農業簿記とは、農業を営む方が利用する会計の手法です。一般的な簿記とは異なる点があるため、農家さんが簿記をつけるときには注意が必要です。こちらの記事では、農業簿記に特有のポイントを紹介します。
目次
農業簿記をつける対象となる人は?
農業簿記をつける対象になるのは、個人事業主として農業所得を得ている農家さんや、農業法人などです。品目に関わらず、農産物を生産/販売している事業主がつける会計は、基本的に農業簿記を選択することになると理解しましょう。
農業簿記と一般的な簿記との違い
農業簿記と一般的な簿記の主な違いについて、整理しました。初めて農業簿記をつける方は参考にしてみてください。
1. 専用の勘定科目
農業簿記では、一般的な簿記では利用しない専用の勘定科目を用いて帳簿付けを行います。
たとえば、生産資材に要した経費は「種苗費」「素畜費」「農薬衛生費」といった名称を用います。その他にも、お金の流れの種類によって「土地改良費」「生物」「農産物」といった勘定科目を利用することもあります。
2. 年度末の棚卸の方法
毎年度末に手元に残っている資材や商品の在庫は、「棚卸(たなおろし)」という作業でその金額を計算し、帳簿付けを行います。一般的な簿記(商業簿記)は物品の売買などを事業の前提にしているため、棚卸の際には「商品」といった勘定科目を利用します。
一方、農業においては、生産資材や収穫前後の農産物など、様々な種類の在庫が発生するため、それぞれ種類に分けて棚卸を行う必要があります。
農業簿記の棚卸に際しては、一般的に以下の4つの種類別に帳簿付けを行います。
勘定科目 | 内容 | 備考・例 |
農産物 | 販売目的で生産した物品 | 収穫済みの農産物の内、未販売で在庫となっているものなど |
仕掛品 | 農産物生産のため栽培・育成中のもの | 栽培中・未収穫の農産物や、販売目的で飼育途中の動物など |
原材料 | 生産目的で費消される物品 | 種子・肥料・飼料・農薬・冷凍精液など |
貯蔵品 | 生産・販売以外の目的で貯蔵される物品 | 燃料・包装材料・収入印紙など |
3. 生物資産の管理(果樹/牧畜)
成熟した果樹・搾乳牛・繁殖豚など、生産活動を行っている状態の果樹や家畜は「生物」という勘定科目を用いて、固定資産として減価償却を行います。これらの果樹・家畜は、生産活動を開始するまでに要した育成費用を積み上げた金額を、固定資産の取得価額として計算します。
この処理を行うために、毎年度末に育成期間中の果樹・家畜にかかった肥料費・飼料費などの総計を「育成仮勘定」といういわば仮置きの固定資産に振り替える処理を行います。また、年度中に生産活動を開始した果樹・家畜は「育成仮勘定」から「生物」という固定資産に振り替えた上で、減価償却の対象として管理を開始します。
詳しくはこちら:freee会計マニュアル【農業(個人事業主)の経理編:記帳】[生物の固定資産管理(果樹・搾乳牛・繁殖豚など)]
4. 確定申告で利用する専用の書類様式
個人事業主の農家さんが確定申告を行う際、税務署に提出する書類の一部(決算書/収支内訳書)は、農業専用の書類様式を利用します。
農業を通じて得た所得(農業所得)については、それ以外の所得とは切り分けて、その売上や経費をまとめることになります。
詳しくはこちら:農業所得を得た場合は?白色申告と青色申告での確定申告について
農業でよくあるお金の流れに関するポイント
農業簿記の知識とは別に、農業を通じて普段から生じるお金の流れの中でも、いくつか注意する必要があるポイントを紹介します。
1. JA(農協)への委託による農産物の販売
JAへの委託販売の形式で売り上げを得ている場合、最初にJAから契約金を受け取った後、実際に農産物の出荷をしたタイミングで契約金を相殺した残金が支払われることがあります。このような場合、厳密に帳簿付けを行う際には、契約金は「前受金」として管理します。
2. 外部から委託による農作業の売上
自身で栽培・育成した農産物の販売収入とは別に、外部から農作業の委託を受けて得た収入は「作業受託収入」として帳簿付けします。
3. 補助金や助成金などの収入
国や地方自治体から得た補助金や助成金の収入は「作付助成収入」などとして帳簿付けします。
4. 自家用/贈答用に利用した農産物
生産した農産物を自家用に使用したり、親戚などに贈答用として送ったりした場合、農産物の代金をもらわずに現物をそのまま消費することになります。代金の受け取りがなくても事業として収益が上がったことになるため、「家事消費等」という勘定科目で帳簿付けします。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
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まとめ
普段のお金の流れを把握するために、農業簿記を身に付けることはとても大切です。ですが、帳簿付けの作業に時間を必要以上に割くことになってしまっては、農作業など本当に大切な仕事に集中することができなくなります。会計ソフトを利用することで、手間なく簡単に簿記を付けられるようになります。ぜひチャレンジしてみてください。