会計の基礎知識

意思決定のための会計とは

意思決定のための会計とは

 企業の管理会計は内部での業績把握のためだけにあるのではなく、日々決定を迫られる様々な問題に対し、最善の選択ができるよう助ける役割もあります。
意思決定のための会計について、その手続きや評価の方法についても説明します。

目次

freee会計で日々の経理業務をかんたん・ラクに

freee会計では決算書や帳簿作成はもちろん、日々の入出金管理から経営状況の把握まで効率的に行うことができます。

*1 シミラーウェブ、ローカルフォリオ(2019年10月)
*2 2021年12月末時点の有料課金ユーザー数(個人事業主を含む)

意思決定のための会計とは

 意思決定のための会計とは特定の会計処理方法を指すのではなく、管理会計が担っているおもな役割の一面を指しています。

 意思決定会計とは、将来行なうであろう取り組みや変更(設備を新調するか・商品やサービスを変更または追加するか・拠点を増やすかなど)について、経営者や管理者が決定を下すために必要となる情報を用意するための会計を指します。戦略管理会計とも呼ばれます。

 管理会計とは、決められた時点での自社の経営成績や財務状況を集計し、その数値を経営方針や戦略に生かすための会計です。その情報はもっぱら、経営者や管理者など企業の内部の人間が活用するために使用されます。
決算書などを作成する財務会計は企業外部に対する報告が趣旨となるため、管理会計とは別のものです。

管理会計の実施は任意となっています。法定のルールもありません。しかし管理会計は、大なり小なり毎日行うことになる決定事項を適切に決定していく上で欠かせません。

特に、環境変化のスピードが速く臨機応変な意思決定が常に必要となる中小企業において、管理会計はなくてはならないものと言えるでしょう。

 管理会計を実施せず、経験則や感覚に頼るような経営を続けた結果、気が付いた時にはどうにも巻き返せない状況にまで陥ってしまい倒産、というパターンは中小企業にありがちなものとなっています。

意思決定の手続き・意思決定の種類

 意思決定が採決されるまでのプロセスは、おおむね以下のような流れになります。

  1. 問題の確認
  2. 問題を解決するための代替案を挙げる
  3. 挙げられた代替案の数量化を行う
  4. 諸代替案の比較検討、および最も有力な代替案の選定
  5. 数量化できない要素を考慮する
  6. 担当経営管理者による採決

 企業の意思決定には、重要度別に次の3種類があります。

1.業務的意思決定(戦術的意思決定)

 比較的重要度は低く、日々の業務の中で頻繁に直面する意思決定です。
日々における業務の進め方の決定や現場の従業員の管理などにまつわる決定を行います。日常的に繰り返されるレベルの決定事項が多く、現場のグループリーダーや、部門ごとの責任者などが行うことが多くなります。

2.管理的意思決定

 業務的意思決定よりも重要度は増します。おもに部長・課長など中間管理者が担当する決定で、戦略的意思決定に基づいた業務遂行の過程を管理する意思決定です。
社内の基礎的な戦略に従い、自分が管理する部門においてその戦略を実現させるために業務内容やスケジュール、人材の配置などを決定し管理します。

3.戦略的意思決定(構造的意思決定)

 企業の将来の経営方針や財務状況に大きく影響する、非常に重要度の高い意思決定です。経営者や役員が決定に関わります。

 新しい支店や工場を設置するか、海外へ進出するか、企業合併に合意するかなど、将来の企業の状態を左右する非常に重大な決定を行います。同じ決定が繰り返されることはほぼないため、参考にできるような情報は極めて少ないと言えます。そのため関係する要素を熟考し、慎重な決定を下す必要があります。
 良い決定を行えば企業を大きな成功や安定へ導くことができますが、失敗すると企業の存続さえ危うくするような事態にもなりかねます。

 このような決定は、管理会計の情報をもとに決定されるべきです。
 財務会計によって作成された決算書などの書類は、意思決定において有効ではありません。決算書に記載されているのは金額のみであり、数量の表示がないからです。

 将来に与える影響を考察する意思決定において、かかる費用を固定費と変動費に分割して予想することは必要不可欠です。決算書のみを見て、売上高がこれだけあるから・純資産がこれだけあるから新しい設備を入れる費用も賄えるだろう、という決定の仕方では大誤算となる可能性があります。

差額収益分析による意思決定における概念

 意思決定のために用いられる手順のひとつに、差額収益分析があります。
差額収益分析における基本的な概念には、「差額収益」「差額原価」「埋没原価」という3つの概念があります。的確な意思決定のためには、この3つをよく理解しておく必要があります。

1.差額収益・差額原価(差額費用)

 差額収益は、ある代替案を採用した場合に得られる収益と、他の代替案を採用した場合に得られる収益との差額を表します。

差額原価は、ある代替案を採用した場合に発生する原価(費用)と、他の代替案を採用した場合に発生する原価(費用)との差額を表します。

2.埋没原価

 いずれの代替案を採用した場合においても変化が生じない、支出を伴わない原価(費用)を表します。
すでに支出した投資額など、将来に影響しない費用が埋没原価に該当します。

まとめ

 管理会計のおもな役割は業績管理に加え、意思決定に役立つ情報を提供することです。 意思決定には、重要度が低い業務的意思決定と、中間管理者による管理的意思決定、企業の未来を大きく左右する戦略的意思決定があります。
日々最良の決定を重ねていくことが、企業の繁栄に不可欠な要素となります。

freeeでビジネスの成長と効率化を促進

統合型クラウド会計ソフトのfreeeは、日々の業務で蓄積された財務・経営データを自動で分析・集約し「経営の意思決定に必要なデータ」をリアルタイムで出力できる経営管理ツールです。

クラウド会計ソフト freee会計

こんな企業様におすすめ

  • 予算と実績のズレをなくしたい
  • 経営の意思決定に財務データを生かしたい
  • 各部門から月次決算資料を集めるのに時間がかかる
  • 管理会計がなかなか機能せずに悩んでいる
  • 部門やプロジェクト、社員ごとなど多面的に予実の分析がしたい

freee会計で実現できること

freeeなら経理業務の自動化を促進し、時間もコストも削減できます。お金の動きの見える化を実現し、適切な経営判断がしやすくなります。

  • ペーパーレス経理
    紙業務が多い業務をすべてオンライン化し、ミスの元になる転記等の手作業での業務自体をなくすことがで、大幅な工数削減を可能にします。
  • 複雑な経理をかんたんに
    複雑で属人化しやすい経理業務を、かんたんで誰もが使いやすいシステムに。法改正に対応した業務への移行もスムーズに行えます。
  • 経営データの可視化・リアルタイム化
    1つの統合データベースで管理しているから、売上利益など見たい数字をいつでもすぐに確認が可能に。ビジネスの見通しが立てやすくなります。

経理業務の改善にご興味のある方は、こちらのページから詳細をご確認いただけます。

freee会計で経理業務をかんたんに!

freee会計なら会計帳簿の作成はもちろん、初めてでも簡単に決算書や申告書も作成が可能です。

通帳と同期すれば転記作業もなく、入力ミスを大幅に削減できます。経理業務の効率化に、ぜひ一度お試しください。