会計の基礎知識

備品とは?消耗品との違いや具体例・管理の手順をわかりやすく解説

備品とは?消耗品との違いや具体例・管理の手順をわかりやすく解説

備品とは、企業が業務のために継続して使用する、取得価額10万円以上かつ使用期間が1年以上の物品を指します。企業活動において、日常的に使用される机・パソコン・工具類は、会計上「備品」として扱われます。

「どこからが備品に該当するのか」「どのように管理・処理すべきか」を正確に理解できていないと、仕訳ミスや固定資産管理の不備につながり、決算や税務調査で指摘を受けるリスクが高まります。

本記事では、会計上の備品の定義や、勘定科目として管理する目的を基礎から整理したうえで、具体例や実務で押さえるべき管理手順をわかりやすく解説します。備品に関する判断基準を、体系的に理解したい人におすすめの内容です。

目次

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備品とは?

備品とは、企業が事業活動のために長期間使用する物品を指す、会計・税務上の概念です。

経理実務では、購入した物品を備品(固定資産)・消耗品のどちらとして処理するのか、金額や使用期間といった明確な基準に基づいて判断します。この区分を誤ると、仕訳ミスや減価償却漏れが発生し、決算修正や税務調査で指摘を受けるかもしれません。

ここでは、会計上の備品の定義や勘定科目としての扱い方に加え、備品として処理すべきか消耗品として処理すべきか迷いやすい判断基準を整理し、実務で押さえるべきルールを解説します。

企業における備品の定義|会計上は取得価額10万円以上・使用可能期間1年以上のものを指す

会計上において備品とは、取得価額10万円以上・使用可能期間が1年以上の物品のことです。

この条件を満たすものは会計上「固定資産」として扱われ、勘定科目は一般に「工具器具備品」や「什器備品」が用いられます。具体的には、以下のようなものです。


  • 業務用パソコン
  • 応接用家具
  • 製造現場の機械工具 など

備品か否かの判断は、見た目や名称ではなく、金額と使用可能期間で判断するのがポイントです。たとえ大型デスクでも、取得価額が10万円未満であれば、原則として消耗品費として処理できます。

経理実務では、まず取得価額10万円・使用可能期間1年以上という基準に当てはめて判断することが、誤った処理を防ぐ基本となるでしょう。

勘定科目として管理する目的と重要性

備品を正しく管理することで、正確に会計処理できるのはもちろん、会社の資産を適切に把握・統制できます。

まず会計面では、高額な物品を購入した年度に全額経費化すると、当期の利益が過小に見え、経営成績を正しく把握できません。そのため備品は資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却することで、費用を適切な期間に配分します。

一方で、備品は「会社の持ち物」として実際に存在し、利用・移動・廃棄される資産です。管理基準を定めずに放置すると、所在不明や重複購入、不正持ち出しといった問題が起こりやすくなります。

備品を勘定科目として管理し、台帳やルールを整備することで「どの備品を管理対象にするのか」「誰が、どこで、どのように使っているのか」を明確にできます。備品管理は単なる会計処理ではなく、業務統制を支える基盤となる重要な業務といえるでしょう。

税務上・会計処理における消耗品との違い

会計上における備品と消耗品の違いは、費用計上のタイミングです。

消耗品は購入年度に全額を経費計上できますが、備品は資産計上後、減価償却によって数年に分けて費用化するため、購入時に一括で経費にはできません。

消耗品として購入年度に一括計上すると、その年の利益や税金が少なく見えるのに対して、備品として減価償却すれば毎年少しずつ費用がかかる形になります。どちらで処理するかによって、お金の出方や会社の数字の見え方が変わるため、消耗品・備品の分類は会計上重要な問題です。

ただし中小企業や個人事業主には例外があり、30万円未満の備品であれば一定の上限内で購入年度に一括で経費計上できる、少額減価償却資産の特例が設けられています。

実務では、会計上の定義だけでなく、自社が適用できる税務特例を踏まえて処理方法を選択することが重要となります。

備品の具体例

業種や利用シーンによって扱う物品は異なり、同じ10万円以上のものでも「備品として管理すべきか、消耗品として処理できるか」が異なるケースもあります。

ここでは、代表的な業態ごとに、実際に備品として扱われる物品の具体例を紹介します。自社の業務に近いケースを確認することで、仕訳判断や備品管理の基準をより明確にできるでしょう。

オフィスの机やパソコンなど

オフィスで日常的に使用される備品の多くは、PCや家具など長期間にわたって使用する高額な耐久財です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。


  • パソコン(デスクトップ・ノート型)
  • コピー機
  • 応接セット
  • オフィスチェア など

これらの備品は、取得価額が10万円以上かつ1年以上使用できるもののため、原則として工具器具備品として資産計上します。

また、セットで使用するものでも、個別に計上する場合もあるため注意が必要です。たとえばデスクトップPCは、本体とモニターを1セットで計上するのに対して、マウスやケーブル類などの単価が低く消耗が早い周辺機器は消耗品となります。

備品か否か判断に迷ったら、金額と使用可能期間を整理しましょう。

製造現場の工具や機械など

製造現場では、生産に直接かかわる設備が備品の代表例として挙げられます。具体的には、以下のようなものが挙げられます。


  • プレス機
  • 旋盤
  • 測定機器
  • フォークリフト など

このような備品は、取得価額が高く長期間使用されるため固定資産として管理します。勘定科目は、機械装置で区分されるのが一般的です。

一方、ドライバーやハンマーなどの汎用工具や、作業服などは消耗品扱いとなります。実務では、高額な専用設備は備品、日常的に使う手道具は消耗品と整理するといいでしょう。

店舗のレジや清掃用具など

店舗では、売上やサービス提供に直結する設備が、備品の代表例として挙げられます。具体的には、以下のようなものが挙げられます。


  • POSレジ一式
  • 陳列棚
  • 業務用冷蔵庫
  • 厨房機器 など

上記のような、長期使用を前提とする高額な物品は備品として資産計上します。とくに開業時は一括購入が多く、見積書単位で確認し、備品か否か判定するのが大切です。

一方、レジロール紙や清掃用具、割り箸などは消耗品となります。備品の範囲を正しく理解し、管理対象を明確にすることで、経理処理や資産管理をスムーズに行えます。

ホテルの家具や家電製品など

ホテルをはじめとした宿泊施設では、客室や共用部の家具・家電が主要な備品です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。


  • ベッド
  • テレビ
  • 客室金庫
  • ロビー家具 など

これらの備品は、宿泊サービスを支える事業用資産として固定資産管理が必要です。会計上は、実際の使用単位ごとに判定します。たとえば、ロビー家具のテーブルと椅子は1セットとして扱い、テレビや客室金庫など単独で使用できるものは個別に備品として管理します。

一方、アメニティやリネン類、小型家電の多くは消耗品として扱われ、会計上は固定資産管理の対象外です。ただし、数量や設置場所を把握するための管理表を作成することで、紛失や持ち出しなどに気づきやすくなり、盗難や過剰な補充を防ぐ目的で有効です。

備品管理の具体的な手順

備品管理は、台帳を作って終わりではなく、一定の手順に沿って運用することが大切です。手順を理解せずに場当たり的に管理すると、備品の紛失・重複購入・台帳と現物の不一致が常態化し、管理コストだけが増えるおそれがあります。

ここでは、経理・総務担当者が無理なく実践できるよう、備品管理を以下の流れで解説します。

備品管理の手順

  1. 基準決め
  2. 台帳整備
  3. 現物管理
  4. 定期確認
  5. 効率化

全体像を把握することで、自社に合った管理体制を構築しやすくなるでしょう。なお、備品管理を効率化する方法については、以下の記事でも解説しています。

【関連記事】
備品管理とは?重要性や課題、効率化する方法などを解説

管理対象にする備品の基準を決める

備品管理は、金額だけでなく重要性も考慮した基準作りが不可欠です。

会計上は「取得価額10万円以上」が固定資産の基準ですが、この基準だけでは、10万円未満のノートPC・社用スマホ・鍵などの重要物品が管理対象から外れるおそれがあります。

そのため実務では、経理処理とは別に、備品がどこにあるのかわからなくなる事態を防ぐために、管理対象備品の基準を設ける方法が有効です。たとえば、金額に関係なく、IT機器・通信機器・鍵類はすべて管理対象といったルールを設けることで、紛失や重複購入に気づきやすくなります。

基準を明確にして全社に共有することで、判断の属人化を防ぎ、管理漏れや問い合わせ対応の負担も軽減できます。

固定資産台帳で情報を整理する

会計上の備品管理を効率化するためには、現物管理に使える台帳を一元管理することが重要です。

税務用の固定資産台帳は減価償却情報が中心で、使用者や設置場所といった実務情報が不足するおそれがあります。どこで誰が使っている備品か把握できず、紛失や重複購入、棚卸作業の負担増につながります。

そのため、Excelやスプレッドシートなどで、管理用台帳を別途作成するのが有効です。台帳には、以下の内容を記載し、常に最新情報を更新しましょう。


  • 管理番号
  • 品名
  • 取得日
  • 使用者
  • 設置場所
  • 状態(使用中・故障中など)

固定資産台帳を適切に運用することで、資産の所在が可視化され、棚卸しや移動対応もスムーズになります。

備品に識別用のラベルや番号を付ける

台帳と現物を結び付けるためには、ラベリングによる管理が不可欠です。

同型の備品が複数ある場合、台帳だけでは、どれがどの備品か判断できません。そのため、管理対象の備品には必ず管理番号ラベルを貼付しましょう。番号を付与することで棚卸し時に照合しやすくなり、紛失や取り違えを防げます。

さらに、剥がすと痕跡が残るラベルを使えば、不正持ち出しの抑止にもなるでしょう。ラベリングは地味な作業ですが、正確な個体管理を支える重要な工程です。

定期的に備品の現況をチェックする(棚卸し)

定期的に棚卸しを行い、備品の数量や所在を確認することで、正確な備品管理を維持することが可能です。

日常業務に追われるうちに、移動報告漏れや廃棄忘れにより、台帳と現物のズレが発生するおそれがあります。ズレがあると備品の所在がわからず紛失に気づけないほか、不要な買い替えや棚卸し作業の負担増加につながります。

そのため少なくとも年1回は、決算期に合わせて棚卸しを実施し、台帳と現物を照らし合わせましょう。

紛失が判明した場合は、捜索後に除却処理を行うと不要な税負担や管理リスクを防げます。棚卸しは単なる確認作業ではなく、資産の正確性とコスト管理を守る重要な決算業務です。

必要に応じて備品管理システムの活用も検討する

備品の数が増えて管理が複雑になってきたら、備品管理システムの活用も検討しましょう。

備品点数が数百点規模になると、Excelによる人力での管理では、更新漏れや同時編集による混乱が生じやすくなります。更新漏れや記載ミスなどで台帳と現物のズレが生じやすくなり、所在不明や重複購入などが起こったり、棚卸しや監査対応の負担が増えたりします。

こうした課題の解消には、「Bundle by freee」のようなクラウド型備品管理システムの導入が有効です。Bundle by freeeでは、QRコード読み取りによる棚卸しや貸出・返却履歴の管理が可能で、棚卸しや管理業務の工数を大幅に削減できます。

備品管理のメリット

備品管理のメリットは、資産・コスト・業務・セキュリティを同時に改善できる点です。単なる事務作業で終わらせず、適切に管理し無駄な購入や税金の支払いを防ぐことで、業務効率と内部統制を高められます。

ここでは、備品管理が会社にもたらす具体的な効果を4つの視点から整理します。


  • 資産を可視化できる
  • コスト削減につながる
  • 業務の効率化が期待できる
  • セキュリティ対策になる

資産を可視化できる

備品管理のメリットは、社内資産の状況を正確に把握できる点です。台帳を整備し継続的に更新することで、何が・どこに・いくつあるかを即座に把握できる状態になります。

また、台帳で資産を可視化することで、余っている備品や使用頻度の低い備品がわかり、部署間での再配置や共用化といった対応がしやすくなります。経営層からの確認にも即答できるため、バックオフィスの信頼性向上や業務効率化にもつながるでしょう。

コスト削減につながる

備品の管理が不十分だと、在庫があるにもかかわらず同じ備品を購入してしまうリスクがあります。台帳で資産を把握すれば無駄な二重購入を防止でき、直接的なコスト削減に有効です。

さらに、廃棄済み備品を適切に処理することで、不要な償却資産税の支払いを避けられ、税コストの最適化にもなるでしょう。

業務の効率化が期待できる

備品管理を仕組み化すると、探し物や確認作業にかかる非効率な時間が減少し、業務効率化にもつながります。

備品の所在や使用者が明確であれば、必要な物品をすぐに特定可能です。倉庫や棚から必要な備品を探し出す必要がなくなってコア業務へ集中しやすくなり、業務上のストレス軽減にもなるでしょう。

また、入社・退社時の備品配布や回収、故障時の対応もスムーズになります。

セキュリティ対策になる

備品管理は、業務における重要なセキュリティ対策のひとつです。ノートPCや社用スマートフォンを管理番号ごとに把握し、所在を明確にすることで、紛失や不正な持ち出しのリスクを抑えられます。

また、定期的に棚卸しを行うことで備品の所在を継続的に確認できるため、不正や管理不備があっても早期に気づくことが可能です。もし紛失が判明しても、対象機器を特定して迅速に利用停止できるため、情報漏えいリスクの低減にもつながるでしょう。

備品管理の課題と解決策

備品管理のトラブルは、担当者の注意不足ではなく、管理の仕組みが原因で起こるケースもあります。たとえば、以下のような課題は、管理体制の弱体化につながります。


  • 備品の所在不明
  • 台帳の形骸化
  • 棚卸し負担の増大

ここでは、現場で頻発しやすい代表的な課題を整理し、すぐに実行できる解決策を解説します。

備品の所在が把握できない

管理番号で個体を識別できていないと、備品が所在不明になるリスクが高まります。

備品の所在がわからなくなる原因は、台帳と現物が紐付いておらず、備品の識別ができない点にあります。とくに同型のPCやモニターが複数ある場合は、見た目だけで判別するのは困難です。

そのため、すべての管理対象備品に管理番号ラベルを貼付し、台帳と一対一で紐づけることが重要です。さらに、社外持ち出し時に使用者・使用期間を記録する工程を徹底することで、回収漏れや所在不明を防止できるでしょう。

台帳の情報が更新されない

更新が適切に行われない運用では、台帳は実態と乖離し、備品の所在不明や紛失などにつながります。

台帳情報が古くなる原因は、備品の移動や廃棄のたびに手作業で更新する仕組みです。Excel管理では更新作業が即時に行われにくいため、台帳情報が実態と乖離しやすくなります。

そのため、更新作業をその場で完了できる仕組みを整えることが重要です。たとえば「Bundle by freee」のような即時更新できるクラウド型管理ツールを使えば、QRコード読み取りによるその場でのステータス変更が可能となり、更新漏れを減らせます。

棚卸しの負担が大きい

紙のリストのようなアナログな方法の棚卸しでは、時間がかかるだけでなく、確認漏れも起きやすくなります。棚卸しは通常業務と並行して行うため、特定の担当者に業務負担が集中するおそれもあるでしょう。

そのため、以下のような作業設計と運用ルールの見直しが有効です。


  • 管理対象を重要備品に絞り込む
  • 部署単位で棚卸しを分担する
  • 半期・四半期ごとの部分棚卸しを行う

上記の改善策により、一度あたりの作業量を抑えられ、確認精度と継続性を高められるでしょう。

まとめ

備品とは、原則として取得価額10万円以上かつ使用可能期間1年以上の物品を指し、固定資産として減価償却が必要です。

一方で、中小企業や個人事業主の場合は30万円未満まで即時経費化できる特例もあり、税務上の扱いを正しく理解することが重要です。

台帳管理やラベリング、定期的な棚卸しによる現物管理を徹底すれば、紛失のリスクや無駄な管理コストを低減できます。正しい知識と運用が、会社の利益と信頼の維持につながるでしょう。

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よくある質問

備品と消耗品の違いは何ですか?

備品と消耗品の違いは、金額・使用期間・経費にするタイミングです。

会計上、取得価額が10万円以上かつ使用可能期間が1年以上の物品は、備品(固定資産)として扱われ、購入時に全額を経費計上しません。耐用年数に応じて、減価償却により段階的に費用化されます。

一方、10万円未満の物品や短期間で使い切るものは消耗品として、購入年度に全額を経費計上できます。

ただし中小企業や個人事業主については、30万円未満の備品を年間300万円まで一括で経費計上できる特例があり、実務では特例の適用を受けられるかが備品と消耗品の判断において重要なポイントとなります。

備品と消耗品との違いは、記事内「税務上・会計処理における消耗品との違い」でも詳しく解説しています。

どのようなものが備品に該当しますか?

備品とは、事業で長期間使用し、収益獲得に役立つ形のある会社の資産を指します。具体的には、以下のようなものです。


  • オフィスで使うデスク・椅子・書庫
  • 社員が業務で使うパソコン・モニター・スマートフォン
  • 印刷やコピーに使うコピー機・複合機
  • 店舗で使う冷蔵庫・陳列棚・レジ台

会計上は、工具器具備品といった勘定科目で管理されるのが一般的です。

なお、複数の物品を組み合わせて使うものはセット単位で判定します。たとえばパソコン本体とモニターは合算してひとつの備品とみなされるため、個別価格だけで判断せず、取引単位で確認することが重要です。

備品の具体例は、記事内「備品の具体例」でも詳しく解説しています。

備品管理はどのようにすればいいですか?

備品管理は、小さく始めて仕組み化するのが効果的です。

まずは台帳作成→ラベリング→棚卸しの3ステップによる管理を、PCやスマホなど高額・重要備品に絞って実施しましょう。Excelで台帳を作り、管理番号を貼って現物と紐づけ、年1回は棚卸しで差異を修正します。

慣れてきたら管理範囲を拡大するのも有効です。

さらに「Bundle by freee」のような管理ツールを使えば、台帳管理や棚卸しを効率化でき、継続しやすいでしょう。

備品管理の具体的な手順は、記事内「備品管理の具体的な手順」でも詳しく解説しています。

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