会計の基礎知識

営業外費用とは?特別損失との違い、具体的な勘定科目、仕訳例を解説

監修 橋爪 祐典 税理士

営業外費用とは、企業の本業以外で継続的に発生する費用のことです。銀行からの借入利息や為替差損など、財務活動に起因するものが代表例として挙げられます。

営業外費用と似た言葉に「特別損失」がありますが、両者は明確に区別されます。営業外費用が毎期継続して発生する費用であるのに対し、特別損失は臨時・一時的に発生する損失です。

本記事では、営業外費用の概要や特別損失との違い、支払利息・売上割引・為替差損などの具体的な勘定科目と仕訳例、経常利益の計算方法を解説します。

目次

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営業外費用とは?

営業外費用とは、企業の本業(営業活動)以外の活動から、継続的・経常的に発生する費用のことです。

銀行からの借入に伴う支払利息や、外貨建て取引における為替差損など、主に企業の財務活動から生じる費用が該当します。これらの費用は毎期繰り返し発生する点が特徴です。

損益計算書(P/L)での位置づけとしては、営業利益の下に区分されます。営業利益に営業外収益を加算し、営業外費用を差し引くことで「経常利益」が算出されます。

営業外費用と特別損失の違い

営業外費用と特別損失の主な違いは、経常的に発生するかどうかです。

営業外費用は毎期継続して発生する費用であるのに対し、特別損失は災害や固定資産の売却など、臨時・一時的に生じる損失を指します。損益計算書上での使用方法も異なり、営業外費用は経常利益の算出に、特別損失は税引前当期純利益の算出に用いられます。

主な違いは下表のとおりです。

特徴営業外費用特別損失
発生の継続性経常的臨時・一時的
内容財務活動(利息)など災害、固定資産売却損など
利用ヶ所経常利益の算出時税引前当期純利益の算出時
主な勘定科目支払利息、社債利息、為替差損固定資産売却損/除却損、災害損失

営業外費用に該当する勘定科目と仕訳例

営業外費用に該当する主な勘定科目は、以下のとおりです。

  • 支払利息
  • 売上割引
  • 手形売却損
  • 有価証券売却損
  • 有価証券評価損
  • 為替差損
  • 雑損失

それぞれの定義や仕訳処理を正しく理解することで、決算書の読み方や日々の経理業務の精度が高まります。ここでは、代表的な7つの勘定科目と仕訳例を解説します。

支払利息

支払利息とは、銀行などの金融機関からの借入金や発行した社債に対して、事業資金の調達コストとして支払う利息のことです。

借入金の返済時には、元本の返済部分と利息の支払い部分を分けて仕訳しなければいけません。利息分は借方に「支払利息」として費用計上し、元本の返済分も借方に「借入金」として負債の減少を記録します。合計額は貸方の「普通預金」に記帳します。

【仕訳例】
銀行への借入金100万円の元本返済と利息3万円を普通預金から支払った場合

借方貸方
借入金1,000,000普通預金1,030,000
支払利息30,000

売上割引

売上割引とは、売掛金の決済期日よりも早く取引先から代金を回収する際に、早期入金の対価として代金の一部を免除することです。

早期回収によって企業の資金繰りが安定しやすくなるメリットがあります。会計上は、商品の値引きではなく、早期回収に伴う金融コストと位置づけられます。そのため、売上の減額としてではなく、営業外費用として処理される点が特徴です。

仕訳する際は、売上高を減らさずに、借方へ「売上割引」(費用の発生)を計上します。貸方の「売掛金」を取り崩し、実際の入金額を普通預金で受け取る形で記帳します。

【仕訳例】
売掛金100万円のうち、早期回収で1万円を割引し、残額99万円が普通預金に振り込まれた場合

借方貸方
普通預金990,000売掛金1,000,000
10,000売上割引

手形売却損

手形売却損とは、受取手形を満期日より前に銀行などで現金化(割引)した際、満期日までの利息相当額として額面から差し引かれる金額のことです。

手形を期日前に換金することでキャッシュフローを早められる一方、その分の割引料を損失として負担しなければいけません。割引料は、手形売却損として営業外費用に計上されます。

仕訳では、借方に「手形売却損」(費用の発生)と「普通預金」(実際の入金額)を記載し、貸方に「受取手形」(資産の減少)を記帳します。

【仕訳例】
額面100万円の受取手形を銀行で割引し、割引料5万円が差し引かれて普通預金に95万円が入金された場合

借方貸方
普通預金950,000受取手形1,000,000
手形売却損50,000

有価証券売却損

有価証券売却損とは、売買目的で保有する株式や債券などを、帳簿価額(取得時の価格)よりも低い価格で売却した際に生じる損失のことです。

たとえば、600万円で取得した株式を500万円で売却した場合、差額の100万円が有価証券売却損として計上されます。仕訳では、売却して受け取った金額と損失額を借方に記載し、帳簿価額全額を貸方の「有価証券」から取り崩して処理します。

【仕訳例】
帳簿価額600万円の株式を500万円で売却した場合

借方貸方
現預金5,000,000有価証券6,000,000
有価証券売却損1,000,000

有価証券評価損

有価証券評価損とは、売買目的で保有する株式や債券などの時価が決算時に取得原価より著しく下落した場合、その差額を損失として処理する勘定科目です。

主に短期売買を目的とした「売買目的有価証券」の評価替えによって発生します。仕訳では、借方に「有価証券評価損」、貸方に「売買目的有価証券」を記帳しましょう。

なお、「その他有価証券」の評価替えによって生じた評価損は、営業外費用ではなく特別損失に区分される場合があります。有価証券の保有目的によって会計処理が異なるため、注意が必要です。

【仕訳例】
帳簿価額50万円の株式の期末時価が40万円(10万円の下落)だった場合

借方貸方
有価証券評価損100,000売買目的有価証券100,000

為替差損

為替差損とは、外貨建て取引において為替レートの変動によって、円換算での受取額が減少したり、支払額が増加したりする際に生じる損失のことです。

たとえば、1ドル=100円のときに売掛金として計上していた外貨建て債権を、円高(1ドル=90円)のタイミングで回収した場合、円換算額が下がった分だけ損失が発生します。外貨建ての債権(売掛金など)をもつ場合は円高で、外貨建ての債務(買掛金など)をもつ場合は円安で発生する傾向があります。

【仕訳例】
1ドル=100円のときに1万ドルの商品を売り上げ(売掛金100万円)、後日1ドル=90円になった際に回収(受取額90万円)した場合

借方貸方
普通預金900,000売掛金1,000,000
為替差損100,000

雑損失

雑損失とは、本業以外の取引や一時的な要因から生じた費用・損失のうち、金額が少額で他の勘定科目に当てはまらないものをまとめて処理する勘定科目です。

違約金、損害賠償金、原因不明の現金過不足などが主な該当例として挙げられます。仕訳では、原則として借方に「雑損失」を計上し、支出元となる資産(普通預金など)を貸方に記帳します。

【仕訳例】
製品の欠陥で顧客に損害を与え、損害賠償金100万円を普通預金から支払った場合

借方貸方
雑損失1,000,000普通預金1,000,000

営業外収益と営業外費用で経常利益を計算する

経常利益は、本業の利益である営業利益に営業外収益を加え、そこから営業外費用を差し引くことで算出されます。

【経常利益の計算方法】
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

営業外収益と営業外費用は、財務活動や本業以外の事業活動によって生じる収益・費用のことです。本業が赤字でも営業外収益で補っているケースや、借入が多く利息負担が重いケースなど、企業の実態はこの区分を見ることで把握できます。

経常利益は、一時的な要因を除いた通常の稼ぐ力を示す指標のため、企業の財務体質や持続的な収益力を総合的に評価する際に重視されます。

まとめ

営業外費用は、本業以外で継続的に発生する費用として、経常利益の算出に影響します。支払利息や為替差損など各勘定科目の性質と仕訳方法を正しく理解することは、正しい財務諸表の作成に必要です。

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よくある質問

営業外費用と特別損失の違いは何ですか?

営業外費用と特別損失の主な違いは、経常的に発生するかどうかです。

営業外費用は支払利息や為替差損など、本業以外で毎期継続して発生する費用です。一方、特別損失は固定資産売却損や災害損失など、臨時的・一過性であまり繰り返されない損害が該当します。

損益計算書上では、営業外費用は経常利益の算出に、特別損失は税引前当期純利益の算出に用いられます。

詳しくは、記事内「営業外費用と特別損失の違い」をご覧ください。

営業外費用の勘定科目の一覧は?

営業外費用は、企業の本業以外から継続的に発生する費用です。代表的な勘定科目は以下のとおりです。

勘定科目内容
支払利息借入金や社債などに対して支払う利息を処理する勘定科目
売上割引売掛金などを早期回収した際に代金の一部を免除した金額を処理する勘定科目
手形売却損受取手形を期日前に銀行へ割り引いて現金化した際に生じる差額損を処理する勘定科目
有価証券売却損株式や債券などを帳簿価額より低い価格で売却した際の損失を処理する勘定科目
有価証券評価損保有する有価証券の時価が著しく下落した場合に計上する評価上の損失を処理する勘定科目
為替差損外貨建て取引で為替レートの変動によって発生した損失を処理する勘定科目
雑損失他の営業外費用科目に該当しない少額・臨時的な損失をまとめて処理する勘定科目

詳しくは、記事内「営業外費用に該当する勘定科目と仕訳例」をご覧ください。

監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)

2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。

監修者 橋爪 祐典

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