会計の基礎知識

総勘定元帳とは?書き方や保存期間、基礎知識を解説

最終更新日:2023/04/07

総勘定元帳とは?書き方や保存期間、基礎知識を解説

総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目ごとに記録するための帳簿のことです。会社の会計業務を適切に行うために必ず作成しなければなりません。

本記事では、総勘定元帳の役割や使用するメリット、書き方、保存期間など、知っておきたい基礎知識を解説します。

目次

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総勘定元帳とは

総勘定元帳とは、仕訳帳に記された内容を勘定科目ごとに勘定口座へ転記したものです。仕訳帳がなければ、総勘定元帳を作成することはできません。

勘定口座とは、勘定科目ごとの増減や発生の記録を計算する帳簿上の場所を指します。

ここでは総勘定元帳の基本情報として、総勘定元帳と仕訳帳の違いと総勘定元帳の目的についてそれぞれ解説します。

複式簿記での記帳方法について詳しく知りたい方は、別記事「複式簿記の重要性と記帳方法について解説!」をあわせてご確認ください。

総勘定元帳と仕訳帳の違い

総勘定元帳と仕訳帳は複式簿記における主要簿で、どちらも必ず作成しなければいけません。

これらは帳簿という点では同じですが、役割が異なります。

総勘定元帳は取引が勘定科目ごとに記録されているため、勘定科目ごとの取引日や残高などが確認できる帳簿です。一方で、仕訳帳は日付順に会社の取引が記録されているもので、過去の取引の金額や内容を確認できます。

【関連記事】
勘定科目とは?必要性や主な勘定科目一覧、設定する際のポイントについて解説
仕訳帳とは?書き方や仕訳例、基礎知識を解説

総勘定元帳を作成する目的

取引の内容が日付順に記載された仕訳帳だけでは、勘定科目ごとの発生原因や取引の内容を確認するのに不便です。

一方で、総勘定元帳では各勘定科目の動きをすべて網羅しているため、お金の動きを把握しやすくなります。また、総勘定元帳は決算にも必要不可欠な帳簿であり、総勘定元帳をもとに損益計算書や貸借対照表、試算表などが作成されます。

以上のように、会社の経営状況を確認するための情報として総勘定元帳が必要です。

総勘定元帳を使用するメリット

総勘定元帳を使用する主なメリットは以下の2つです。

総勘定元帳を使用するメリット

  • 勘定科目ごとに残高管理ができる
  • 勘定科目ごとに分析できる

勘定科目ごとに残高管理ができる

総勘定元帳は勘定科目ごとの動きをすべて網羅しているため、残高を簡単に把握することが可能です。

たとえば、現在の借入金残高を確認したい場合には、総勘定元帳の「借入金の残高」部分を見ることで、返済していない借入の状況を確認ができます。

勘定科目ごとに分析できる

貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表の各勘定科目の残高が一致しない場合、総勘定元帳で残高の内訳や取引内容を調べることで、一致していない原因を確認できます。

総勘定元帳の形式

総勘定元帳の形式には、「標準式」と「残高式」の2種類があります。この2つは記帳方法が異なるだけで、導き出される結果は同じです。それぞれの形式について、詳しくみていきましょう。

標準式

標準式では「貸借」が明確です。しかし、残高を求めるには借方金額の合計と貸方金額の合計の差を計算する必要があり、すぐに把握することはできません。

<標準式のサンプル>

日付借方科目仕丁借方金額日付貸方科目仕丁貸方金額
        

それぞれの項目の概要は以下のとおりです。

項目の概要

  • 日付:それぞれの取引が発生した日付
  • 借方科目、貸方科目:ひとつの勘定科目から見た、相手の勘定科目
  • 仕丁:その取引が記載されている仕訳帳のページ数(丁数)
  • 借方金額:その取引で発生した借方の金額
  • 貸方金額:その取引で発生した貸方の金額

残高式

残高式では、残高をすぐに把握できます。実務では残高式が使用されることが一般的です。

<残高式のサンプル>

日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
       

それぞれの項目の概要は以下のとおりです。

項目の概要

  • 日付:それぞれの取引が発生した日付
  • 相手勘定科目:ひとつの勘定科目から見た、相手の勘定科目
  • 摘要:支払先や事由など
  • 仕丁:その取引が記載されている仕訳帳のページ数(丁数)
  • 借方金額:その取引で発生した借方の金額
  • 貸方金額:その取引で発生した貸方の金額
  • 残高:残高金額

総勘定元帳の様式

総勘定元帳は、必要な事項が記載されていれば様式は問われませんが、主に以下の3つの様式があります。

手書き

総勘定元帳は、ノートなどに手書きで記入しても問題ありません。実際に手を動かして整理しながら記入することで、経営状態を把握しやすくなるというメリットもあります。

表計算ソフト

Excelなどの表計算ソフトを使用して、総勘定元帳を作成することも便利です。

特に、Excelは多くのパソコンで使用が可能で、パソコン環境による仕様の違いも少ないのが特徴です。テンプレートを用意すれば複雑な帳簿づけも簡単にできるでしょう。

Excelを使用した総勘定元帳の作成方法は、「総勘定元帳をエクセルで作成する方法とは?記帳方法や残高の計算方法も解説」で詳しく解説しています。あわせてご参考にしてください。

会計ソフト

総勘定元帳作成などの経理業務の効率化を図るなら、会計ソフトの導入を検討してみましょう。

会計ソフトは、手書きやExcelでの帳簿づけに比べ、作業負担を大幅に軽減することが可能です。使い方に慣れれば経理に欠かせない正確さとスピードを確保できるでしょう。

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総勘定元帳の書き方

使いやすい様式を用意したら、総勘定元帳に記帳をしていきましょう。ここでは、具体的な書き方について解説します。

仕訳帳から総勘定元帳への転記方法

総勘定元帳は、仕訳帳の仕訳をもとに、勘定口座の借方・貸方に日付や金額を繰り返し転記して作成します。

転記までの流れは、以下のとおりです。

総勘定元帳への転記の流れ

  1. 取引が発生
  2. 仕訳帳に記入
  3. 勘定科目ごとの勘定口座を作る
  4. 仕訳帳に記入した仕訳を総勘定元帳に転記する

仕訳帳から総勘定元帳への転記例

以下の取引を例に、仕訳帳から総勘定元帳への転記方法について解説していきます。

<取引内容>
4月15日に、10万円のパソコンが現金で売れた。

<仕訳>

日付借方貸方摘要
4/15現金100,000円売上100,000円売掛金回収

このとき使用されている勘定科目は「現金」と「売上」なので、総勘定元帳の現金と売上の勘定口座を開き、仕訳を記載します。

総勘定元帳には、以下の項目を転記します。

総勘定元帳への転記内容

  • 取引が発生した日付
  • 相手勘定科目
  • 摘要
  • 該当する仕訳帳のページ
  • 金額

勘定科目ごとに取引内容をまとめるものが総勘定元帳なので、上記の取引では「現金」のみをまとめたページと「売上」のみをまとめたページそれぞれに転記を行いましょう。

「現金」の総勘定元帳では、相手勘定科目となる貸方の「売上」の内容、「売上」の総勘定元帳では、相手勘定科目となる借方の「現金」の内容を記載します。

<総勘定元帳:現金>

日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
4/15売上パソコン1100,000円100,000円

<総勘定元帳:売上>

日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
4/15現金パソコン1100,000円100,000円

相手勘定科目が複数ある場合の書き方

相手勘定が複数ある場合は、「諸口」を使って記入します。以下の取引を例にしてみましょう。

<取引内容>
4月30日に、パソコンの売掛金10万円が支払手数料550円を差し引いた金額で銀行口座に振り込まれた。

<仕訳>

日付借方貸方摘要
4/30普通預金99,450円売掛金100,000円パソコン
支払手数料550円

仕訳帳では、「売掛金」に対して「普通預金」と「支払手数料」という2つの勘定科目を用いて詳細に記載します。

なお、借方や貸方において複数の勘定科目を使う仕訳を「複合仕訳」といいます。複合仕訳を総勘定元帳に転記するときは、「諸口」という勘定科目を用い、1行にまとめましょう。

<総勘定元帳:売掛金>

日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
4/30諸口売掛金回収1100,000円100,000円

諸口の具体的な内容が知りたい場合は、同日の仕訳帳に戻って確認します。

総勘定元帳に関する注意点

総勘定元帳を作成する際には、保存期間や罰則、転記ミスなどに注意が必要です。

総勘定元帳には保存期間がある

総勘定元帳は、税法上保存が義務づけられている帳簿です。保存期間はその事業年度の確定申告書提出期限の翌日から7年間となります。総勘定元帳とあわせて、取引に関する書類等の保存も必須です。

保存が必要な「帳簿」と「書類」は以下のとおりです。

保存が必要な帳簿

  • 総勘定元帳
  • 仕訳帳
  • 現金出納帳
  • 売掛金元帳
  • 買掛金元帳
  • 固定資産台帳
  • 売上帳 など

保存が必要な書類

  • 棚卸表
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 注文書
  • 契約書
  • 領収書 など

なお、欠損金が生じた年度の場合、帳簿や書類の保存期間は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)です。


出典: 国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

提出できない場合重加算税が課される

税務調査で総勘定元帳の提出を求められた際に提出できなかったり内容に問題があったりした場合には、重加算税が課される場合があります。

適切に総勘定元帳を管理し、提出が求められた場合にはスムーズに提出できるように準備しておきましょう。

転記ミスが起こらないようによく確認する

手書きや表計算ソフトなどの手作業で総勘定元帳を作成する際には、転記のミスや抜け漏れがないように注意しましょう。

転記のミスや抜け漏れが起こらないように、定期的に総勘定元帳の内容と実際の取引実績が合っているか確認することをおすすめします。

まとめ

総勘定元帳は、会計業務を行う上で重要な「主要簿」のひとつです。

日々の経営状況を把握する目的はもちろん、財務諸表の作成にも深く関連する重要な帳簿ですので、正確さや管理方法には細心の注意を払うようにしましょう。

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よくある質問

総勘定元帳とは?

総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目ごとに記録するための帳簿のことです。総勘定元帳では各勘定科目の動きをすべて網羅しているため、お金の動きを把握しやすいのが特徴です。

また、財務諸表の各勘定科目の残高が一致しない場合、総勘定元帳で残高の内訳や取引内容を調べ、不一致の原因を分析することができます。

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総勘定元帳を作成する上での注意点は?

総勘定元帳は、事業年度の確定申告書提出期限の翌日から7年間保存することが義務付けられています。

税務調査で総勘定元帳の提出を求められた際に提出できなかったり内容に問題が見つかった場合は、重加算税などのペナルティを受ける恐れがあります。

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