監修 橋爪 祐典 税理士
充当とは、金銭・物・人員などを、特定の目的や支払いにあてることです。
お金の文脈では、「払いすぎた税金を未納分にあてる」「ポイントを請求額にあてる」「入金額を売掛金にあてる」といった場面で使われます。たとえば「1,000円分のポイントを請求額に充当する」といえば、ポイントを支払いの一部として扱い、請求額から差し引く処理を意味します。
本記事では、充当の意味をはじめ、還付・補填・相殺・充足との違い、税金・会計・法律での使い方を解説します。
目次
はじめての経理はfreee会計で簡単・安心・確実に
経理未経験でも、freee会計で帳簿や決算書を作成できます。銀行口座と同期すると、複雑な仕訳を自動化したり、日々の記帳を行うと、1クリックで決算書を作成できたり、初心者の方でも安心して進められます。
充当とは?
充当とは、人員や金品などを、特定の目的や用途にあてることです。とくにお金に関する場面では、支払額・還付金・ポイントなどを、請求額や債務の一部にあてる意味で使われます。
たとえば、税金では、払いすぎた税金や還付予定の金額が、未納の税金や保険料に充当されることがあります。具体的には、誤って多めに納付した所得税の還付金が、過去の未納税額にあてられるようなケースです。
充当先になり得る税金・保険料には、以下のようなものがあります。
充当先の例
- 国税
- 都道府県民税
- 市民税・区民税
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
充当された場合、過払い分の金額は口座に入金されず、未納分の納付にあてられます。また、会計や簿記では、前受金や過剰入金を売掛金・会費・請求額に充当する処理もあります。
充当と似た言葉と意味の違い
充当と似た言葉に、「還付」「補填」「相殺」「充足」があります。還付は払いすぎたお金を返す処理、補填は不足や損失を埋める処理です。また、相殺は債権と債務を差し引く処理、充足は条件や数量が満たされている状態を指します。
還付との違い
還付とは、払いすぎたお金を本人に返すことです。払いすぎたお金や返金予定の金額を、別の支払いにあてる「充当」とは意味が異なります。
たとえば、税金の過誤納金がある場合に、本人の口座へ戻す処理を還付と呼びます。しかし、納期限を過ぎた未納分がある場合は、還付金がその支払いに充当され、手元に戻る金額が減ることがあります。
還付と充当の違いは、「返ってくるのが還付」「返さずに未払いへ適用するのが充当」と整理すると、わかりやすくなります。
補填との違い
補填とは、不足や損失を埋めることです。一方の充当は、手元にある資金や入金額を、特定の支払い・費用・債務などにあてる行為を指します。
補填は、赤字や損失など、足りない部分を埋める場面で使われます。たとえば「赤字を自己資金で補填する」は、足りない部分や損失を埋める意味です。
一方の充当は、すでにあるお金を、特定の支払いにあてる場面で使われます。たとえば「前回の過剰入金を次回の請求額に充当する」は、多く受け取ったお金を次回の支払い分として扱うという意味合いです。
不足分を埋めることを強調するなら補填、支払い先や用途を限定するなら充当を使いましょう。
相殺との違い
相殺とは、お互いが持っている債権と債務を差し引き、同じ金額の範囲で支払い義務を消滅させる処理です。充当は、資金や入金額を特定の支払いにあてる処理です。相殺と異なり、双方に債権と債務があるとは限りません。
たとえば、取引先同士が互いに100,000円を支払う必要があるとき、双方の支払いを差し引く処理が相殺です。一方、2,000円の支払いに対して顧客から5,000円が振り込まれ、過剰分の3,000円を次回請求にあてた場合は、充当にあたります。
充足との違い
充足とは、必要な条件や数量が満たされている状態を表す言葉です。 対して充当は、お金・人員・物・予算などを、特定の目的にあてる行為を意味します。
たとえば「契約条件を充足する」は、必要な条件を満たしている状態です。一方で「予算を費用に充当する」「人員を新規事業に充当する」は、資源を目的に応じて割り当てる表現です。
生活・支払いにおける充当
日常生活では、ポイント・返金・前払い金などを支払いにあてる場面で、「充当」が使われます。ポイントの充当とは、保有ポイントを請求額や購入代金にあてることで、支払額を減らす処理です。
返金予定額やキャッシュバック相当額を充当する場合は、現金で受け取る代わりに、次回以降の請求額から差し引かれる形で処理されます。
クレジットカードの「ポイント」
クレジットカードのポイントにおける充当とは、貯まったポイントやキャッシュバック相当額を、カード利用代金や請求額の一部にあてる処理です。ポイントを充当すると、その分だけ請求額や支払額が差し引かれます。
たとえば、請求額が10,000円で、1,000円分のポイントを支払いに充当した場合、実際の支払額は9,000円です。
ポイントを料金の支払いに充当する場面には、以下のような例があります。
ポイントを支払いに充当する場面
- 携帯料金
- クレジットカード利用代金
- 電子決済サービスの支払い
ポイントを充当したときは、利用明細・請求明細・ポイント履歴で、充当額・差引後の請求額・ポイント残高を確認しましょう。
公共料金の繰り越し
公共料金における充当とは、過払い分や返金予定額を、次回以降の料金にあてる仕組みです。対象になる料金には、以下のような例があります。
対象となる公共料金の例
- 水道料金
- 電気料金
- ガス料金
- 携帯料金
たとえば、水道料金を二重に納付した場合、超過分がすぐに口座へ返金されず、次回の請求に充当される場合があります。次回請求が5,000円で過払い分1,000円がある場合、充当後の支払額は4,000円になります。
請求書や検針票・利用明細・事業者からの通知を見るときは、以下の項目から実際の支払金額を確認しましょう。
確認すべき項目
- 充当額
- 対象の料金項目
- 返金の有無
- 差引後の金額
税金・行政手続きにおける充当
税金・行政手続きにおける充当とは、払いすぎた税金や還付金を、未納の税金・保険料などにあてる仕組みです。
未納分がある場合は返金よりも先に、充当が行われる場合もあります。税務署や自治体から通知書が届いたときは、充当額・還付額・残額を確認しましょう。
過誤納金と還付金の充当
税金における充当とは、払いすぎたお金や返金予定額を、未納の税金や延滞金などにあてる仕組みです。
過誤納金は、「過納金」と「誤納金」をあわせた言葉です。過納金は、納付後に税額の減額や取り消しなどがあり、結果として払いすぎとなったものを指します。一方の誤納金は、納付不要の税金を納めた場合や、二重に納付した場合などに発生します。
仮に未納分があった場合、過誤納金や還付金が未納分へ充当されることがあります。対象になる税金には、以下のような例があります。
充当対象となる税金の例
- 国税
- 都道府県民税
- 市民税・区民税
たとえば、過誤納金が10,000円あり、未納の税金が6,000円ある場合、6,000円が充当額にあたります。差額の4,000円は還付対象となり、口座に返金されます。
国民年金や住民税の充当
国民年金や住民税の充当とは、納めすぎた保険料や、対象期間の変更などによって戻る予定の金額を、 未納分や次回以降の納付額にあてる処理です。
たとえば、国民年金保険料を前納していた人が途中で厚生年金に加入した場合、納めすぎとなった保険料が返金対象になることがあります。別の期間に未納分があった場合、その返金分から差し引かれます。
また、国民健康保険料でも、所得変更や資格喪失などによって保険料が調整された場合、返金予定の金額が未納分にあてられます。
会計・簿記における充当
会計・簿記における充当とは、入金や前受金、仮払金などの金額を特定の債権・債務や費用等に割り当てる会計処理です。 たとえば、以下の場面で使われます。
- 納税充当金や未払法人税等として税金の支払いに備える処理
- 売掛金や請求書に対して入金額をあてる処理
納税充当金(未払法人税等)
納税充当金とは、将来支払う法人税などの税金に備えて金額を見積もり、会計上の負債として認識する勘定科目です。企業会計では、決算時にまだ納付していない法人税・住民税・事業税などを「未払法人税等」として計上します。
たとえば、決算時に法人税等の費用を計算し、まだ納付していない金額を未払法人税等として記載します。その後、税金を納付するときに、計上していた未払分を取り崩して支払いにあてます。
納税充当金は、支払い済みのお金ではありません。これから発生する納付に備えた会計上の項目です。実務では、計算対象の税金・金額・納付時期を確認しましょう。
法人税の種類や計算方法については、以下の記事もご参照ください。
【関連記事】
法人税とは?計算方法から仕組みまでわかりやすく解説
売掛金や請求書への入金充当
売掛金や請求書への入金充当とは、取引先から入金された金額を、どの請求書や売掛金にあてるかを決める会計処理です。
たとえば、取引先から50,000円の入金があり、未回収の請求書が30,000円分と20,000円分ある場合を考えます。入金額をそれぞれの請求書に充当すると、売掛金の残高がなくなります。
一方、40,000円しか入金されていない場合は、40,000円分だけ充当されます。残りの10,000円は、未回収分として残ります。
また、過剰入金は、返金せず次回請求分に充当する場合もあります。請求書まわりで充当を確認する際は、会計ソフトの入金管理画面や売掛金台帳、入金明細などで、以下の項目を確認しましょう。
確認すべき項目
- 入金日
- 対象項目
- 充当額
- 残高
法律・金融で知っておきたい充当
法律や金融では、支払額が複数の債務のうち、どれにあてられるかを確認するのが重要です。弁済の充当では、当事者の合意・債務者や債権者の指定・法律上の順序によって充当先が決まります。また、敷金や手付金など、契約に基づくお金の精算にも、充当の考え方が使われます。
弁済の充当(民法)
弁済の充当とは、複数の債務がある場合や、ひとつの債務に費用・利息・元本が含まれる場合に、支払ったお金をどこへあてるかを決める民法上の考え方です。
たとえば、借入金の返済として10,000円を支払った場合でも、延滞費用や利息が残っていれば、元本より先にそれらへ充当されることがあります。
民法では、借入金に利息・遅延損害金・督促費用などが発生しており、支払額だけでは債務全体を完済できない場合、原則として費用・利息・元本の順に充当される決まりです。そのため、返済をしていても、まず費用や利息にあてられ、元本が思ったほど減らないケースもあります。
債務や債権者については、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
債権者とは?債務者との違いや債権回収時の注意点を解説
敷金や手付金の充当
敷金や手付金の充当とは、預けていたお金や先に支払ったお金を、契約上必要な費用や代金にあてる精算処理です。主な充当先には、以下のような例があります。
充当先の例
- 家賃
- 修繕費
- 売買代金
- 違約金
敷金は、退去時に全額戻るとは限りません。未払い家賃や借主負担の原状回復費用がある場合、その金額に充当され、残った部分だけが返金されます。
また、手付金は購入代金の一部にあてられる場合があります。
精算書や契約書を見るときは、充当先や金額、返金条件に目を通しましょう。差し引き後の残額が返金されたかも確認します。
まとめ
充当とは、お金・物・人員などを、決められた支払い・用途にあてることです。
たとえば、過誤納金を未納分にあてる、入金額を請求書にひもづける、返済額を費用・利息・元本に割り当てる場面などで用いられます。
なお、充当の処理を適切に行うには、取引ごとの金額や勘定科目、消込状況を正確に管理する必要があります。「freee会計」などの会計ソフトを導入すれば、仕訳や入出金の管理を効率化でき、充当ミスや確認漏れの防止につながります。
はじめての経理でも、自動化で業務時間を1/2以下にする方法
経理業務は日々の入出金管理のほか、請求書や領収書の作成・保存、仕訳作成まで多岐にわたります。
シェアNo.1のクラウド会計ソフト*1「freee会計」は、面倒な入力作業や仕訳を自動化し、見積書や請求書も簡単に作成できるため、経理業務にかかる時間を半分以下*2に削減できます。
※1リードプラス「キーワードからひも解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」(2022年8月)
※2 自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数
また、一度の入力で複数の業務が完了するため、重複作業や転記作業はほぼ発生しません。
数ある会計ソフトの中でも、freee会計が選ばれる理由は大きく分けて以下の3つです。
- AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳
- 全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携
- 充実のサポート体制
それぞれの特徴についてご紹介していきます。
AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳
領収書・受取請求書などをスマホのカメラで撮影しfreee会計に取り込めば、読み取り機能(OCR機能)が取引先名や金額などをAI解析し、仕訳に必要な情報を自動で入力。そのまま支払管理・仕訳まで自動で作成できます。
全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携
freee会計は全国ほぼすべての銀行やクレジットカード、決済サービスなどと連携可能。同期していれば自動で利用明細を取り込むので、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、入金仕訳などの記帳が、freee会計の画面だけで行えます。
さらに、地代家賃や役員報酬など定期的に入金・支払金が発生する取引は、登録さえしておけばfreee会計が自動で記帳まで完了します。
充実のサポート体制
freee会計には、経理をするうえでの不安を解消できる充実したサポートコンテンツを用意しています。
それでも解決できないお悩みはfreeeの専任スタッフにご相談いただける体制も整っているため、はじめて経理される方でも安心して始めることができます。
よくある質問
充当とは簡単にいうと何ですか?
充当とは簡単にいうと、お金・物・人員などを、決められた支払い・用途 にあてることです。
たとえば、ポイントを支払いに充当する場合は、ポイントを購入代金やカード請求額に適用します。過誤納金を未納分に充当する場合は、払いすぎた税金を、まだ納付していない税金にあてる処理を指します。充当とは、返金として受け取るのではなく、 決められた目的へ回すことです。
詳しくは、記事内「充当とは?」をご覧ください。
還付と充当の違いは何ですか?
還付は、払いすぎたお金が本人の口座などに戻る処理を指します。一方で充当は、払いすぎたお金や返金予定の金額を、別の支払いにあてる処理です。
税金や行政手続きでは、還付金が発生しても、未納分がある場合はその金額へ充当されることがあります。
対象になる例は、以下のとおりです。
- 国税
- 都道府県民税
- 市民税・区民税
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
還付と充当の違いは、「手元に戻るのが還付」「戻らずに別の支払いへ使われるのが充当」と整理できます。
詳しくは、記事内「還付との違い」をご覧ください。
ポイント充当は、現金で返還されるのと同じですか?
ポイント充当は、現金で返還される処理ではありません。充当とは、ポイントやキャッシュバック相当額を支払いにあてる仕組みです。対象になる支払いには、以下のような例があります。
- 携帯料金
- クレジットカード利用代金
- 電子決済サービスの支払い
たとえば、カード請求額が10,000円で、1,000円分のポイントを充当すると、実際の支払額は9,000円になります。
詳しくは、記事内「クレジットカードの「ポイント」」をご覧ください。
監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)
2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。
