会計の基礎知識

法人税とは

会社経営するにあたって絶対避けては通れないのが税金の納付です。今回は、その税金のなかでもいちばん基本的な税金科目である法人税の基礎体系や、計算方法、申告の流れを網羅的にご説明します。
[執筆:熊谷恵佑(公認会計士)]

公開日:2019年10月29日

法人税とは

目次

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法人税とは

法人税とは、「法人の年間所得に課税される税金」を指します。

一般的に設立年度を除き、会計年度は1年に設定されます。したがって、法人税も会社が獲得した1年間の「所得」をもとに申告額が算出されます。

「利益」と「所得」は異なる概念

よく、「法人税は会社が計上する利益に課税される税金」として説明されることがあります。厳密には、この表現は間違いになります。法人税は「所得」に課税される税金であって、「利益」に課税されるものではないからです。

ここで、「利益」と「所得」はどのように異なるのでしょうか? そもそも「利益」と「所得」は別会計の言葉であり、それぞれ目的が異なるのです。

定義 利益=収益―費用 所得=益金―損金
会計の種類 財務会計 税務会計
会計の目的 会社の収益力を適切に
表示する
法人税を計算するための
基礎資料を提供する

上記のように、「利益」と「所得」は定義も異なりますし、会計の目的が異なるため、示す数値の意味も当然異なります。「利益」が会社の収益性を指し示す数値であるのに対し、「所得」は法人税を課税するための基礎数値であり、収益性を指し示すわけではないということです。

実務上は、まず決算処理を行うことにより会計上の「利益」を確定させ、その数値に各種調整項目を加減算することにより、「所得」を算出します(より詳しい説明は後述します)。

法人税の納税主体について

法人税法によれば、日本の法人税の納税主体は「内国法人」及び「外国法人」となっています。本店や主たる事務所が日本国内にある場合は「内国法人」として判定され、日本国外にある場合は「外国法人」として判定されることになります。

「内国法人」と「外国法人」とでは課税所得の範囲も異なります。「内国法人」の場合は「国内源泉所得」と「国外源泉所得」のどちらも課税されることになりますが、「外国法人」の場合は「国内源泉所得」のみになります。

「内国法人」に該当するものは、以下のようなものが挙げられます。

  • 普通法人
  • 協同組合等
  • 公益法人
  • 人格のない社団等
  • 公共法人

このうち、普通法人と協同組合等は原則、すべての所得に課税がなされます。
公益法人と人格のない社団等に関しては「収益事業」のみに課税がなされます。また、公共法人に関しては法人税の課税はありません。

上記のことから、一般の株式会社だけではなく多くの法人及びそれに類する団体に法人税の課税がなされることがわかります。

法人税申告・納税の頻度

メインの申告・納税の方法として、期末の確定申告があります。また、要件を満たす場合は半期で申告・納税を行う中間申告を行わなければなりません。

貸借対照表

確定申告

決算日から2ヶ月以内に会計年度の決算にしたがって、法人税の確定申告及び納税を行わなければなりません。これはどの法人でも原則行わなければならない申告・納税です。

中間申告

前年度確定申告において20万円超の法人税を納めている法人は、翌年度に中間申告を行う義務があります。その事業年度開始後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に申告・納税を行う必要があります。

中間申告の方法には2種類あります。1つは前年度の納税額の2分の1を納税する方法です。もう1つは中間決算を組み、その決算に基づいて中間申告書を作成、納税を行う方法です。

前年度の納税額の2分の1を納税する方法

多くのケースでこの方法がとられています。この方法がいちばん手数もかからない方法であるためです。

また、中間申告書を提出しなかったとしても申告書を提出したとみなす規定が存在するため「申告書の提出が実質不要であり、納税さえ行えば問題はない」のも実務負担の軽減に役立っている点です。

仮決算を組み、それに基づいて中間申告書を作成、納税を行う方法

この方法の場合、年次決算と同様に決算を組み 申告書を作成をするなど、手間がかかる点はデメリットといえるでしょう。

しかし、仮に今期の決算が急激に悪化し、資金繰りも悪化している状況であれば、仮決算を組んで税額を算出することで、納税金額がゼロもしくは少ない金額で済む可能性もあります。このように資金繰りの改善に役立つケースもあるため、この方法を選択することが適している場合もあります。

法人税の計算方法

法人税の計算方法についてその流れを説明します。流れを大まかに説明すると、

  1. 年次の決算、利益を確定させる
  2. 税務調整(加算項目、減算項目)を計算し、所得控除を加味、法人の所得を確定させる
  3. 確定した所得に税率を乗じ、年税額を算出する
  4. 各種税額控除を加味し、確定申告における納税額を算出する

このような流れになります。

年次の決算、利益を確定させる

まず、会計の年次決算を確定させます。決算月の会計記帳が終わったら決算整理仕訳を入力、決算の数値を正しいものにして当期の純利益を確定させることができます(厳密にいうと、この時点で確定できるのは税引前当期純利益です)。

税務調整(加算項目、減算項目)を計算し、各種所得控除を加味、
法人の所得を確定させる

税務調整項目

次に税務調整を計算します。税務調整とは、簡単にいえば財務会計と税務会計の捉え方の差の調整を意味します。すなわち、財務会計上の「利益」という項目に税務調整項目を加減算することで、税務会計上の「所得」を意味する値を算出していくのです。

この税務調整の加算項目には、たとえば減価償却費、交際費、各種引当金、減損損失等が挙げられます。
ここでは、減価償却について説明します。

減価償却とは購入した固定資産の金額を使用期間にわたって費用配分するプロセスのことを指します。したがって、財務会計上は耐用年数として「使用可能期間」を用いるのが正しい方法です。

一方で、税務会計では、収益性の実態を表現するためではなく、法人税を算出する基礎資料としての性質から、あらかじめ定まっている「税法上の耐用年数」を用いなければなりません。

それぞれ費用を配分する年数が異なることから、財務会計上の費用と税務会計上の費用のあいだに生まれる「差」を税務調整として加減算しなければなりません。

一般的に、財務会計より税務会計における費用が小さくなることが多いため、減価償却費の調整は加算項目として挙げられます。

また、減価償却に関しては、仮に財務会計より税務会計における費用が多く計算されるとしても実際に税務会計の費用として認められるのは、財務会計上の費用の金額までという決まりがあります。そのため、結果的に財務会計上の費用が税務会計上の費用より小さくなることはないため、ここから減算項目が発生することはありません。

例)当期に固定資産を120万円で購入した。使用可能期間は5年。税法上の耐用年数は10年である。この場合、当期の財務会計上の減価償却費は24万円であり、税務会計上の減価償却費は12万円である。

財務会計上の減価償却費は24万円とあることから、会計上は費用を24万円計上していることがわかります。次に税務会計上の減価償却費は12万円とあることから、損金は12万円まで計上できることがわかります。

費用と損金の金額に差があるため、その差を「税務調整」で調整します。利益から所得に金額を調整するには、この差の12万円を加算調整すれば良いのです。

所得控除

法人税の規定として所得控除の規定があります。これは所得そのものの金額を減少させる効果があります。効果としては税務調整の減算項目と同じ効果を持ちます。

所得控除のひとつに「欠損金繰越控除」があります。過去、青色申告適用年度に税務上の欠損が生じた場合、翌期以降、税務上所得が発生した場合に10年を限度にその金額を順次控除できるという規定です。

青色申告というのは、帳簿を正確に作成し、それに基づいて申告を行う申告方法の一つであり、この方法を用いれば一定の税務上の優遇措置を受けることができます。また、税務上の欠損というのは所得のマイナスを指します。所得がマイナスに算出された場合、その分を翌年度以降の所得から控除することができるという規定が「欠損金繰越控除」になります。

このように、税務調整項目を加減算し所得控除を加味することで当期の確定所得を算出することになります。

確定した所得に税率を乗じ、年税額を算出する

次のステップとして、算出した所得に当てはまる税率を乗じて年税額を計算します。税率は法人の種類や所得金額に応じて異なりますが、ここでは株式会社の場合に絞って説明します。

資本金1億円超の株式会社の場合

一律23.2%が税率として適用されます。

資本金1億円以下の株式会社の場合

所得800万円まで15%が税率として適用されます(適用除外事業者の場合は19%)。
所得800万円超の分には23.2%が税率として適用されます。

資本金が1億円以下の株式会社においては低減税率が用意されており、所得800万円までの区分については低減税率を使用することができます。

各種税額控除を加味し、確定申告における納税額を算出する

確定した年税額から各種税額控除の金額を差し引き、年次確定申告における納税額を算出します。

税額控除には2種類あります。ひとつは「すでに納めた部分を差し引いて確定申告の税額を計算する」という意味合いの控除です。もう一方は、税法上の特別な規定がある場合の税額控除です。

納付済分を差し引く目的での税額控除

ここに該当するのは、中間申告納税額、源泉徴収税額、外国税額控除等が該当します。

中間申告税額は、中間申告の際に納付した税額のことを指します。これは法人税の前払いを意味しますので、当然この分を年税額から控除して確定申告時の税額を算出することになります。

源泉徴収税額は、当期において何らかの収入を受け取った際に源泉徴収をされる形で前払を行った税額のことを指します。当期において源泉徴収され、ほかの事業者が代わりに納税しているので、法人税の前払いとして年税額から控除して確定申告時の税額を算出することになります。

外国税額控除は、外国で一定の取引を行い、現地の法律に基づいて税金を現地に納めた場合にその金額を年税額から控除することで所得の二重課税を防止する趣旨を持つ控除のことを指します。

税法上の特別の規定による税額控除

税法において、景気対策の一環や特定の産業保護などの理由により種々の優遇策を講じることがあります。税額控除の規定もさまざまに設けられており、会社は一定の要件を満たせば税額控除を受ける権利を持ちます。

その税額控除に関しても年税額から控除して確定申告時の税額を算出することになります。

法人税の納付の流れ

事前準備と必要書類

事前準備と必要書類事前準備として大事なのは、やはり年間を通して会計を適切に処理し、年次で正しく決算を確定させるというところです。適切な会計記帳が存在しなければ、それが前提の確定申告書も正しい数値とはいえなくなるからです。

申告の際に必要な書類として、確定申告書、決算報告書、法人事業概況説明書、勘定科目内訳明細書、適用額明細書などが挙げられます。

納付先と納付手段

納付手段については、税務署から送られる納付書を用いる方法、 e-Taxで申告を行い、届け出た預貯金口座からダイレクト納付を行う方法、そのほかにもインターネットバンキングやクレジットカードを利用する方法があります。

税務署

納付書を用いる場合

申告を行ったあとに税務署から納付書が送られてきますので、その納付書を用いて納税することになります。税務署で現金を直接支払う方法と、または金融機関から振込で支払う方法があります。

また、条件がありますが、コンビニエンスストアで支払いを行うことができるケースも あります。この場合はバーコード納付書の送付を依頼する必要があります。

電子納税を用いる場合

e-Taxで申告を行った場合、e-Tax上に金融機関の口座登録を行うことにより、ワンクリックで納付を行うことができます。また、ほかにもインターネットバンキングを利用することも可能ですし、クレジットカードでの支払いも可能です。

まとめ

e-Taxで申告を行った場合、e-Tax上に金融機関の口座登録を行うことにより、ワンクリックで納付を行うことができます。また、ほかにもインターネットバンキングを利用することも可能ですし、クレジットカードでの支払いも可能です。

執筆:熊谷恵佑(公認会計士)

宮城県仙台市出身。東北大学経済学部卒業。公認会計士として、日本で監査、税務業務等に従事後、国際業務に関心を持ち、2015年より東南アジアに拠点を移し、活動をしている。タイ、カンボジア、ベトナムでの業務経験を持つ。現在は、日本(仙台、東京)とタイ、バンコクで会計サービスを提供している。

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