会計の基礎知識

印鑑証明を取得したときの勘定科目とは?仕訳を行う際の注意点も解説

最終更新日:2023/09/22

監修 椎名 潤 椎名公認会計士事務所

印鑑証明を取得したときの勘定科目とは?仕訳を行う際の注意点も解説

印鑑証明とは、会社設立や賃貸借契約、不動産購入など、金額の大きい重要な契約や取引において取得が必要となる証明書です。

印鑑証明を取得したときの会計処理では消費税の取り扱いや複数の勘定科目からの選択など、いくつもの注意点が存在します。

本記事では、印鑑証明の取得にかかる仕訳の勘定科目や、仕訳時の注意点などについて解説します。

目次

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印鑑登録と印鑑証明とは

印鑑登録とは、印鑑に対して法人名・氏名・住所などの情報を紐付けて自治体に登録することです。ここで自治体に登録された印鑑は「実印」と呼ばれます。

これに対し印鑑証明とは、法人または個人が使用する印鑑と、自治体に登録された実印が同一であると証明することです。この印鑑証明の情報が記された書面を「印鑑証明書」といいます。

印鑑証明書と印鑑登録証の違い

「印鑑証明書(印鑑登録証明書)」と「印鑑登録証」は似たような名前ですが、下表のような違いがあります。


証書名印鑑証明書
(印鑑登録証明書)
印鑑登録証
内容法人または個人が使用する印鑑が、印鑑登録された(自治体に登録された)実印と同一であることを証明するための書類印鑑登録したことを確認するための証書
記載事項・印影(登録されている印鑑のもの)
・登録者情報(氏名、生年月日、住所、商号、本店所在地など)
・発行年月日
・印鑑登録を行った自治体の名称など
・登録番号
・印鑑登録を行った自治体の名称
形態A4サイズなどの紙面カード型が主流
使用場面規模の大きい契約を結ぶ際(会社設立、不動産購入など)印鑑証明書を発行する際

つまり印鑑登録を行った際に受け取り、印鑑証明書を発行する際に必要となるものが「印鑑登録証」で、印鑑登録の証明を行えるものが「印鑑証明書」ということです。



【関連記事】
印鑑登録証明書とは?押印廃止の対象でも必要なケースや発行方法について解説

印鑑証明書を取得したときに用いる勘定科目は3種類

印鑑証明書を取得したときの経理実務における仕訳の勘定科目は「租税公課」「支払手数料」「雑費」の3つがあります。

租税公課

「租税公課」は、国や地方自治体などに納付する税金や手数料を仕訳する場合に使われます。

租税公課として経費計上できるものには、事業税や固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などがあります。

支払手数料

「支払手数料」は、商品やサービスにかかる取引に付随して発生する費用や、専門家に対する報酬の支払い時に使用する勘定科目です。

支払手数料の勘定科目を用いた会計処理は「印鑑証明書を発行する法務局や自治体に対する発行手数料」という性質に着目した方法です。

雑費

「雑費」は、金額的に重要性が低い費用などについて簡便的に処理を行う際に用いる勘定科目です。印鑑証明書の取得費用は数百円程度であり、金額的な重要性は低いため「雑費」勘定を用いて処理しても問題ありません。

しかし一般的に「雑費」の勘定科目を用いた仕訳の内容は多岐にわたり、用途が不明の場合もあります。そのため、雑費として計上された件数が多すぎる場合は、税務調査時に内容を精査される可能性があるので注意が必要です。

印鑑証明書を取得したときの仕訳例

ここでは印鑑証明書を取得する際の4つの仕訳例を紹介します。印鑑証明書を仕訳するケースとしては、主に以下の4つが考えられます。

  • 収入印紙の購入後すぐに取得したとき
  • 会社で保有していた収入印紙を使用して取得するとき
  • 個人事業主が、インターネット上で収入印紙を取得したとき

仕訳①:収入印紙の購入後すぐに取得したときの仕訳

法務局の窓口で収入印紙を購入し、その場ですぐ印鑑証明書を取得した場合の仕訳は以下のとおりです。


借方貸方
(下記いずれか)
・租税公課
・支払手数料
・雑費
450円現金450円

法人が印鑑証明書を取得する際は、まず法務局で収入印紙を購入し、申請書に貼付して取得手続きを行います。

通常は、法務局の窓口で収入印紙を購入後すぐに使用することが想定されるので、購入と同時に費用処理するケースが一般的です。

仕訳②:会社で保管していた収入印紙を使用する場合

会社で保有していた収入印紙を使用して印鑑証明書を取得する場合は、以下のような仕訳で計上します。


借方貸方
(下記いずれか)
・租税公課
・支払手数料
・雑費
450円(下記いずれか)
・貯蔵品
・前払費用
450円

収入印紙の購入時は「貯蔵品」または「前払費用」などといった、資産にかかる勘定科目を用いて計上されます。収入印紙を購入したのみで印鑑証明書をまだ取得していない場合は、仕訳①のような費用処理はされません。

その後、印鑑証明書の取得時に実際に収入印紙を使用したタイミングで、上記仕訳のとおり「貯蔵品」または「前払費用」を取り崩し「租税公課」などの費用科目へ振り替えます。

仕訳③:インターネット上で取得した場合

近年主流となっている「印鑑証明書のオンライン(インターネット)取得」を行った場合、仕訳は以下のようになります。


借方貸方
(下記いずれか)
・租税公課
・支払手数料
・雑費
450円・預金450円

インターネット上で印鑑証明書を取得した場合、支払い方法は、銀行口座やネット口座からの引き落としが多いと考えられます。

この場合、貸方の勘定科目は「現金」ではなく「預金」の勘定科目を用いて仕訳処理されます。

仕訳④:コンビニエンスストアで取得した場合(個人事のみ)

個人に限り、マイナンバーカードを作成していれば、コンビニエンスストアのマルチコピー機で印鑑証明書を発行できます。その場合の仕訳は以下のとおりです。


借方貸方
(下記いずれか)
・租税公課
・支払手数料
・雑費
200円(下記いずれか)
・現金
・事業主借
200円

ここで使う貸方の「事業主借」は、個人事業主特有の勘定科目です。印鑑証明書の取得の際に、事業資金ではなく個人のプライベート資金を使用して収入印紙を購入した場合に「事業主借」の勘定科目が使用されます。

印鑑証明の取得を仕訳するときの注意点

ここでは、印鑑証明書の取得時に関する仕訳の注意点について解説します。主な注意点は、以下の3つです。

  • 印鑑証明書の取得は非課税取引
  • 勘定科目を統一しておく
  • 仕入税額控除の対象にならない

正しく会計処理を行うためにも、それぞれ理解しておきましょう。

印鑑証明書の取得は非課税取引

印鑑証明書の発行は、消費税法上で非課税取引に分類されます。

(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供

国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料


出典:国税庁「No.6201 非課税となる取引」

消費税法上で挙げられている「一定の事務」とは、登記や登録、証明などの事務を意味し、印鑑証明の発行はこの「一定の事務」に該当します。したがって会計処理上は、他の課税取引と明確に区分する必要があるのです。

ここで注意すべきは、会計ソフト上の消費税区分の設定です。印鑑証明書発行の仕訳にかかる勘定科目を「租税公課」により処理する場合、当勘定科目の消費税区分は通常「非課税取引」に設定されているため、特に問題は生じません。

一方「支払手数料」「雑費」により処理する場合、これら勘定科目は通常「課税取引」として設定されているケースが多いので、必要に応じて消費税区分を「非課税取引」に変更する必要があります。

勘定科目を統一しておく

記事内にて解説したとおり、印鑑証明書取得の際に使用可能な勘定科目は「租税公課」「支払手数料」「雑費」の3種類があります。

ただし、実務上印鑑証明書の取得にかかる会計処理において使用できる勘定科目はひとつのみであり、一度選択した勘定科目はその後も継続して使わなければなりません。これを「継続性の原則」といいます。

継続性の原則とは、簡単にいうと「一度決めた会計処理の方法は継続して使う必要があり、むやみやたらに変更してはならない」という決まりです。

取引の都度、勘定科目を使い分けた場合は、税務調査などの場面において「自社にとって都合のよいように使い分けている」などと、不正について疑われる恐れがあります。

仕入税額控除の対象にならない

会社が納付する消費税額は、基本的に以下の計算式により算定されます。

売上にかかる消費税 - 仕入にかかる消費税 = 支払う消費税

上に示した計算式のうち「仕入にかかる消費税」を差し引くことを「仕入税額控除」といいます。仕入税額控除が適用されると支払う消費税の金額が小さくなり、税負担を減らすことが可能です。

ところが、印鑑証明書の発行費用は「非課税取引」に該当するため「仕入税額控除」は適用されず、支払う消費税を減額できません。

印鑑証明書を取得できる場所

印鑑証明書を発行できる場所は、事業主が法人と個人の場合で異なります。

法人は法務局で取得

法人が印鑑証明書を取得する場合は、本店所在地を管轄する法務局で申請できます。法務局の窓口で直接申請するか、備え付けの証明書発行請求機を利用することで取得が可能です。

このほか郵送やオンライン申請による取得も可能です。なお、法人の場合はコンビニエンスストアでは印鑑証明書の取得ができないため気をつけましょう。

個人は市町村役場またはコンビニエンスストア

個人が印鑑証明書を取得する場合は、印鑑登録をしている市町村役場の窓口にて申請できます。

また法人と異なり、マイナンバーカードを作成している場合は、コンビニエンスストアでも取得可能です。役所の場合、窓口が開いている時間が限られるため、都合が合わないこともあるでしょう。

さらに、窓口まで足を運ぶこと自体が不便であることも考えられます。そのようなときはコンビニでの取得が便利です。

まとめ

印鑑証明の仕訳には勘定科目が複数あり、一度使った勘定科目をむやみに変更してはいけない点や消費税区分の取り扱いなど、実務上で注意するべきポイントがあります。

そのため、印鑑証明書の取得にかかる仕訳を適切に処理できるよう、注意点については経理マニュアルなどへあらかじめ明記し、全担当者へ情報共有しましょう。仕訳の決まりをきちんと定め、会計処理の誤りを減らすことが大切です。

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よくある質問

印鑑証明書とは?

印鑑証明書とは、法人または個人が使用する印鑑が、自治体に登録された実印と同一であることを証明する書類をいいます。

詳細は記事内「印鑑登録と印鑑証明とは」をご覧ください。

印鑑証明書を取得したときの勘定科目は?

印鑑証明書を取得したときに使用する仕訳の勘定科目は「租税公課」「支払手数料」「雑費」の3つがあります。

詳細は記事内の「印鑑証明書を取得したときに用いる勘定科目は3種類」をお読みください。

印鑑証明書を取得したときの仕訳方法は?

印鑑証明書を取得したときの仕訳方法は、収入印紙を購入して取得したとき、オンラインで取得したとき、コンビニエンスストアで取得したときなど、状況によってさまざまです。

詳しくは記事内「印鑑証明書を取得したときの仕訳例」で解説しています。

監修 椎名 潤

公認会計士試験合格後、大手監査法人へ入所し、一般事業会社向けの会計監査及び内部統制監査業務に従事。その後、国内コンサルティングファームにて、内部統制導入支援や経理決算常駐支援などのアドバイザリー業務に従事。 2023年より公認会計士として独立。

椎名 潤

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