監修 松浦絢子 弁護士
監修 北田 悠策 公認会計士・税理士
会社設立には、自分で行う方法と専門家へ依頼する方法があります。費用や手間が異なるため、自身に合った方法を選ぶことが重要です。
自分でひとりで会社を設立すれば費用を抑えられますが、時間や手間がかかることがあります。
手続きのミスをなくしてスムーズに会社を設立するために、司法書士や行政書士などの専門家に依頼するのも選択肢のひとつです。会社設立の流れを把握したうえで、自分で行うか専門家に依頼するかを選択しましょう。
本記事では、会社設立の流れや自分で行う場合と専門家に依頼する場合のメリット・デメリット、会社設立の手続きを代行してくれる専門家について解説します。
目次
- 自分で会社設立する際の形態の選び方
- 会社設立にかかる費用
- 会社設立は自分で行うか専門家に依頼するかどちらがいい?
- 会社設立を自分で行うメリット・デメリット
- 会社設立を専門家に依頼するメリット・デメリット
- 会社設立する際の3つの選択肢
- 費用を抑えたい場合:全て自分で行う
- 費用と手間を抑えたい場合:電子定款のみ専門家に依頼してそれ以外は自分で行う
- 手間を省きたい場合:全て専門家に依頼する
- 会社設立を自分で行う場合の流れと手続き
- 1 会社の基本事項を決める
- 2 印鑑を作成する
- 3 定款を作成して認証を受ける
- 4 資本金を入金して登記書類を提出する
- 5 設立登記完了の届出を行う
- 自分で会社設立した後に行わなければならない手続き
- 法人税に関する届出
- 法人住民税・法人事業税に関する届出
- 健康保険・厚生年金保険加入に関する届出
- 労働保険に関する届出
- 雇用保険に関する届出
- 会社設立を代行してくれる専門家
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 相談窓口
- 自分でかんたん・あんしんに会社設立する方法
- まとめ
- よくある質問
自分で会社設立する際の形態の選び方
会社形態には複数の種類がありますが、その中でも株式会社と合同会社が一般的です。将来的な事業展開・経営の自由度・設立費用などを考慮して決めることが重要です。
株式会社と合同会社の違いは、以下のとおりです。
| 株式会社 | 合同会社 | |
|---|---|---|
| 所有と経営 | 所有と経営が分離 | 所有と経営が一体化 |
| 出資者 | 株式を発行し、出資者(株主)から資金を集める | 出資者(社員)が経営も行う |
| 責任 | 株主が出資額の範囲内で責任を負う | 社員が出資額の範囲内で責任を負う |
| 資金調達 | 株式発行による大規模な資金調達が可能 | 資金調達の選択肢が少ない |
| 設立費用 | 設立費用が高い | 設立費用が安い |
| 決算公告義務 | あり | なし |
| 経営の自由度 | 役員の任期があり、会社のルールに縛られやすい | 経営の自由度が高い |
| 社会的信用度 | 高い | 株式会社に比べて低い傾向がある |
株式会社は、将来的に上場を目指す場合や、大規模な事業展開を計画している場合に適しています。株式の発行によって多くの出資者から資金を集められるため、成長志向のビジネスに向いています。
一方、合同会社は、設立費用を抑えたい場合や、少人数で柔軟な経営をしたい場合に最適な選択肢です。個人の裁量を重視し、堅実な経営を目指す場合に適しています。
それぞれの特徴をよく理解し、自身の事業規模や将来の展望に合った会社形態を選ぶことが大切です。
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合同会社とは?特徴や設立するメリット・デメリットについて解説
自分一人で合同会社を設立するには?用意する書類から必要手続きまで解説
会社設立にかかる費用
会社設立の際は、主に以下3種類の費用がかかります。
会社設立にかかる費用
- 法定費用
- 資本金(最低1円以上)
- 会社印鑑や印鑑証明書などの費用
各費用の目安を、株式会社・合同会社を例に挙げて以下の表にまとめました。
| 内容 | 株式会社 | 合同会社 | |
|---|---|---|---|
| 法定費用 (設立登記や印鑑登録などの手続きに必要な費用) | 定款用収入印紙代 | 40,000円 (電子定款では不要) | 40,000円 (電子定款では不要) |
| 定款の謄本手数料 | 約2,000円 (250円/1ページ) | 0円 | |
| 定款の認証手数料 (公証人に支払う手数料) | 資本金100万円未満:30,000円 資本金100万円以上300万円未満:40,000円 資本金300万円以上:50,000円 | 0円 | |
| 登録免許税 | 150,000円 または 資本金額 × 0.7% どちらか高いほう | 60,000円 または 資本金額 × 0.7% どちらか高いほう | |
| 資本金 | 1円〜 | ||
| 会社印鑑や印鑑証明書などの費用 | 1,200〜12,000円 | ||
| 合計 | 18万3,201円〜 | 6万1,201円〜 | |
(※)資本金100万円未満で「発起人の全員が自然人であり、その数が3人以下・定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載がある・定款に取締役会を置く旨の記載がない」の3つを満たす場合15,000円
株式会社の設立に必要な費用は約18万円から、合同会社の設立に必要な費用は約6万円からです。合計費用を比べると、株式会社の設立にはより多くの資金が必要なことがわかります。
会社設立にかかる費用について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説
会社設立は自分で行うか専門家に依頼するかどちらがいい?
会社設立の手続きは、主に自分で行う方法と専門家に依頼する方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、方法を検討しましょう。
会社設立を自分で行うメリット・デメリット
会社設立を自分で行うメリットとデメリットは、以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・外注費用を抑えられる ・会社設立の経験が得られる ・会社法や税金に関する知識が身に付く | ・慣れない作業に時間がかかる ・ミスが発生するリスクがある ・設立準備に時間が取られ事業に支障をきたす可能性がある |
自分で会社設立を行う場合、費用が抑えられるだけでなく、会社の法律や税金などに関する知識や経験を得られるメリットがあります。
一方で、書類作成に時間がかかったり、定款への記載事項にミスや漏れが発生したりするリスクがあります。
会社設立を専門家に依頼するメリット・デメリット
会社設立を専門家に依頼するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・手続きのミスを防げる ・設立を進めながらも本業に集中できる | ・外注費用がかかる ・専門家を探す手間がかかる ・顧問契約が必要な場合がある |
専門家に依頼すれば、書類作成や申請代行による時間や手間を短縮でき、手続きのミスを防げます。一方で、専門家を選定する手間や、外注費用が発生します。
会社設立する際の3つの選択肢
会社設立の手続きは、費用を最小限にしたいのか、手間を抑えたいのかなど、自分の状況に応じて選ぶことが大切です。
会社設立する際の3つの選択肢
- 全て自分で行う
- 電子定款のみ専門家に依頼してそれ以外は自分で行う
- 全て専門家に依頼する
それぞれの手続きでやるべきことや、かかる費用を紹介します。
費用を抑えたい場合:全て自分で行う
費用を抑えたい人は、全ての手続きを自分で行う方法が適しています。以下は、全て自分で行う場合にやるべきことと費用の目安です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| やるべきこと | ・会社の基本事項の決定 ・法人用印鑑の作成 ・定款の作成と認証依頼 ・資本金を入金 ・登記書類の提出 ・設立登記完了の届出 |
| 費用 | ・株式会社の場合:約18万円〜 ・合同会社の場合:約6万円~ |
会社設立を全て自分で行えば、専門家への依頼費用がかかりません。しかし、定款の作成や登記書類の準備には専門知識が必要なため、慣れない作業に時間がかかり、手続きがスムーズに進まない可能性があります。
費用だけでなく、作業にかかる時間や手続きの正確性を考慮して、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
費用と手間を抑えたい場合:電子定款のみ専門家に依頼してそれ以外は自分で行う
電子定款の作成のみを専門家に依頼し、それ以外の手続きを自分で行う方法もあります。この方法では、専門家に依頼する費用を最低限に抑えつつ、手間も軽減できます。
定款は会社の基本ルールをまとめた重要な書類で、法律で定められた事項を正しく記載しなければ無効になります。そのため作成が難しく、専門家に任せるメリットが大きい部分です。
紙の定款では4万円の印紙税が必要ですが、電子定款なら不要です。さらにオンライン申請に対応しているため、スムーズに手続きできます。電子定款とは、定款をPDF化して電子認証を受けたものを指します。
電子定款のみを専門家に依頼した場合に、本人がやるべきことは、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| やるべきこと | ・会社の基本事項の決定 ・法人用印鑑の作成 ・資本金を入金 ・登記書類の提出 ・設立登記完了の届出 |
| 費用 | ・株式会社の場合:約20万円〜 ・合同会社の場合:約8万円~ |
電子定款の作成を専門家に依頼すれば、定款記載の不備による手続きの遅れを防ぎつつ、専用機器の準備などの煩わしさも省けます。
電子定款を自分で作成し、会社設立手続きを専門家に依頼する方法では、手間をあまり軽減できないうえに外注費用がかかります。
手続きの費用と手間を軽減したい場合は、電子定款の作成のみ専門家に依頼しましょう。
手間を省きたい場合:全て専門家に依頼する
会社設立にかかる手間を省きたいのであれば、全ての手続きを専門家に依頼する方法が適しています。全て専門家に依頼した場合、本人がやるべきことは以下の3つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| やるべきこと | ・依頼する専門家の選定 ・法人用印鑑の作成 ・資本金の入金 |
| 費用 | ・株式会社の場合:約28万円〜 ・合同会社の場合:約16万円~ |
会社設立の専門家への外注費用は10万円前後とされています。そのため、株式会社・合同会社のいずれの場合でも、合計金額にプラス10万円程度の費用を想定してください。
場合によっては、設立後の顧問契約を条件に設立代行費用が無料になるケースもあります。依頼内容や専門家によっても費用が異なるため、依頼内容を具体的に決めたうえで、専門家から見積もりを取りましょう。
会社設立を自分で行う場合の流れと手続き
会社設立を自分で行う場合、全ての手続きを自分で準備・対応する必要があります。具体的な流れや必要な手続きは以下のとおりです。
会社設立を自分で行う場合の流れ
- 会社の基本事項を決める
- 印鑑を作成する
- 定款を作成して認証を受ける
- 資本金を入金して登記書類を提出する
- 設立登記完了の届出を行う
1 会社の基本事項を決める
まず、定款に記載する会社の基本事項を決めます。基本事項には、商号(会社名)や事業目的、資本金の額などがあります。
| 基本事項 | 意味 |
|---|---|
| 商号(会社名) | 会社の名称 |
| 発起人 (※)株式会社の場合。合同会社の場合は「社員」 | 会社を立ち上げた人の氏名 |
| 会社の本店所在地 | 本社や本店のある場所 |
| 事業目的 | 事業を行う目的 |
| 資本金額 | 会社運営の元手となる資金 |
| 設立日 | 法務局に会社設立の登記申請をした日 |
会社設立時の資本金の目安や決め方、本店所在地の決め方については、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
中小企業の資本金の平均額はどのくらい?会社設立時の資本金の目安や決め方について解説
本店所在地はどこにする?会社設立時の法人登記で定める住所の決め方を解説
2 印鑑を作成する
会社設立登記の際に、法人用実印と印鑑届出書の提出が必要です。
法人用実印は、法人登記など重要な書類への押印に使用されます。また、印鑑届出書とは、登録された印鑑が実印であることを証明する書類で、法人用実印とあわせて作成します。
印鑑の種類や印鑑を用意する際のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
会社設立に必要な印鑑は?種類や役割、用意する際のポイントを解説
3 定款を作成して認証を受ける
基本事項の決定や印鑑の作成が完了したら、定款を作成します。定款には、以下のような会社の基本的なルールがまとめられています。
定款に必ず記載する項目
- 商号
- 事業目的
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額(設立に際して出資される財産の価額又はその最低額)
- 発起人の氏名・住所(合同会社の場合は社員の氏名・住所)
状況に応じて定款に記載する項目
- 株券や株主に関する事項
- 役員報酬に関する事項
- 配当金に関する事項
定款の作成が完了したら、公証役場で認証を受け、正式な文書として確定させます。ただし、合同会社の場合は定款認証が不要です。
4 資本金を入金して登記書類を提出する
定款を作成し認証を受けたら、発起人の口座に資本金を入金し、登記書類の申請を行います。資本金の入金証明を含む、登記に必要な書類(印鑑証明書・発起人の決定書・株式会社設立登記申請書など)をまとめ、法務局へ提出しましょう。
これらの手順は紙で行うと書類の準備や郵送に手間がかかるため、急ぎの場合はオンライン申請を利用しましょう。
オンラインでの登記申請方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
法人登記のオンライン申請とは? 申請方法やメリットについて解説
5 設立登記完了の届出を行う
全ての手続きが完了したら、最後に設立登記完了に関する届出を各所に提出します。
届出が必要な機関は、所轄の税務署・都道府県税事務所・市町村役場・年金事務所・労働基準監督署・ハローワークなどです。
会社設立後に行わなければならない各種提出書類や期限などについては、次の「自分で会社設立した後に行わなければならない手続き」をご覧ください。
自分で会社設立した後に行わなければならない手続き
登記が完了して会社を設立した後は、税務署や自治体、社会保険関連の手続きが必要になります。これらの手続きを適切に行わないと、税務処理や社会保険の加入に支障が出るおそれがあります。
主な手続きは以下のとおりです。
自分で会社設立した後に行わなければならない手続き
- 法人税に関する届出
- 法人住民税・法人事業税に関する届出
- 健康保険・厚生年金保険加入に関する届出
- 労働保険に関する届出
- 雇用保険に関する届出
法人税に関する届出
法人税に関する届出は、会社の本店所在地がある地域の管轄税務署で行います。
以下は、法人を設立した際に必ず提出しなければならない書類です。
| 名称 | 内容 | 提出先 | 提出期限 |
|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 法人税や消費税といった国税を納付する法人を新たに設立したことを税務署に通知するもの | 納税地の所轄税務署 | 法人設立の日以後2か月以内 |
| 棚卸資産の評価方法の届出書 | 原材料や商品在庫など、仕入れた商品の材料・資材などの棚卸資産の計算方法を決めるもの | 最初の事業年度の確定申告書の提出期限まで | |
| 減価償却資産の償却方法の届出書 | 建物や設備など時間とともに価値が下がる資産をどのように経費に算入するか決めるもの | 最初の事業年度の確定申告書の提出期限まで |
また、以下は必要に応じて提出が求められる書類です。
| 対象 | 名称 | 提出先 | 提出期限 |
|---|---|---|---|
| 役員や従業員に報酬、給与を支払うとき | 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 給与支払事務所等の所在地の所轄税務署 | 給与支払事務所等を設けてから1か月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例を受けるとき | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時(給与の支給人員が常時10人未満の場合) | |
| 青色申告で申告したいとき | 青色申告の承認申請書 | 納税地の所轄税務署 | 法人設立の日以後3か月を経過した日または最初の事業年度の終了日のいずれか早い日の前日まで |
| 資本金の額または出資金の金額が1,000万円以上のとき | 消費税の新設法人に該当する旨の届出書 | 速やかに | |
| 設立時から適格請求書発行事業者の登録を受けたいとき | 適格請求書発行事業者の登録申請書 | 最初の事業年度の終了の日まで |
法人住民税・法人事業税に関する届出
法人住民税・法人事業税に関しては、本店所在地となる都道府県税事務所および市町村役場へ「法人設立届出書」の提出が必要です。
ただし、東京23区内が本店所在地の場合は、市町村役場への提出は不要で、都税事務所への提出のみで問題ありません。
出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」
健康保険・厚生年金保険加入に関する届出
健康保険・厚生年金保険に関しては、年金事務所で加入手続きを行う必要があります。
以下は健康保険・厚生年金保険に関する届出の一覧です。
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするときに必要 |
| 健康保険・厚生年金保険 任意適用申請書・同意書 | 強制適用とならない事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするときに必要 |
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 従業員が健康保険・厚生年金保険に加入するときに必要 |
| 健康保険 被扶養者(異動)届 | 家族を被扶養者にするときに必要 |
| 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書 | 健康保険料・厚生年金保険料を口座振替によって納付するときに必要 |
また、届出の際は、書類提出日からさかのぼって90日以内に交付された法人登記簿謄本(商業登記簿謄本)の原本を提出する必要があります。
出典:日本年金機構「事業主の方 社会保険事務担当の方」
労働保険に関する届出
雇用する従業員がいる場合、労働保険に関する届出も必要です。労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続きは、本店所在地を管轄する労働基準監督署で行います。
以下は労働保険に関する届出の一覧です。
雇用保険に関する届出
労働基準監督署での手続きが完了したら、管轄のハローワーク(公共職業安定所)で雇用保険に関する手続きを行います。この手続きは、労働保険に関する届出と同様に、雇用する従業員がいる場合に必要です。
必要な書類と、その提出先や提出期限は以下のとおりです。
| 名称 | 提出先 | 期間 |
|---|---|---|
| 雇用保険 適用事業所設置届 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク | 適用事業に該当(労働者を雇用する事業を開始)した日の翌日から起算して10日以内 |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク | 適用事業所設置届と同時に提出 |
会社設立を代行してくれる専門家
会社設立は自分で行うことも可能ですが、手続きを専門家に依頼すれば負担を大幅に軽減できます。依頼先として、以下の4種類の専門家と相談窓口があります。
会社設立を代行してくれる専門家
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 相談窓口
各専門家に依頼する費用の目安や依頼できる範囲は、以下のとおりです。
| 依頼事項 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社会保険労務士 | 相談窓口 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社設立の手続き | 定款作成 | ◯ | ◯ | × | × | × |
| 定款認証 | ◯ | ◯ | × | × | × | |
| 登記申請 | ◯ | × | × | × | × | |
| 会社設立後の手続き | 税金関係の届出 | × | × | ◯ | × | × |
| 社会保険関係の届出 | × | × | × | ◯ | × | |
| 労務関係の届出 | × | × | × | ◯ | × | |
| 雇用保険関係の届出 | × | × | × | ◯ | × | |
| 許認可関係の届出 | × | ◯ | × | ◯ | × | |
| 各種相談 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
それぞれ詳しく解説します。
司法書士
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 外注費用の目安 | 10万円以上 |
| 依頼できる範囲 | ・登記申請 ・定款作成・認証 |
| メリット | 登記申請を依頼できる |
会社設立を司法書士に依頼するメリットは、会社の登記申請を任せられることです。
登記申請とは、法人に関する情報を法務局に登録する手続きのことです。商号(社名)・事業内容・会社の所在地・代表者の氏名や住所などを登録し、第三者に開示できるようにします。
出典:e-Gov法令検索「司法書士法 第三条」
費用の目安は10万円~ですが、会社設立を専門とする司法書士への依頼により、手続きをスムーズに進められます。
行政書士
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 外注費用の目安 | 約5万円 |
| 依頼できる範囲 | ・定款作成・認証 ・許認可申請 ・社用車申請 |
| メリット | 許認可の届出や公文書の作成がスムーズに進められる |
行政書士は、許認可や届出の代行申請、公文書の作成を得意としています。
許認可が必要な業種の事業を始める場合、行政手続きの専門家である行政書士に依頼するのがよいでしょう。許認可が必要な業種は、介護サービス・飲食店・クリーニング店など多岐にわたります。
自分が設立する会社に行政機関からの許認可が必要かどうかを確認し、必要な場合は行政書士への依頼を検討してください。
税理士
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 外注費用の目安 | 6〜20万円 |
| 依頼できる範囲 | ・税務関係の書類作成・申請 ・税務相談 ・会計業務 |
| メリット | ・税務に関する書類作成依頼や相談ができる ・経理関連のサポートが受けられる |
税理士は税務の専門家で、会社設立や経営に必要な会計関連業務を依頼できます。
会社設立に特化しているわけではありませんが、税金や設立に関する知識を身に付けている税理士がほとんどです。会社設立後も税理士からは節税や決算のサポートを受けられるため、長期的に見て顧問契約を結ぶことを検討しましょう。
社会保険労務士
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 外注費用の目安 | 2〜17万円 |
| 依頼できる範囲 | ・労働保険関係 ・社会保険関係 ・給与計算 ・帳簿作成 ・労務に関するアドバイス |
| メリット | 労務に関する書類作成依頼や相談ができる |
会社設立時に社員を雇用する場合に、依頼を検討すべき専門家が社会保険労務士です。社会保険労務士は、人事領域の仕事を専門としており、社員の労働保険や年金に関する相談や書類作成を依頼できます。
雇用の助成金や補助金の申請をする際にも、社会保険労務士がいると申請がスムーズに進みます。ただし、登記は専門としていない場合もあるため、会社設立に関する依頼をする際には、行政書士などと連携できる専門家を選びましょう。
相談窓口
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 外注費用の目安 | 0円 |
| 依頼できる範囲 | ・会社登記に関する相談 ・専門家からのアドバイス (※)依頼先により異なる |
| メリット | ・費用をかけずに済む ・必要な部分のみアドバイスを受けて自分のペースで手続きを進められる |
税務署や商工会議所では、無料で会社設立に関する相談ができます。
相談窓口では書類作成時の注意点や不備の有無などが相談でき、申請前に作成済みの書類をチェックしてもらうことも可能です。ただし、細かな記載内容のチェックや設立手続きの代行など、専門家によるサポートは受けられません。
起業相談ができる窓口について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
起業相談ができる窓口とは?対応可能な専門家や相談前に押さえておくべきポイント
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まとめ
会社設立を自分で行えば費用を抑えられますが、専門家に依頼する場合と比べて手続きに時間と手間がかかる可能性があります。
専門家に依頼する場合は数万〜数十万円の外注費用が必要ですが、手続きにかかる時間と手間を短縮でき、ミスによる手続きの遅れも防げます。
会社設立の手続きを代行してくれる専門家の中でも、司法書士は会社の登記申請を独占業務としているため、有力な選択肢になるでしょう。また、行政書士・税理士・社会保険労務士は登記申請代行はできませんが、それぞれの専門分野のアドバイスを受けられるメリットがあります。
費用と手間のバランスを踏まえ、自分で手続きするか専門家に依頼するかを検討しましょう。
よくある質問
会社設立は自分で行うか専門家に依頼するかどちらがいい?
会社設立の費用を抑えたいなら、全て自分で行う方法がおすすめです。
また、費用と手間のバランスを考えて電子定款の作成のみを専門家に依頼し、自分で手続きする方法もあります。
詳しくは、記事内「会社設立する際の3つの選択肢」をご覧ください。
会社を自分で設立する場合の流れは?
会社設立を自分で行う際の流れや必要な手続きは、以下のとおりです。
会社設立を自分で行う場合の流れ
- 会社の基本事項を決める
- 印鑑を作成する
- 定款を作成して認証を受ける
- 資本金を入金して登記書類を提出する
- 設立登記完了の届出を行う
詳しくは、記事内「会社設立を自分で行う場合の流れと手続き」をご覧ください。
監修 松浦絢子(まつうら あやこ) 弁護士
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。
監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。
