監修 橋爪 祐典 税理士
ファームバンキング(Firm Banking:FB)とは、企業のコンピューターと銀行システムを通信回線で直接接続し、オフィスから銀行取引を一括処理できる法人向けサービスです。給与振込や総合振込、残高照会などをまとめて行えるため、経理業務の効率化に貢献します。
インターネットバンキングと混同されることもありますが、両者は利用目的や対象規模、セキュリティ環境が異なります。
本記事では、ファームバンキングの概要やインターネットバンキングとの違い、ファームバンキングを利用するメリット・デメリット、利用手順を解説します。
目次
- ファームバンキングとは?
- ファームバンキングとインターネットバンキングの違い
- ファームバンキングを利用するメリット
- 銀行に行く手間がなくなる
- 大量の振り込みを一括処理できる
- セキュリティリスクを抑えられる
- 経理ソフトと連携しやすい
- 振込手数料が割安になる場合がある
- ファームバンキングを利用するデメリット
- コスト負担が大きい
- リモートワークに対応しにくい
- ファームバンキングの利用手順
- 1. 取引のある金融機関にファームバンキングの利用を申し込む
- 2. ファームバンキング専用ソフトや通信環境を準備する
- 3. 初期設定とテストを実施する
- まとめ
- はじめての経理でも、自動化で業務時間を1/2以下にする方法
- よくある質問
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ファームバンキングとは?
ファームバンキングとは、企業のコンピューターや社内システムと銀行のシステムを通信回線で直接つなぎ、社内から銀行取引をまとめて行える法人向けサービスです。銀行の窓口に行かなくても、オフィスのPCから給与振込・総合振込・口座振替・残高照会などの取引を完結させられます。
以前は専用回線や電話回線を使った接続が主流でしたが、現在はインターネットを通じたサービスが一般的です。
ファームバンキングは、大量の振込データを一括処理できる点が特長であり、数百から数千件の取引が発生する企業の経理業務効率化に適しています。
ファームバンキングとインターネットバンキングの違い
ファームバンキングとインターネットバンキングは、どちらもオフィスから銀行取引ができるサービスですが、利用目的や対象ユーザー、セキュリティ環境に違いがあります。
ファームバンキングは、専用ソフトや専用回線を用いて銀行と企業システムを直接つなぐ、法人向けサービスです。複数の銀行にまたがるデータの一括処理が得意で、給与振込や総合振込を大量に行う企業や高いセキュリティを求める企業に向いています。企業側が専用の環境を整える必要がありますが、大量かつ高頻度の取引を効率的に処理できます。
インターネットバンキングは、インターネット経由で利用できる個人・法人共通のサービスです。導入コストが低く、場所を問わずアクセスできる点が特徴です。振込件数が少ない企業や、Webブラウザから簡単に処理したい個人や小規模事業者に適しています。
ファームバンキングを利用するメリット
ファームバンキングを導入することで、経理業務の効率化やコスト削減など、さまざまなメリットがあります。ファームバンキングを利用する主なメリットは、次のとおりです。
- 銀行に行く手間がなくなる
- 大量の振り込みを一括処理できる
- セキュリティリスクを抑えられる
- 経理ソフトと連携しやすい
- 振込手数料が割安になる場合がある
銀行に行く手間がなくなる
振り込み・振替・残高照会などの取引を、オフィスのPCから完結できるため、銀行への移動時間や窓口・ATMでの待ち時間がなくなります。担当者は、その分の時間をほかの業務に充てられます。
月末や月初などの繁忙期に大量の振込処理が集中しても、外出せずにスムーズに対応できるのは大きなメリットです。
大量の振り込みを一括処理できる
給与や仕入代金など、数百から数千件にのぼる振込データを一括で処理できるため、振込依頼書の手書きや個別入力の手間がなくなります。業務量が多い企業ほど、処理時間の短縮効果を実感しやすいでしょう。
一括データ処理によって、手書きや個別入力で生じやすい入力ミス・桁間違いなどのリスクも低減できます。金額の誤送金などの重大なトラブルを未然に防ぐためにも、有効な手段です。
セキュリティリスクを抑えられる
不特定多数がアクセスできる一般的なインターネットとは異なり、インターネットから切り離された専用回線や社内の専用端末を利用することで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを抑えやすくなります。金融取引のセキュリティを重視する企業に適しています。
また、担当者ごとにアクセス権限やパスワードを設定できるため、社内の不正利用対策としても効果的です。機密性の高い経理データを扱ううえで、適切な管理体制を整えやすいでしょう。
経理ソフトと連携しやすい
会計ソフトや給与ソフトから出力したFBデータ(全銀フォーマット)を、そのままファームバンキングに取り込むことで、仕訳や帳簿への反映を自動化しやすくなります。手入力の工程を減らせるため、経理担当者の作業負担が軽減されます。
freee会計などの会計ソフトとの連携によって、振込処理から帳簿反映までのスムーズな運用が可能です。手入力による誤送金防止にもつながるため、正確性の向上も期待できます。
振込手数料が割安になる場合がある
ファームバンキング向けの手数料プランを設けている金融機関もあり、月々の振込件数が多い企業は窓口やATMを利用するよりも、トータルコストを抑えられる可能性があります。
ただし、手数料体系は金融機関によって異なるため、利用を検討する際は取引先の銀行に詳細を確認することをおすすめします。振込件数や取引規模をもとに、費用対効果を試算してから判断するとよいでしょう。
ファームバンキングを利用するデメリット
ファームバンキングはさまざまなメリットがある一方で、導入前に把握しておくべきデメリットもあります。コスト面や運用面での注意点を事前に理解したうえで、自社に合ったサービスかどうかを判断することが大切です。
コスト負担が大きい
専用端末やソフトウェア、専用回線の導入には初期費用がかかります。さらに、月額利用料・専用回線利用料・メンテナンス費用などのランニングコストも発生するため、中小企業にとっては負担が大きくなるケースがあります。
導入前にはコストを試算し、費用対効果を検討することが大切です。振込件数が少ない企業や規模の小さい事業者の場合、インターネットバンキングのほうがコスト面で有利になることもあります。
リモートワークに対応しにくい
ファームバンキングは専用端末・専用回線からの利用を前提としているため、自宅や外出先から柔軟にアクセスしにくくなっています。テレワーク中心の働き方を採用している企業にとっては、運用面での柔軟性に欠ける場合があります。
リモートワーク環境を重視するなら、インターネットバンキングや、クラウド会計ソフトとの連携を検討するほうがよいケースもあります。自社の働き方や業務体制を考慮に入れて、導入するかどうかを判断しましょう。
ファームバンキングの利用手順
ファームバンキングを利用する際の主な手順は、次のとおりです。
- 取引のある金融機関にファームバンキングの利用を申し込む
- ファームバンキング専用ソフトや通信環境を準備する
- 初期設定とテストを実施する
各手順の内容を事前に把握しておくことで、スムーズに導入を進められるでしょう。
1. 取引のある金融機関にファームバンキングの利用を申し込む
まず、取引のある銀行・信用金庫などの金融機関に連絡し、ファームバンキングサービスの利用を申し込みます。その際、総合振込・給与振込・残高照会など、利用したい機能と想定する取引量を伝えましょう。
申し込み後は、契約・審査の手続きが行われます。必要書類は金融機関によって異なるため、案内に沿って準備することが必要です。事前に問い合わせて必要書類を確認しておくと、スムーズに手続きを進められます。
2. ファームバンキング専用ソフトや通信環境を準備する
金融機関から指定される専用ソフトを社内のPCにインストールするか、銀行指定の専用端末を導入します。また、インターネットまたは専用回線など、利用するサービスに対応した通信環境を整えることが必要です。
利用するソフトや機器の仕様によっては、社内のITインフラの見直しが必要になるケースもあります。システム担当者や外部のIT支援業者と連携しながら、環境を整えましょう。
3. 初期設定とテストを実施する
通信環境が整ったら、振込元口座の登録や取引先(振込先)のマスター登録を行います。利用口座・取引先口座(得意先・仕入先・従業員など)・担当者ごとの権限やパスワードなども、このタイミングで設定します。
その後、金融機関と連携して通信テストを実施し、正常にデータ送信が行われるかを確認しましょう。テストで問題がなければ、実際の運用開始へと移れます。本番運用前にテストを十分に行い、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
まとめ
ファームバンキングは、企業のシステムと銀行を直接つなぐことで、給与振込や総合振込などの大量処理を効率化できる法人向けサービスです。経理業務の負担軽減やセキュリティ確保などのメリットがある一方、導入コストやリモートワークへの対応しにくさなどのデメリットもあります。
自社の取引規模や働き方、コストを総合的に検討したうえで、ファームバンキングの導入を判断することが大切です。
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よくある質問
ファームバンキングのメリットは?
ファームバンキングを導入することで、企業の資金管理や振込業務を効率的に行えるようになります。ファームバンキングを利用する主なメリットは、次のとおりです。
- 銀行に行く手間がなくなる
- 大量の振り込みを一括処理できる
- セキュリティリスクを抑えられる
- 経理ソフトと連携しやすい
- 振込手数料が割安になる場合がある
詳しくは、記事内「ファームバンキングを利用するメリット」をご覧ください。
ファームバンキングのデメリットは?
ファームバンキングは利便性や安全性が高い反面、導入や運用にかかるコスト負担が大きくなるリスクがあります。専用端末や専用ソフト、回線の導入費用だけでなく、月額利用料やメンテナンス費用などのランニングコストも発生します。
また、専用端末や専用回線からの利用を前提としているケースが多く、オフィス以外の場所からのアクセスが難しく、リモートワークやテレワーク環境には対応しにくい点が課題のひとつです。
詳しくは、記事内「ファームバンキングを利用するデメリット」をご覧ください。
監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)
2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。
