会計の基礎知識

雑費とはどのような勘定科目?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説

監修 税理士法人G&Sソリューションズ

雑費とはどのような勘定科目?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説

雑費とは、損益計算書の勘定科目のひとつです。少額過ぎる費用や一時的に発生した費用など、どの勘定科目にも当てはまらないものが雑費に当てはまります。

「雑費」という勘定科目は聞いたことがあっても、いくらまで雑費を経費にできるのか、どのような費用が雑費に含まれるのかまで明確に答えられる方は少ないかもしれません。

本記事では雑費の概要をはじめ、雑費と消耗品費の違いや仕訳方法、雑費を計上する際の注意点などについてわかりやすく解説します。

目次

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雑費とは

雑費とは、損益計算書の「販売費及び一般管理費(以下、販管費)」に含まれる費用科目のひとつです。

販管費といってもさまざまな科目が存在しますが、その中でも雑費は「どの科目にも振り分けられない」勘定科目のことを指します。

一時的・臨時的に発生し、ほかの費用と比べて少ない支出で、わざわざ勘定科目として別途設定するまでもない場合に雑費として計上されることがあります。

雑費に当てはまる経費は何?

実際に雑費が使われる場面として、個人事業主や中小企業によく見られる項目は、以下のとおりです。

雑費として計上される項目例

  • 団体の年会費
  • 事業所の引越し費用
  • 機材などの一時的なレンタル料
  • 事業所内などのクリーニング費

上記のように、経営において優先度や重要度がそこまで高くなく、少額の一時的な支出が雑費として扱われます。

ほかにも例外的に必要となった支出については、同じように優先度や重要度が低く少額の支出であれば、雑費として計上できます。

雑費と似ている「消耗品費」との違い

雑費と似ている用語として、「消耗品費」があります。ここでは、消耗品費がどのような勘定科目なのか、雑費とどのように使い分けるのかを解説します。

消耗品費とは

消耗品費とは、日常業務や事業を進める場合に使用する物品であり、使用度に応じて機能が失われていく勘定科目のことです。

たとえば、ボールペンのインクやプリンターのインクカートリッジは使った分だけ減少し、なくなれば新しく補充することになります。

使用によって消耗・消費していくような性質を持った物品を購入した費用が、消耗品費として計上されます。

具体的に以下のいずれかの条件に該当するものは、消耗品費として取り扱えます。

消耗品費として取り扱うための条件

  • 10万円未満の購入金額
  • 1年未満の使用可能期間

消耗品について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


【関連記事】
消耗品費とは?具体例や雑費との違い、仕訳方法について解説

雑費と消耗品費の使い分け

雑費は、一時的に発生した費用のうち他の勘定科目に区分されないものに適用されます。

消耗品費と雑費の明確な違いは、「使用によってなくなる(=消耗する)ものかどうか」です。

先述したとおり、雑費は手数料や会費など、あるサービスを受けたときに一時的に発生する費用が多く、物品を使用することによって発生する費用とは異なります。

以上の違いを踏まえて、雑費と消耗品費を使い分けましょう。

雑費の仕訳方法

ここではオフィスの引越し費用として20万円の支出があった場合を例に挙げて、雑費での仕訳方法を解説します。

一般的な仕訳

一般的には、以下のように仕訳をします。


借方貸方摘要
雑費200,000円現金200,000円引越し費用(雑費)

借方(左側)の勘定科目に「雑費」と引越し費用の金額を記載します。貸方(右側)に記載するのは、勘定科目として「現金」と引越し費用の金額です。

なお、クレジットカードで引越し費用を支払う場合、帳簿には2回分の仕訳を記載します。 クレジットカードで決済したタイミングが1回目となります。

次のように、貸方(右側)の勘定科目に記載されるのは「未払金」です。


借方貸方摘要
雑費200,000円未払金200,000円引越し費用(雑費)
クレジットカード

2回目は、引越し費用を支払ったクレジットカードにおいて、費用分が引き落とされたときに記載します。勘定科目はそれぞれ次のように、借方(左側)が「未払金」、貸方(右側)が「普通預金」となります。


借方貸方摘要
未払金200,000円普通預金200,000円引越し費用(雑費)
クレジットカード引き落とし

按分が必要なケースの仕訳

オフィスと自宅を兼ねている場合には、仕訳に按分が必要です。按分方法としては、事業に関する設備や荷物などの割合に準じて計上します。

事業に関する設備や荷物が、全体の荷物の約4割とする場合、金額の計算は以下の通りです。

4割で按分する場合の計算例

200,000円×0.4=80,000円

80,000円を雑費として、次のように仕訳をします。


借方貸方摘要
雑費80,000円現金80,000円引越し費用(雑費)

上記は現金で支払った場合の仕分けですが、クレジットカードの場合は、先に説明したのと同じように2回に分けて仕訳を行います。

雑費に計上する場合の注意点

雑費を計上する場合における注意点を2つ紹介します。

雑費が多すぎると税務調査などで精査されることも

どこに振り分けたらよいかわからないものを何でも雑費に計上した結果、雑費が多額になってしまうと、税務調査や会計監査などで内訳を精査されるおそれがあります。

どうしても雑費が多額になってしまう年度や、特定の雑費が今後も継続的に発生することがわかっている場合は、会計ソフトで適切な勘定科目(補助科目)を設定しましょう。

雑費を仕訳記帳する場合には、仕訳の「摘要欄」にどこに支払ったか、何のための費用なのかを必ず記載しておきましょう。

そうすることで、使途不明金が発生しないように管理でき、雑費が多額になることも防げます。

固定資産は雑費に計上できない

固定資産を雑費として計上することはできません。以下の条件のいずれかに当てはまるものが固定資産です。

固定資産に当てはまる条件

  • 1つあたり10万円以上の購入金額
  • 1年以上の使用可能期間

固定資産は、長期にわたって事業に使う資産のことを指します。一時的な手数料や会費などが該当する雑費とは、まったく異なる性質の勘定科目です。

固定資産は「減価償却費」という勘定科目で仕訳をします。中小企業や個人事業主であれば、令和6年3月31日までに取得した30万円未満の減価償却資産は、一事業年度あたり300万円まで全額経費に計上可能です。


出典:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

まとめ

雑費は、どこにも振り分けられない費用がある場合に使える便利な勘定科目です。しかし、雑費が多額になりすぎると税務調査や会計監査が入ったときにその使途を詳細に質問されることがあります。

あとで雑費の内容を説明できるように、雑費の内容を正確に記帳し、把握できるようにしておくことが重要です。雑費の摘要や使途の記帳には、クラウド会計ソフトの利用がおすすめです。

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よくある質問

雑費に当てはまるものには何がある?

雑費とは、損益計算書の「販管費」に含まれる費用科目のひとつで、具体的には以下のようなものが該当します。

  • 銀行の振込手数料
  • 残高証明手数料
  • 組合や任意団体への年会費
  • 一時的なレンタル代
  • クリーニング代

詳しくは記事内「雑費とは」をご覧ください

雑費と消耗品費の違いは?

雑費と消耗品費の明確な違いは、「使用によってなくなるものかどうか」です。雑費と消耗品費は、使用するにつれて機能が失われるか(=消耗するか)を基準に使い分けます。

詳しくは記事内「雑費と似ている「消耗品費」との違い」をご覧ください

雑費に計上する際の注意点は?

多額の雑費を計上すると、税務調査などで精査される可能性があります。また、固定資産は雑費に計上できないことに注意が必要です。

詳しくは記事内「雑費に計上する場合の注意点」をご覧ください

監修 税理士法人G&Sソリューションズ

税理士・会計士が中心となる税理士法人で、M&Aをはじめとする出口戦略(M&A・IPO・事業再生)に強みを持っています。税務申告をお手伝いするのみならず、会社の成長戦略に関するアドバイスを提供することが可能です。上場会社・上場準備会社・ベンチャー企業への対応、非上場会社に対しても高品質なサービスをご提供致します。

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