会計の基礎知識
知っておくと便利な「貸借対照表」と「損益計算書」の深いつながり
最終更新日:2020/12/04

期末決算時期の「貸借対照表」と「損益計算書」の作成は、個人事業主や企業の経営者、経理担当者にとって頭の痛い作業です。この2つの表の数字から会社の経営状態を判断することになるため、決算処理担当者は内容をよく理解しておく必要があります。
貸借対照表と損益計算書は別々の書類ですが、あるキーワードでつながっています。そのキーワードと、それぞれの書類に書かれている言葉の定義、それぞれの表に書かれている数字の読み方について簡単に解説します。
目次
貸借対照表と損益計算書の定義をおさらい
まずは、貸借対照表と損益計算書の定義から考えてみましょう。
なお、個人事業主の方が青色申告での最大55万円の特別控除を受けるには、確定申告の期限内に「貸借対照表」と「損益計算書」の提出が必須となっています。
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高55万円(令和元年以前は最高65万円)を控除することとされています。
※令和元年以前は最大65万円でしたが、税制改正により令和2年以降は最大55万円へ引き下げられています。引き続き65万円の控除を受けるには、e-Taxによる申告や電子帳簿保存が必要となります。
参考:国税庁「青色申告特別控除額 が変わります!! 基礎控除額」
貸借対照表とは?

貸借対照表とは、決算の際に作成される財務諸表のひとつであり、企業のプラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)のバランスをまとめたデータで、企業の財務状況(主に資産と負債)を表しています。また、貸借対照表は、英語ではバランスシートと呼ばれることから(B/S)とも呼ばれることも多いです。
貸借対照表は、左側が資産、右側が負債と純資産という構造になります。
資産の部は、集めたお金がどのように投資され、保有されているかを示しています。そして、負債・純資産の部は、事業に必要なお金をどのように集めたかを示しています。貸借対照表のポイントは、次の計算式のように左側と右側の金額が常に一致していることです。
「資産=負債+純資産」
貸借対照表についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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貸借対照表とは。作成前に知っておきたい基礎知識
損益計算書とは?
損益計算書とは、その名の通り企業の損益を計算したものです。損益計算書を読むことで、その企業の業績が良いのか悪いのか、どのような状態なのかが一目でわかります。
損益計算書は収益・費用・利益の3つの要素から成り立っており、収益から費用を差し引くことで最終的な利益を計算します。 プロフィット&ロス・ステイトメント(Profit & Loss statement)略して(P/L)とも呼ばれています。
損益計算書からわかる利益の区分は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つがあります。
損益計算書でまず確認したいのは、「利益がマイナスになっていないか」です。利益がマイナスになっている場合は、「損失」と表現されます。特に重要なのは、企業の通常業務で得た利益である「経常利益」がマイナスになっていないかどうかです。
最終的な「当期純利益」がプラスであっても、「経常利益」がマイナスであれば、通常の業務が赤字であったことを意味し、その赤字を補うために固定資産を売却して「特別利益」を得たということになります。そしてその場合、売却するものがなければ「当期純利益」もマイナスになるリスクがあるので、事業計画や財務計画を見直す必要があります。
貸借対照表が「ある時点」での企業の財務状況を示しているのに対し、損益計算書は「一定期間」の企業の業績を示しています。わかりやすくいうと、会社の財務状況を「点」で見るのが貸借対照表で、「線」として見るのが「損益計算書」です。
損益計算書についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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損益計算書とは
損益計算書でよく使われる勘定科目
貸借対照表と損益計算書をつなぐ、「当期純利益」と「利益剰余金」の関係
企業が事業を営んでいる限り、売上や経費で日々お金が動いています。つまり損益計算書のデータは、お金が動くたびに変動します。したがって、売上が上がれば資産が増え、借入金が増えれば負債が増えるというように、貸借対照表も変動します。
「貸借対照表」と「損益計算書」は一見すると全く別の書類のように見えますが、実は損益計算書の「当期純利益」でつながっています。
「損益計算書」で計算される1年間の利益「当期純利益」は、株主へ一定の割合で分配されます。そして、残った利益が「当期末処分利益」と呼ばれ、蓄積されていきます。それが、貸借対照表にある「利益剰余金(その他利益剰余金)」となるのです。
「利益剰余金」は、貸借対照表の「純資産の部(旧資本の部)」に位置します。「利益準備金」と「その他利益剰余金」の2つから構成されていますが、「当期純利益」の蓄積が「その他利益剰余金」となります。
貸借対照表と損益計算書を活用するための数字の見方
「貸借対照表」はある時点におけるその会社の財務状況を表す「診断書」であるのに対し、「損益計算書」は一定期間における収益と費用を表すその会社の「成績表」ともいえるでしょう。
では、それぞれのデータのどの部分を見れば良いのでしょうか。
まず「貸借対照表」からは、ある一定期間における会社の「資産の集め方」および「お金の使い方」を読み取ることができます。
そして「損益計算書」は、「当期純利益(純利益)」の項目がポイントです。過去のデータと照らし合わせることで、会社のこれまでの業績推移をより正確に把握することができます。
さらに、「売上高」が増加しているか、「売上総利益」が伸びているかなども過去のデータと照らし合わせることで、その会社の業績が上下する原因がどこにあるのかが見えてきます。
まとめ
このように、「貸借対照表」と「損益計算書」から、その会社の経営状態が明らかになります。収益に対する費用の割合や、預金と借入の状態などは、貸借対照表と損益計算書でよくわかりますし、過去のデータと比較することにより、その会社の経営状態が浮き彫りになります。
また、「貸借対照表」の「利益」と「損益計算書」の「利益」は必ず同じになります。この2つの財務諸表は密接な関係にあり、正しく作成することで財務分析の精度も向上します。
日々の会計処理を正しく行い、正確な「貸借対照表」と「損益計算書」を作成するようにしましょう。
このような疑いをかけられないようにするためにも、「貸借対照表」と「損益計算書」は確実に記載していくことが必要といえるでしょう。
今回の概要を簡単に動画でもご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。
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