会計の基礎知識

資金繰り表の作り方を解説

最終更新日:2020/05/26

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、多くの会社がキャッシュフローを適切に回す事ができず、経営難の危機に直面しています。会社を経営するうえで、最も気を使わなければならないのが「資金」です。いくら帳簿上売上があっても、キャッシュフローがうまくいかず資金ショートしてしまったら大変なことになります。
資金繰り表を活用すれば、現金収支が明確になるため、このような事態を回避することができます。

ここでは、資金繰り表のつくり方について詳しく解説します。

資金繰り表の作り方を解説

目次

資金繰り表とは

資金繰り表とは、企業や個人が一定期間においての現金の収入や支出を表にしたもので、資金不足を防ぐための調達予定表でもあります。現金の収支予定をしっかり把握することで、急な資金ショートによる黒字倒産を避けることができます。

この記事の内容はyoutubeでも解説しています。文字だけでなく動画で資金繰り表を学びたい方は以下のリンクからお進みください。

資金繰り表が会計帳簿とは別に必要な理由は会計とキャッシュのズレにあります。

会計とキャッシュのズレとは?

会計上、入金が発生しても必ずしも「売上」と見なされる事はなく、同様に出金が発生しても必ずそれが「費用」になるとは限りません。

そのような会計とキャッシュのズレが起きる主な要因は以下の4つがあります。

  • 掛取引
  • 借入金
  • 固定資産
  • 在庫

1つ目の掛取引ですが、売り手が売上を認識するタイミングは、「入金があった時」ではなく、「商品を届けた時」になり、買い手が費用を認識するタイミングは「振り込みを行った時」ではなく、「商品が届いた時」になります。

2つ目の借入金は「返済は費用にならない」という事です。例として、A社が毎月200万円の返済を約束して1000万円の借り入れを行います。その後、毎年200万円を返済するので、200万円の出金がありますが、借りているものを返しているだけなので、費用には計上できません。損益計算書をみて利益が出ていると思っていても、実際のキャッシュは返済分さらに出ていくこととなります。

3つ目の固定資産ですが、「減価償却によりズレが生じる」という事です。たとえばA社がパソコンを32万円で購入しました。それにより32万円の出金が1度に発生しましたが、会計上では「減価償却」を行わなければなりません。パソコンは4年間使用するので、4年間にわけて費用計上しなければならないという事です。以下の式から毎年の費用を算出します。

【計算式】
パソコン代(32万円)÷ 使用年数(4年)= 毎年費用計上するお金(8万円)

上記の様に、購入した年の実際の出費は32万円ですが、会計上は8万円しか計上されません。

4つ目は在庫です。在庫はいずれ、売れると利益になります。つまり「消費されるもの」ではなく「換金できるもの」と捉えられ、売れるまでは費用計上できずに資産になるという事です。そのため、100万円分の在庫を仕入れただけでは、全額費用として計上できず、資産(売れなかった分)+経費(売れた分)=100万円になるという事です。

このように、会計帳簿を適切につけていてても、資金がショートするのかは別で確認しておく必要があります。キャッシュの将来を予測し、現状をリアルタイムに把握する事が重要になります。
それを把握するために重要なのが資金繰り表になります。

資金繰り表は実績資金繰り表と予定資金繰り表の2つの種類があり、順に解説していきます。

資金繰り表をつくるメリット

資金繰り表をつくることは、資金の収支予定を把握することです。キャッシュフロー計算書では貸借対照表と損益計算書から作成していくもので、過去の現金の流れを追っていくものですが、資金繰り表は将来においての資金の収支予定であるため、過去を見る表と将来を予想する表の違いとなります。

将来の資金繰りを予想することで、帳簿上の利益がでていても資金ショートする黒字倒産の可能性を探ることができます。資金ショートが予想できるのであれば、売掛金を売る事が出来るファクタリングを使い現金化を急ぐことや、買掛金の支払いを先伸ばしにするなどの対応をすることができます。またどうしても資金が不足する際には金融機関に借入を申し込むなど短期借入金で対応することも検討する必要があります。

資金繰りは通常営業において手元の運転資金で資金繰りをまわすことが望ましく、一時的な資金不足の解消をすれば問題ないわけではありません。資金繰り表を作成することで資金不足の原因を究明し、その対応をしなければ同じように資金不足となります。売上が良くないのであれば根本的な原因ですが、売掛金が回収できずに貸倒損失となっているかもしれません。また売れ筋商品だったはずが予定通りに販売できずに過剰在庫や不良在庫となっているかもしれません。
資金繰り表をつくることは、資金の流れを確認して資金不足にならないようにすることだけが目的ではなく、今後の経営戦略を考える上での判断材料とすることも、重要な目的のうちの一つです。

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資金繰り表のタイプ

資金繰り表は、過去の営業実績から求める実質資金繰り表と、月次経営計画から求める予定資金繰り表の2つがあります。現在において資金繰り表を作成していないのであれば、過去の営業実績から求める実質資金繰り表から問題点を洗い出し、今後は問題点をつぶしていくことが経営改善に繋がります。

実質資金繰り表を作成するためには、月次試算表、現金出納帳、預金出納帳または預金通帳、手形帳、借入金返済明細書を準備しておきます。実績資金繰り表は、基本的には、月単位の仕分けデータから現金預金取引を抽出して作成しますが、現金出納帳と預金出納帳から作成することもできます。

資金繰り表は現金出納帳や預金出納帳から作成することも可能ですが、業務全体の資金の流れをしっかり把握するために必要な帳簿類は確認するようにしましょう。

資金繰り表をエクセルでつくる手順

資金繰り表はエクセルで簡単に作成することが可能です。以下に作成手順を説明します。

【資金繰り表】

資金繰り表

資金繰り表

資金繰り表

資金繰り表

上記の資金繰り表は簡易的なものですが、必要に応じて勘定科目の追加をしていくようにします。一番上には前月繰越がはいります。その下に営業収支と財務収支の2つに分かれています。
営業収支では本業においてどれだけ現金を生み出しているのか、どれだけの経費がかかっているのかを示しています。営業収支がプラスになっていることが当然ですが、マイナスとなっている場合には早急に対策が必要となります。

プラスとなっていたとしても、一時的なものなのか継続しているのか、利益につながっているのかなど様々な視点から検討する必要があります。営業収支がマイナスであれば対策をしていきますが、プラスとなっていても油断はしないようにしましょう。

財務収支では主に借入金の収支となります。財務収支がプラスとなっていれば借入金が増加したことになります。財務収支がマイナスとなっていれば借入金を返済していることになり、営業収支のプラスで財務収支のマイナスつまり借入金を返済していくのが理想となります。財務収支での借入金に頼った営業をしていくと、返済金がどんどん増加してしまい、本業の営業収支で返済が不可能となってしまいます。そうなる前には対策をしなければなりません。

まとめ

資金繰り表をつくることで、過去の実績から資金不足となっている原因がわかります。原因がわかれば対策もたてることができますし、また今後の予定資金繰り表をつくることで将来の資金不足を予想することもできます。

売上もあり利益がでているはずなのに、お金が残らない、もしくは不足するような事態になっていれば早急に資金繰り表をつくるようにしましょう。資金繰り表をつくることで資金の流れ、営業収支や財務収支の状況などがわかり、経営を立て直す指標となるはずです。

資金繰り表を無料ダウンロード

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