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法人税申告書とは?申告書の書き方と納付方法を詳しく解説

公開日:2021/06/08
最終更新日:2021/07/08

監修 アトラス総合事務所

法人税申告書とは?申告書の書き方と納付方法を詳しく解説

法人事業で得た収益に課される「法人税」は、会社の定款で定めた決算日から2か月を期限として、納付額の根拠となる事実を客観的且つ正確に記載した「法人税申告書」を作成し、納付を行わなければなりません。

法人税申告書の提出には、正確な会計帳簿と、それに基づいて作成された決算書、科目明細書など、提出が必要な書類も多岐に渡るため、苦手意識を持たれている方も多いかと思われます。

本記事では、法人税申告書の書き方から、期限までに必要な書類の種類などについてまとめました。初めて申告を行う方など、法人税申告にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

目次

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法人税申告とは

法人税とは

そもそも「法人税」とは、株式会社や合同会社などの法人が、事業で得た各年度の所得に対して課される税金のことです。

法人税の申告と納税の対象

法人には、株式会社が該当する「普通法人」をはじめ、「協同組合」「人格のない社団」「公益法人」「公共法人」などがありますが、これらの全てに法人税の納税義務がある訳ではありません。

法人税が課されるのは、主に事業によって収益を生み出している法人に限定されます。「普通法人」や「協同組合」はこれに該当し、全ての所得に対して法人税が課税されます。

また、「人格のない社団」や「公益法人」は、収益事業がある場合の所得にのみ法人税が課され、「公共法人」には法人税の納税義務はありません。

法人の種類 法人税の納税義務 内容
普通法人 すべての所得に有り 株式会社、有限会社、合同会社、医療法人(社会医療法人は公益法人等)、企業組合、日本銀行などが該当。通常の営利法人のことを指す。
協同組合 すべての所得に有り 農業協同組合、漁業協同組合、信用金庫などが該当。共通の目的のために集った個人や中小企業の組合を指す。
人格のない社団 収益事業のある場合の所得にのみ有り PTA、管理組合、研究会、同窓会などが該当。多数の人や財産などが同じ目的のもとに集まっていながら、法人格がなく、代表者又は管理人の定めがある団体を指す。
公益法人 収益事業がある場合の所得にのみ有り

(※公益目的事業の所得は除く)

一定の社団法人、財団法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人などが該当。公益を目的としており、営利目的ではない法人を指す。
公益法人 無し 地方公共団体、金融公庫、国立大学法人、地方独立行政法人、日本中央競馬会、日本年金機構、日本放送協会などが該当。公共性のある目的を持った法人のことを指す。

法人税申告の申告期限

税金の納付は、税法によってそれぞれ納付期限が定められています。法人税の場合は、以下のように期限が定められています。

・申告期限及び納期限:事業年度終了の日の翌日から2か月以内

例えば、決算日が3月31日の法人企業である場合には、2か月後である5月31日が納付期限となります。ただし、申告期限・納付期限が、土曜日、日曜日、祝日等の場合は、その翌日が期限です。

この期限を過ぎても申告をしなかったり、申告期限を過ぎてから申告を行うと、「期限後申告」とみなされ「無申告加算税」や「重加算税」、「延滞税」などが課せられる場合があります。さらに納付期限までの納付を怠り滞納を続けると、財産の差押えなどの滞納処分を受ける場合があるため注意が必要です。

やむを得ない事情で納付ができない場合、法令の要件に該当すれば、上述した差押えや売却に対して猶予の期間を設けることができます。猶予を受けるためには、できるだけ早めに税務署に相談しましょう。

申告書(別表)の種類

法人税申告書は、「別表」と呼ばれる1~19の複数の書類で構成されています。法人税申告書である「別表一」以降については、納税額が適切であることを証明するための明細書になっており、付表と合わせるとその数は約100種類にもなります。

別表の種類

別表名 内容
別表一 各事業年度の所得に係る申告書
別表二 同族会社等の判定に関する明細書
別表三 特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書
別表四 所得の金額の計算に関する明細書
別表五 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
別表六 所得税額の控除に関する明細書
別表七 欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書
別表八 受取配当等の益金不算入に関する明細書
別表九 保険会社の契約者配当の損金算入に関する明細書
別表十 沖縄の認定法人の所得の特別控除に関する明細書
別表十一 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表十二 海外投資等損失準備金の損金算入に関する明細書
別表十三 国庫補助金等、工事負担金及び賦課金で取得した
固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書
別表十四 民事再生等評価換えによる資産の評価損益に関する明細書
別表十五 交際費等の損金算入に関する明細書
別表十六 旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表十七 国外支配株主等に係る負債の利子等の損金算入に関する明細書
別表十八 法人税法第七十一条第一項の規定による予定申告書
地方法人税法第十六条第一項の規定による予定申告書
別表十九 退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分

引用:国税庁「令和2年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和2年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)

ただし、この別表全てを必ず提出しないといけないわけではありません。「重要性が高く必ず提出が求められるもの」と「それほど重要でないないもの」、「ほとんど提出されることがないもの」があり、提出すべき書類は各法人の決算内容によって変わってきますので注意が必要です。

法人税申告書の書き方

法人税申告書はいくつもの別表で構成されその仕組みを理解して正しく作成するのは簡単なことではありません。ここでは、法人税申告書の書き方や必要な書類についてご紹介します。

必要な書類と用意するもの

法人税申告書を作成・提出するにあたって、通常提出が必要な添付書類として以下があります。

  • 決算報告書
  • 勘定科目内訳書
  • 事業概況書
  • 適用額明細書
法人税申告書を作成するために、正確な「会計帳簿」とそれに基づいて作成された「決算報告書」が必要となります。それは、法人税申告書の内容が会計帳簿や決算書から転記されるべき内容が多くあるためです。

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決算報告書の作成

年度のまとめとなる決算では、日々つけてきた帳簿のデータをもとに、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書などの書類を作成します。これら決算時に作成する必要がある書類は総称として、「決算報告書(決算書)」と呼ばれます。

決算報告書の作成にはそれぞれ以下の書類が最低でも必要となります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書

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近年では、申告ソフトを利用した申告書の作成が一般的となったため、ソフトからの指示に従い、多くの書類に混乱することなくスムーズに法人税申告書を作成できるようになりました。

法人税申告書の作成

法人税申告書は種類も多く、別表の内容も複雑です。まずは、どの法人でも必ず提出が必要となる以下の5つの別表について理解しましょう。

  • 別表一:各事業年度の所得に係る申告書
  • 別表二:同族会社等の判定に関する明細書
  • 別表四:所得の金額の計算に関する明細書
  • 別表五(一):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
  • 別表五(二):租税公課の納付状況等に関する明細書

基本的には、<別表四>や<別表五>などを優先して作成し、最後に<別表一>の申告書を作成し完成するイメージです。ただし、<別表四>を完成させるために、<別表六>以降の完成をさせる必要など、複数の工程があります。

法人税申告書を作成する手順は、以下の通りです。

①別表六以降を完成させ内容を別表四にまとめる

所得の金額の計算に関する明細書

画像引用:国税庁「別表四 | 所得の金額の計算に関する明細書

最初に、会計上の利益と税務上の所得との金額の差に関する情報や、税務上の特例に関する情報を整理するために、減価償却費や交際費、繰延資産といったそれぞれ個別の事項に関する計算書である別表六以降の表を作成します。

<別表六以降>の表が完成した後、作成された表を、会計上の利益と税務上の所得について調整を行ったことを記載する書類である<別表四>の各項目にまとめます。

②別表七への記載を行う

欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書

画像引用:国税庁「別表七(一) | 欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書

次に「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」である<別表七>を記載します。これは、過去と現在の損失についての処理を行うことが目的です。

過去の損失を当期の利益と相殺する場合に記載する必要があります。また、当期よりも前に損失が発生していて、青色申告の適用を受けているか、もしくは災害損失であった場合は、翌期に繰り越して将来の利益との相殺を行う旨を記載する必要があります。

同時に、<別表七>にて過去の欠損金と当期の利益を相殺した場合には、①にて記載した別表四で調整する必要があるので留意しておきましょう。

③別表五(一)記載後に法人税確定のため別表一を記載

次に、<別表四>にて記載した、会計と税務の内容の違いとして調整されたものから、将来解消されるものについて記載すべきものがあれば「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」である<別表五(一)>を記載します。

その後、これまで記載してきた別表の内容を集約して<別表一>へ記載します。これに伴い、法人税や地方税などの各税額を計算し、確定した後に申告書を作成します。

④別表五(一)と別表五(二)に税額を記載

これまで作成してきた別表にて計算して確定させた税額を、<別表五(一)>、<別表五(二)>にある税金の欄に記載します。

⑤別表二に株主構成を記載

最後に、特定同族会社かどうかを判定するために「同族会社等の判定に関する明細書」である<別表二>に記載します。

法人税における税務調整

法人税における税務調整では、費用と収益のことを「損金」と「益金」と区別して表現し、会計上の利益を所得金額へと調整する手続きが必要となります。

調整の考えは、以下の4つに分かれています。

  • 加算調整
    • ・益金算入:会計上の収益ではないが、益金となるものを加算
    • ・損金不算入:会計上の費用だが、損金とならないものを加算
  • 減算調整
    • ・益金不算入:会計上の収益だが、益金とならないものを減算
    • ・損金算入:会計上の費用ではないが、損金となるものを減算

法人税の所得金額の計算方法

法人税は、各事業年度の所得に法人税の税率を乗じて算出します。法人税の対象となる課税所得は、企業会計上の利益である「収益-費用」ではなく、税法上の所得金額である「益金 - 損金」の金額を指します。

益金・損金とは、法人税法に定められた各事業年度の会計上の収益と費用を調整したものです。

具体的には、損益計算書に記載されている当期純利益に一定の調整(税務調整)を加え、法人税の申告書の<別表四>を用いて所得金額を算出します。

<計算式>
当期純利益(会計上の利益) + 加算調整 - 減算調整 = 課税所得

理解できない部分やわからないところは、税務署にいくと書き方を担当者が丁寧に教えてくれるので、自身で作成することが難しければ頼ってみることをおすすめします。

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提出する方法

法人税申告書の提出方法は、以下の3つとなります。

  1. 税務署に直接持参して提出
  2. 郵送による提出
  3. Webから電子データの提出
一番確実な方法は、管轄の税務署に直接申告書を持参する方法です。申告時に、担当者から提出書類の不備に対して、指摘が入ることも大きなメリットのひとつと言えるでしょう。

しかしながら、昨今の新型コロナウイルスの状況を鑑みると、なかなか直接が難しいという方もいると思います。その場合は、郵送や電子申告での提出がおすすめです。

郵送の場合は、申告書が税務署に届いた日付が申告書の提出日となります。郵便または信書便で郵送をすることによって、消印日付を申告書の提出日とすることができるので、期限ぎりぎりに提出する場合などのために覚えておきましょう。

電子データによる提出は、事前に市区町村等での電子証明書の発行とICカードリーダーの購入が必要となるため、手間や購入費が発生してしまうため注意が必要です。

納税する方法

納税の方法はいくつか種類があります。自身に都合の良い方法で期限内に納付をするようにしましょう。

  • 本店所在地を所轄する税務署に直接納税
  • 金融機関の窓口
  • クレジットカード
  • コンビニ
  • 電子納税システム(e-Tax)
電子納税システム(e-Tax)の場合は、申告の時と同じように、電子証明書とICカードリーダー、電子証明取得ソフトなどの事前の準備が必要なため覚えておきましょう。

法人税の税率

法人税の税率については、冒頭でご紹介した法人の種類や開始事業年度によって異なります。

資本金1億円以下の普通法人に課される法人税の税率は以下のとおりです。

課税される所得金額 税率
(開始事業年度:平成31年4月1日以降)
800万円以下 15%
800万円超 23.2%

その他、詳しい区分や税率を知りたい方は国税庁「No.5759 法人税の税率」を参考にしてください。

また、法人税額の計算式は以下の通りです。

・法人税額=課税所得×法人税率-控除額

法人税における税率には、法人税、住民税および事業税の所得に対する税率を合計したものである実効税率が使われます。

赤字が出たときの法人税について

法人は年に一度、決算期に法人税の申告をすることが義務付けられています。法人税の申告と一括りにされることが多いですが、実際には、法人税、地方法人税、都道府県民税(住民税)、事業税、特別法人事業税などを同時に申告することになっています。

これらの税金の多くは、法人の所得などに応じた税率をかけて計算されます。しかし、県民税や市町村民税(住民税)には「均等割」というものがあり、所得に関係なく、資本金等や従業員の数に応じて課されます。

つまり、赤字であっても、均等割の対象となるのです。資本金等や従業員の数によって異なりますが、最低でも年間7万円(資本金等が1,000万円以下、従業員数が50人以下、東京都の場合)です。

また、資本金1億円超の法人には外形標準課税が適用され、事業税の一部は付加価値や資本金等など、所得以外の要素をもとに計算されます。付加価値とは、所得に人件費と家賃を加えたものです。

人件費を支払った結果、赤字になった場合は、付加価値がプラスになり、付加価値割を支払わなければなりません。資本金等に税率を掛けているので、資本割が必ず発生する。このように、外形標準課税の対象となる法人であれば、赤字であっても事業税が課されます。

参考:東京都主税局「均等割の税率表

その他、法人にかかる税金

ここまで、主に法人が納めるべき国税である法人税についてご紹介してきました。しかし、法人が納付しなければならない税金は他にも存在します。

大まかに以下の種類の税金の納付義務があります。

税の種類 内容
法人税 法人が得た利益に対してかかる税金
地方法人税 会社が事業を行うことによって得た所得に対して課される税金
法人住民税 法人が地方公共団体に支払う税金
法人事業税 法人が事業を行う上で利用している道路や港湾、消防、警察などさまざまな公共サービスや施設について、経費の一部を負担する目的で課される税金
消費税 事業者が販売する商品やサービスなどに対して公平に課される税金
事業所税 東京都23区や人口30万人以上の都市、政令指定都市に該当する地方公共団体において一定規模以上の事業所を営む個人や法人に課される税金
印紙税 課税物件に該当する一定の文書に対して課される税金
固定資産税 所有している固定資産に課される税金
償却資産税 固定資産税のうち、土地・家屋以外の償却資産に課される税金
源泉所得税 法人が給与や報酬を支払う際に、源泉から徴収し、本人に代わって国に納付する所得税

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