監修 松浦 絢子(弁護士)
監修 北田 悠策 公認会計士・税理士
会社の本店移転は、社員の増加による手狭感の解消や顧客の利便性の向上、環境の変化への対応など、さまざまな効果が見込めます。
しかし、本店移転をする際には登記を変更しなくてはならず、そのためにはいくつかの手続きと書類の準備が必要です。
本記事では、法人が本店移転する際の手続きの流れや登記の申請方法などを解説します。
目次
- 本店移転とは?
- 本店移転の手続きは自分でできる?
- 法人が本店移転の手続きを進める流れ【株式会社の場合】
- ①株主総会で本店移転の議事録を作成する
- ②本店移転の場所・日程を決める
- ③法務局に本店移転登記を提出する
- ④税務署・年金事務所などに届け出る
- 法人が本店移転の手続きを進める流れ【合同会社の場合】
- 本店移転の手続きでやること・費用
- 同じ法務局の管轄内に本店移転する場合の手続き
- 異なる法務局の管轄に本店移転する場合の手続き
- 本店移転登記の申請方法
- ①オンラインで申請する
- ②法務局の窓口で提出する
- ③法務局に郵送する
- 本店移転の申請で気を付けたい4つのポイント
- ①本店移転の変更登記は2週間以内に提出する
- ②株主総会で定款を変更しなければならないケースがある
- ③商号を変更しなければならないケースがある
- ④法務局の管轄が異なる場所への移転の場合は印鑑カードを再発行する
- 不安な人は専門家へ相談・依頼を検討する
- ①法務局に相談する
- ②司法書士に依頼する
- 本店移転登記のほかに必要な6つの届出
- ①税務署
- ②年金事務所
- ③労働基準監督署
- ④ハローワーク
- ⑤都道府県税事務所
- ⑥市区町村
- まとめ
- 変更登記の書類をかんたんに作成する方法
- よくある質問
本店移転とは?
「本店移転」とは、会社の商業登記に記載された会社の本店所在地を変更することです。
個人で引越した際に住所の変更を役所に届け出るように、会社の本店所在地を移転した際には登記上の本店所在地を変更する手続きが必要です。
本店移転の手続きは自分でできる?
本店移転の手続きは、方法を知っていれば自分で行うことが可能です。司法書士に手続きを依頼する場合と比べて、コストを抑えられるというメリットがあります。
手続きが複雑で難しいと感じる場合は、司法書士に登記申請を依頼しましょう。
法人が本店移転の手続きを進める流れ【株式会社の場合】
株式会社が本店所在地を移転し、登記上の住所を変更する際は、以下の手順で進めます。
株式会社が本店移転するまでの流れ
①株主総会で本店所在地移転の決議を行い、株主総会議事録を作成する
②移転先・移転日を決める
③法務局に本店移転登記申請書を提出する
④税務署、年金事務所などに本店所在地の変更を届け出る
以下で詳しい手順を紹介します。
①株主総会で本店移転の議事録を作成する
本店の移転は、定款の変更が必要なケースと不要なケースの2つにわかれます。
定款とは、会社を設立する際に発起人全員の同意によって定められた、会社の目的・組織の形態・事業内容などに関する会社の基本原則が記載された書類です。
【関連記事】
会社設立に必須の定款とは?認証方法や記載事項について詳しく解説
定款の変更が必要なケース
元の本店所在地が「東京都渋谷区神南2丁目2番1号」のように、町名や番地まで具体的に記載されている場合は、株主総会で議決を行い、定款を変更する必要があります。
議決内容を記載した株主総会の議事録を作成し、参加した株主リストとともに法務局に提出します。
定款の変更が不要なケース
本店所在地が「東京都渋谷区」などのように、最小行政区画(市町村・東京23区)までしか定款に記載されていない場合で、かつ同じ最小行政区域内に移転する場合は、株主総会で定款の変更を行う必要はなく、取締役会決議等で足ります。
上記の場合、取締役会設置会社であれば法務局には取締役会の議事録を提出します。取締役会を設置していない会社は、取締役の過半数の一致を証明する書面の提出が必要です。
②本店移転の場所・日程を決める
本店所在地の移転先や移転日は、取締役会で決議します。取締役会を設置していない場合は、取締役の過半数が本店所在地の移転先や移転日に賛同を得たことを示す書面が必要です。
取締役会を設置していない会社では、本店移転の定款変更を決議する際に、移転先や移転日もあわせて決定することも可能です。
③法務局に本店移転登記を提出する
本店移転の場所と日程が決まったら、法務局へ登記を提出します。
本店所在地の移転先が旧住所と同じ管轄の法務局か否かで手順が異なるため、事前に法務局のホームページで管轄地域を確認してから手続きを行ってください。
出典:法務局 「管轄のご案内」
④税務署・年金事務所などに届け出る
本店登記を完了した後は、以下の公的機関にも届出が必要です。必要な書類や手続きの方法などは「本店移転登記のほかに必要な6つの届出」で解説します。
本店移転登記をした場合に届出が必要な公的機関
- 税務署
- 年金事務所
- 労働基準監督署
- ハローワーク
- 都道府県税事務所
- 市区町村役場(市区町村により届出が不要の場合もあるので要確認)
法人が本店移転の手続きを進める流れ【合同会社の場合】
合同会社の本店所在地の移転手続きは株式会社の場合とほぼ同じで、以下の流れに沿って進めます。
本店移転手続きの流れ
①社内で本店所在地の移転先・日程を決める
②法務局に本店移転登記申請書を提出する
③税務署・年金事務所などに届け出る
定款の変更が必要かどうかの判断基準も株式会社の場合と同様です。
本店の所在地が定款に具体的に記載されている場合は、定款の変更が必要です。一方で、最小行政区画までの記載で、同じ区域内に移転する場合は定款の変更が不要です。
なお、合同会社には株主総会が存在しません。そのため、本店の所在地や移転日は、業務執行社員の過半数の同意によって決定されます。
また、本店移転に伴って定款の変更が必要な場合は、総社員の同意が必要です。
本店移転の手続きでやること・費用
本店移転登記は、同じ法務局の管轄内か、管轄外かによって、費用・提出書類・申請場所が異なります。
| 本店移転先 | 同じ法務局の管轄内 | 異なる法務局の管轄 |
|---|---|---|
| 本店移転にかかる費用 (登録免許税) | 3万円 | 旧所在地の管轄法務局:3万円 移転先の管轄法務局:3万円 合計:6万円 |
| 本店移転に必要な書類 (株式会社の場合) | ・本店移転登記申請書 ・株主総会議事録 ・取締役会議事録 | ・本店移転登記申請書(旧本店所在地法務局、新本店所在地法務局の各提出用) ・株主総会議事録 ・取締役会議事録 |
| 本店移転に必要な書類 (合同会社の場合) | ・本店移転登記申請書 ・総社員の同意書(必要な場合のみ) ・定款(必要な場合のみ) ・業務執行社員の決定書 | ・本店移転登記申請書 ・総社員の同意書(必要な場合のみ) ・定款(必要な場合のみ) ・業務執行社員の決定書 |
| 申請場所 | ・旧所在地の管轄法務局 | ・旧所在地の管轄法務局(旧所在地分・新所在地分をまとめて申請) |
それぞれの違いを詳しく解説します。
同じ法務局の管轄内に本店移転する場合の手続き
同じ管轄区域内に移転する場合は、移転登記申請書を1通作成し、本店移転の日(実際に新しい所在地に移転した日)から2週間以内に、旧所在地の管轄法務局に申請しなければなりません。
ただし、実際に本店移転後に定款変更の決議を行った場合は、株主総会の日(合同会社の場合は総社員の同意日)を本店移転日とします。
また、定款変更を伴わない本店移転で、移転後に承認決議が行われた場合は、その決議の日が本店移転日となります。
出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
本店移転にかかる費用
旧所在地の管轄法務局と移転先の管轄法務局が同一である場合は、登録免許税として3万円がかかります。
本店移転に必要な書類
同じ法務局の管轄内に本店移転する際は、以下の書類が必要です。
本店移転に必要な書類【株式会社の場合】
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| 本店移転登記申請書 | 具体的な移転先を記載する書類 |
| 株主総会議事録 (定款の変更が必要な場合) | 本店移転が株主総会で議決された記録 |
| 株主リスト (株主総会議事録を添付する場合) | 氏名/名称・住所・株式数・議決権数・議決権割合等を記載した書類 |
| 取締役会議事録 | 取締役会の決議事項を記載した書類 |
本店移転に必要な書類【合同会社の場合】
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| 本店移転登記申請書 | 具体的な移転先を記載する書類 |
| 総社員の同意書 (定款の変更が必要な場合) | 総社員の同意があったことを証明する書類 |
| 定款 (定款の変更が必要、かつ総社員の同意書の代わりに業務執行社員の決定書のみを添付する場合) | 会社設立時に作成した定款 |
| 業務執行社員の決定書 | 業務執行社員の過半数の一致があったことを証明する書類 |
出典:法務局「合同会社(本店移転(管轄登記所内で移転する場合))」
異なる法務局の管轄に本店移転する場合の手続き
移転前と移転先の法務局の管轄が異なる場合、移転前の管轄法務局には転出登記申請を、移転先の管轄法務局には転入登記申請を行います。
移転前の管轄法務局と移転先の管轄法務局、それぞれに申請すべき内容を下表にまとめました。
| 申請先 | 申請内容 |
|---|---|
| 移転前の管轄法務局 | ・会社の本店を移転する登記申請 |
| 移転先の管轄法務局 | ・設立の登記と同様の事項 ・現に効力のある事項 |
なお、転出・転入の申請書の提出は、いずれも移転前の管轄法務局でまとめて行います。申請書類は移転前の法務局から移転先へ送付され、自動的に受理される仕組みです。
本店移転登記にかかる費用
旧所在地の管轄法務局と移転先の管轄法務局が異なる場合は、それぞれの法務局で登録免許税が3万円ずつ必要となるため、合計6万円かかります。
本店移転に必要な書類
旧所在地と異なる法務局の管轄に本店移転する際、必要となる書類は以下のとおりです。
本店移転に必要な書類【株式会社の場合】
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| 本店移転登記申請書 (旧所在地管轄法務局提出分) | 具体的な移転先を記載する書類 |
| 株主総会議事録 (定款の変更が必要な場合) | 本店移転が株主総会で議決された記録 ※株主のリストも提出が必要 |
| 取締役会議事録 (株主総会議事録を添付する場合) | 取締役会の決議事項を記載した書類 |
| 本店移転登記申請書 (移転先管轄法務局提出分) | ・具体的な移転先を記載する書類 ・書式、内容は旧所在地管轄法務局に提出するものと同じ |
本店移転に必要な書類【合同会社の場合】
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| 本店移転登記申請書 | 具体的な移転先を記載する書類 |
| 総社員の同意書 (定款の変更が必要な場合) | 総社員の同意があったことを証明する書類 |
| 定款 (定款の変更が必要、かつ総社員の同意書の代わりに業務執行社員の決定書のみを添付する場合) | 会社設立時に作成した定款 |
| 業務執行社員の決定書 | 業務執行社員の過半数の一致があったことを証明する書類 |
出典:法務局「合同会社(本店移転(管轄登記所外に移転する場合))」
申請場所
移転先の管轄法務局への登記申請書類は、旧所在地の管轄法務局に提出します。移転登記の際に、あわせて提出してください。
出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
本店移転登記の申請方法
本店移転登記には、以下の3つの申請方法があります。
本店移転登記の申請方法
①オンラインで手続きする
②法務局の窓口で提出する
③法務局に郵送する
それぞれのメリットや申請時の注意点を解説します。
①オンラインで申請する
オンラインで本店移転登記すると、以下のようなメリットがあります。
- 法務局の窓口まで出向く必要がない
- 税の納付を収入印紙ではなくネットバンキングで行うことができる
ただし、申請ソフトのインストールや使い方の習得、電子署名の利用登録などが必要なため、一定の手間がかかります。
申請ソフトは一度インストールすれば、移転以外のさまざまな登記の際にも利用できます。そのため、登記の機会が多い場合はオンライン申請に慣れておくと便利です。
移転登記をオンラインで申請する場合は、以下の手順で行います。
移転登記をオンラインで申請する手順
">- 登記・供託オンライン申請システムに利用者登録し、パソコンに申請用総合ソフトをインストールする
- 申請用総合ソフトのフォーマットに必要事項を入力し、申請書を作成する
旧所在地と移転先の管轄法務局が異なる場合は、双方の法務局に提出するように設定する - 申請書類へ電子署名を付与する
電子署名:紙の書類の場合の印鑑にあたるもの - 申請書の情報を送信する
旧所在地と移転先の管轄法務局が異なる場合は双方に送信するよう設定する - 登録免許税を納付する
税額は同一管轄内の移転の場合は3万円、異なる管轄間の移転の場合は6万円
出典:法務局 「株式会社の本店移転の登記をしたい方(オンライン申請)」
②法務局の窓口で提出する
必要書類と登録免許税の金額分の収入印紙を用意して、旧所在地の管轄法務局の窓口に直接提出します。
直接窓口で申請するには、交通費や社内の担当者の工数がかかりますが、窓口で疑問点に対する説明や書類の不備の確認をしてもらえるメリットもあります。
③法務局に郵送する
本店移転登記の申請は、郵便または信書便でも行うことが可能です。普通郵便でも問題ありませんが、法務局では到達確認が可能な書留での送付を推奨しています。
郵送の際は、封書の表面に「登記申請書在中」と明記して投函しましょう。
郵送での申請は、直接窓口に出向く必要がないというメリットがある一方で、投函してから法務局が受け取るまでに時間がかかるデメリットもあります。
出典:法務省 「商業・法人登記の郵送申請について」
本店移転の申請で気を付けたい4つのポイント
登記申請書に不備があると差し戻され、再提出しなければなりません。また、本店移転登記の期日を超過すると、代表者個人が過料の対象となる可能性があります。
本店移転の登記申請で気を付けたい4つのポイントは、以下のとおりです。
本店移転の申請で気を付けたいポイント
- 本店移転の変更登記は2週間以内に提出する
- 株主総会で定款を変更しなければならないケースがある
- 商号を変更しなければならないケースがある
- 法務局の管轄が異なる場所への移転の場合は印鑑カードを再発行する
それぞれ詳しく解説します。
①本店移転の変更登記は2週間以内に提出する
本店移転後2週間以内に登記を変更しないと、登記懈怠とみなされ代表者個人が100万円以下の過料を科せられる可能性があります。
移転の日時が正式に決まったら、「いつまでに登記申請しなければならないか」を逆算してスケジュールを立てるようにしましょう。
出典:GVA法人登記「会社の登記懈怠とは?用語の意味から過料について解説します」
②株主総会で定款を変更しなければならないケースがある
定款に所在地を番地まで具体的に記載している場合、その所在地から本店を移転すると定款の変更が必要です。この場合、株主総会で定款の変更を決議しなければなりません。
また、合同会社の場合は、定款の変更に総社員の同意が必要となります。
【関連記事】
株式会社の定款を変更する時に必要な手続きとは?
③商号を変更しなければならないケースがある
「商号」とは会社名を指します。移転先の本店所在地に同一の商号を使用している会社が存在する場合、登記申請ができないため商号の変更が必要です。
本店所在地と商号がまったく同じでなければ登記自体は可能です。ただし、誤認を狙って有名企業と同一または類似する商号を意図的に使用する場合、不正競争防止法などの法令に違反する可能性があります。
不正な意図がない場合でも、本店所在地の移転先に類似する商号の会社がある場合、その会社との間にトラブルが発生する、顧客が誤認するなどのリスクもあります。
そのため、本店移転の前に十分な調査を行い、紛らわしい商号の会社が移転先にないか確認することが望ましいです。
【関連記事】
会社名を決めるときのルール・ポイントとは?26社の実例から学ぶネーミングアイデア集
④法務局の管轄が異なる場所への移転の場合は印鑑カードを再発行する
印鑑カードとは、法人の実印(代表印)の正当な所持者であることを証明するカードです。本店所在地の管轄法務局が発行するもので、印鑑証明書を発行してもらう際に必要です。
本店移転によって管轄の法務局が変わる場合は、移転先の管轄法務局で新しい印鑑カードを再発行(手数料不要)してもらいましょう。
再発行後は旧所在地の印鑑カードは使用できなくなるので、法務局へ返還します。
【関連記事】
法人の印鑑証明書発行に必要な印鑑カードとは?
不安な人は専門家へ相談・依頼を検討する
本店移転登記の申請に誤りがあると、法務局から差し戻される可能性があります。また、申請の遅れは登記懈怠とみなされ、100万円以下の過料を科せられる場合もあります。
申請の遅れを避けるためにも、初めての本店移転登記に不安な人は、以下の方法で専門家への相談・依頼を検討しましょう。
専門家に本店移転手続きの相談・依頼をする方法
①法務局に相談する
②司法書士に依頼する
以下で専門家に相談・依頼する方法を詳しく紹介します。
①法務局に相談する
法務局ではさまざまな方法で登記に関する相談を受け付けています。たとえば東京法務局では、対面・電話・Webの3つの方法で担当者が質問に対応しており、いずれも前日までの予約が必要です。
Webで問い合わせをする場合は、事前にスマートフォンやパソコンに通信専用アプリをインストールしておきましょう。
なお、法務局の混雑などにより、一度で相談を終えられない場合もあります。事前に必要な情報を調べておく、必要書類を用意しておくなど、注意事項を認識したうえで窓口を利用しましょう。
出典:東京法務局「登記手続きのご案内」
②司法書士に依頼する
司法書士に書類の作成から申請までを一括して依頼する方法もあります。ただし、3万~5万円程度の費用がかかるため、会社の担当者の手間やコストと比較して判断しましょう。
また、特に個人経営の司法書士の場合はスキルに差があり、商業登記の取り扱い実績が少ない場合には結果的に手間や時間がかかるケースもあります。司法書士の実績や経験を事前に調べ、信頼できるかどうかを見極めることが必要です。
本店移転登記のほかに必要な6つの届出
本店移転後は、法務局だけでなく、納税や福利厚生に関する以下6つの公的機関にも届出が必要です。
届け出が必要な公的機関
①税務署
②年金事務所
③労働基準監督署
④ハローワーク
⑤都道府県税事務所
⑥市区町村
以下では、届け出が必要な公的機関と、それぞれに必要な書類を紹介します。
①税務署
会社には主に、法人税および社員の源泉所得税の納税義務が発生します。会社が納税する税金をどの税務署が徴収するか確定するために、以下の2種類の書類を提出します。
①は本店移転後速やかに、②は本店移転後1ヶ月以内に、いずれも移転前の管轄税務署に提出することが定められています。
②年金事務所
本店移転後には、社会保険に関わる「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」の提出が必要です。
登記事項証明書を添付して、移転から5日以内に移転前の管轄年金事務所に提出します。
出典:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き」
出典:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄外の場合)の手続き」
③労働基準監督署
労働者を雇用している場合、会社は労働保険に加入しなければなりません。本店移転後10日以内に移転先の管轄にある労働基準監督署に「労働保険名称・所在地等変更届」を提出する必要があります。
フォーマットや添付書類は、移転後の労働基準管轄署で確認ができます。
④ハローワーク
労働者を雇用して労働保険に加入している場合は、労働基準監督署に加えて、ハローワークにも届け出る必要があります。
「雇用保険事業主事業所各種変更届」を本店移転から10日以内に、移転後の管轄にあるハローワークに提出します。その際、登記事項証明書の添付が必要です。
⑤都道府県税事務所
会社には地方税である法人住民税や法人事業税の納税義務があります。本店移転登記を行った後は、都道府県税事務所にも届出が必要です。
なお、自治体によって「異動届出書」や「法人異動事項申告書」など、提出書類の名称が異なる場合もあります。
ほかの都道府県に移転する場合は、旧所在地およびと移転先の両方の税事務所に提出が必要です。一方、同一都道府県内での移転であれば、移転先の税事務所への提出のみで問題ありません。いずれの場合も、登記事項証明書や定款の添付が必要です。
手続き方法は各都道府県によって異なるため、提出先の都道府県税事務所に確認しましょう。
⑥市区町村
市区町村役場には主に以下の書類の提出が必要です。
- 異動届出書、法人・事務所等異動届など(法人住民税関連)
・ほかの市区町村に移転する場合は、移転前・移転後両方の役所に提出する
(東京23区内の移転は届出不要)
・登記事項証明書、定款の提出が求められることがある - 特別徴収義務者所在地等変更届出書(個人住民税関連)
・役員や従業員の住民税の特別徴収を行っている場合に必要
どちらも移転後速やかに提出しましょう。手続き方法は各市区町村によって異なるので、提出先の市区町村役場に確認してください。
まとめ
本店所在地の移転登記には、多くの書類の用意や手続きが必要です。司法書士に依頼することもひとつの方法ですが、自分で登記申請を行うよりもコストがかかります。
一つひとつの書類の作成や手続きは決して難しいものではありません。抜けや漏れがないよう確認しながら準備を進めることで、滞りなく対応できます。
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- ・株主総会省略の提案書
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よくある質問
移転登記を出さないとどうなる?
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詳しくは記事内「①本店移転の変更登記は2週間以内に提出する」をご覧ください。
本店移転登記にかかる金額はいくら?
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詳しくは記事内「本店移転の手続きでやること・費用」をご覧ください。
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詳しくは記事内「本店移転するときの手続き・費用」をご覧ください。
監修 松浦 絢子弁護士
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。
監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。
