会計の基礎知識

【会計の基礎知識】発生主義・現金主義・実現主義の関係

最終更新日:2020/1/31

発生主義・現金主義・実現主義の関係

会計には、費用と収益を認識するための概念として「発生主義・現金主義・実現主義」の3つがあります。
それぞれの違いを正しく認識していることは、会計業務を扱ううえでマストとなります。本記事では、この3つの主義について説明します。

目次

会計における3つの主義の関係

3つの主義の関係性を理解するためにまずは、現金主義と発生主義の関係について考えてみましょう。

現金の入出金に基づいて費用と収益を認識する考え方を「現金主義」と呼び、金銭のやり取りに関係なく取引が発生した事実に基づいて費用と収益を認識する考え方を「発生主義」と呼びます。

現金主義は金銭の動きだけを記録するので非常に簡明であるものの、一定の期間ごとの正確な損益を把握することが困難です。現金主義でのみ会計を行うと、本来は収益があるにも関わらず書面上は赤字であるかのような結果になってしまうこともあるのです。

それを補うため、発生主義によって期間ごとの収益を把握することが主流になりました。

しかし発生主義にも難点があり、費用だけでなく収益も多く認識してしまうという可能性があります。そこで、収益に関しては実際に実現したものだけを収益として確定しようという考え方「実現主義」が生まれました。

日本の会計基準では、費用は「発生主義」で、収益は「実現主義」で認識するのが原則となっています。

この場合、当期の取引は当期計上(発生主義)し、当期の取引のうち実現した収益のみを計上する(実現主義)という図式となります。

しかしこの場合、費用と収益の認識基準が違うことになります。この差異を調整するための原則が「費用収益対応の原則」です。

これは、当該会計期間に発生した費用のうち、その会計期間の収益獲得に貢献した分だけをその期の費用として認識・計上するというものです。つまり、収益にはそれを生み出すためにかかった費用を結び付けて考えるべき、という原則です。

発生主義とは

ここからは、3つの主義それぞれについてさらに詳しく解説していきます。

発生主義とは、金銭のやり取りの有無に関係なく取引が発生した時点で費用と収益を計上するものです。

売上の収入や、費用の支出額が確定した時点の日付で帳簿をつけます。そのため掛売りや掛仕入れなど、金銭のやり取りがまだ行われていなくても取引が確定しているならば計上することができます。

この考え方によって、毎月ではなく数カ月に一度の精算となりがちなリース料やレンタル料、水道料金なども毎月の会計に均等に配分して計上することができ、正確な損益計算が可能になります。

高額な資産の耐用年数に応じて取得費用を配分していく「減価償却」の会計処理も、この発生主義に基づいて行われています。

企業で採用されている会計方法のほとんどは、発生主義会計による複式簿記が採用されています。個人事業主の場合も、確定申告で青色申告特別控除を受ける場合は発生主義による複式簿記による必要があります。

現金主義とは

その名が示す通り、現金や預金の入出金の事実があって初めて取引が認められるものです。売ったものの代金を受け取ってから、買ったものの代金を支払ってからといった具合に、実際に現金のやり取りが終了してからの計上となるため確実で分かりやすく、不正会計の可能性が低くなります。

しかし、現金主義には会計上の不都合もあります。商品やサービス代金を前払いした場合、実際に対価が提供されるのはまだ先であっても当該期間の費用として計上しなければなりません。逆に、代金は後払いで商品やサービスはすでに提供されている場合であっても、代金を支払うまでは費用として計上できないことになります。

このように現金主義では、会社の経営実態を正確に、タイムラグなく財務諸表に反映することが困難になるのです。

事実上現金主義での会計は、資産や負債をほとんど抱えておらず取引はほぼすべて現金で行うような小規模事業者か、または企業内のごく一部の会計処理でのみ適用されていることが多くなっています。

実現主義とは

収益を確定する時点について、実際に代金やその他の等価物によって収益を得、実現した時点にすることを実現主義と呼びます。

このような仕方で収益を認識することは、販売したものに対する貨幣的裏付けのある対価を確かに受け取ったという事実に基づいているため、確実性のある収益のみを計上することができ、発生主義のマイナス点を補うものとなります。

企業会計の原則としても、収益の計上については実現主義で行うとされています。

販売の実現時点の考え方は業種やサービスによって異なります。 たとえば一般の販売業の場合、商品を発送または配送のトラックに乗せた時点を基準とする「出荷基準」や、商品が販売先に納品された時点とする「納品基準」、販売先が検収し、商品に問題がないことが確認された時点とする「検収基準」など、様々な実現時点の基準があります。

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