与の選任・解任・辞任に関する意見
会社法第345条第2項会計参与を辞任した人が、辞任後最初の株主総会で述べる辞任理由
会社法第361条第5項監査等委員である取締役による、監査等委員である取締役の報酬に関する意見
会社法第361条第6項監査等委員会が選定した監査等委員による、監査等委員以外の取締役の報酬に関する意見
会社法第377条第1項会計参与が、計算書類の作成に関する事項について会計参与と取締役の意見が異なる場合に述べる意見
会社法第379条第3項会計参与による、会計参与の報酬などに関する意見
会社法第384条監査役による、株主総会の議案や書類などに法令・定款違反がある場合に監査役が実施する調査の結果報告
会社法第387条第3項監査役が、監査役の報酬に関して株主総会で述べる意見
会社法第389条第3項監査役による、会計に関する議案・書類などについて監査役が実施した調査の結果報告
会社法第398条第1項・第2項会計監査人による、会計監査人が株主総会に出席して述べた意見
会社法第399条の5監査等委員が、「法令もしくは定款に違反し、または著しく不当な事項がある」と認める場合に実施する株主総会への報告
出典:e-Gov法令検索「会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号) 第七十二条」

意見・発言内容が上記に該当するかどうかを判断できない場合は、弁護士にご相談ください。

株主総会に出席した各取締役などの氏名・名称

株主総会議事録には、株主総会に出席した取締役・執行役・監査役・会計参与・会計監査人全員の氏名または名称を記載しなければなりません。

株主総会に出席した株主については、人数のみを記載してください。氏名の記載は不要です。

株主総会に議長を立てた場合の氏名

株主総会における議長の選任に関して、法令上の定めはありませんが、議長を立てた場合は、議長の氏名を株主総会議事録に記載する必要があります。

議長は代表取締役や社長が務めるケースが多いです。また、誰が務めるか定款に記載しておくことが一般的です。

株主総会議事録を作成した取締役の氏名

株主総会議事録には、その作成に関する職務を遂行した取締役の氏名を記載しなければなりません。

株主総会議事録を作成できるのは、株主総会が開催される時点での取締役とされています。

上記以外の記載事項

会社法施行規則で定められた事項に関しては、義務的に株主総会議事録に記載しなければなりませんが、それ以外の事項を任意で記載することも可能です。

「株式総数」「発行済株式数」「議決権を有する株主数」などを株主総会議事録に記載する例もあります。


出典:法務局「株主総会議事録の例」

法務局が提供している株主総会議事録のひな形

株主総会議事録の様式は、法律で定められていません。会社法施行規則で定められた事項を盛り込んでいれば、様式は自由です。

法務局の公式Webサイトに、「株主総会議事録のひな形・テンプレート」があります。どのような様式にするべきかを決められない場合は、ひな形をダウンロードして利用することも選択肢のひとつです。


出典:法務局「株主総会議事録の例」

株主総会議事録の書き方・記載例

株主総会議事録の書き方について、記載項目ごとに解説します。株主総会議事録の全体イメージは、以下をご覧ください。


株主総会議事録の記載例

出典:法務局「株主総会議事録の例」

法務局が公開しているひな形を使用するか、上記の例を参考にしてワープロソフトなどで株主総会議事録を作成することも検討してください。

株主総会が開催された日時・場所の書き方

株主総会が開催された日時・場所の記載例は、以下のとおりです。

  • 2024年3月31日午前10時02分から、当会社の本店会議室で定時株主総会を開催した。

出席者がオンラインで現地以外から参加した場合は、その旨も記載します。

株主総会議事の経過の要領・決議内容の書き方

株主総会議事の経過の要領・決議内容に関する記載例は、以下のとおりです。

以上のとおり株主の出席があったので、定款の定めにより代表取締役社長山田太郎は議長席に座り、本定時総会は適法に成立したので、開会する旨を宣し、直ちに議事に入った。

第1号議案

(中略)

議長は以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前11時49分閉会した。

上記の決議を明確にするため、この議事録を作り、議長、出席取締役および出席監査役がこれに記名する。

要点や結果を明確に把握できるように記載します。

会社法で規定された特定の意見・発言内容の書き方

会社法で規定された特定の意見・発言内容の記載例は、以下のとおりです。

第2号議案 取締役および監査役の任期満了に伴う改選に関する件

議長は、取締役および監査役の全員が本定時総会の終結と同時に任期満了し退任するため、その改選の必要がある旨を述べ、(中略)、満場異議なくこれに賛成したので、下記のとおり再選重任することに可決確定した。

取締役 つばめ 一郎
同   つばめ 二郎
同   つばめ 三郎
監査役 つばめ 四郎

なお、被選任者は、いずれも席上その就任を承諾した。

各議案に関してどのような結果になったのかを、要点をまとめて記載します。

株主総会に出席した各取締役などの氏名・名称の書き方

株主総会議事録に出席した各取締役などの氏名・名称の記載例は、以下のとおりです。

出席取締役 会計 太郎(議長兼議事録作成者)
      つばめ 一郎
      つばめ 二郎
      つばめ 三郎
出席監査役 つばめ 四郎

誰が議長・議事録作成者なのかを把握できるように記載します。

株主総会議事録に押印は必要?

会社法において、株主総会議事録への押印は義務付けられていません。ただし、議長・議事録作成者が押印することが一般的です。

また、定款に「株主総会議事録に押印する旨」の記載がある場合は、押印しなければなりません。そのほか、取締役会がない会社が代表取締役選定の決議を実施する場合は、押印が必要です。

【関連記事】
定款とは?認証方法や記載事項・定款変更のポイントについてわかりやすく解説

株主総会議事録は電子化できる?

株主総会議事録は、電子データとして作成し、USBメモリやハードディスクなどに保存しても問題ありません。また、最初は書面として作成した株主総会議事録をスキャナーで読み込み、電子データとして保存することも可能です。

電子化して保存する際は、e-文書法にしたがわなければなりません。e-文書法では、見読性・完全性・機密性・検索性の4要件について規定されています。株主総会議事録の電子化による作成・保存でも、要件を遵守してください。


出典:e-Gov法令検索「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十六年法律第百四十九号) 第三条」

株主総会議事録の保存期間と違反した場合の罰則

株主総会議事録は、本店では10年間、支店では写しを5年間保存することが義務とされています。ただし、議事録を電子データで作成し、支店においてそのデータを閲覧できるようにしている場合には、支店での備え置き義務はありません。

違反すると、取締役、監査役などに100万円以下の過料が科される可能性があります。

10年が経過すれば、法律上の保存義務は消滅しますが、破棄するべきではありません。議事の内容をめぐって裁判が起こった際、証拠資料として提出するケースもあるため、永久保存しましょう。


出典:e-Gov法令検索「会社法(平成十七年法律第八十六号) 三百十八条」

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まとめ

株主総会議事録とは、株主総会で決定された事項などを記載した書類です。

会社法で作成・保存が義務とされており、書面または電子データで作成・保存しなければなりません。作成・保存義務に違反すると、100万円以下の過料が科される可能性があります。

株主総会議事録には、開催日時や取締役氏名などに加え、会社法で規定された特定の意見や発言内容について記載が必要です。

法律で様式が定められているわけではありませんが、記載漏れを防止するために、法務局が公開している「ひな形」の活用を検討ください。

よくある質問

株主総会議事録とは?

株主総会議事録とは、株主総会で決定された事項などを記載した書類です。登記や税務調査などの際に提出が求められるため、株主総会を開催したら、作成・保存する必要があります。

詳しくは記事内「株主総会議事録とは」をご覧ください。

株主総会議事録は必須?

株主総会議事録は、会社法により作成が義務付けられています。また、本店では10年間、支店では写しを5年間保存する必要があるため、適切に管理してください。作成・保存義務に違反した場合、100万円以下の過料が科される可能性があります。

詳しくは記事内「株主総会議事録とは」をご覧ください。

株主総会議事録に記載する事項は?

株主総会議事録に記載する事項は、会社法施行規則第72条によって定められています。具体的には、株主総会が開催された日時・場所や出席した取締役等の氏名、決議の内容などについてです。

詳しくは記事内「株主総会議事録の記載事項」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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