正しい決算書を作成するためには、決算修正という作業が必要になります。よく似た言葉に「決算整理」がありますが、似て非なるものです。
本記事では、決算修正とは何か、どのような手順で進めるのか、決算整理とはどのように異なるのかを詳しく解説します。
初めての決算や、決算書の作成を行いたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
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目次
決算修正とは
すでに決定している前年度の決算内容に間違いが見つかった場合、それを今期分で修正することを指します。
決算修正に関係する法令として、平成21年に「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」が公表されました。これにより、平成23年4月1日以降開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更および過去の誤謬訂正の方法は、大きく変更されることとなりました。
従来は、過年度の決算内容の修正は「前期損益修正」という勘定科目で処理されてきましたが、前述の会計基準によって現在は例外的な使用に限られています。
この会計基準は大企業に対してのみ強制力を持ちます。中小企業の場合は「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」あるいは「中小企業の会計に関する基本要領(中小要領)」に従い会計処理をすることが適当とされます。
そのため、現在でも「前期損益修正」の科目で修正処理を使うことが可能です。
決算修正と決算整理の違い
決算修正と決算整理は、名前は似ているものの全く異なる処理となります。
決算整理とは、決算の際に当期の収益や費用を正確に把握し、企業の財政状態や経営成績を明らかにする役割を持ちます。対して決算修正とは、すでに申告してある決算内容の間違いを修正するものです。
決算修正の作業手順
前年度の決算に誤りが見つかった場合は、前年度の確定申告の内容に対して修正申告をする必要があります。
中小企業では前述の「前期損益修正」の科目で修正処理が可能です。
1.収益の計上忘れがあった場合
この場合は、以下のように修正をします。
- 当期の期首日付で、修正用の振替伝票を作成
- 借方へ「資産科目」、貸方へ「前期損益修正益」を記入
- 摘要欄へ、本来の取引内容が分かる情報と修正用仕訳である根拠を添付する
収益の計上が漏れていた場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティを納めることになります。
無申告加算税は、本来納付すべき税額が50万円までなら15%、50万円超過分については20%の額を納めなければいけません。
延滞税は、本来の納期限から2カ月以内であれば年7.3%、2カ月を超えてしまうと年14.6%もしくは特例基準割合+7.3%のどちらか多い方の金額が加算されます。
税務署から申告税額の更正指導を受けてしまうと、新たに納める税金のほかに過少申告加算税が科されます。税額は、新たに納めることになった税金の10%です。新たに納める税金が当初の申告納税額または50万円のいずれか多い金額を超えている場合、超えている部分については15%の課税になります。
ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期が到来するものについては、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税がかかります。
重いペナルティですが、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすればこの過少申告加算税はかかりません。
収益の計上漏れや修正すべき点を見つけたなら、速やかに自主申告しましょう。
逆に収益を過大に計上していた場合は、借方・貸方を逆にした振替伝票を作成して処理します。
2.費用の計上忘れがあった場合
この場合は、以下のように修正します。
- 当期の期首日付で、修正用の振替伝票を作成
- 借方へ「前期損益修正損」、貸方に「資産科目または負債科目」を記入する
- 摘要欄へ、本来の取引内容が分かる情報と修正用仕訳である根拠を添付する
この場合も、費用を過大に計上していた場合は借方・貸方を逆にした振替伝票を作成して処理します。
費用の計上忘れによって申告納税額が過大になってしまった場合には、「更正の請求」を行います。
更正の請求とは、納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合に、税金を還付してもらうための手続きを指します。
手続きは、更正の請求書を税務署長に提出することにより行います。更正の請求書が提出されると税務署で内容の検討をし、還付されるべき税金があると認められると減額更正をして税金が還付されます。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内となっています。
3.資産・負債の移動の金額間違い
金額の記載を間違った場合は、次のように修正します。
- 今期の期首日付で、振替伝票を作成
- 借方と貸方に「資産または負債科目」を記入
- 修正用仕訳であることが分かるようなメモなどを添付
大企業では、計上忘れも過剰計上も「利益剰余金」という科目で処理します。
決算は人が行う作業ですから間違いを100%避けることは不可能ですが、できるだけ間違いのないよう細心の注意を払って行う必要があります。毎年のように間違いを修正していると、税務署の監査対象にもなりやすくなるので注意が必要です。
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まとめ
一度決算で確定させてしまった内容を修正するのは大変な作業です。本来の業務の妨げになりますし、度々修正があるようでは自社の経理体制がずさんであると見なされてしまいます。
税金面でペナルティが課されるケースもあるため、できるだけミスを起こさないよう決算処理は注意深く行いましょう。