会計の基礎知識

法人税申告書の内容や作り方をわかりやすく解説

「法人税申告書」という言葉を聞いたとき、専門用語の多さや難解さを連想する人は少なくないようです。この記事では法人税申告書の構成や内容、また、法人税申告にどう対応すべきかを解説します。
[執筆:熊谷恵佑(公認会計士)]

公開日:2019年11月6日

法人税申告書の内容や作り方をわかりやすく解説

目次

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法人税申告書とは

法人税申告書とは、法人にかかる年間の法人税を計算するための書類です。決算日以後2ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。

法人税申告書を作成する目的

法人税申告書は会計上の利益をもとに所得を算出し、各種税務規定を考慮・調整し、期末に納めるべき納付税額を算出する一連の計算シートというべきものです。

法人は期末の確定申告の際に納めるべき納付額の根拠を、客観的な事実をもって示すために法人税申告書を正確に作成し、その算出した金額を納付期限までに納める必要があります。

法人税申告書の作り方

法人税申告書は紙ベースで作成することも可能ですが、現在は申告ソフトを使うのが一般的です。申告ソフトを使用すれば、法人税の理論にしたがって情報が関係諸表に自動転記されていくので、諸表間の記載の整合性などをこと細かに確認する必要がないというメリットがあります。

紙ベースで作成する場合は、法人税申告書のフォーマットを利用して記載していくことになります。紙ベースで必要な別表にボールペンで記載を行っていくわけですが、法人税申告書の記載の並びは、論理的にわかりやすいものとはいえないため、初心者には非常に難解であると思います。

法人税の理論と法人税申告書をしっかりと学んだ上で記載を行わなければ間違いは必ず生じると考えられます。

先述したように、申告ソフトを使う場合は法人税の理論に従って入力画面が現れ、そこに入力していくことで関係諸表に自動転記されます。ですから、法人税の理屈さえ理解していればわかりにくい法人税申告書の並び順等は覚える必要はありません。

また、関係諸表に自動転記されていくため、諸表間の矛盾は発生することはないという利点もあります。

法人税申告書作成に必要なもの

法人税申告書を作成するためには、正確な会計帳簿とそれに基づいて作成された決算書が必要です。法人税申告書を構成する種々の情報は会計帳簿や決算書から転記されるべき内容が多くあります。そのため、法人税申告書を作成する前に、まずは正確な会計記帳が完了している必要があります。

法人税申告書の提出とともに通常提出が必要なものとして

  • 決算報告書
  • 科目明細書
  • 事業概況書
  • 適用額明細書

などが挙げられます。
これらも通常は法人税申告書と同様、申告ソフトで作成可能です。

申告書の種類

申告書の種類

法人税申告書は多数の別表で構成されており、その数はおよそ100種類にもなります。多数の別表で構成されてはいるのですが、その別表のなかでも

  • 重要性が高く必ず提出が求められるもの
  • それほど重要でないないもの
  • ほとんど提出されることがないもの

など、さまざまなものあります。

重要性が高く、必ず提出が要求される別表

別表四所得の金額の計算に関する明細書

別表四は法人税申告書のなかで中心の役割を担う計算書です。会計上の「利益」から税務上の「所得」に金額を算出する過程を示します。算出の過程には、2種類の調整項目があります。ひとつは「加算項目」、そしてもうひとつが「減算項目」です。

「加算項目」とは、会計上の「利益」と税務上の「所得」を比較したとき、所得のほうが大きく計算される要因が存在する場合に使用する項目を指します。利益の金額にある一定の数値を加算し、要因を併記することで過程を説明します。

たとえば、加算項目の例として「交際費等の損金不算入額」があります。資本金1億円超の会社の飲食にかかる交際費は50%まで損金算入可能です。

交際費計上前利益が1,000、交際費が500とすると会計上の「利益」は500になります。交際費500のうち50%を損金算入(税務上の費用として計上する)するとなると、税務上の「所得」は750になります。その場合、別表四は以下のようになります。

利益 500
加算 交際費等の損金不算入額 250
所得 750

反対に、「減算項目」は所得が小さく計算される要因が存在する場合に使用する項目です。利益の金額にある一定の数値を減算し要因を併記することで過程を説明します。

減算項目の例として「受取配当等の益金不算入額」が挙げられます。条件にもよりますが、これは受取配当金のうち一定の金額は益金として考慮しないという規定です。

たとえば、受取配当金計上前利益が1,000、受取配当金が300で、100%益金不算入として考慮できるケースを考えてみます。会計上の「利益」は1,300となります。また、100%益金不算入ですので、税務上の「所得」は1,000であり、受取配当金の金額に影響されません。その場合、別表四は以下のようになります。

利益 1,300
減算 受取配当等の益金不算入額 300
所得 1,000

【関連記事】法人税とは?

別表一各事業年度の所得に係る申告書

別表一は会社の基本情報を記載し、法人税額の計算を行う書類です。

会社の「利益」を調整し算出した別表四の「所得金額」が別表一の計算のもとになります。

まず、「所得」に該当する税率を乗じることにより、「年税額」を計算します。税率は大法人(資本金1億円超)か中小法人(資本金1億円以下)かによって異なります。

税法にはさまざまな税額控除の規定があり、その規定を適用した場合に、計算結果として控除額を別表一に記載し税額を算定します。

また、法人が源泉徴収として前もって税金を納めている場合や、外国で一部の税金を納めた際に「二重課税」を避けるための「外国税額控除」規定を適用する場合、その控除も別表一で行い、税額を計算します。

そのほか、中間申告の納税した金額控除も別表一における計算対象に該当します。

別表一では、上記のような過程の記載を行い、最終的な確定申告納税額を算出することになります。

別表五(一)利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

この表は、税務上の貸借対照表のうち、特に純資産額の増減を示したものです。利益積立金額の計算と資本金等の計算の区分に分かれています。また、この表には当期の法人税・住民税の納付状況も記載されます。

先述したように別表四で表現されるのは、当期に発生した会計上の利益と税務上の所得との差異ですが、この差異について別表五(一)にも記載を行い、当期末の税務上の貸借対照表における純資産額を算定する必要があります。

したがって、別表四の記載と別表五(一)の記載は同時発生的に生じることになります。

別表五(二)租税公課の納付状況等に関する明細書

この表は、当年度の会社の租税公課の発生状況及び納付状況を示した一覧です。この表も、別表四および別表一の計算結果から記載を行うことになります。

【関連記事】租税公課とは?|どのサイトよりも詳しくてやさしい税の話

別表二同族会社等の判定に関する明細書

同族会社とは、1人の株主とその関係者で構成された株主グループが3グループ以下で、株式の50%超を保有している場合の会社を指します。

この会社に該当すると課税の方法に変化が生じるため、まずはこの表を用いて、すべての会社が同族会社か否かを判定されることになります。

随時必要な時に提出が要求される別表

法人税申告書において必ず提出しなければならない計算表は、別表一、別表二、別表四、別表五(一)、別表五(二)です。これらは法人税申告における中心的な諸表となります。

上記以外の別表に関しては、提出が必須というわけではありません。その項目が決算書に出てくる場合や、なんらかの税法上の規定を適用する場合などに使用することになります。

ほかの別表に関しては、別表四や別表一への記載金額を決定するための補助的な計算表という位置付けであり、特定の項目が決算において出てこなければ、そもそもその別表に記載する内容もないため、提出の必要性が存在しないということになります。

法人税申告を自分で行うメリット・デメリット

ここまで解説してきたように、法人税申告書は提出が義務付けられた一部の別表を除いて、個々の会社によって作成すべき内容や書類が異なります。

また、法人税申告書そのものよりも会計帳簿や決算書が正確なものであるかが重要であることにも触れました。これを踏まえて、経営者が自ら法人税申告を行うことのメリットやデメリットを解説しましょう。

法人税申告を自分で行うメリット

記帳、申告業務にかかる外注費用を節約できる

法人税申告を自分で行うのであれば、当然、会計記帳に関しても外注することなく自社で行っていることと思います。

その場合、会計事務所や税理士に外注する会計記帳や税務申告の費用を払わずに済むことになりますので、コストを削減できます。

自社の会計や税務の状況を把握することができる

会計記帳業務と税務申告業務を自社で行うことになりますので、自社の会計や税務状況を詳細に把握することができます。

財務や税務の見方を理解できているのであれば、小規模な会社で起こりがちな「経営陣が財務状況をしっかり把握せずに経営を進める」という問題は生じ得ず、会社の状況を適切に把握した上での意思決定を行うことが可能となります。

法人税申告を自分で行うデメリット

会計記帳や税務申告の内容に誤りを含んでしまうリスク

税務申告は専門的な内容を多く含んでいるため、かなりの知識や経験を持っていなければ、ミスや抜け漏れが生じてしまうリスクは多分にあるといえます。

専門家ではない人が自分で法人税申告をしたことでミスや漏れが発生した場合、後にペナルティを課されてしまう可能性も否めません。

会計、税務の処理に業務時間が取られ、本業に集中できない

税務申告には非常に細かい作業が多く、書類の整理などにも時間を取られることになります。そのため、経営者は多くの時間を会計や税務にあてざるを得なくなり、本来の業務に使うべき時間は減ってしまうというデメリットがあります。

法人税申告を行うメリット、デメリットには上記のような内容が挙げられます。

法人税申告に関しては規定が多く、非常に難解であるため、総合的に見れば外部の専門家である税理士に外注するのが望ましいと考えられます。

外注費用は発生しますが、難解な申告に時間を取られることなく本業に集中することができます。

また、会計記帳に関しては会計事務所に外部委託することも可能ですが、比較的低コストなクラウド会計ソフトなどもあるので、会計ソフトを使って自社で作業を行うこともよいと思います。

クラウド会計ソフトには会計処理に関するサポートデスクなどがついているのが一般的であるため、知識に不安がある方でもサポートを受けながら会計記帳を完成させることができます。

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今回は法人税の申告に関して、申告書の観点から解説しました。税理士に申告書の記載を依頼することも多いかと思いますが、その内容を確認する際に今回の記事の内容を参考にしていただければ幸いです。

執筆:熊谷恵佑(公認会計士)

宮城県仙台市出身。東北大学経済学部卒業。公認会計士として、日本で監査、税務業務等に従事後、国際業務に関心を持ち、2015年より東南アジアに拠点を移し、活動をしている。タイ、カンボジア、ベトナムでの業務経験を持つ。現在は、日本(仙台、東京)とタイ、バンコクで会計サービスを提供している。

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