会計の基礎知識
勘定科目の基礎知識:雑費とは
公開日:2019/12/06
会社を経営している人なら馴染み深い「雑費」という勘定科目。しかし、雑費はいくらまでは、どんな費用を含めてよいのか、明確に答えられる人は少ないかもしれません。
この記事では、「雑費」の概要と、実際に概要の取引が発生した際の仕訳方法をご紹介します。 [執筆:吉田由佳(公認会計士)]
目次
雑費とは
雑費とは、損益計算書の「販売費及び一般管理費(以下、販管費)」に含まれる費用科目のひとつです。販管費の中でもさまざまな科目がありますが、雑費は「どの科目にも振り分けられない」勘定科目を指します。
臨時的に発生する科目で、金額もほかの費用に比べて少なく、わざわざ勘定科目として別途設定するほどでもない場合、「雑費」として計上されることがあります。
雑費の具体例を紹介
それでは、どのような場合に雑費を使うのでしょうか。個人事業主や中小企業でよく見られる雑費の項目は以下の通りです。
- 銀行の振込手数料、残高証明手数料
- 組合や任意団体への年会費
- 一時的なレンタル代
- クリーニング代
- 粗大ごみの手数料
- 証明書発行手数料
- NHK受信料やケーブルテレビ使用料
消耗品費との違い
消耗品費とは日常業務や事業を進める場合に使用する物品であり、使用度に応じて機能が失われていく勘定科目を言います。
たとえば、ボールペンのインクやプリンターのインクカートリッジは使った分減少し、無くなれば新しく補充することになります。このような性質を持った物品を購入した費用が消耗品費として計上されます。
雑費との違いを明確にひとことで言うならば、「使用によって無くなるものかどうか」です。先ほどの例で挙げたとおり、雑費は一時的な手数料や会費など、あるサービスを受けたときに発生する費用が多く、物品を使用することによって発生する費用とは異なります。
このような性質の違いを踏まえて、雑費と消耗品費を混同しないように注意しましょう。
雑費はいくらまで計上できるか?
「どこに振り分けたらいいかわからない費用を雑費に含めてしまおう」と考えてしまうかもしれませんが、税務調査や会計監査が入った場合、雑費の金額が多いとその内訳を精査されることがあります。
そのため、雑費の金額は販管費の5%~10%程度に抑えることが望ましいとされています。どうしても雑費が多額になってしまう年度や、特定の雑費が今後も継続的に発生することがわかっている場合は、会計ソフトで適切な勘定科目を設定することが望ましいです。
また、雑費を仕訳記帳する場合、仕訳の「摘要欄」にどこに支払ったか、何のための費用なのかを必ず記載しておきましょう。そうすることで、使途不明金が発生しないように自社で管理することができます。
まとめ
雑費は、どこにも振り分けられない費用がある場合に使える便利な勘定科目でもあります。しかし、雑費が多額になりすぎると税務調査や会計監査が入ったときにその使途を詳細に質問されることがあります。
雑費の中身を正確に把握することで後からでも内容を説明できるように、クラウド会計ソフトを利用して雑費の摘要や使途を正確に記帳することを検討してはいかがでしょうか。
執筆:吉田由佳(公認会計士)
大阪府出身。慶應義塾大学経済学部卒業。大学時代からベンチャー企業でのインターン、学生起業コミュニティ運営を経験し起業支援に興味を持つ。大学卒業後は家業を手伝いながら、公認会計士試験に合格。大手監査法人にてJASDAQや東証マザーズ上場企業、M&A多角化企業、金融機関の監査を経験。また、不動産ファンド会社にて財務経理やファンド立ち上げも経験。現在は、京都大学経営管理大学院で「起業エコシステム」を研究の傍ら、会計・経営管理サービスを提供している。
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