会計の基礎知識

仕訳帳をエクセルで簡単に作成する方法とは?複式簿記の書き方も解説

監修 好川 寛 プロゴ税理士事務所

仕訳帳をエクセルで簡単に作成する方法とは?複式簿記の書き方も解説

仕訳帳とは、会社のお金の動きを細かく記録する帳簿のことで、会社の決算書を作成する際に欠かせない「主要簿」の1つです。

記帳は、取引の内容を「借方」と「貸方」に分けて適切な勘定科目に仕訳する、複式簿記で行います。仕訳帳への記帳は細かい作業で手間もかかりますが、貸借対照表や損益計算書の作成の元となるため、正確な数値で記帳することが重要です。

本記事では、仕訳帳をエクセルで作成する方法について解説します。

なお、仕訳帳の概要や書き方、保存期間について詳しくは別記事「仕訳帳とは?総勘定元帳との違いや書き方の具体例を解説」をご参照ください。

目次

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仕訳帳は複式簿記で記帳する

取引内容を「借方」と「貸方」に分類し、勘定科目に仕訳する帳簿づけのことを、複式簿記(ふくしきぼき)といいます。仕訳帳は、日付順にこの複式簿記で記帳していきます。

たとえば、パソコン販売店がパソコンを販売して現金を受け取った場合、この取引は「パソコンを販売した」という原因と「販売したことによって現金が増えた」という結果に切り分けることができます。この原因と結果を左右に分けて記録するというのが、複式簿記のイメージです。

複式簿記による記帳はエクセルでも行うことができ、この方法でも青色申告に対応可能です。

複式簿記での記帳は、青色申告で最大65万円の特別控除を受けるための要件のひとつです(令和8年分までの取扱い。令和9年分以後は最大75万円に改正され、書面申告の55万円区分は廃止されます)。

そのため「会計ソフトを導入する前に、まずはエクセルで複式簿記に挑戦したい」という個人事業主の方も少なくありません。エクセルであれば、日付・勘定科目・金額・摘要といった項目を表形式で並べ、関数で借方と貸方の合計を自動チェックできるため、複式簿記のルールを守りながら仕訳帳を作成できます。

ただし、仕訳帳だけでは青色申告は完結せず、総勘定元帳や試算表、決算書まで作成する必要があります。取引量が増えるほど転記・集計は煩雑になりやすいため、規模に応じて会計ソフトの活用も検討するとよいでしょう。


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仕訳帳をエクセルで簡単に作成する方法

複式簿記で記帳する仕訳帳は、エクセルでも簡単に作成することができます。

仕訳帳の項目

複式簿記を使用する仕訳帳を作成する際には、次の4つの項目を設定します。

仕訳帳の項目

  • 日付
  • 勘定科目(資産、負債、純資産、収益、費用)
  • 金額
  • 取引先・摘要
仕訳帳のイメージ

それぞれの項目を細かくみていきましょう。

①日付

仕訳帳は、すべての取引を発生日順に記帳していきます。

②勘定科目

仕訳帳には「この取引で発生したお金はどのような種類のお金なのか」を「借方」と「貸方」に分けて記入する必要があります。勘定科目には、以下のような種類があります。


分類主な勘定科目
資産所有する財産や将来的に収益をもたらすと予想されるもの・現金
・預金
・売掛金
・建物 など
負債支払義務や返済義務のあるもの・長期借入金・短期借入金
・買掛金
・支払手形 など
純資産資産から負債を差し引いた差額。
原則として返済義務のない自己資本
・資本金
・利益剰余金 など
収益商品の売買やサービスの提供などで企業が得たもの・売上
・受取利息
・雑収入 など
費用利益を獲得するために発生した経費・仕入
・地代家賃
・旅費交通費 など

借方には資産・費用の増加を、貸方には負債・純資産・収益の増加を記入し、それぞれが減少した場合は反対側に(資産・費用の減少は貸方に、負債・純資産・収益の減少は借方に)記入します。


【関連記事】
借方と貸方の意味とは?違いや仕訳方法についてわかりやすく解説
勘定科目とは?仕訳方法や設定のポイントについてわかりやすく解説

③金額

「借方」と「貸方」の両方に同じ金額を記入します。両者の金額は必ず一致していなければなりません。

④取引先・摘要

取引先、取引の具体的な内容を記入します。

仕訳帳をエクセルで作成する際の注意点

仕訳帳をエクセルで作成する際、特に気をつけたいのは「借方」と「貸方」を記入する場所です。これらを記入する際、必ず「借方」は帳簿の左側、「貸方」は帳簿の右側に記入してください。

次に、取引の内容を記入していきます。たとえば「10月1日に、自社商品であるパソコンが売れ、現金で20万円の売上があった」とした場合、下図のように記入します。


仕訳は借方と貸方が必ず一致する

資産にあたる現金が増加したため「借方勘定科目」と「借方金額」には「現金」とその額をそれぞれ記入し、「貸方勘定科目」には収益にあたる「売上」とその額を記入します。

この際、借方金額と貸方金額は必ず同じになることが複式簿記の重要なルールです。金額が一致しない場合は仕訳ミスや入力漏れなどがないか確認しましょう。

エクセルの機能で帳簿付けを効率化!

エクセルでは、簡単な操作で計算やデータの整理をすることができます。今回は、特に頻繁に使う以下の3項目について、エクセルの機能を活用して効率化する方法を解説します。

エクセルの機能を活用した仕訳帳作成の効率化

  • 簡単に合計額を出す方法
  • 一括で3桁に区切る方法
  • 勘定科目ごとに金額を集計する方法

これらの方法は、エクセルで他の帳簿などを作成する際にも活かせます。


【関連記事】
総勘定元帳をエクセルで作成するには?記帳方法や残高の計算方法も解説

簡単に合計額を出す方法

複式簿記で記帳する仕訳帳の「借方金額」と「貸方金額」の合計は必ず一致していなければならず、記帳後には合計額をチェックする必要があります。

合計額を確認する際は、合計したいセルを全てドラッグして選択し、エクセル画面内の「数式」から「オートSUM」を選んで「合計」をクリックすると簡単に正しい合計額が算出できます。


エクセルのSUM関数で合計額を算出する例

一括で3桁に区切る方法

数値を3桁区切りにしたい場合、エクセルの機能を使って一括で変更することができます。手順は以下のとおりです。

数値を一括で3桁に区切る方法

  1. 対象のセルを選択し、右クリックで「セルの書式設定」を選択
  2. 「表示形式」タブをクリックし、「分類」項目の「数値」を選択
  3. 「桁区切り(,)を使用する」にチェックを入れる

勘定科目ごとに金額を集計する方法

複式簿記でつけた仕訳帳は、勘定科目ごとの合計を把握すると総勘定元帳や試算表の作成に役立ちます。特定の科目だけを合計したいときはSUMIF関数を使うと指定した科目の金額だけを自動集計でき、ピボットテーブルを使えば勘定科目別・月別の集計表を数クリックで作成できます。

SUMIF関数を使う場合、合計を表示したいセルに「=SUMIF(勘定科目の範囲,"集計したい科目名",金額の範囲)」と入力します。たとえば勘定科目がB列、金額がD列に入力されている場合、「現金」の合計を出すには「=SUMIF(B:B,"現金",D:D)」と入力すると、現金に該当する行の金額だけが自動で合計されます。科目名を変えるだけで、ほかの勘定科目も同じように集計できます。

ピボットテーブルを使う場合、仕訳帳のデータ範囲を選択し、エクセル画面内の「挿入」から「ピボットテーブル」を選んで「OK」をクリックします。表示された設定画面で「行」に勘定科目を、「値」に金額をドラッグすると、勘定科目別の合計表が自動で作成されます。月別に集計したい場合は「列」に日付を追加します。

まとめ

仕訳帳は、会社のお金の動きを細かく記録する帳簿で、貸借対照表や損益計算書を作成する際に重要な役割を果たします。

仕訳帳は複式簿記で作成するため一見複雑に見えますが、仕組みを理解すればエクセルで簡単に作成・管理できます。必要な項目や書き方のルールをよく理解し、帳簿の作成に役立ててください。

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よくある質問

複式簿記とは?

複式簿記とは、取引内容を「借方」と「貸方」に分けて記帳する方法です。複式簿記で日付順に帳簿をつけたものが仕訳帳となります。

詳しくは、記事内「仕訳帳は複式簿記で記帳する」をご覧ください。

複式簿記の仕訳項目は?

複式簿記では、取引内容を原因と結果の2つの側面に分け、資産・負債・純資産・収益・費用の5つの項目の増減に着目して仕訳(記帳)します。仕訳する際には、取引の内容に応じて適切な勘定科目を設定します。

複式簿記について詳しくは、別記事「複式簿記とは?単式簿記との違いや書き方、メリット・デメリットまで解説」で解説しています。

複式簿記はエクセルでもできる?

複式簿記は、エクセルでも作成できます。日付・借方/貸方の勘定科目・金額・摘要を表形式で用意し、SUM関数などで借方と貸方の合計が一致するか確認しながら記帳します。

詳しくは、記事内「仕訳帳をエクセルで簡単に作成する方法」「エクセルの機能で帳簿付けを効率化!」をご覧ください。

監修 好川 寛(よしかわひろし)

プロゴ税理士事務所。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の複眼的な視点が強み。クリエイター/IT・SaaS等の現代的ビジネス、海外取引・非居住者税務に明るい。

監修者 好川 寛

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