新型コロナウイルスの拡大により世界的に経済的影響をうけ、多くの企業が倒産の危機に直面しています。政府はこの状況をみて、新型コロナウイルスに関連する融資制度を発表しました。様々な融資制度があるものの、どれを利用すると良いのか、どのように申し込むのか適切に把握するのが難しい状況にあります。この記事では、2020年3月19日、4月28日に行われた「新型肺炎に負けないウェブセミナー」に登壇していただいた、リライル会計事務所 野口五丈氏による新型コロナウイルスに関連する融資制度の最新情報をご紹介します。
目次
融資を受けた方がいい状況とは
どんなときに融資を受けた方がいいのか、その判断基準について以下の2つがあげられます。
- 売上が減少したとき
- 現金預金が減少したとき(目安は運転資金2〜3ヶ月分)
融資の審査には1ヶ月ほどかかるため、その期間も念頭に置いて検討しましょう。
※2020年5月8日現在、日本政策金融公庫が混雑していることが報告されています。現状日本政策金融公庫と取引がない方は書類確認のみで3~4週間かかるケースや、申し込みから着金まで2ヶ月かかることもあります。検討している方は、自社そして従業員の生活を守るために、金融公庫など各金融機関に早めに問い合わせましょう。
新型コロナウイルスに関連する制度
新型コロナウイルスに関連する制度は、大きくわけて6つ発表されました。
(2020年4月28日時点)
- 【保証協会】セーフティーネット保証4号 全都道府県
- 【保証協会】セーフティーネット保証5号 指定業種
- 【金融公庫】セーフティーネット貸付
- 【民間銀行・金融公庫】無利子・無担保融資
- 【金融公庫】マルケイ融資
- 【金融公庫】衛生環境激変対策特別貸付
セーフティーネット保証4号5号から順番に解説していきます。
セーフティーネット保証4号5号
経営の安定に支障が生じている中小企業者を、一般保証(最大2.8億円)とは別枠の保証の対象とする資金繰り支援制度です。
対象
セーフティーネット保証4号:全都道府県が対象
セーフティーネット保証5号:3月6日に宿泊業飲食業など40業種が追加、3月13日時点で316業種
手続
①市区町村に、認定申請を行います。
②金融機関又は信用保証協会に、認定書を持参して申し込みます。
お申し込みや最新情報について詳しくは中小企業庁のサイトをご覧ください。
セーフティーネット貸付
今回のコロナウイルスによる影響など社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に売上の減少など業績悪化に直面しているが、中期的にはその業績が回復し、発展することが見込まれる中小企業者の経営基盤の強化を支援する融資制度です。
対象
「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の売上現象などの影響が見込まれる事業者も含めて融資対象
金利
基準金利:中小事業1.11%、国民事業1.91%
お申し込みや最新情報について詳しくは日本政策金融公庫のサイトをご覧ください。
無利子・無担保融資
新型コロナウイルスによる影響を受け業況が悪化した事業者(フリーランスを含む)に対し、融資枠別枠の制度を創設されました。信用力や担保に依らず一律金利とされている制度です。
対象
最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方等
金利
当初3年間基準金利▲0.9%、4年目以降基準金利
※特別利子補給制度(特に影響の大きいフリーランスを含む個人事業主、また売上高が急減した事業者などに対して、利子補給)
お申し込みや最新情報について詳しくは日本政策金融公庫のサイトをご覧ください。
マルケイ融資
概要
小規模事業者経営改善資金融資(通称:マル経)は、商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の経営指導員による経営指導を受けた小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度。
対象
- 最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方
- 業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合は、最近1ヶ月の売上高が、過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高等と比較して5%以上減少している方
金利
経営改善利率1.21%より当初3年間、▲0.9%引下げ
衛生環境激変対策特別貸付
概要
感染症等の発生による衛生環境の著しい変化に起因して、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している生活衛生関係営業者の経営の安定を図るために設けられた、日本政策金融公庫国民生活事業の特別貸付制度。
対象
- 旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む方
- 最近1ヵ月間の売上高が前年または前々年の同期に比較して10%以上減少
- 中長期的に業況が回復し発展することが見込まれること。
金利
基準金利:1.91% ※振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合員は▲0.9%
まとめ
新型コロナウイルスの影響による経営の悪化が避けられない今、どのように会社と従業員を守るのか、考える必要があります
融資は申し込みから着金まで、1〜2ヶ月ほどかかります。なるべく早めに検討しましょう。
- 売上や現金預金が減少したら、早めに融資を検討!
- 自分にあった制度をチョイス!
- 信用保証や融資を申し込み!
- 迷ったら、日本政策金融公庫に相談!
記事で詳しくご紹介した融資制度以外にも、雇用を守るための雇用調整助成金など様々な融資制度や助成金が発表されています。
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