監修 好川 寛 プロゴ税理士事務所
総勘定元帳とは、勘定科目ごとに取引内容を記載する帳簿のことです。仕訳帳と同じく、決算書を作成する際に欠かせない主要簿のひとつです。
総勘定元帳を管理するにあたっては会計システムなどを導入している企業が少なくありませんが、事業規模が比較的小さく実際の取引があまり多くない場合は、エクセルを活用して簡易的な総勘定元帳を作成することもできます。
本記事では、エクセルを使って総勘定元帳を作成する方法やポイントについて解説します。
目次
総勘定元帳とは
総勘定元帳とは、会社で行われたすべての取引やお金の流れを記録する帳簿のことです。総勘定元帳では取引を勘定科目ごとに分類して記載するため、特定の勘定科目の残高や増減の内訳が一目でわかります。
ただし、総勘定元帳だけでは取引の全容を把握しづらいため、補完的な情報として仕訳帳と照らし合わせる必要があります。
総勘定元帳は仕訳帳とともに、税法上7年間の保存が義務づけられています。また原則として、税務調査の際には総勘定元帳を提出しなければなりません。日頃から帳簿内容を正確に記載し、管理するように注意しましょう。
総勘定元帳についてより詳しく知りたい方は、別記事「総勘定元帳とは?書き方・見方や仕訳帳との違いを解説」をあわせてご覧ください。
総勘定元帳をエクセルで作成するメリット
経理の知識が十分にある人であれば、エクセルで総勘定元帳を作成することは決して難しくなく、手間なく簡単に管理できる点でメリットは大きいといえるでしょう。エクセルで総勘定元帳を作成する主なメリットは、次の3点です。
総勘定元帳をエクセルで作成するメリット
- 初期費用がかからない:
すでに使っているエクセルがあれば、新たなソフトを導入せず0円で始められる - 自由にカスタマイズできる:
自社の取引内容に合わせて、項目の追加や数式の調整を柔軟に行える - 少量の取引なら手軽に管理できる:
取引数が多くない場合は、会計ソフトを導入するより手早く運用できる
総勘定元帳をエクセルで作成するデメリット
取引数が少ないうちは、エクセルでも十分に総勘定元帳を管理できます。しかし、事業規模が大きくなり取引が増えてくると、エクセルでの管理には次のようなデメリットが生じます。
総勘定元帳をエクセルで作成するデメリット
- 手作業による仕訳帳からの転記や残高の更新において、転記漏れや入力ミスが起こりやすくなる
- 勘定科目ごとにシートを分けて管理する必要があり、科目数が多いとファイルが煩雑になる
- 電子帳簿保存法の検索要件(取引年月日・金額・取引先での検索)に、エクセル単体で対応するのは手間がかかる
とくに経理上の処理に不慣れな場合、アナログ管理のため転記ミスや漏れなどの人為的なミスが発生しやすい点がデメリットです。年に数回発生する同じ取引にもかかわらず、日付ごとに勘定科目が統一されていないといった初歩的なミスも起こりがちです。
総勘定元帳や仕訳帳は7年間の保存義務がある重要な書類です。「取引量が増えてきた」「ミスなく効率的に管理したい」という場合は、仕訳帳から総勘定元帳への転記を自動化できる会計ソフトの導入を検討するとよいでしょう。会計ソフトなら、日々の取引を入力するだけで総勘定元帳が自動で作成され、決算書の作成まで一貫して行えます。
【関連記事】
決算書の作り方とは?作成手順や必要書類、注意点を解説
総勘定元帳エクセルテンプレート
一から総勘定元帳のひな型を作る手間を削減したい場合は、テンプレートを活用すると効率的です。freeeでは、税理士監修の総勘定元帳テンプレート(エクセル形式)を無料で配布しています。書き方のサンプルも付いているため、記載例を確認しながらそのまま使い始められます。
まずはテンプレートを活用した運用を試し、自社の取引内容に合わせて項目を追加・調整したい場合は、次章以降で紹介する方法を参考にエクセルなどで自作してみてください。
総勘定元帳のひな型をエクセルで作成する方法
まずはエクセルで総勘定元帳のひな型を作成しましょう。総勘定元帳には、次の6つの項目を記帳する必要があります。
| 項目 | 項目の内容 |
|---|---|
| ①日付 | 取引が行われた日付を記帳する欄 |
| ②摘要 | 相手側の勘定科目を記帳する欄 相手の勘定科目が複数ある場合は「諸口」と記帳 |
| ③仕丁 | 転記する情報が書かれている仕訳帳のページ数を記帳する欄 |
| ④借方・貸方 | 仕訳帳の借方・貸方欄に従って、金額を記帳する欄 |
| ⑤借・貸 | 借方金額の方が大きければ「借」、貸方金額の方が大きければ「貸」と記帳する欄 |
| ⑥残高 | 総勘定元帳の記載形式(残高式・標準式の2種)に「残高式」を選択している場合に、転記時点の勘定科目残高を記載する欄 |
総勘定元帳を作成するには、エクセル表の左から①→⑥の順に記入します。記入が終わったら「罫線」をクリックして、格子状に線を引いてください。
これで基本のひな型が出来上がりました。
総勘定元帳の2つの記載形式(残高式・標準式)について詳しくは、別記事「総勘定元帳とは?書き方・見方や仕訳帳との違いを解説」で解説しています。
総勘定元帳に記帳する方法
総勘定元帳のひな型が出来上がったら、具体的な情報を記帳します。内容はすべて仕訳帳から正確に転記します。
ここでは、現金勘定の帳簿を残高式で記帳していきます。「資産」である現金勘定の場合、借方がプラス、貸方がマイナスを意味します。
仕訳帳の内容を総勘定元帳に転記することで、この時点の現金勘定における残高内容が一目でわかるようになります。上記図解の場合、10月5日に仕入れを行ったため、現金残高が一時的に500,000円下がっていることが読みとれます。
エクセルの数式を使って残高を計算する方法
手作業による取引残高の増減は非常に煩雑なため、数式を使って簡単に計算する方法を紹介します。
10月1日の残高が1,000,000円であるとします。10月2日の残高を計算するには、2日目の残高の欄に「=G3+D4−E4」(1日の残高 + 2日の借方 − 2日の貸方)の式を入れる必要があります。
10月3日以降の残高も同様に自動で計算できるようにするには、まずは「ctrl」キーを押したまま「D」キーを押して数式をコピーしましょう。しかし、この段階では計算していない残高の欄にも数字が勝手に入ってしまいます。
そこで「2日目の借方(D4)と貸方(E4)の数字が0であった場合は空白を表示するが、そうでない場合には残高の計算結果を表示する」ように設定しなければなりません。先ほどの数式を「=IF(AND(D4=0,E4=0),"",G3+D4-E4)」と書き換えることで、未記入のセルには数字が反映されないようにできます。
その後、同様に他の残高のセルをドラッグしながら「ctrl」キーを押したまま「D」のキーを押して数式をコピーしてください。
10月2日に借入金として300,000円と記帳すると、10月2日の残高が1,300,000円となり、それ以降の残高の欄には空白が表示されます。これで正しく計算が行われるようになりました。
なお、数式をほかの行にコピーすると参照するセルが自動的にずれることがあります。
残高の計算式(例:G3+D4-E4)のように参照セルを1行ずつ下へずらしたい場合は、通常の相対参照のままで問題ありません。一方で、期首残高など特定のセルを常に参照したい場合は「$G$2」のように絶対参照(F4キーで切り替え)にすると固定できます。
また、行を挿入・削除すると数式の範囲が崩れやすくなります。あらかじめ表を「テーブル」として設定(Ctrl+T)しておくと、行を追加しても数式や書式が自動で引き継がれ、転記の手間とミスを減らせます。借方・貸方のどちらか一方だけを入力する運用でも、空欄は0として計算されるため、残高は正しく更新されます。
まとめ
総勘定元帳は勘定科目ごとの残高や内訳をすぐに確認できる重要な帳簿で、エクセルで簡単に作成できます。作成・記帳ルールをしっかりと理解し、ミスのない帳簿作成を心がけましょう。
取引量が増えて手作業による転記の手間が大きくなった場合、ミスなく効率的に管理したい場合は、仕訳帳から総勘定元帳への転記を自動化できる会計ソフトの導入を検討するとよいでしょう。
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- 全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携
- 決算業務は正しく、確実に対応できる
それぞれの特徴についてご紹介していきます。
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PDFやCSVファイルへの出力も可能なため、士業の方への共有や、社内での資料作成にも活用できます。また、領収書1枚・仕訳1件単位でコメント機能を使ってやりとりできるため、士業の方ともスムーズにコミュニケーションがとれます。
よくある質問
総勘定元帳とは?
総勘定元帳とは、勘定科目ごとに取引内容を記載する帳簿のことで、これにより特定の勘定科目の残高や増減の内訳が一目でわかるようになります。総勘定元帳は仕訳帳とともに税法上7年間の保存が義務づけられており、税務調査の際にも原則提出が必要です。
詳しくは、記事内「総勘定元帳とは」をご確認ください。また書き方・見方について詳しくは、別記事「総勘定元帳とは?書き方・見方や仕訳帳との違いを解説」で解説しています。
総勘定元帳をエクセルで作成するメリット・デメリットは?
経理の知識が豊富な人であれば手間なく簡単に管理できる点が、総勘定元帳をエクセルで作成するメリットです。一方で、不慣れな場合や取引件数が多い場合などは、手作業による転記に労力がかかり転記ミスや抜け漏れなどの人為的なミスも発生しやすい点がデメリットと言えます。
詳しくは、記事内「総勘定元帳をエクセルで作成するメリット」「総勘定元帳をエクセルで作成するデメリット」をご確認ください。
監修 好川 寛(よしかわひろし)
プロゴ税理士事務所。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の複眼的な視点が強み。クリエイター/IT・SaaS等の現代的ビジネス、海外取引・非居住者税務に明るい。
