監修 橋爪 祐典 税理士
特別損益とは、企業が通常の事業活動とは無関係に、その会計期間だけに臨時・偶発的に発生した利益と損失の総称です。特別利益と特別損失をまとめて「特別損益」と呼びます。
損益計算書では経常利益の次に記載され、当期純利益の計算に影響します。特別損益を把握することで、企業の本業における収益力を正確に見極められます。
本記事では、特別損益の概要や営業外損益との違い、代表的な勘定科目と仕訳例、分析時の注意点を解説します。
目次
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特別損益とは
特別損益とは、企業が通常行う事業活動とは関係なく、その期だけに特別かつ臨時的に発生した特別利益と特別損失の総称です。損益計算書では経常利益の次に記載され、当期純利益の算出に利用されます。
通常の事業活動から生じる経常利益と、臨時・偶発的な一過性の要因を切り分けて表示するのは、企業の継続的な収益力を明確化することが目的です。
災害による損害や固定資産の売却など、一過性の大きな損益が該当します。会社の本来の稼ぐ力を分析する際は、特別損益を除外して考える必要があります。
特別損益と営業外損益の違い
特別損益と営業外損益は、どちらも本業(営業活動)とは直接関係しない損益ですが、発生の継続性と臨時性という点で異なります。
特別損益と営業外損益の主な違いは、以下のとおりです。
| 項目 | 特別損益 | 営業外損益 |
|---|---|---|
| 発生頻度 | 臨時的・一過性 | 経常的・継続的 |
| 内容 | 災害、固定資産売却、リストラなど | 財務活動(利息)、副業など |
| 計算の位置 | 経常利益の次(当期純利益の構成) | 営業利益の次(経常利益の構成) |
| 具体例 | 災害損失、減損損失 | 受取利息、支払利息、配当金、為替差損 |
営業外損益は、本業とは直接関係しないものの、会社を経営するうえで継続的・反復的に発生する損益です。受取利息や支払利息、配当金収入などが代表例として挙げられます。一方、特別損益は通常ではあまり発生しない、その期限りの偶発的・臨時的な損益が該当します。
特別損失の具体例
特別損失とは、通常の営業活動以外で、臨時・一時的に発生した多額の損失のことです。損益計算書では経常利益の次に記載されます。
特別損失に該当する代表例は、以下のとおりです。
| 特別損失 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産売却損・除却損 | ・建物や機械などを売却・廃棄した際に生じる ・帳簿価額よりも低価格での売却や廃棄処分をした場合に計上する |
| 減損損失 | ・固定資産の価値を見直した際に発生 ・資産から得られる価値が帳簿価額を下回ると判断された場合に計上する |
| 災害損失 | ・自然災害で資産が損傷・滅失した際に発生する ・事前に予測できない偶発的な事象のため、特別損失に分類される |
| 投資有価証券売却損 | ・長期保有している株式や債券などを帳簿価額を下回る価格で売却した際に生じる損失 |
| 前期損益修正損 | ・前期以前の会計処理ミスや計上漏れを修正し、損失が生じた際に計上する |
| 構造改革費用 | ・リストラ、事業再編、拠点閉鎖などに伴って発生する ・退職金の割増支給や、工場・店舗の撤去費用などを含む |
特別利益の具体例
特別利益とは、企業が通常の営業活動とは別に、臨時的・偶発的に得た多額の利益のことです。損益計算書では、本業で稼いだ経常利益には含まれず、特別損益の部に記載されます。
特別利益の代表例は、以下のとおりです。
| 特別利益 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産売却益 | ・会社の固定資産を帳簿価額を上回る金額で売却した際に生じる ・事業縮小や資産の入れ替えを行った際に計上する |
| 投資有価証券売却益 | ・長期間保有している株式や社債などの有価証券を帳簿価額を超える価格で売却した際に計上する ・株価の上昇局面で売却した場合などに発生する |
| 前期損益修正益 | ・前期以前の会計処理ミスや計上漏れを修正し、利益が生じた際に計上する ・過去の誤りを当期に訂正する際に用いられる勘定科目 |
特別損益に区分される主な勘定科目
特別損益に区分される勘定科目は、発生頻度が低く臨時的なものに限られます。実務でよく使われる主な勘定科目は、下表のとおりです。
| 勘定科目 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産売却益(※) 固定資産売却損 | 土地や建物などの固定資産を売却した際の損益 |
| 投資有価証券売却益 投資有価証券売却損 | 投資目的の株式などの有価証券を売却した損益 |
| 前期損益修正益 前期損益修正損 | 前期以前の会計期間に生じた損益の修正による損益 |
| 保険差益 | 災害や事故で受け取った保険金が、実際の損失額を上回った際に発生する利益 |
| 災害損失 | 地震・台風・火災などの災害によって資産が損傷・滅失した際に発生する損失 |
(※)固定資産売却損益が特別損益に分類されるかどうかは、企業の事業内容や取引などの性質によって異なる場合があります
なお、特別損益に分類されるかどうかの判断は、金額の重要性と臨時性の両方を満たすかどうかが基準となります。毎期継続して発生する損益は、本業外の取引でも営業外損益として計上するのが適切です。
特別損益の仕訳例
特別損益の会計処理は、固定資産の売却などを例に考えると理解しやすくなります。ここでは、特別損失と特別利益それぞれの代表的な仕訳例を紹介します。
【固定資産売却損の仕訳例】
帳簿価額60万円(取得原価100万円 − 減価償却累計額40万円)の機械を40万円で売却し、現金で受け取った場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 400,000 | 機械装置 | 1,000,000 |
| 減価償却累計額 | 400,000 | ||
| 固定資産売却損 | 200,000 | ||
帳簿価額60万円の機械を40万円で売却しているため、差額の20万円が固定資産売却損として特別損失に計上されます。
【固定資産売却益の仕訳例】
土地(帳簿価額1,000万円)を1,500万円で売却した場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現預金 | 15,000,000 | 土地 | 10,000,000 |
| 固定資産売却益 | 5,000,000 | ||
帳簿価額1,000万円の土地を1,500万円で売却したため、差額の500万円が固定資産売却益として特別利益に計上されます。
特別損益を分析する際の注意点
特別損益を含む財務諸表を分析する際は、その金額が本当に一時的なものかを見極めることが重要です。
特別損益は臨時的・例外的な取引によって発生する項目です。ただし、実際には毎期のように計上されているケースもあり、その場合は一時的な要因ではなく、経営上の課題が続いている可能性があります。たとえば、減損損失やリストラ費用(構造改革費用)が繰り返し発生している場合、資産価値の下落や事業再編の長期化など、根本的な経営改善が進んでいないことも考えられます。
また、営業損益が赤字でも、固定資産の売却などによる特別利益で当期純利益が黒字に見えることもあるため、企業の本業の収益力を判断する際は、営業利益や経常利益を重視することが大切です。
さらに、特別損益が発生した際は、どのような取引や事象によって生じたのか、その背景や原因を社内で把握しておきましょう。発生原因を明確にしておくことで、今後の経営判断や予算計画にも活かしやすくなります。特別損益はあくまで一過性の要因として捉え、本業の収益力とは切り分けて管理・評価することが必要です。
まとめ
特別損益とは、企業が通常の事業活動とは無関係に、その会計期間限りで発生した臨時・偶発的な損益の総称です。特別利益と特別損失に分類され、損益計算書では経常利益の次に記載されます。
営業外損益との主な違いは発生の継続性にあり、営業外損益は経常的・反復的に発生するのに対し、特別損益は一時的・非反復的な点が特徴です。主な勘定科目には、固定資産売却益・損、投資有価証券売却益・損、減損損失、災害損失などが挙げられます。
財務分析を行う際は、特別損益の発生が本当に一時的かどうかを確認し、本業の収益力は営業利益や経常利益で評価することが重要です。特別損益の内容を正しく理解することで、企業の財務状況をより正確に把握できます。
特別損益を含む仕訳処理は、勘定科目の判断が複雑になりやすく、正確に会計処理しなければいけません。freee会計を活用すると、固定資産売却損益などの仕訳入力をスムーズに行えます。特別損益をはじめとした日々の会計業務を効率化したい方は、ぜひ一度お試しください。
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よくある質問
特別損失の代表例は?
特別損失の代表例は以下のとおりです。
- 固定資産売却損
- 固定資産除却損
- 減損損失
- 災害損失
- 投資有価証券売却損
- 前期損益修正損
- 構造改革費用
なお、特別損失に該当するのは、金額が多額で臨時的なものに限られます。毎期発生する経常的な費用は、金額が大きくても特別損失には分類されません。
詳しくは、記事内「特別損失の具体例」をご覧ください。
特別損益と営業外損益にはどのような違いがある?
特別損益と営業外損益の主な違いは、発生の継続性にあります。営業外損益は、財務活動など本業以外で継続的に生じる損益です。受取利息・支払利息・為替差損益などが代表例として挙げられます。
一方、特別損益は災害や資産売却など、一時的・非反復的に発生する損益です。損益計算書の記載位置も異なり、営業外損益は経常利益の計算に使用され、特別損益は当期純利益の計算に影響します。
詳しくは、記事内「特別損益と営業外損益の違い」をご覧ください。
監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)
2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。
