会社設立の基礎知識

役員変更登記とは?必要な書類や自分で申請する方法を解説

役員変更登記とは?必要な書類や自分で申請する方法を解説

役員の就任や退任など、会社の経営体制が変わる際には「役員変更登記」という法務局での手続きが必要です。しかし、任期管理や登記期限、必要書類の準備など細かなルールや注意点が多いため、正しい手順を理解しておくことが重要です。

本記事では、役員変更登記の概要や必要なタイミング、登記の期限やリスク、申請に必要な書類の種類や書き方まで詳しく解説します。さらに、スムーズに進めるためのポイントや費用の目安も紹介するので、経営者や総務担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

freee登記で変更登記のコストを削減!

freee登記はステップに沿って項目を入力するだけで変更登記に必要な書類が作成できます。10種類の変更登記に対応!変更登記にかかる手間やコストを削減したい方におすすめです。

役員変更登記とは法務局で行う手続き

役員変更登記とは、会社の役員が新たに就任したり退任したり、あるいは再び任命されたりした際に、法務局へ届け出る必要がある手続きです。

代表取締役や取締役、会計参与の任期は法律上2年、監査役の任期は4年と定められていますが、会社の定款において任期の短縮や延長を設定することも可能です。

役員構成の変更が発生した場合は正しい任期管理のもと、速やかに管轄の法務局で登記申請を行わなければなりません。任期や定款の規定を確認し、期限を過ぎないように準備を整える姿勢が求められます。

役員や登記の詳細については別記事「役員とはどのような仕事?会社役員の種類と役割についてわかりやすく解説」と「商業・法人登記とは? 会社設立登記の必要書類や流れをわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

役員変更の種類と登記のタイミング

ここからは、以下に挙げる役員変更の種類とそれぞれの登記におけるタイミングについて解説します。

役員変更の種類

  • 就任(新任)
  • 重任
  • 退任
  • 辞任
  • 解任

就任(新任)

取締役や監査役など、これまで役員になったことのない人物が新たに経営陣に加わるのが就任です。社内の昇進や、社外から専門的な知識や経験をもつ人材を迎えるケースが一般的です。新規事業や定款変更、合併などで役員数が増える場合もあります。

株主総会で新任が決まった後は、2週間以内に法務局への登記申請が必要です。就任はもっとも多い役員変更の一つで、任期満了や辞任による後任補充の意味合いを持つ場合もあります。

重任

任期満了後、同じ役員が再び同じ職に選ばれるのが重任です。経営体制の維持や安定を目的に決まることが多く、再任とも呼ばれます。

株主総会で重任が承認された場合、登記義務は就任と同様に発生し、期限も決議から2週間以内です。取締役の任期は通常2年、監査役は4年ですが、非公開会社(株式譲渡に制限のある会社)なら定款で10年まで延長できます。


出典:法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか?再任の方も必要です」

退任

役員の任期満了後、再選されなかった場合はその時点で自動的に退任となります。株主総会の決議は必要ありません。ただし、退任後も次の役員が就任するまでは、引き続き役員としての権限をもち、職務を行います。

退任登記は法務局で2週間以内に行わなければなりません。合同会社や特例有限会社では任期の定めはありませんが、株式会社では必ず手続きを済ませることが重要です。


出典:e-Gov 法令検索「会社法 第346条」

辞任

辞任とは、任期の途中で役員自身が自発的に退くことです。経営方針との不一致や他社役員との兼務、健康上の理由や責任を取る形での辞任など理由はさまざまです。

辞任は本人の意思表示のみで効力が発生するため、株主総会の承認は不要ですが、登記申請は必ず行わなければなりません。辞任登記も他の登記同様、期限は会社が意思表示を受理した日から2週間以内です。


出典:法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」

解任

会社側の判断により、役員を辞めさせる場合は解任に該当します。健康悪化や不正行為、職務不適格などが解任の主な理由です。

解任は株主総会の普通決議でいつでも可能ですが、正当な理由がない場合は損害賠償請求を受けるリスクがあります。決議後の登記は就任や退任と同様、2週間以内に法務局で行う必要があります。

解任は議決前に十分な根拠や対応を準備しなければならず、慎重な運用が求められる役員変更です。


出典:J-Net21「役員の解任を行う際の具体的な手続き方法を教えてください。」

役員変更登記の期限と怠った場合のリスク

株式会社では、取締役や監査役の就任や退任など登記に変更がある場合、決議日もしくは本人の意思表示を会社が受理した日から2週間以内に法務局で役員変更登記を行う義務があります。

期限を過ぎても登記は可能ですが、最大で100万円の過料が会社に科される可能性があり、経営上の信用にも悪影響を与えかねません。

さらに、長期間放置し最後の登記から12年が経過すると、登記官の判断で実態のない会社とみなされ、職権で解散登記(みなし解散)がされるリスクもあります。そのため、法令で定められた期限を守り、役員構成を常に最新の情報に更新することが重要ですす。


出典:e-Gov 法令検索「会社法 第976条」
出典:法務省「令和6年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」

役員変更登記に必要な書類と書き方

役員変更登記に必要な書類は、役員の異動の種類(新任・重任・退任・辞任・解任)によって異なります。


項目必要書類
新任(就任)
  • 役員変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 誓約書
  • 議長および議事録署名人の印鑑証明書
  • 定款
  • 本人確認書類(住民票・免許証等のコピー ※記名押印要)
  • 印鑑証明書
  • 委任状(代理人による場合)
重任
  • 役員変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 議長および議事録署名人の印鑑証明書
  • 定款(必要な場合)
  • 委任状(代理人による場合)
退任
  • 役員変更登記申請書
  • 議長および議事録署名人の印鑑証明書
  • 定款(必要な場合)
  • 委任状(代理人による場合)
辞任
  • 役員変更登記申請書
  • 辞任届
  • 委任状(代理人による場合)
解任
  • 役員変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 定款
  • 委任状(代理人による場合)
  • 株主リスト

なお、ここからは、主要な書類の書き方やポイントについて詳しく解説します。

株式会社変更登記申請書

株式会社変更登記申請書には、以下の項目について記載します。

株式会社変更登記申請書の記載項目

  • 会社法人番号
  • 商号
  • 本店住所
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項
  • 登録免許税の金額
  • 添付書類のリスト
  • 申請人(代表取締役)の氏名住所
  • 連絡先電話番号

出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」

法務局のホームページには株式会社変更登記申請書の記載例もあるので、参考にしてみてください。

株主総会議事録

株主総会議事録には以下の項目を記載します。

株主総会議事録に記載する項目

  • 株主
  • 株式の総数
  • 出席した株主の人数
  • 議決権の数
  • 決議した事項

株主総会議事録には、議長および出席した取締役が署名または記名押印をする必要があります。会社の実印ではなく、押印する人の個人の印鑑(認印または実印)を使用するのが一般的です。

法務局のホームページでひな型・記載例が公開されているので参考にしてみてください。


出典:法務局「株式会社変更登記申請書(取締役会設置会社で役員(取締役・代表取締役・監査役)全員が重任する場合))」

株主リスト

株主リストとは、役員の選任を決議した株主総会において、議決権上位10名の氏名・住所・議決権数・議決権数の割合を記載した書面です。

法務局のホームページのひな形・記載例を参考に作成しましょう。原則として代表取締役が作成しますが、司法書士に委任することもできます。


出典:法務局「株式会社変更登記申請書(取締役会を設置していない会社において取締役による互選により代表取締役を選定する場合に,役員(取締役・代表取締役・監査役)全員が重任するとき)」

就任承諾書

就任承諾書は、代表取締役・取締役・監査役が就任の意思を示すための文書です。

原則、代表取締役の新任は個人の実印の捺印が必要ですが、議事録で就任承諾の意思が示された場合にはなくても問題ありません。

取締役会を設置していない会社では、取締役・監査役の新任も個人の実印が必要になります。


出典:法務局「株式会社変更登記申請書(取締役会設置会社で,役員(取締役・監査役)が辞任して,新たな役員が就任する場合)」

本人確認書類

以下のいずれかを本人確認書類として添付します。

本人確認書類

  • マイナンバーカードのコピー(表面)
  • 運転免許証のコピー(両面)
  • 住民票の写し(個人番号が記載されていないもの)

コピーを提出する際は「原本と相違ない」と記載のうえ、記名したものを提出します。

印鑑証明書

印鑑証明書とは、会社実印を法務局に登録したことを証明する書類です。

会社の印鑑証明書の取得方法には、窓口請求・証明書発行請求機による発行・郵便請求・オンライン請求があります。オンライン請求には、電子証明書付のマイナンバーカードを利用できます。

なお、会社の印鑑証明書を請求できるのは、代表取締役および委任を受けた第3者のみです。


出典:法務局「会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方」

印鑑証明書については別記事「会社設立時に必要な印鑑証明書の発行方法とは?登記申請に必要な枚数も解説」をあわせてご確認ください。

税理士もしくは公認会計士の資格証明書(会計参与の場合)

会計参与に就任する税理士・公認会計士は、所属団体が発行する資格証明書の提出が必要になります。

税理士は「日本税理士会連合会」、公認会計士は「日本公認会計士協会」で証明書の発行が可能です。


出典:東京税理士会「会計参与の行動指針とその解説」

委任状(役員変更登記の申請を委任する場合)

代理人に役員変更登記の申請手続きを委任する場合は委任状が必要になります。

司法書士へ登記申請を代行する場合は、法務省で公開されている記載例を参考に用意しておきましょう。


出典:法務局「株式会社変更登記申請書(取締役会設置会社で,役員(取締役・監査役)が辞任して,新たな役員が就任する場合)」

自分で役員変更登記を申請する方法

役員変更登記の申請方法には、窓口・オンライン・郵送の3つがあります。

オンライン申請の場合は、法務局のホームページから申請者情報の登録後、申請用総合ソフトをインストールし、必要事項の記入と電子署名を行います。申請データを送信後、利用可能な金融機関を確認し、登録免許税をインターネットバンキングから納付してください。

郵送の場合は、封筒に「登記申請書在中」と明記し、到着の確認ができるレターパックや書留を利用しましょう。

ここからは、役員変更登記をスムーズに終わらせるコツや注意点について解説します。

役員変更登記をスムーズに終わらせるには

役員変更登記を滞りなく進めるためには、まず法務局のホームページを活用し、申請書の書き方や添付書類のチェックポイントを確認しましょう。公式サイトにはよくある誤りや書式例も掲載されているので、書類の不備などを防ぎやすくなります。

さらに、登記・供託オンライン申請システムの「オンライン申請体験コーナー」を利用すると実際の流れを疑似体験でき、初めての申請でも手順を把握できます。

また、freee登記などのオンライン書類作成サービスもおすすめです。必要な情報を入力するだけで書類を整えられ、かつ郵送での対応も可能です。専門家に依頼するよりも費用を抑えられるため、コスト重視の方にも適しています。

役員変更登記の費用

役員就任(新任)による変更登記に必要な費用は以下のとおりです。


費用一覧金額
登録免許税
  • 資本金1億円以下:1万円
  • 資本金1億円以上:3万円
添付書類発行費用
  • 印鑑証明書
  • 書面請求:450円
  • オンライン請求・送付:410円
  • オンライン請求・窓口交付:390円
交通費(窓口申請の場合)
郵便費用(郵便送付の場合)

登録免許税とは、会社や不動産の登記手続きをする際に国に納める税金のことです。


出典:国税庁「No.7190 登録免許税のあらまし」

まとめ

役員変更登記は、会社の役員が新たに就任・重任・退任・辞任・解任した場合に、法務局へ届け出る法的義務です。任期管理のもと期限内に申請を怠ると、過料や解散登記のリスクがあるため注意が必要です。

また、登記の際は役員の異動内容ごとに必要な書類や記載内容が異なるため、事前準備をしっかり行うことが求められます。法務局の記載例やオンラインサービスも活用し、正確かつ効率的に手続きを進めることで、会社の信用維持につながるでしょう。

変更登記の書類をかんたんに作成する方法

変更登記は内容によって必要な書類が異なるため、どの申請に何の書類が必要なのか情報を検索するだけでも時間がかかってしまいます。必要書類に迷わず、作成の手間も軽減したい方にはfreee登記がおすすめです。

freee登記は10種類の変更登記に対応しているので、変更したい内容に合った書類を作成できます。

freee登記はこんな人におすすめ

<freee登記で対応できる変更登記の種類>

  • ・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
  • ・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
  • ・役員の住所変更
  • ・募集株式の発行
  • ・商号変更
  • ・目的変更
  • ・株式分割
  • ・剰余金等の資本組入れ
  • ・ストックオプション

また、オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、押印・郵送するだけで申請が可能です。法務局へ行く手間も削減できるため、多忙で時間が取れない人でもスムーズに手続きできます。

ステップに沿って項目を埋めていけば申請用の書類が完成

変更登記は変更内容に合わせて必要な書類を内容の抜け漏れなく作成しなければなりません。

freee登記では、項目に沿って変更内容を入力するだけで、申請に必要な書類が自動で作成できます。内容に不備のない書類が最短7分で作成でき、書類準備の時間が大幅に削減されます。


freee登記 入力画面イメージ

\ステップに沿って入力するだけで申請書類が完成!/


<freee登記で作成できる変更登記書類の例>※本店移転 管轄外の場合

  • ・取締役決定書(株主総会の招集等に関するもの)
  • ・取締役決定書(本店所在地の決定に関するもの)
  • ・株主総会議事録
  • ・株主総会省略の提案書
  • ・株主総会省略の同意書
  • ・株主リスト
  • ・登記申請書(旧管轄宛)
  • ・登記申請書(新管轄宛)
  • ・印鑑届書
  • ・印鑑カード交付申請書

さらにfreee登記では、変更登記の書類を購入した方に「登記申請手続きマニュアル」をプレゼントしています。登記申請の手続きがまとめているので、これひとつで手続きまで完了できます。

コストを抑えて書類の作成が可能

専門家に変更登記の書類作成を依頼すると、相場5万円前後の手数料がかかりますが、freee登記を利用すればほとんどの申請書類が1万円で作成可能です。
※ 役員住所変更・氏名変更は¥5,000(税別)、ストックオプションは¥30,000(税別)
※上記費用のほか、別途登録免許税の納付が必要です。


コストを抑えつつ手間のかからない方法で変更登記をご検討の方は、ぜひfreee登記をご利用ください。

freee登記で変更登記のコストを削減!

freee登記はステップに沿って項目を入力するだけで変更登記に必要な書類が作成できます。10種類の変更登記に対応!変更登記にかかる手間やコストを削減したい方におすすめです。

よくある質問

役員変更登記はどのような時に必要?

役員変更登記は、役員の就任や重任、退任・辞任・解任のタイミングで必要になります。いずれの場合も、決議から2週間以内に法務局へ申請しなければなりません。

詳しくは記事内「役員変更の種類と登記のタイミング」をご覧ください。

役員変更登記を自分で行う方法は?

役員変更登記は窓口での申請に加え、オンラインもしくは郵送での対応も可能です。特にオンラインでの作成に関しては、よりスムーズな申請が可能なシステムも増えてきているので推奨される方法です。

詳しくは記事内「自分で役員変更登記を申請する方法」をご覧ください。

役員変更登記に必要な書類は?

役員変更登記における必要書類は、新任・重任・退任・辞任・解任などの場面によってそれぞれ違いがあります。各書類ごとに書き方や注意点があるので、しっかり押さえておきましょう。

詳しくは記事内「役員変更登記に必要な書類と書き方」をご覧ください。

起業の準備はfreee会社設立でカンタン・安心

freee会社設立なら、会社設立に必要な10種類の書類を無料で作成できます!

さらに起業の検討時期から会社設立後の手続きまで、専任コンシェルジュによる無料サポートも利用可能です。
設立社数50,000社以上のfreee会社設立なら初めての方もあんしん!
まずはお気軽にご相談ください!

はじめての会社設立でもオンライン申請で完結!会社設立の準備はこちら