会計の基礎知識

支払調書作成時の計算方法とひっかかりやすい注意点とは

毎年1月31日が原則として、支払調書を税務署に提出する期限になっています。

弁護士や税理士への報酬、作家などに原稿料の支払いがあるケースなどで、支払調書の作成が必要です。そもそも支払調書とは何か、そして、支払調書作成時の計算方法や記入方法、注意点などについて解説していきます。

支払調書の概要

支払調書とは、特定の支払いをした法人などの事業者が、支払先ごとに支払い内容や明細を記載して作成し、税務署に提出する書類です。

よくでてくる支払調書には、「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」があります。

「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」を提出する義務のある範囲は、所得税法第204条第1項と第174条第10号、租税特別措置法第41条の20で規定されています。

このうち、多くの企業に関連するものは、弁護士や司法書士、公認会計士や税理士、社会保険労務士などへの報酬、原稿料や講演料、さし絵などのデザイン料などです。

対象となる報酬を1人につき年間5万円以上の支払った場合には、支払調書を税務署に提出する義務があります。

法人に支払われる報酬や料金、あるいは、支払金額が源泉徴収の限度額以下のケースでも、支払調書の提出の義務がある範囲にあたるときには、支払調書の提出が必要です。なお、支払額のうち、消費税の部分が明確な場合には、消費税を含めずに提出の義務があるか判断することができます。

支払調書作成時の計算方法

支払調書の作成時の計算方法や報酬を支払う際の源泉徴収額の計算方法の基本をみていきましょう。

支払調書作成時に記載する源泉徴収額とは

支払調書に記載する「支払金額」は1月1日から12月31日の1年間に支払った報酬や料金の合計額を計算します。 「源泉徴収額」は当該年度の「支払金額」に対して、源泉徴収額は源泉徴収するべき額の合計額を計算して記入します。

報酬や料金の支払いのつど、源泉徴収する額は、原則として報酬などの額に対して所得税10%、平成49年までは復興特別所得税0.21%です。

1円未満の端数が出た場合は切り捨てで計算し、消費税が明確な場合は含まずに計算しても構わないことになっています。

ただし、報酬の支払いが100万円を超えるケースと司法書士や外交員等に支払う報酬は計算方法が異なるなど、いくつかの計算方法がありますので注意しましょう。

弁護士や税理士への報酬、作家などの原稿料や講演料などの源泉徴収額

【報酬などが100万円以下の場合の計算式】

報酬額×10.21%

【報酬などが100万円を超える場合の計算式】

(報酬額-100万円)×20.42%+10万2,100円

弁護士や税理士への報酬をはじめ、作家などへの原稿料や講演料、イラストレーターへのさし絵のデザイン料などは、 所得税と復興特別消費税を合わせた10.21%が源泉徴収額です。
100万円を超えた場合は、100万円を超えた部分に対しては20.42%が源泉徴収額になります。

<ケース1:作家への原稿料が20万円のとき>
20万円×10.21%=2万420円 源泉徴収額 2万420円

<ケース2:弁護士への報酬が150万円のとき>
(150万円-100万円)×20.42%+10万2,100円=20万4,200円 源泉徴収額 20万4,200円

司法書士への報酬の源泉徴収額

【司法書士への報酬の場合の計算式】

(報酬額-1万円)×10.21%

司法書士に対する報酬は計算方法が異なり、1回に支払われる報酬から1万円を引いた額に、10.21%をかけます。

<ケース3:司法書士への報酬が10万円のとき>
(10万円-1万円)×10.21%=9,189円 源泉徴収額 9,189円

支払調書の記入例

支払調書の「支払を受ける者」の欄は、支払先の氏名や法人名を記入します。
平成28年1月1日からの報酬の支払いに対する支払調書には、マイナンバー(個人番号)や法人番号の記入も必要になりました。

「区分」は報酬や料金などの名称を記入する欄のため、弁護士報酬や税理士報酬、原稿料、さし絵料といった形で記入します。

細目は弁護士報酬の場合は事件名、原稿料やさし絵料では支払い回数などを記入する欄です。
「支払金額」は当該年度で確定している支払額、「源泉徴収額」は当該年度中に源泉徴収するべき所得税と復興特別所得税の合計額です。

「支払者」には、報酬や料金などを支払った事業者の住所と、会社名などの名称または氏名、 電話番号、法人番号または個人番号を記入します。

支払調書に記入する際の注意点

支払調書への記入の際の注意点をみていきましょう。 未払い額があるケースや消費税を除いて源泉徴収額を計算しているケースなどでは注意が必要です。

未徴収額分も記載する

支払調書へ記入する源泉徴収額は、当該年度中に源泉徴収するべき額を記載します。 そのため、支払調書を作成する時点で未払いのため、源泉徴収できていないケースでは、未徴収税額も含めて記載し、未払い額と未徴収額を内数として併記します。

消費税を含めた支払額記入する

消費税が明確に分けられている場合は、消費税を除いた額に対して源泉徴収を行うことも認められています。 しかし、支払調書の「支払金額」の欄に記入するのは、原則として、消費税を含めた金額の合計額です。

マイナンバーは本人確認が必要

支払調書へのマイナンバーの記載にあたっては、マイナンバーが正しい番号であることの確認(番号確認)と番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要です。

「マイナンバーカード」は番号確認と身元確認の両方ができます。
マイナンバーカードの発行を受けていない場合は、「通知カード」や「マイナンバーが記載された住民票の写し」で番号確認を行い、「運転免許証」などで身元確認を行います。

また、支払調書は個人事業主などの支払先に対して発行する義務はありませんが、控えを発行して交付することが一般的です。ただし、個人番号は記載せずに渡すことが決められているため、税務署へ提出するものと同じものを使用することはできず、個人番号は消す必要があります。

マイナンバーは12桁、法人番号は13桁と桁数が違いますので、独自にフォーマットを作成する場合には、13桁に対応できるようにしておきましょう。

支払調書の作成時には難しい計算は必要なく、1年間の源泉徴収額の合計などを計算して記入するだけです。ただし、未払い額に対する未徴収額も記載すること、マイナンバーの記載には本人確認と番号確認が必要なことなどに注意が必要です。

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