会計の基礎知識

収支決算書(収支決算報告書)とは?よく使われる場面や記載項目、書き方をわかりやすく解説

収支決算書(収支決算報告書)とは?よく使われる場面や記載項目、書き方をわかりやすく解説

収支決算書とは、企業などの組織における一定期間(多くの場合、4月から翌年3月までの1年間)の収支をまとめた会計書類の通称です。主に町内会や自治会、PTAなどの団体が、会費や助成金などの収入と活動にかかった支出を報告するために作成します。企業でも、特定の事業やプロジェクト、イベントなどの収支報告に用いられる場合があります。

本記事では、収支決算書を作成する目的や収支表・決算報告書との違い、記載項目、具体的な書き方をわかりやすく解説します。

目次

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収支決算書とは

収支決算書とは、企業などの組織における一定期間(多くの場合、4月から翌年3月までの1年間)の収支をまとめた会計書類の通称です。

法令上の明確な定義や決まった書式はなく、主に町内会や自治会、PTA、サークルなどの任意団体が、会費や寄付金などの「収入の部」と、活動費や備品費などの「支出の部」を集計・報告するために作成します。

収支決算書は、実際にお金が入った時点と支払った時点で記録する「現金主義」に基づいて作成するのが一般的です。企業でも、イベントやプロジェクトなど、特定の活動に関するお金の出入りをまとめる際に用いられることがあります。

ここでは、収支決算書を作成する目的や、収支表・決算報告書との違いについて解説します。

収支決算書を作成する目的

収支決算書を作成する目的は、一定期間にどのような収入と支出があり、最終的にいくら残ったのかを明らかにすることです。

町内会や自治会などでは、会費や助成金などが適切に使われたことを会員へ報告する役割があります。収入・支出の内訳を示すことで、会計の透明性を確保し、団体の運営状況を共有できます。

また、予算額と実際の決算額を比較すれば、当初の計画との差異や見直すべき支出を把握することが可能です。収支決算書は、当期の活動を振り返るだけでなく、翌期の予算や活動計画を検討する際の資料としても役立ちます。

収支決算書と収支表の違い

収支表とは、一定期間における収入と支出を一覧にした表の総称です。法令上の明確な定義はなく、日々や月ごとの収支管理、予算と実績の比較など、さまざまな目的で作成されます。

収支決算書も収入と支出をまとめる書類であるため、収支表の一種といえます。ただし、一般的に収支表は期中の収支管理にも使われるのに対し、収支決算書は年度末や活動終了後に実績を確定し、関係者へ報告する目的で作成されます。

収支決算書収支表
目的確定した収支を関係者へ報告する収入と支出を記録・管理する
作成時期年度末や活動の終了後日時・月次・年度単位など
記載内容収入、支出、差引残高、繰越金
など
収入、支出、残高、予算との差額など
数値の性質対象期間の確定した実績期中の実績や予算を含む場合がある

収支決算書と決算報告書の違い

収支決算書に似ている書類として、「決算報告書」があります。2つの書類の違いは、下表のとおりです。

収支決算書決算報告書
作成目的一定期間や特定の活動における収支を報告するため社内や外部の関係者へ経営状況を報告するため
作成義務の有無なしあり
記載範囲収入、支出、差引残高、繰越金など・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書など

収支決算書は一定期間における現金の出入りを比較的簡易にまとめた書類で、作成義務はありません。

一方、決算報告書は企業の経営成績や財政状態などを幅広く示す書類の総称です。会社法や法人税法、金融商品取引法などによって、作成が義務付けられています。

なお、会社法では「決算報告書」という名称の書類ではなく、貸借対照表や損益計算書などの「計算書類」を作成することが定められています。収支決算書を作成しても、企業に求められる法定の計算書類や税務申告書の代わりにはなりません。

企業や法人の決算について知りたい方は、こちらの記事をあわせてご確認ください。

収支決算書が使われる機会

収支決算書は、町内会や自治会などの団体が会計状況を会員へ報告する場合のほか、企業が特定の事業やプロジェクト、イベントなどの収支を管理・報告する際にも用いられます。

ここでは、自治会と企業を例に、収支決算書がどのような場面で使われるのか解説します。

町内会などの自治会の例

町内会などの自治会では、会計・経理担当者が年度末に収支決算書を作成し、回覧板などで会員の方が確認できるようにしているのが一般的です。

収支決算書を見れば、「この1年間で会費がどのように使われたのか」「お金の入出金は適正なのか」「年間を通して赤字か黒字か」などがわかります。収入と支出の差額や次期への繰越金も示されるため、年間の収支や期末時点の残高も確認可能です。

また、夏祭りや防災訓練、清掃活動など、地域行事にかかった費用を収支決算書へ記載する場合もあります。町内会や自治会では、会費収入・事業費・管理費などを項目別にまとめた比較的シンプルな書式が使われる傾向にあります。

企業の例

企業では、特定の事業やプロジェクト、イベントなどの収支を把握・報告するために、収支決算書を作成する場合があります。

たとえば、セミナーや展示会、社内イベントなどの終了後に、参加費や協賛金などの収入と、会場費・備品費・外注費などの支出を整理する際などに用いられます。予算額と決算額を併記すれば、計画と実績の差異も確認できます。

ただし、収支決算書は、企業が事業年度ごとに作成する貸借対照表や損益計算書などの決算書とは異なります。収支決算書は特定の活動に関する収入と支出をまとめる任意の書類であり、企業の財政状態や経営成績を示す法定の決算書に代わるものではありません。

収支決算書の記載項目

収支決算書には法令で定められた統一書式はありませんが、対象期間のお金の流れと期末時点の残高がわかるように作成する必要があります。一般的に記載する項目は、以下のとおりです。

収支決算書の記載項目

  • 表題・基本情報
  • 収入の部
  • 支出の部
  • 差引残高
  • 繰越金(前期繰越金・次期繰越金)

それぞれの項目について、下図をもとに詳しく説明します。

町内会などの自治会における収支決算書

表題・基本情報

収支決算書の冒頭や末尾には、何の収支を、いつからいつまで集計した書類なのかがわかるように、基本情報を記載します。主な記載項目は以下のとおりです。

  • 表題(「収支決算書」「会計報告書」など)
  • 団体名や事業名
  • 対象期間
  • 作成日
  • 作成者または会計担当者

対象期間は、「自 令和○年4月1日 至 令和○年3月31日」のように、開始日と終了日を明記します。特定のイベントや事業について作成する場合は、その名称も表題に含めると、書類の対象がわかりやすくなります。

収入の部

収入の部には、対象期間中に受け取ったお金を項目別に記載します。町内会や自治会であれば、会費・寄付金・助成金・事業収入・雑収入などが主な項目です。

各項目の金額を記載したうえで、最後に収入の合計額を算出します。あらかじめ予算を作成している場合は、以下のように予算と実績を並べると比較しやすくなるでしょう。

  • 収入項目
  • 予算額
  • 決算額
  • 予算額と決算額の差額
  • 備考

収入の項目ごとの金額は、予算額と決算額を分けて記載し、差引増減額についても記載するとより詳細な情報となります。

支出の部

支出の部には、対象期間中に支払ったお金を項目別に記載します。主な項目として、事業費や会議費、通信費、消耗品費、交通費、会場費、雑費などが挙げられます。

項目別に整理したら、収入の部と同様に各項目の金額と支出の合計額を記載します。予算を作成している場合は予算額・決算額・差額を併記し、必要に応じて支出の内容を備考欄で補足しましょう。

なお、同じ内容の支出には毎期同じ項目名を使用すると、前期との比較や収支状況の確認がしやすくなります。

差引残高

差引残高は、収入の合計額から支出の合計額を差し引いて算出します。

差引残高 = 収入合計 − 支出合計

図の例を計算式に当てはめると、以下のように差引残高が求められます。

3,517,000円(収入合計) - 3,402,472円(支出合計) = 114,528円(差引残高)

差引残高を算出した後は、現金出納帳や預金通帳に記録された期末残高と一致しているかを確認しましょう。一致しない場合は、収入・支出の記載漏れや二重計上、計算ミスなどがないかを調べます。

繰越金(前期繰越金・次期繰越金)

継続的に活動する団体では、前の期間から引き継いだ前期繰越金と、次の期間へ引き継ぐ次期繰越金を収支決算書に記載します。

  • 前期繰越金:前の期間から繰り越された手元資金の残高。前期の収支決算書の「次期繰越金」と一致
  • 次期繰越金:当期末に残り、次の期間へ繰り越す残高。前期繰越金を収入の部に含める書式では、差引残高がそのまま次期繰越金となる

図の例では、収入の部にある「繰越金」18万円が前期繰越金にあたります。一方、支出の部の下にある「差引残高114,528円は、令和××年度に繰越いたします」という記載が、次期繰越金を示しています。この金額は、翌年度の収支決算書で前期繰越金として計上されます。

収支決算書の書き方

収支決算書を作成する際は、現金出納帳や預金通帳、領収書などをもとに、対象期間の取引を整理・集計します。正確な収支を報告できるよう、金額を記入するだけでなく、帳簿や実際の残高との照合まで行いましょう。

なお、収支決算書には、前期繰越金を「収入の部」に含めて集計する書式と、前期繰越金を独立した区分として当期収支差額に加算する書式の2種類があります。以下ではこの2パターンに触れながら、前者を基本形として解説します。

収支決算書の書き方

  1. 会計期間・タイトルを記入する
  2. 収入を勘定科目別に集計・記入する
  3. 支出を勘定科目別に集計・記入する
  4. 収入合計から支出合計を差し引く
  5. 次期繰越金を算出する
  6. 次期繰越金と実際の現金・預金残高の一致を確認する

1. 会計期間・タイトルを記入する

まず、団体の規約や前期の収支決算書を確認し、会計期間を確定します。そのうえで、対象年度と団体名がわかるタイトルを記入してください。

前期と同じ書式を使う場合は、年度や会計期間の更新漏れに注意が必要です。特定の事業やイベントについて作成する場合は、団体全体の会計と区別できる名称を付けましょう。

2. 収入を勘定科目別に集計・記入する

現金出納帳や預金通帳、入金明細などを確認し、対象期間中の収入を項目別に集計します。集計した金額は各項目の決算額へ転記し、最後に合計額を計算してください。

このとき、帳簿に記録された取引が対象期間内のものか、入金が重複していないかを確認します。前期繰越金を収入に含める書式では、前期の収支決算書に記載された次期繰越金と一致しているかも照合しましょう。

予算額を併記する場合は、決算額との差額を計算します。差額が大きい項目には、その理由を摘要欄などへ補足しておくと、会員への説明がしやすくなります。

3. 支出を勘定科目別に集計・記入する

現金出納帳や預金通帳に加え、領収書・請求書・振込明細などの証憑を確認し、対象期間中の支出を項目別に集計します。

集計時には、帳簿上の金額と証憑の金額が一致しているかを確認してください。また、同じ支出を重複して計上していないか、立替払いの精算が完了しているかも確認します。

予算額を超過した項目や前期から大きく変動した項目がある場合は、支出の内容や増減理由を確認し、必要に応じて摘要欄へ記載しましょう。

4. 収入合計から支出合計を差し引く

収入と支出の集計が終わったら、収入合計から支出合計を差し引きます。

前期繰越金を収入の部に含める書式では、計算によって求められた金額が「差引残高」となります。

差引残高 = 収入合計(前期繰越金を含む)- 支出合計

一方、前期繰越金を収入の部に含めない書式では、当期の収入合計から支出合計を差し引いた金額が「当期収支差額」です。

当期収支差額 = 当期収入合計 - 当期支出合計

計算結果がマイナスになった場合は、支出超過が計算ミスによるものではないかを確認します。計算に誤りがなければ、どの支出が予算を上回ったのか、またはどの収入が予算を下回ったのかを確認しましょう。

5. 次期繰越金を算出する

前期繰越金を収入の部に含めて集計している場合は、前の手順で算出した差引残高が、そのまま次期繰越金となります。

一方、前期繰越金を独立した区分として扱う書式では、以下の計算式で次期繰越金を算出してください。

次期繰越金 = 前期繰越金 + 当期収支差額

6. 次期繰越金と実際の現金・預金残高の一致を確認する

収支決算書を作成したら、次期繰越金と会計期間の終了日時点における現金・預金残高の合計を照合します。

金額が一致しない場合は、以下の点を確認しましょう。

  • 帳簿への記載漏れや二重計上がないか
  • 集計・転記・計算に誤りがないか
  • 対象期間外の取引が含まれていないか
  • 未精算の立替金が残っていないか
  • 前期繰越金を正しく引き継いでいるか

金額が一致した後は、会計担当者以外の監査担当者などに、帳簿や証憑とあわせて内容を確認してもらいましょう。

作成者自身によるチェックだけでは見落としが生じやすいため、第三者が確認することで、収支決算書の正確性や信頼性を高めることができます。監査担当者から問題ないと確認を得たら、署名や押印など団体所定の手続きを行い、総会や会員への報告に備えます。

収支決算書の具体例

収支決算書の記載内容や形式は、団体の規模や活動内容によって異なります。ここでは、町内会などの自治会と懇親会を例に、収支決算書の作成イメージを紹介します。

町内会などの自治会の収支決算書の例

町内会や自治会の収支決算書では、収入と支出を項目別に整理し、それぞれの予算額・決算額・比較増減を記載します。最後に、収入合計から支出合計を差し引いて、次年度へ繰り越す残高を算出します。

以下は、前期繰越金を収入の部に含めて作成する場合の例です。

収入の部
項目予算額決算額差引増減額概要
前期繰越金30,000円30,000円0円前期からの繰越分
会費200,000円250,000円50,000円
雑収入50,000円80,000円30,000円
合計280,000円360,000円80,000円
支出の部
項目予算額決算額差引増減額概要
消耗品50,000円30,000円20,000円領収書添付
交通費50,000円60,000円-10,000円領収書添付
通信費50,000円30,000円20,000円
合計150,000円120,000円30,000円
差引残高
(収入総額)360,000(円) -(支出総額)120,000(円) =(差引残高)240,000(円)

懇親会などの収支決算書の例

懇親会などを運営する場合、会員から年会費を徴収するケースが一般的です。

その会費がどのように使われたのか、現在の残高はいくらなのかなどについて、収支決算書で明確にしましょう。使途不明金などが出ないように細かいところまで明記して、経費の未計上を防ぎます。

例として、以下のように明記することができます。

収入金額備考
前年度繰り越し30,000円前年度からの繰越分
会費 80名分240,000円〇名分
収入合計270,000円
支出金額備考
〇月〇日懇親会 飲食費160,000円参加人数〇名
〇月〇日懇親会 会場代45,000円
重複支払者 返金分3,000円
支出合計208,000円
差引残高62,000円次年度へ繰越

この例では、前年度繰越金を含む収入合計27万円から支出合計20万8,000円を差し引いた6万2,000円が、差引残高となります。活動を翌年度も継続する場合は、この金額を次期繰越金として扱います。

懇親会などを会費で運営する場合は、参加者が収支の内容を確認できるよう、金額の内訳を明確にする必要があります。領収書や請求書などの証憑も保管し、収支決算書に記載した金額と照合できる状態にしておきましょう。

収支決算書作成時に確認すべきポイント

正確でわかりやすい収支決算書を作成するためには、計算結果だけでなく、帳簿や証憑との整合性も確認する必要があります。作成後は、以下のポイントを確認しましょう。

収支決算書作成時に確認すべきポイント

  1. 計算ミスがないか再確認する
  2. 帳簿と整合しているか確認する
  3. 証憑をすべて保管する
  4. 前期繰越金が一致しているか確認する
  5. 勘定科目を統一する

まずは、収入合計や支出合計、差引残高、次期繰越金などを再計算し、現金出納帳や預金出納帳の金額と一致しているかを確認します。前期繰越金についても、前期の収支決算書に記載された次期繰越金と照合しましょう。

また、領収書・請求書・取引明細などの証憑を保管し、帳簿に記載した内容や金額を後から確認できる状態にしておきます。

なお、同じ内容の収入や支出には、毎期同じ勘定科目を使用しましょう。たとえば、同じ備品の購入費を「消耗品費」と「雑費」に分けて計上すると、項目ごとの金額を正確に比較しにくくなります。「雑費」などの項目へ過度にまとめず、支出の内容に適した勘定科目を使用すると、お金の使い道を把握しやすくなります。

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まとめ

収支決算書とは、一定期間における収入と支出をまとめた会計書類です。町内会や自治会などの団体では、会費や助成金などがどのように使われたのかを会員へ報告し、会計の透明性を確保するために作成されます。企業でも、特定の事業やプロジェクト、イベントなどの収支報告に用いられる場合があります。

作成する際は、収入・支出を項目別に集計し、差引残高や次期繰越金を正しく算出します。作成後は現金出納帳や預金通帳、領収書などと照合し、記載漏れや二重計上、計算ミスがないかを確認しましょう。

よくある質問

収支決算書とは?

収支決算書とは、一定期間における収入と支出をまとめた会計書類です。主に町内会や自治会、PTAなどの団体が会計状況を報告するために作成します。企業でも、特定の事業やイベントなどの収支報告に用いられる場合があります。

なお、収支決算書は、貸借対照表や損益計算書などで構成される企業の決算書とは異なります。

詳しくは、記事内「収支決算書とは」をご覧ください。

収支決算書を作成する目的は?

収支決算書を作成する目的は、一定期間にどのような収入と支出があり、最終的にいくら残ったのかを明らかにすることです。町内会や自治会などでは、会費や助成金などの使途を会員へ報告し、会計の透明性を確保する役割があります。

詳しくは、記事内「収支決算書を作成する目的」をご覧ください。

収支決算書の書き方は?

収支決算書は、現金出納帳や預金通帳、領収書などをもとに、対象期間の収入と支出を項目別に集計して作成します。収入合計から支出合計を差し引いて残高を求め、次期繰越金と実際の現金・預金残高が一致するかを確認しましょう。

詳しくは、記事内「収支決算書の書き方」をご覧ください。

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