監修 橋爪 祐典 税理士
定価とは、メーカーや販売者があらかじめ定めた正式な販売価格のことです。小売店はこの価格での販売が求められており、書籍・雑誌・新聞・CDなどの特定の商品に適用されています。
定価とともによく使われる言葉に、希望小売価格やオープン価格があります。どちらも価格の決まり方が異なるため、販売者側・消費者側のどちらにとっても、その違いを正確に把握しておくことが大切です。
本記事では、定価の概要や希望小売価格・オープン価格・上代との違い、定価販売のメリット・デメリットを解説します。
目次
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定価とは?
定価とは、メーカーや販売者があらかじめ設定した正式な売り値(販売価格)のことです。主に書籍・雑誌・新聞・CDなどの商品に適用されており、どの店舗でも同一の価格で購入できるのが特徴です。
定価と希望小売価格との違い
定価と希望小売価格の主な違いは、販売店に対する拘束力の有無にあります。定価はメーカーが設定した価格であり、小売店は値下げ・値上げを自由にできません。
一方、希望小売価格はメーカーが「この価格で販売してほしい」と提示する目安に過ぎず、拘束力はありません。そのため、小売店は希望小売価格より高く売っても安く売っても問題なく、実際の販売価格は各店舗が独自に決められます。
定価とオープン価格との違い
定価はメーカーが販売価格を一律で指定します。それに対し、オープン価格はメーカーが小売価格を設定せず、販売店が自由に価格を決められる方式です。
メーカーは卸値だけを決め、実際の販売価格は小売店に委ねられます。そのため、商品自体にメーカー設定の価格は表示されません。
小売店は仕入れ値・コスト・利益率・市場の相場などを考慮しながら価格を設定します。同じ商品でも店舗によって価格が大きく異なるケースがあるため、消費者にとっては複数店舗の比較が求められる価格方式です。
定価と上代との違い
定価と上代の主な違いは、価格に拘束力があるかどうか、つまり値引きが可能かどうかにあります。
定価は、メーカーなどがあらかじめ定めた販売価格であり、小売店が勝手に値上げ・値下げできません。一方、上代とはメーカーや卸業者が想定として設定する、小売向けの販売基準価格(上代価格)のことです。取引や値引き計算のベースとして活用され、実際の売価は上代を基準にしながら小売店が値引きなどにより変更できるため、定価ほどの拘束力はありません。
定価販売のメリット
定価販売には、販売者側・消費者側それぞれにメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。
- 安定した利益を確保できる【販売者側】
- ブランドイメージを維持できる【販売者側】
- 予算を立てやすい【消費者側】
安定した利益を確保できる【販売者側】
定価販売の主なメリットのひとつは、値引き競争に巻き込まれにくい点です。他店との価格競争が発生しにくいため、設定した利益率を維持しやすい環境が整います。
過度な値下げを求められることなく、高い利益率をキープできるため、健全な事業運営や資金計画の立案が可能です。
薄利多売が難しい商品では、定価販売による安定した収益確保が長期的な経営基盤の強化につながります。
ブランドイメージを維持できる【販売側】
定価販売を行うと、店舗同士による過度な値下げ競争を防げます。安売りが続くと、商品が本来よりも価値の低いものだと思われてしまい、ブランドイメージの低下につながりかねません。
しかし、定価販売することで商品の価格が安定し、消費者はその商品に対して価値のある商品であると認識しやすくなります。高品質な商品やプレミアムブランドでは、価格が安定していること自体がブランドの価値を守ることにつながります。
一度安価なイメージがついてしまうと回復するのは難しいため、定価販売はブランドのイメージを維持するうえでも効果的です。
予算を立てやすい【消費者側】
定価販売では価格が常に一定に保たれるため、消費者は安心して購入計画を立てられます。「買った直後に値下がりして損をした」「今日と明日で価格が違う」などの状況が発生しにくい点が特徴です。
価格が変動しないため、予算の見通しが立てやすく、計画的な買い物がしやすくなります。書籍・雑誌・新聞・CDなどは、定価販売の代表例です。
価格に関する不確実性がなくなることで、心理的な安心感が得やすくなり、購入の意思決定がスムーズになります。
定価販売のデメリット
定価販売には販売者側・消費者側ともにメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。定価販売の主なデメリットは次のとおりです。
- 価格競争が制限される【販売者側】
- 在庫リスクが増加する【販売者側】
- より低価格で購入しにくい【消費者側】
価格設定の自由度や消費者の購買行動に与える影響について確認しましょう。
価格競争が制限される【販売者側】
定価販売は、他店との価格競争を制限する側面があります。オープン価格のような値下げセールや柔軟な価格促進活動が取りにくく、価格面での差別化が難しくなります。
そのため、小売店はサービスの質・品揃え・立地・接客など、価格以外の要素で顧客を惹きつける工夫が必要です。
ただし、定価販売は商品の品質やブランドイメージを重視する消費者層にとってはメリットとなるケースもあり、ターゲット層によっては有効な戦略となります。
在庫リスクが増加する【販売者側】
定価販売では値引き販売ができないため、在庫処分や販促活動の自由度が制限されます。
需要が減少した局面でも、価格を下げて売り切れないため、商品が在庫として残りやすくなります。
市場ニーズや在庫状況に合わせた柔軟な価格変更ができないことで、小売店が在庫リスクを抱えやすい構造になる点は、定価販売の代表的なデメリットのひとつといえるでしょう。
より低価格で購入しにくい【消費者側】
定価販売の環境下では、消費者は値引き交渉ができず、通常価格より安い価格で購入する機会が失われます。小売店同士の価格競争がなくなるため、どの店舗でも同じ価格で購入するしかなく、比較検討による値引きのメリットがありません。
また、「〇〇%引き」などの割引表示が存在しないため、安く購入できる満足感やお得感を感じにくい点もデメリットとして挙げられます。
価格に敏感な消費者層にとっては、定価販売が購入意欲の低下につながるケースもあるため、対象商品や顧客層に応じた価格戦略を検討することが大切です。
まとめ
定価とは、メーカーや販売者が設定した正式な販売価格であり、小売店による値下げ・値上げが認められない拘束力の強い価格です。
定価販売では、販売者側は安定した利益の確保や、ブランドイメージの維持が可能です。消費者側にとっては、予算を立てやすいメリットがあります。一方で、販売者側は価格競争の制限や在庫リスクの増加、消費者側は低価格での購入機会の損失などのデメリットもあります。
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よくある質問
定価と希望小売価格との違いは何ですか?
定価は変更できない固定価格であり、希望小売価格は目安の参考価格です。
定価はメーカーが設定した価格で、小売店は値下げ・値上げができません。
一方で、希望小売価格はメーカーが参考として提示する目安であり、拘束力はありません。そのため、小売店は希望小売価格より高くても安くても販売でき、実際の売価は各店舗が自由に決められます。
詳しくは、記事内『定価と希望小売価格との違い』をご覧ください。
定価とオープン価格の違いは何ですか?
定価はメーカーが販売価格を一律に指定する方式です。それに対して、オープン価格は、メーカーが小売価格を設定せず、販売店が仕入れ値・コスト・市場相場をもとに自由に価格を決める方式です。
オープン価格の商品には価格表示がなく、店舗ごとに異なる価格が設定されています。
消費者目線では、定価商品はどこで買っても同じ価格なのに対し、オープン価格商品は店舗によって価格が異なります。
詳しくは、記事内『定価とオープン価格との違い』をご覧ください。
監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)
2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。
