会計の基礎知識

帳簿とは?台帳との違い、主要簿と補助簿の分類を簡単に解説

監修 税理士法人虎ノ門共同会計事務所

帳簿とは?台帳との違い、主要簿と補助簿の分類を簡単に解説

帳簿とは、企業が事業を行ううえで発生する取引やお金の流れを記録する書類のことです。帳簿は日々の取引を把握し、会社の経営状況を可視化するために欠かせません。

本記事では、企業の経理・会計担当者がおさえておくべき帳簿の基礎として、台帳との違いや主要簿と補助簿の分類、帳簿のつけ方のポイントなどを解説します。

個人事業主の方は「【個人事業主向け】帳簿の種類とつけ方は? 単式・複式簿記や現金・発生主義について徹底解説!」をご参照ください。

目次

帳簿とは

帳簿とは、企業が事業を行ううえで発生する取引やお金の流れを記録する書類のことです。

帳簿は決算書の基礎となるため、日々の資産状況の変化を正確に記録する必要があります。会社法によって作成が義務づけられており、正しくは「会計帳簿」と呼びます。

なお、2014年からは白色申告者にも帳簿の作成が義務づけられ、法人・個人を問わず、すべての事業者に帳簿の作成が求められています

個人事業主の方は「【個人事業主向け】帳簿の種類とつけ方は? 単式・複式簿記や現金・発生主義について徹底解説!」を参照ください。

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帳簿をつける目的

前述のとおり、帳簿は事業の取引やお金の流れを記録するもので、会社法第432条により、すべての事業者に作成が義務づけられています。

帳簿を不備なく記録することで、利益がどれくらい出ているか、経費がどれくらいかかっているかなどがわかり、経営状況の正確な把握につながります。

帳簿の内容は、最終的に損益計算書や貸借対照表などの決算書にまとめられます。決算書は経営状況の評価や経営方針の決定における重要な指針となるため、ミスのない作成・記帳が大切です。

帳簿の種類

帳簿には記録する内容によって多くの種類に分けられますが、大きくは「主要簿」と「補助簿」の2区分に分類されます。それぞれの役割は次のとおりです。


主要簿日々発生するすべての取引を記録する帳簿のこと
補助簿主要簿を補完するために作成される帳簿のこと。主要簿に記載できない取引内容の詳細を記載する

どの帳簿が主要簿もしくは補助簿に該当するのかは、次章で詳しく説明します。

帳簿と台帳の違い

企業会計において帳簿と同じように使われる言葉に「台帳」があります。

台帳も事業を行ううえで発生する取引内容やお金の流れを記録した書類のことで、台帳を総称して帳簿と呼ばれます。

明確な違いが定義されているわけではないため、帳簿と台帳はほぼ同じものを指すと考えてよいでしょう。

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主要簿に分類される帳簿

主要簿に分類される帳簿としては、「仕訳帳」「総勘定元帳」「日記帳」の3つがあります。これらは必ず複式簿記で作成しなければなりません。

複式簿記での記帳方法について詳しく知りたい方は、別記事「複式簿記の重要性と記帳方法について解説!」をあわせてご確認ください。

仕訳帳

仕訳帳は日々の取引を「借方」と「貸方」に分け、日付順に記録していく帳簿です。

取引において、資産の増加や費用の発生があった際は「借方」に、負債・純資産の増加や収益の発生があった際は「貸方」に記載します。

なお、次に説明する「総勘定元帳」は仕訳帳がもとになるため、仕訳帳がなければ総勘定元帳は作成できません


【関連記事】
仕訳帳とは?書き方や仕訳例、基礎知識を解説

総勘定元帳

総勘定元帳は、仕訳帳の内容を「売上」や「仕入」などの勘定科目ごとに記録していく帳簿です。

取引が勘定科目ごとにまとまっているため、総勘定元帳を見ればそれぞれの残高を把握できるメリットがあります。


【関連記事】
総勘定元帳とは?書き方や保存期間、基礎知識を解説

日記帳

日記帳は、日々の取引を日付順に記録した帳簿です。

「円滑な会計処理のために記録することが望ましい」という位置づけの書類で、作成は必須ではありません。

補助簿に分類される帳簿

補助簿では主要簿に記載できない取引内容の詳細を記載します。

決算書の作成には主要簿があれば十分ですが、補助簿によって取引のより具体的な情報を把握できることが利点です。

たとえば得意先別の売上高を知りたい場合、補助簿として得意先元帳があれば、わざわざ総勘定元帳から該当する取引を探し出す手間が省けます。

補助簿には現金出納帳や仕入帳、売上帳などさまざまな種類があり、それらは以下のとおり「補助元帳」と「補助記入帳」の2つに大別できます。

補助元帳

補助元帳は、特定の勘定科目ごとに詳細な情報を記録する帳簿です。具体的には以下の種類があります。


帳簿概要
商品有高帳受け入れと払い出し、残高を商品別に記録する帳簿
仕入先元帳仕入高や買掛金残高などを仕入先別に記録する帳簿
得意先元帳売上高や売掛金残高を得意先別に記録する帳簿
経費帳必要経費を記録する帳簿
固定資産台帳減価償却資産や繰延資産などについて、取得時の状況や減価償却の履歴を記録する帳簿

補助記入帳

補助記入簿は、取引の順序や日時によって明細を記録する帳簿具体的には以下のような種類があります。


帳簿概要
現金出納帳日々の現金取引の収支を記録する帳簿
預金出納帳預金口座の収支を記録するための帳簿
支払手形記入帳支払手形ごとに、金額や支払期日、受取人などを記録する帳簿
受取手形記入帳受取手形ごとに、金額や支払期日、支払人などを記録する帳簿
仕入帳日々の仕入高などを詳細に記録する帳簿
売上帳日々の売上高などを詳細に記録する帳簿

帳簿のつけ方のポイント

帳簿つけは日々発生する業務であるため、効率的かつ正確に記載する必要があります。

ここでは帳簿のつけ方のポイントを2つ紹介します

使い勝手のよい様式を選ぶ

帳簿は必要な情報が記載されていれば、その様式は問われません。使い勝手や業務効率などを考慮して、自社に最適な様式を選びましょう。

たとえば以下の様式があります。

表計算ソフト

帳簿の作成には、Excelなどの表計算ソフトの活用も便利です。

Excelはパソコン環境による仕様の違いも少なく、テンプレートを用意すれば複雑な帳簿づけの業務も平準化できます。

会計ソフト

会計ソフトは、手書きやExcelでの帳簿づけに比べて、作業の手間を大幅に削減できる点がメリットです。

また、一度操作に慣れてしまえば、経理業務に欠かせない正確さやスピードも確保できます。経理業務の効率化や生産性向上を目指すなら、会計ソフトの導入は有効です。

記入漏れや仕訳間違いに注意

前述のとおり、帳簿は損益計算書や貸借対照表などの決算書を作成するうえで欠かせない情報源となります。

決算期の業務をスムーズかつ正確に進めるためにも、帳簿を作成する際は、記入漏れや仕訳の間違いがないか必ずチェックをしましょう。

年度ごとに項目が異なってしまわないように、作成方法の共通ルールを設けることも重要です。

帳簿の保存期間

法人の帳簿保存期間は、その事業年度の確定申告提出期限の翌日から7年間です。取引に関する書類等の保存もあわせて必須とされています。

保存が必要な「帳簿」と「書類」は以下のとおりです。

保存が必要な「帳簿」

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 売掛金元帳
  • 買掛金元帳
  • 固定資産台帳
  • 売上帳 など

保存が必要な「書類」

  • 棚卸表
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 注文書
  • 契約書
  • 領収書 など

なお、欠損金が生じた年度の場合、帳簿や書類の保存期間は10年間(平成30年4月1日以前に開始した事業年度は9年間)になります。


出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

帳簿の保存期間は法人と個人で異なります。個人事業主の方は別記事「【個人事業主向け】帳簿の種類とつけ方は? 単式・複式簿記や現金・発生主義について徹底解説!」を参照ください。

帳簿を作成する意義

帳簿は単に日々の取引やお金の流れを記録するためだけに作るものではありません。

その先にある売上推移の把握や利益率の算出、資金繰り状況の確認など、重要な経営指標を明らかにするために不可欠であるといってよいでしょう。

取引のある金融機関などに経営状態を説明するときや会社経営における重要な判断に迫られたときにも、決算書だけではわからない情報として、帳簿上の記録が役立ちます。

帳簿つけは日常的な経理業務のひとつですが、このような企業経営における帳簿の重要性や意義をよく理解したうえで、正確な記録に努めることが肝要です。

帳簿を作成しないことによるリスク

確定申告において帳簿を提出する必要はありませんが、税務調査などで税務署から帳簿の提示を求められるケースがあります。

その際に帳簿が作成されていなかったり、紛失していたりして提示ができず、また内容が仮装隠蔽であるとみなされた場合は、納税額の35〜40%が重加算税として課される場合があります。

さらに、帳簿の提示ができない場合は、青色申告の承認取り消しの対象となり、帳簿を提示できなかったもっとも古い事業年度から取り消される可能性があります。 「虚偽の隠蔽」と判断された場合は、重加算税に加えて刑事罰が課されるため、帳簿を正しく作成していないと大きなリスクとなります。

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まとめ

帳簿のつけ方は決して難しいものではありませんが、帳簿上の記録は決算書の基礎となるため、記入漏れや誤入力には細心の注意が必要です。

正確性を担保し業務効率を図るには、会計ソフトの導入も有効です。この機会にぜひ、会計ソフト「freee会計」の導入をご検討ください。

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よくある質問

帳簿とは?

企業が事業を行ううえで発生する取引やお金の流れを記録する書類のことです。会社法によって作成が義務づけられており、正しくは「会計帳簿」と呼びます。

帳簿をつける目的や種類については記事内「帳簿とは」で解説しています。

帳簿と台帳の違いは?

事業における取引の内容やお金の流れなどを記録したさまざまな書類のことを台帳と呼びます。

帳簿はそれらを総称する際に使われる言葉であるため、帳簿と台帳はおおむね同じであると考えてよいでしょう。

監修 税理士法人虎ノ門共同会計事務所

税理士法人虎ノ門共同会計事務所は、税務・会計のエキスパート集団によるきめ細かい、多岐にわたるサービスを提供し、クライアントの発展をトータルに支援いたします。税理士・公認会計士を中心に、弁護士、弁理士、司法書士などの専門家との業務提携により、ワンストップサービスの提供を行う会計事務所です。

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